無利子無担保で金を貸しても違法?
登録せずに無利子無担保で金を貸していた場合に問題となる罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律所札幌支部が解説致します。
【ケース】
北海道千歳市在住のAさんは、千歳市内で個人の学習塾を経営していました。
Aさんは半ばボランティアで塾を運営していましたが、塾生の中には家庭が貧しく進学するための学費が払えないという子どももいました。
そこで、Aさんは何年にも亘り、希望する塾生に対して学費を無利子無担保で貸し付けていました。
また、Aさんは返済が滞っている塾生・元塾生に対して、執拗な督促などはしていませんでした。
然し乍ら、千歳市内を管轄する千歳警察署の警察官は、Aさんに対し「貸金業法違反の恐れがあるため出頭して欲しい」と告げました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【無利子無担保でも貸金業法違反に?】
Aさんは塾生に対して無利子無担保で学費を貸し付けていました。
しかし、この行為は貸金業法違反に当たる可能性があります。
Aさんが道内だけで貸し付けしていることを踏まえ、以下で該当する条文を見て行きましょう。
貸金業法2条1項 この法律において「貸金業」とは、金銭の貸付け又は金銭の貸借の媒介で業として行うものをいう。(略)
同3条1項 貸金業を営もうとする者は、(略)1の都道府県の区域内にのみ営業所又は事務所を設置してその事業を営もうとする場合にあつては当該営業所又は事務所の所在地を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならない。
同11条1項 第3条第1項の登録を受けない者は、貸金業を営んではならない。
同47条 次の各号のいずれかに該当する者は、10年以下の懲役若しくは3000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2号 第11条第1項の規定に違反した者
ここで問題となるのは、Aさんの行為が貸金業法のいう「貸金業」に当たるかという点です。
貸金業の定義については、貸金業法2条1項に規定されているとおり
①金銭の貸付け又は金銭の貸借の媒介
②業として行うもの
を指します。
①について、Aさんの場合は塾生に対して直接貸し付けをしているため、「金銭の貸し付け」に該当し成立します。
②について、ここでいう「業として」とは営利目的、あるいは仕事としてという意味ではなく、「反復継続し、社会通念上事業の遂行とみることができる程度のもの」とされていて、貸し付けで仕事をしている、あるいは利息を得ていることを要件としていません。
例えばAさんが塾生1人だけに1度限り貸し付けをした場合には貸金業とは言えませんが、何年にも亘り塾生らに対して貸し付け行為を行っていたため、貸金業に当たる可能性があります。
【貸金業法違反での弁護活動】
貸金業法違反事件の中には、営利目的で行われる行為も少なからずあり、貸金業法に加えて利息制限法に違反するという事例もあります。
しかしAさんの場合は法の不知で故意の犯罪に比べ犯情は悪いとは言えず、また、営利目的ではなく塾生を思っての行動であったとして、貸金業法違反には当たるものの処罰するべき事案ではないと主張し不起訴をはじめとした寛大な処分を求める弁護活動になると考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律所札幌支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、貸金業法違反などの比較的事例が少ない特別法違反の弁護活動についても対応しています。
北海道千歳市にて、貸金業法違反などの嫌疑で取調べを受ける予定がある方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律所札幌支部の無料相談をご利用ください。
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