北海道苫小牧市の重過失傷害事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。
【事件】
北海道苫小牧市に住むAさんは、日頃から買い物などの移動を自転車で行っていました。
ある日、Aさんは友人の家へ遊びに行くことになり、伝えられた住所をスマートフォンで調べながら自転車を漕いでいました。
そうしたところ、Aさんが道を確認しようとスマートフォンの画面に目を移した際に、前を歩いてきた歩行者のVさんと接触してしまいました。
Vさんは接触の衝撃でバランスを崩して転倒し、腕に擦り傷を負うなどの怪我をしました。
Aさんは警察に連絡し、重過失傷害罪の疑いで北海道苫小牧警察署にて取調べを受けることになりました。
取調べを終えたAさんは、弁護士に相談した際、今後逮捕される可能性はあるのか聞いてみました。
(フィクションです。)
【重過失傷害罪について】
刑法は、故意に他人に傷害を負わせる傷害罪とは別に、不注意で他人に傷害を負わせる過失傷害罪を規定しています。
この過失傷害罪には、不注意の程度が特に著しい場合に成立する、重過失傷害罪というものがあります。
まず、過失傷害罪における「過失」とは、事故を予測してそれを回避する行動ができたにもかかわらず、その行動を怠ったことを指します。
上記事例では、Aさんが自転車の運転中にスマートフォンの画面を見ており、前方の確認を怠ったことが原因で事故が起こっています。
そうすると、Aさんには「過失」があったと言え、少なくとも過失傷害罪は成立すると考えられます。
更に、Aさんとしては、事故を回避するために一度走行を中断して地図を確認すべきだったと言えます。
そうすると、事故の回避はAさんにとって容易だったはずであることから、Aさんの過失は著しい不注意だと評価できます。
これにより、Aさんには重過失傷害罪が成立する可能性があることになります。
重過失傷害罪の法定刑は、重過失致死罪と同様、5年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金となっています。
結果が傷害にとどまれば上限に近い重さとなることは稀かと思いますが、それでも通常の過失傷害罪と比べれば重い刑が見込まれるでしょう。
【逮捕の可能性】
過失傷害罪自体は、事故というかたちで日常生活において少なからず見られるものです。
ですが、いくら過失とはいえ、犯罪として刑事事件になる場合があるのは否定しがたいところです。
そのため、事故を起こしたことで逮捕が不安になる方はいらっしゃるのではないかと思います。
逮捕には、被疑者の身柄を確保しておくことで、被疑者の逃亡や証拠隠滅を防止する役割があります。
これは捜査を円滑に行うためなので、逮捕を行う必要があるかどうかは、基本的には警察などの捜査機関が判断する事柄です。
ですので、捜査機関以外の者が「絶対逮捕されない(される)」などと言うことは通常できません。
ただ、様々な事情を考慮し、逮捕の可能性をある程度予測することはできます。
逮捕の可能性を予測するうえで重要なのは、犯した罪の重さ、事件の複雑さ、被疑者の態度、などが考えられます。
典型的な自転車の事故であれば、一般的に逮捕の可能性は低いと言えるでしょう。
ただ、逃亡や証拠隠滅を懸念させる事情(たとえばひき逃げをした、定まった住居がない)があれば、一概に逮捕の可能性が低いとは言えなくなってきます。
心配であれば、弁護士から話を聞いたうえで事件を依頼し、逮捕が行われた場合の対応について事前に打ち合わせておくとよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件に特化した弁護士が、多くの知識と経験を武器に最善の弁護活動を目指します。重過失傷害罪を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
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