自動車を運転している際に問題となる人身事故やひき逃げに関する罪について北海道札幌市の弁護士が解説
自動車の運転に関する犯罪を行ってしまい,当事務所に相談・依頼するケースが多いです。
今回は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が,自動車の運転に関する犯罪で主なものを解説いたします。
<人身事故>
過失運転致死傷罪
人身事故を起こし,過失が認められたら,過失運転致死傷罪が成立します。
自動車の運転上必要な注意を怠り,よって人を死傷させた者は,7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金となります。
ただし,その傷害が軽いときは,情状により,その刑を免除することができます。
自動車の運転上必要な注意とは,運転者が自動車を運転する上で順守すべき注意義務をいいます。
発生した死傷事故から見て,どのような措置を取っていれば当該事故の発生を回避することができたかを事故の具体的状況に即して検討し,運転者に対してそのような措置を講じるべき義務を課すことが可能で相当かどうかを検討して,義務を怠っていると評価できる場合に,犯罪が成立することになります。
危険運転致死傷罪
次に掲げる行為を行い,よって,人を負傷させた者は15年以下の懲役,人を死亡させた者は1年以上の有期懲役となります。
一 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
二 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
三 その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
四 人又は車の通行を妨害する目的で,走行中の自動車の直前に進入し,その他通行中の人又は車に著しく接近し,かつ,重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
五 車の通行を妨害する目的で,走行中の車(重大な交通の危険が生じることとなる速度で走行中のものに限る。)の前方で停止し,その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転する行為
六 高速自動車国道(高速自動車国道法(昭和三十二年法律第七十九号)第四条第一項に規定する道路をいう。)又は自動車専用道路(道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第四十八条の四に規定する自動車専用道路をいう。)において,自動車の通行を妨害する目的で,走行中の自動車の前方で停止し,その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転することにより,走行中の自動車に停止又は徐行(自動車が直ちに停止することができるような速度で進行することをいう。)をさせる行為
七 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し,かつ,重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
八 通行禁止道路(道路標識若しくは道路標示により,又はその他法令の規定により自動車の通行が禁止されている道路又はその部分であって,これを通行することが人又は車に交通の危険を生じさせるものとして政令で定めるものをいう。)を進行し,かつ,重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
アルコール又は薬物の影響により,その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で,自動車を運転し,よって,そのアルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態に陥り,人を負傷させた者は12年以下の懲役,人を死亡させた者は15年以下の懲役となります。
自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるものの影響により,その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で,自動車を運転し,よって,その病気の影響により正常な運転が困難な状態に陥り,人を死傷させた者も,人を負傷させた者は12年以下の懲役,人を死亡させた者は15年以下の懲役となります。
自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気は,次に掲げるものです。
一 自動車の安全な運転に必要な認知,予測,判断又は操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈する統合失調症
二 意識障害又は運動障害をもたらす発作が再発するおそれがあるてんかん(発作が睡眠中に限り再発するものを除く。)
三 再発性の失神(脳全体の虚血により一過性の意識障害をもたらす病気であって,発作が再発するおそれがあるものをいう。)
四 自動車の安全な運転に必要な認知,予測,判断又は操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈する低血糖症
五 自動車の安全な運転に必要な認知,予測,判断又は操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈するそう鬱病(そう病及び鬱病を含む。)
六 重度の眠気の症状を呈する睡眠障害
<飲酒運転>
何人も,酒気を帯びて車両等を運転してはなりません。
違反して車両等を運転した者で,その運転をした場合においてアルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある酒に酔った状態にあつたものは,5年以下の懲役又は100円以下の罰金となります。
違反して車両等を運転した者で,その運転をした場合において身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあつたものは,3年以下の懲役又は50万円以下の罰金となります。
政令で定める身体に保有するアルコールの程度は,血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム又は呼気1リットルにつき0.15ミリグラムとされています。
<轢き逃げ>
交通事故があったときは,当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員は,直ちに車両等の運転を停止して,負傷者を救護し,道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければなりません。
車両等の運転者が,当該車両等の交通による人の死傷があった場合において,人の死傷が当該運転者の運転に起因するものであるときは,この義務に違反したら,10年以下の懲役又は100万円以下の罰金となります。
この場合において,当該車両等の運転者(運転者が死亡し,又は負傷したためやむを得ないときは,その他の乗務員)は,警察官が現場にいるときは当該警察官に,警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所,当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度,当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置である交通事故発生日時等を報告しなければなりません。
この報告をしなかったら,3月以下の懲役又は5万円以下の罰金となります。
<無免許・無車検・無保険>
無免許
何人も,公安委員会の運転免許を受けないで,自動車を運転してはなりません。
法令の規定による運転の免許を受けている者でなければ運転し,又は操縦することができないこととされている車両等を当該免許を受けないで(法令の規定により当該免許の効力が停止されている場合を含む。)又は国際運転免許証等を所持しないで運転した者は,3年以下の懲役又は50万円以下の罰金となります。
無車検
自動車は,国土交通大臣の行う検査を受け,有効な自動車検査証の交付を受けているものでなければ,これを運行の用に供してはなりません。
違反したら,6月以下の懲役又は30万円以下の罰金となります。
無保険
自動車は,自動車損害賠償責任保険又は自動車損害賠償責任共済の契約が締結されているものでなければ,運行の用に供してはなりません。
違反行為をした者は,1年以下の懲役又は50万円以下の罰金となります。
<スピード違反>
車両は,道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を,その他の道路においては政令で定める最高速度を超える速度で進行してはなりません。
自動車及び原動機付自転車が高速自動車国道の本線車道並びにこれに接する加速車線及び減速車線以外の道路を通行する場合の最高速度は,自動車にあっては60キロメートル毎時,原動機付自転車にあっては30キロメートル毎時,とされております。
違反したら,6月以下の懲役又は10万円以下の罰金となります。
過失により違反したら,3月以下の禁錮又は10万円以下の罰金となります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は,刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。当事務所の弁護士は,これまでに数多くの人身事故・ひき逃げ・飲酒運転などの事件を取り扱ってきました。
北海道札幌市にて,人身事故やひき逃げ,飲酒運転といった罪で捜査を受けている場合,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。