過失運転致傷罪の示談交渉

北海道網走市の過失運転致傷事件における示談交渉について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

北海道網走市に住むAさんは、会社に車で通勤していました。
ある日の帰宅途中、自宅近くの交差点に差し掛かったAさんは、ふと道路沿いの店舗が気になり、視線を右側にそらしてしまいました。
そのため、Aさんは信号待ちで止まっている前の車両に気付くのが遅れてしまい、ブレーキを踏み損ねたため、そのまま前の車に衝突してしまいました。
前の車に乗っていたBさんは、衝突により、全治3週間のむち打ちになってしまいました。また、Bさん乗っていた車の後部が大きくへこんでしまい、修理が必要な状況になってしまいました。
事故を起こしたAさんは、大変なことをしてしまったと思いましたが、すぐに停車をし、110番や119番をしました。
Aさんは、その日は逮捕されなかったものの、北海道網走警察署での取調べを数回受けています。
(フィクションです。)

【過失運転致傷罪について】

自動車が普及するにつれてその危険性が認知されるようになったことで、自動車による過失傷害は重く罰すべきではないかと考えられるようになりました。
そこで、刑法改正により自動車運転過失致傷罪という特別な規定が置かれ、現在ではその規定が過失運転致傷罪として「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」に組み込まれるに至っています。
この法律では、自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた場合、7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金に処すると定められています。
ただし、傷害の程度が軽ければ、情状により刑が免除される余地があります。
実際にどの程度の刑が科されるかは、怪我の程度、不注意の内容、被害弁償の有無などにより変わってきます。
不起訴になることもあれば裁判で懲役刑が科されることもあるため、結果については個々の事案により様々です。
ちなみに、特定の危険な運転(たとえば飲酒運転や大幅なスピード違反など)で人身事故を起こした場合、危険運転致死傷罪というより重い罪となります。
その法定刑は1年以上の懲役(上限20年)であり、相当長期の懲役刑が言い渡される可能性も決して否定できません。

事例のAさんは、前方を注視するという運転時に求められる基本的な義務に違反し、前方注視を怠った結果、事故を起こしてしまいました。そのため、Aさんに成立する罪は、過失運転致傷罪というものになります。
また、Aさんは事故後、すぐに110番や119番をしています。もしAさんがこのような行動をとらず、現場から逃走してしまったような場合には、いわゆる「ひき逃げ」となります。ひき逃げの罪は、最高懲役10年と非常に重くなっていますし、過失運転致傷と同時に罪に問われた場合には、最高懲役15年ととても重い刑で処断される可能性があります。

【交通事故の示談交渉】

交通事故の場合、どのように示談交渉を進めていけばよいのでしょうか。
まず、通常の刑事事件と異なり、交通事故の場合には、警察がその場で相手方の連絡先を教えてくれることが多くあります。そのため、直接相手方と交渉をするということも可能です。

また、自動車での交通事故の場合には、自賠責保険や任意保険に入っているはずです。このような保険会社を通じて示談交渉をすることもできます。
保険会社は、事故が起きた場合、被害者に対して治療費や慰謝料などの金銭を支払いますし、今回の事件のような場合では、車の修理費なども支払います。しかし、この支払いをめぐっては、様々なトラブルが考えられます。
例えば、保険会社は、保険会社が支払うことが相当であると判断したもののみ支払います。そのため、必ずしも被害者が現実に支払った治療費や、修理代を支払うとは限りません。保険会社が不相当であると判断したものについては、支払わないことになります。また、交通事故の態様に争いがあり、事故をした双方に責任があるような場合(出会い頭の事故などが典型です)には、過失相殺が働きます。過失相殺は、事故の責任を案分するもので、その結果、治療費等も案分で支払いとなりますから、被害者には治療費等が全額支払われるわけではありません。
このように、保険金の支払いをめぐってトラブルが生じた場合には、刑事事件の捜査が終了するまでの間に、示談が終了していないということも十分考えられます。
また、保険金の支払いは、当然のことであると被害者が考えている場合には、事故を起こした刑事責任はまた別の問題ということになってしまい、保険金が支払われても処罰を求めるということも十分考えられます。
そうすると、保険会社に示談交渉を任せていても、刑事事件としての交通事故は解決せず、起訴され、前科がついてしまうことが十分考えれます。
交通事故の場合でも、刑事事件化を阻止するためには、保険会社とは別に、示談交渉を行い、被害者の方に許してもらうということが必要になります。

北海道網走市で、交通事故に強い弁護士をお探しの方、交通事故の被害者と示談して刑事罰を免れたい方は、刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

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