札幌市東区で相手の泥酔に乗じて性的な行為をしたという事例を想定し、不同意性交罪(強制性交等罪)の成立について解説

札幌市東区で相手の泥酔に乗じて性的な行為をしたという事例を想定し、不同意性交罪(強制性交等罪)の成立について解説

嫌がる仕草

これまで強姦罪や強制性交等罪と呼ばれていた犯罪について,法律が改正されて不同意性交等罪となり,犯罪が成立しやすくなりました。
より犯罪に対する社会の態度が厳しくなり,逮捕されやすくなりました。
これまでは被害者が泣き寝入りをしていたようなケースでも,警察に被害を訴えやすくなりました。
加害者は実刑で長い期間,刑務所に入ることになります。
今回は,不同意性交等罪について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。

【フィクション事例】

北海道札幌市東区在住のAさんは,札幌市東区の会社に勤める会社員です。
事件当日,Aさんは職場の飲み会で札幌市東区の飲食店で食事をした際、酒に酔って眠ってしまったVさんに対してわいせつな行為をしました。
後日、札幌市東区を管轄する札幌方面東警察署の警察官がAさんの家に来て、Aさんは逮捕されました。

【不同意性交罪(旧:強制性交等罪、強姦罪)】

不同意性交等罪は,不同意わいせつ罪の条文に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により,同意しない意思を形成し,表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて,性交,肛門性交,口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部若しくは物を挿入する行為であってわいせつなものである性交等をした者は,婚姻関係の有無にかかわらず,5年以上の有期拘禁刑に処されることになります。
不同意わいせつ罪の条文に記載されているのは,以下のとおりです。

1 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
2 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
3 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
4 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
5 同意しない意思を形成し,表明し又は全うするいとまがないこと。
6 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ,若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し,若しくは驚愕していること。
7 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
8 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。

以前は,加害者が,相手が同意していた,相手が同意していると思っていた,暴行や脅迫はしていない,等と主張して犯罪の成立を否定することが少なくありませんでした。
しかし,法律の改正により,被害者が同意していないとされる範囲が広がり,手段も暴行や脅迫に限られないことになりましたので,犯罪が成立しやすくなり,加害者が犯罪の成立を否定することは困難となりました。
一見して同意しているように見えても,全体として見たら同意していないと評価される状況であれば,犯罪の成立が認められることになります。
暴行や脅迫だけでなく,被害者がアルコールや薬物等で弱っていたり,親による虐待や上司・先輩との力関係等によっても,不同意が広く認められることになります。
性風俗店での事件でも,このような行為があれば,以前は警察は介入に消極的な部分もありましたが,最近は逮捕されるケースも増えております。

対象となる性交等は,原則となる性行為だけでなく,肛門性交や口腔性交も含まれ,加害者も被害者も男女関係なく認められることになります。
膣若しくは肛門に身体の一部若しくは物を挿入する行為であってわいせつなものも含まれ,女性器の中に指を入れる行為も性交等として処分されることになります。
犯罪が成立する範囲が広がり,被害を訴えやすくなっております。

婚姻関係の有無にかかわらないので,夫婦間でも犯罪が成立します。
DVで無理矢理性交等をされたら,被害者は警察に訴えることができます。
法は家庭に入らず,という言葉が過剰に強調されていた昔とは異なり,現在は警察も家庭内の犯罪について毅然と介入するようになっております。

【同意があっても不同意性交罪に(騙す等の行為)】

行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ,若しくは行為をする者について人違いをさせ,又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて,性交等をした者も,5年以上の有期拘禁刑に処されることになります。
宗教行為や医療行為等と言って騙して性交等をすることや,暗闇の中で配偶者や恋人と勘違いさせて性交等をすることが考えられます。

【同意があっても不同意性交罪に(被害者の年齢)】

16歳未満の者に対し,性交等をした者も,5年以上の有期拘禁刑に処されることになります。
同意の有無は関係なく,犯罪が成立することになります。
16歳未満の者が13歳以上である場合については,その者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者に限られます。
相手が13歳以上16歳未満であれば,相手との年齢差が5歳未満であれば,犯罪は成立しません。

【不同意性交罪や未遂で被害者を死傷させてしまった】

不同意性交等罪又はその未遂罪を犯し,よって人を死傷させた者は,無期又は6年以上の懲役に処されることになります。
より重い刑事処分となり,裁判員裁判が行われることになります。

大怪我をさせる場合はもとより,例えば被害者が驚いてしまい転倒したところ擦過傷(擦り傷)を負ったという場合でも,不同意性交致傷罪が成立します。

【不同意性交罪での報道リスク】

強制性交等罪を犯したと疑われた場合,逮捕される可能性が高くなります。
とりわけ逮捕された場合には,警察官からマスコミ・インターネットメディアに情報が提供され,各種メディアを通じて実名報道される可能性もあります。

【不同意性交罪での身体拘束リスク】

身体拘束をされて取調べを受けた後,裁判が行われ,実刑判決を受けて,長期間刑務所に入ることになります。
起訴前の釈放は認められることはほとんどありません。
起訴後の保釈についても,認められるには証拠隠滅や逃亡のおそれがないことをきちんと主張していくことが必要になります。

【不同意性交罪での示談交渉】

事件を起こしてしまったら,被害者と示談交渉をすることになります。
誠意をもって話し合い,示談金を支払ったうえで示談を成立させるために働きかけていくことになります。
弁護士が被害者と話し合うことになりますが,被害者の連絡先が分からなければ捜査機関を通じて連絡を試みることになります。
被害者が未成年であれば,被害者の両親と話し合うことになります。
起訴前に示談が成立したら,不起訴となる可能性が高まります。
起訴後に示談・被害弁償となったら,刑期が短くなる可能性が高まります。
早急に弁護士を通じて被害者と話し合う必要があります。

【不同意性交罪での取調べ対応】

捜査機関の取調べは,慎重に対応する必要があります。
実際に罪を認めていたとしても,警察官は事件の悪質性を出来るだけ大きく見せるように不当な誘導をしてくるかもしれません。
実際に犯罪をしていないと主張しても,犯行を認めさせるために圧力をかけてくるかもしれません。
弁護士と相談しながら,取調べにどのように対応するかを検討し,毅然とした姿勢で臨まなければなりません。

裁判では,罪を認めているのであれば,反省と被害者への誠意ある対応等を示していくことになります。
罪を認めていないのであれば,厳しく争うことになります。
否認事件の裁判は時間もかかり労力も大きく,弁護士とよく打ち合わせをしながら,証拠を精査して争っていくことになります。

【不同意性交罪で弁護士法人あいち刑事事件総合法律所札幌支部へ】

刑事事件では,スピードが重要です。
時間がない中で,なるべく早く対応しなければなりません。
思考停止に陥って何もしていなければ,状況はどんどん悪化してしまいます。
捜査機関の取調べにきちんと対応し,釈放・保釈を求め,被害者と示談交渉をし,裁判の準備をして証拠を精査しなければなりません。
不同意性交等罪で警察に逮捕された場合は,一刻も早く刑事事件に強い弁護士からアドバイスを受ける必要があります。
状況次第では取調べで完全黙秘等の対応が必要なケースもありますが,その判断と実施は慎重にしなければなりません。
ご家族等が不同意性交等罪で警察に逮捕された方は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の有料の初回接見サービスをご利用ください。
無料面談も実施しております。
刑事弁護に精通した弁護士が対応させていただきます。
人生に大きな影響が生じることですので,なるべく早めにご相談ください。

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