性犯罪事件について(痴漢・不同意わいせつ罪・未成年者への面会要求の罪について)

性犯罪事件について(痴漢・不同意わいせつ罪・未成年者への面会要求の罪について)

痴漢等の性犯罪事件を起こして逮捕され,当事務所に相談・依頼される方も非常に多いです。
今回は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が,痴漢等の性犯罪事件について解説いたします。

●北海道迷惑行為防止条例違反

正当な理由がないのに,公共の場所又は公共の乗物にいる者に対し,著しく羞恥させ,又は不安を覚えさせるような方法で,衣服等の上から,又は直接身体に触れることをしたら,6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されることになります。
常習として行ったら,1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処されることになります。
電車内などでのいわゆる痴漢は,通常はこの北海道迷惑行為防止条例違反となります。
何度も繰り返すほど,刑事処分は重い内容になります。
常習性のある人に関しては,被害者との示談活動だけではなく,精神科などの病院に通院していただき,反省と再犯防止を実現させていくことになります。

●不同意わいせつ罪

次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により,同意しない意思を形成し,表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて,わいせつな行為をした者は,婚姻関係の有無にかかわらず,6月以上10年以下の拘禁刑に処されることになります。
1 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
2 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
3 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
4 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
5 同意しない意思を形成し,表明し又は全うするいとまがないこと。
6 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ,若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し,若しくは驚愕していること。
7 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
8 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
法改正により,犯罪が成立しやすくなりました。
以前のように,暴行や脅迫がなくても成立します。
被害者が同意していないと評価される状況が幅広く認められることになります。
わいせつな行為とは,性欲を刺激,興奮又は満足させ,かつ,普通人の性的羞恥心を害し,善良な性的道義観念に反する行為をいいます。
北海道迷惑行為防止条例違反より程度が強いものをいいます。
具体的には,陰部に手を触れたり,手指で弄んだり,自己の陰部を押し当てたり,女性の乳首を弄んだりすることです。
服の上から陰部や乳首に触れた場合については,単に触れるだけでは足りず,服の上からでも弄んだといえるような強い態様のものである必要があります。
女性器の中に指等を入れる行為は,性交等として不同意性交等罪のより重い刑罰となります。
婚姻関係の有無にかかわらないので,夫婦間でのDVでの行為にも適用されます。

行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ,若しくは行為をする者について人違いをさせ,又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて,わいせつな行為をした者も,不同意わいせつ罪が成立します。
医療行為や宗教行為などと騙したり,暗闇の中で恋人や配偶者と勘違いさせて行うケースが考えられます。

16歳未満の者に対し,わいせつな行為をした者も,不同意わいせつ罪が成立します。
16歳未満の被害者については,同意があってもそれは認められず,性犯罪から守るためです。
しかし,当該16歳未満の者が13歳以上である場合については,その者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者にしか,不同意わいせつ罪は成立しません。

未遂罪も罰せられます。

不同意わいせつ罪又は未遂罪を犯し,よって人を死傷させた者は,無期又は3年以上の懲役に処されることになります。
裁判員裁判が実施され,重い刑罰を受けることになります。

●16歳未満の者に対する面会要求等

わいせつの目的で,16歳未満の者に対し,次の各号に掲げるいずれかの行為をした者は,1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処されることになります。

1 威迫し,偽計を用い又は誘惑して面会を要求すること。
2 拒まれたにもかかわらず,反復して面会を要求すること。
3 金銭その他の利益を供与し,又はその申込み若しくは約束をして面会を要求すること。

16歳未満の子供を性犯罪の被害から守るため,水際で防ぐことを目的にしております。
特に,インターネット・SNSでこのようなことをする場合に問題となります。
当該16歳未満の者が13歳以上である場合については,その者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者にしか,犯罪は成立しません。

上記の面会要求をし,よってわいせつの目的で当該16歳未満の者と面会をした者は,2年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金に処されることになります。
実際に会うと,より罪が重くなります。
これも,実際にわいせつの被害が生じる手前で防ぐことを目的にしております。

16歳未満の者に対し,次の各号に掲げるいずれかの行為を要求した者は,1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処されることになります。
1 性交,肛門性交又は口腔性交をする姿態をとってその映像を送信すること。
2 膣又は肛門に身体の一部又は物を挿入し又は挿入される姿態,性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部,臀部又は胸部をいう。)を触り又は触られる姿態,性的な部位を露出した姿態その他の姿態をとってその映像を送信すること。
要求するだけで犯罪が成立することになります。
当該16歳未満の者が13歳以上である場合については,その者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者にしか,犯罪は成立しません。
実際に撮影させて送信させたら,不同意わいせつ罪,性的姿態等撮影罪(性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律),児童ポルノ所持等罪(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律),等の犯罪が成立することになります。

●逮捕されたら

近年は痴漢等の性犯罪事件に対して,以前より厳しい対応がなされております。
逮捕され,長期間身体拘束される可能性があります。
実名報道され,勤務先や学校に知られてしまい,実刑判決で刑務所に入ることもあります。
なるべく早く弁護士に相談し,今後の対応を検討するべきです。

捜査機関の取調べに対し,慎重に対応する必要があります。
実際に犯罪をしてしまったとしても,より悪質性が高い内容にするために圧力や誘導がなされるケースも珍しくありません。
実際に犯罪をしていなかったら,なおさら捜査機関の取調べには慎重に対応しなければなりません。
状況次第では黙秘や抗議をすることになります。
刑事弁護に精通している弁護士による相談が必要になります。

早期に被害者と接触し,示談活動をする必要があります。
被害者やその家族は,加害者に対して感情的になり,示談に対して抵抗感が強いことが多いです。
弁護士が誠実に話し,説得していく必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では,痴漢を含めた性犯罪事件を多数扱ってきた経験豊富な弁護士が対応いたします。
ぜひ当事務所にご連絡していただき,相談をしてください。

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