建造物侵入罪で少年の勾留阻止

北海道上磯郡の少年による建造物侵入事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事件】

北海道上磯郡に住むAさん(19歳)は、友人と遊んだあと帰宅しようと歩いていたところ、自身の母校であるV中学校が目に入りました。
そこで、急に懐かしさに駆られたAさんは、校門を越えてV中学校の校内に忍び込みました。
しばらく校内を歩いていたAさんでしたが、警備で見回りをしていた警備員に見つかり、「何してる」と声を掛けられました。
その後、警備員の通報で北海道木古内警察署の警察官が到着し、Aさんは建造物侵入罪の疑いで逮捕されました。
Aさんと接見した弁護士は、勾留阻止によりAさんの釈放を目指すことにしました。
(フィクションです。)

【建造物侵入罪について】

正当な理由がないのに、他人が管理をしている建造物に立ち入った場合、建造物侵入罪が成立する可能性があります。
建造物に誰を立ち入らせるかは原則として管理人の自由であり、その自由を侵すのは違法であることから建造物侵入罪が定められたと考えられています。

建造物侵入罪における「正当な理由」とは、建造物への立入りを適法と見る正当な事情を指します。
ここで注意しなければならないのは、普段は立入りが自由に認められている建造物であっても、立入りの理由次第では建造物侵入罪に当たる可能性がある点です。
たとえば、私たちの生活に密接なスーパーマーケットは、基本的に誰であっても自由に立ち入ることができます。
ですが、それは飽くまでも買い物という正当な理由があるからに過ぎません。
スーパーマーケットに立ち入った目的が窃盗であれば、正当な理由に欠けるとして建造物侵入罪が成立する可能性もあるというわけです。
このことから、およそ不法な目的を持って建造物に立ち入る場合には、広く建造物侵入罪が成立するおそれがあると言えるでしょう。

上記事例では、Aさんが深夜にかつての母校であるV中学校に立ち入っています。
こうした行為も、先ほど説明した内容に照らすと建造物侵入罪に当たる可能性はあると考えられます。
仮に卒業生が事情を話せば立ち入れるとしても、その手続などをとらずにV中学校に立ち入っている以上、建造物侵入罪の成立は否定されないでしょう。

【少年事件における勾留】

被疑者が少年(20歳未満の者)である刑事事件は、少年事件として通常の刑事事件とは区別されるのが原則です。
これは、少年の心身が未成熟であることを考慮し、刑罰による制裁・矯正よりも少年の健全な育成を促す措置を取るのが得策だという考えに基づきます。
そこで、少年事件では、様々な面で通常の刑事事件とは異なる特徴が見られます。

少年事件の特色の一つとして、被疑者の身柄を拘束する勾留が「やむを得ない場合」でなければ行えないと少年法で定められている点が挙げられます。
勾留というのは、時間制限が72時間である逮捕の後に行われる、10日から20日という長期にわたる身体拘束です。
勾留による長期の身体拘束は、心身が未熟な少年にとっては成人より大きな支障を受けることが見込まれます。
そこで、勾留が「やむを得ない場合」にのみ許されるというルールを少年法に明記することで、少年に対する安易な勾留に注意が呼びかけられているのです。

ただ、率直に言って、こうした少年に対する勾留の原則がきちんと遵守されているかは疑問があります。
そのため、もし少年が勾留の危機に瀕しているのであれば、安易な勾留が許されないことをきちんと訴えていくべきでしょう。
こうした主張は弁護士の得意分野なので、少年の勾留阻止を目指すならぜひ弁護士に事件を依頼してください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、少年事件について深い知識を持つ弁護士が、お子さんの釈放に向けて勾留阻止などの実現を真摯に目指します。
お子さんが建造物侵入罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

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