喧嘩で刑事事件に発展
喧嘩をした場合に問題となる罪と刑事手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。
【ケース】
北海道苫小牧市在住のAは、小牧市内の会社に勤める会社員です。
Aは酒場で酒を飲んでいて、隣の席のVがうるさかったことで注意をしたところ、Vとの口論になりました。
その後、VがAの肩を押したことから喧嘩に発展し、最初は殴り合いが続いていましたがVが転倒したことからAはその倒れたVを繰返し殴り、最終的にVは頭から血を流して救急搬送されました。
通報を受けて臨場した苫小牧警察署の警察官は、Aを、喧嘩で傷害を負わせたとして、現行犯逮捕しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【喧嘩はどのような罪?】
人間生活のうえで何かしらのトラブルが生じることは少なくないと思われます。
本来であれば相互譲り合ってその場を収めたり、民事裁判などを起こして解決を図ったりすることが望ましいのですが、残念ながら暴力行為に発展するということがあるかもしれません。
喧嘩をした場合にはどのような罪にあたるのでしょうか。
以下で検討していきます。
<暴行罪・傷害罪>
まず、相手に対する暴力行為では暴行罪・傷害罪が検討されます。
暴行罪は相手に対する不法な有形力の行使であり、暴行によって相手が怪我を負った場合には傷害罪が適用されます。
条文はそれぞれ以下のとおりです。
刑法208条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
刑法204条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
<殺人未遂罪・殺人罪>
暴行罪や傷害罪で収まらない場合の罪に、殺人未遂罪や殺人罪が挙げられます。
殺人罪は、喧嘩の結果相手を殺す、あるいは死ぬかもしれないという意思をもって相手に暴力行為を行うことで成立する罪です。
結果として被害者が死亡しなかった場合には殺人未遂罪が適用されます。
捜査機関としては殺人未遂罪や殺人罪には殺意の立証が必要です。
取調べで相手を殺す意思があったことを供述することや、客観的に見て相手が死んでしまうだろうと思われる行動(例えば、刃物を持ち出した、ゴルフクラブを持ち出した、相手の頭部を繰り返し殴った等)といった部分から評価されます。
<暴力行為処罰法違反>
もし喧嘩の際に刃物を持ち出した場合、暴力行為処罰法違反で検挙されることも考えられます。
これは、喧嘩の結果相手が死傷したか否かを問わず、成立する罪です。
暴力行為処罰法の条文は以下のとおりです。
非常に読み辛い内容ですが、「凶器を示し」て「刑法208条(=暴行罪)」「の罪を犯した」者に対して、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処すると定めているのです。
暴力行為処罰法1条 団体若ハ多衆ノ威力ヲ示シ、団体若ハ多衆ヲ仮装シテ威力ヲ示シ又ハ兇器ヲ示シ若ハ数人共同シテ刑法第二百八条、第二百二十二条又ハ第二百六十一条ノ罪ヲ犯シタル者ハ三年以下ノ懲役又ハ三十万円以下ノ罰金ニ処ス
<決闘罪>
事前通告をした上で戦いを行う、いわゆる決闘をした場合には「決闘罪ニ関スル件」に当たる可能性もあります。
ケースの場合、Aは決闘を挑んだうえ決闘を行っていたため、以下の条文は問題となります。
決闘罪ニ関スル件第一条 決闘ヲ挑ミタル者又ハ其挑ニ応シタル者ハ六月以上二年以下ノ重禁錮ニ処シ十円以上百円以下ノ罰金ヲ附加ス
第二条 決闘ヲ行ヒタル者ハ二年以上五年以下ノ重禁錮ニ処シ二十円以上二百円以下ノ罰金ヲ附加ス
【刑事裁判とは】
刑事裁判は、刑事事件を起こした「被疑者」の捜査を行い、起訴するに足りる証拠があると検察官が判断した場合には、被疑者を起訴します。
起訴された被疑者は「被告人」という立場に変わり、刑事裁判を受けることになります。
刑事裁判のスピードは事件によって大きく異なりますが、比較的軽微と思われる犯罪であれば起訴されてから1~2カ月ほどで1回目の裁判が行われます。
回数によってもまちまちで、2~4回ほどで終了する裁判が多い印象ですが1回の裁判で判決言い渡しまで行われることもあります。
北海道苫小牧市にて、御家族が喧嘩により傷害罪などの罪で御家族が逮捕された、あるいは取調べを受けているという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部に御連絡ください。