食い逃げはどのような罪?

食い逃げはどのような罪?

食い逃げで問題となる罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。

【事例】

北海道札幌市南区在住のAさんは、札幌市南区の会社に勤める会社員です。
Aさんは事件当日、別の居酒屋で酒を飲んだのち、飲食店Vにて食事をしました。
この飲食店Vは券売機等により事前に精算する方法ではなく、食事が終了した後に精算する方法で店を運営していました。
しかしVさんは食事をした後に精算(支払い)をすることなく店を離れてしまい、いわゆる食い逃げに気付いた飲食店Vの店主がAさんを捕まえ、札幌市南区を管轄する札幌方面南警察署に通報しました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【食い逃げで窃盗罪は成立しない可能性が高い】

食い逃げは被害店舗の財産である食材を失わせる行為であることから、窃盗罪が成立するのではないかと考える方が居られるかもしれませんが、成立しない可能性が高いと言えます。
窃盗罪の条文は以下のとおりです。

刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

窃盗罪のいう「窃取」とは「財物の占有者の意に反してその占有を侵害する」又は「自己又は第三者の占有に移転する」ことで成立します。
食い逃げ事件の場合を検討すると、少なくとも飲食店Vは(店員や店主)自らの意思でAさんに料理を提供しているため、窃盗罪は成立しないことになります。

【食い逃げで詐欺罪が成立する可能性がある】

では、食い逃げ事件は刑事上の罪に問われないのかというと、詐欺罪に問われる可能性があります。
詐欺罪の条文は以下のとおりです。

刑法246条1項 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

食事の後に精算をするシステムの飲食店の場合、注文をした相手に「お金は払っていただけますよね?」と質問することはなく、当然に注文をした料理の代金は精算時に支払ってくれるだろうと考えて料理を提供すると考えられます(いわゆる、ぼったくりバー等を除く)。
詐欺罪が成立するためには
①欺罔行為(相手を騙す行為)
②錯誤(被害者が騙される)
③財物の移転(②に従って財物を加害者に渡す)
④①~③に一連の因果関係が認められる
という要件を満たす必要があります。

そのため、Aさんが注文をする時点で①店主や店員を騙す(支払う意思がないのに料理の注文をする)意思が認められた場合、②店員は当然に支払うであろうと考え、③料理を作ってAさんに提供する、ことになり、①~③に因果関係が認められることになります。

他方で、例えば注文する者が店主や店員を騙す意図はなく、単に財布を持っているあるいは所持金が足りると思って料理を注文したが実際には財布を無くしていたり所持金が足りなかったりした場合、①の要件を満たさないため、詐欺罪は成立しないと考えられます。
よって、Aさんが財布を持っていると思っていたが財布を前に飲食した店に忘れた場合や酔っ払って所持金を勘違いしていた場合等では、詐欺罪は成立しません。

【民事上の債務不履行は当然に認められる】

たとえAさんが注文する時点で財布がない状況であると気づかなかったとしても、飲食店Vの店員に注文をして店員が料理を提供している以上、対価の支払い義務は生じます。
刑事事件で罪に問われなかったとしても、当事者間での債権―債務関係は別問題ですので、料理の提供を受けていることに対する支払い義務は負いますので、飲食店Vが代金を請求した場合にはAさんが支払う義務があると認められます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は刑事事件・少年事件の弁護を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、これまでに数多くの財産犯事件(詐欺罪や窃盗罪など)を経験してきました。
食い逃げ事件の場合、余罪を含め厳しい取調べが行われるおそれがあります。
北海道札幌市南区にて、家族が食い逃げ事件により詐欺罪などで捜査を受けている場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご連絡ください。

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら