家族なのに面会できない?
特殊詐欺事件に加担してしまった場合に問題となる罪と、接見禁止という制度について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。
【ケース】
北海道虻田郡在住のAは、北海道内の会社に勤める会社員です。
Aには多額の借金があり、もはや返済はできないような金額になっていました。
既に通常の消費者金融からは金が借りられなくなっていたAは、SNS上で高額バイトを探し、日当5万円以上と書かれた投稿を見つけました。
発信者にダイレクトメッセージで連絡を取ったところ、虻田郡内の指定された家に行って、銀行員を装ってキャッシュカードを受け取ってくるよう言われました。
Aは指示役に従って高齢者宅に行き、「●●銀行の者です。」と嘘をついてキャッシュカードを受け取り、受け取ったキャッシュカードは指定された場所に郵送しました。
後日、虻田郡内を管轄する俱知安警察署警察官がAの自宅に来て、特殊詐欺事件に加担した嫌疑で逮捕しました。
Aの家族はAと面会したいと申し入れましたが、警察官からは面会ができないと説明を受けました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【特殊詐欺について】
通常、詐欺事件は加害者が被害者に対面する等して被害者を騙し、金品を騙し取るという手口で行われます。
しかし、特殊詐欺の場合は、電話やメールなどを用いて被害者を騙すという点に、特徴があります。
特殊詐欺は、代表的な「オレオレ詐欺」や「預貯金詐欺」と呼ばれるもののほかに、存在しない架空の債権があると誤信させて振込を求める「架空請求詐欺」、作成したサイトをクリックすることで会員登録したとして登録料などを求める「ワンクリック詐欺」、自分は外国の軍人であなたと結婚するためには金が必要だとして金を振り込ませる「国際ロマンス詐欺」、還付金の手数料名目で金を騙し取る「還付金詐欺」など、その手法は多岐にわたります。
ケースのように他人の家に行ってキャッシュカード等を受け取る行為は俗に「受け子」と呼ばれますが、どのような罪に当たるのかについてはその方法によって異なります。
「キャッシュカードを交換する必要があるので私に渡してください。後日新しいキャッシュカードが郵送されます。」という説明をした場合、被疑者が被害者に対して嘘をつき、被害者がその嘘に騙され、キャッシュカードを渡したということで詐欺罪が成立します。
「このキャッシュカードは使えないので、封緘して保管しておいてください。後日、担当者が受け取りに来ます。」という説明をし、隙をついて封筒ごとすり替える、あるいは偽のキャッシュカードとすり替えるなどした場合、被害者の意に反してキャッシュカードを受け取っているため、詐欺罪ではなく窃盗罪が成立します。
罰条はそれぞれ以下のとおりです。
詐欺罪:10年以下の懲役
窃盗罪:10年以下の懲役又は50万円以下の罰金
【家族であっても面会はできない?】
特殊詐欺事件については、捜査機関が被疑者を特定できた場合、捜査に必要であると判断されて逮捕・勾留されることが一般的です。
逮捕された時点では、基本的に家族を含め、捜査関係者及び弁護士を除いて面会は認められません。
被疑者は逮捕後72時間以内に勾留されるか釈放されるか、という判断がなされます。
勾留された場合、原則として家族だけでなく誰でも面会をすることができます。
但し、平日のみ、1日1回15分以内、警察官の立ち合いがあるなどの制限はあります。
一方で、特殊詐欺や薬物事件等、共犯者や事件関係者がいる事件については、裁判官が職権で接見禁止の決定を下します。
接見禁止決定を受けた被疑者については、勾留期間中、弁護士以外の者は家族も含めて面会をすることができません。
接見禁止決定が出たが家族だけでも面会したい、という方について、接見禁止の一部解除を申立てる必要があります。
申立てでは、家族が事件に関与していないこと、家族が証拠隠滅などを目的としているわけではなく被疑者自身の体調や職場への連絡などについて話をする必要があることなどを主張し、特定の家族などのみ接見禁止の対象から外すよう、職権を促します。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
北海道虻田郡にて、家族が特殊詐欺などの刑事事件で逮捕されてしまい接見禁止の決定が下された場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部に御連絡ください。
接見禁止の解除申し立ての経験が豊富な弁護士が、逮捕・勾留中の方のもとへ初回接見に行き、状況を確認したうえで解除の可能性などについて依頼者の方へ御説明します。