詐欺罪で逮捕

北海道倶知安町の詐欺事件について、あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士が解説します。

【事件】

北海道倶知安町に住むAさんは、友人のBさんからの紹介でとあるバイトをすることになりました。
そのバイトとは、とあるアパートの一室でレターパックを受け取り、その中に入っている現金を指定された口座に入金するというものでした。
内容と報酬の高さから振り込め詐欺であることに気づいたAさんでしたが、生活に困っていたことから仕方なくそのバイトに手を出しました。
後日、被害に遭ったVさんが警察に相談したことで事件が発覚し、Aさんは詐欺罪の疑いで北海道倶知安警察署に逮捕されました。
(フィクションです。)

【詐欺罪について】

詐欺罪は、他人を欺いて財産を交付させた場合に成立する可能性がある罪です。
相手方の正常な判断能力を害する点に特徴があり、積極的に嘘をつくなどした場合のみならず、告げるべきことを告げなかった場合にも成立する余地があります。
たとえば、買い物の会計で渡されたお釣りが多いと気づいたにもかかわらず、そのことを伝えずにお釣りを受け取った場合、詐欺罪に当たる可能性があります。

振り込め詐欺に代表されるように、詐欺罪は複数名が行為を部分的に担当して遂げるケースがよく見られます。
詐欺罪が成立するのは、①欺く行為、②相手方の錯誤、③錯誤に基づく財産の交付、④財産の移転という各過程を辿る場合です。
振り込め詐欺を例に挙げると、電話を掛けて欺く役、被害者から現金を受け取る役、受け取った現金を特定の口座に入金する役、というような役割分担が行われることが多いのです。

このように各々が行った行為は部分的であっても、基本的には関与者全員に詐欺罪の成立が認められます。
上記事例のAさんは、レターパックを受け取り、中の現金を特定の口座に入金していたに過ぎません。
ですが、こうした行為が詐欺の一環として行われていたのであれば、詐欺に当たる他の行為についても責任があるものとして扱われます。
そして、Aさんが振り込め詐欺だと気づいていた以上、詐欺の故意も認められ、詐欺罪は成立すると考えられます。
詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役であり、役割の軽重を問わず罰金刑になる余地はありません。
ですので、ひとたび詐欺罪で有罪となれば、その刑は厳しいものになることが見込まれるでしょう。

【弁護士の見解】

何年も前から「振り込め詐欺」は社会問題となっており、警察等の捜査当局は取り締まりに力を入れています。しかし、警察に逮捕されるのは、受け子や出し子といった犯人グループの末端がほとんどで、組織の壊滅にまで捜査が及ぶケースは非常に少ないです。
その様な背景から裁判所は振り込め詐欺の関係被疑者、被告人に対して厳しい判断を下す傾向にあります。
振り込め詐欺の受け子で逮捕された場合、よほどの事情がない限り、勾留は免れないと考えて間違いないでしょう。それだけでなく、事件関係者との通謀を避けるために接見禁止となる可能性も非常に高いです。
また、勾留期間中には余罪に対する捜査が行われるので、振り込め詐欺に関係する事件で逮捕された場合は、勾留が20日間まで延長される可能性が非常に高いでしょう。Aさんの息子さんの場合ですと、さらにその後も、余罪の詐欺事件で再逮捕される可能性が十分に考えられます。
また勾留中の捜査結果次第にはなりますが、余罪事件も含めて起訴される可能性も十分に考えられ、その場合は実刑判決が言い渡されるおそれがあります。

【振り込め詐欺における弁護活動】

振り込め詐欺の弁護活動において、被害者との示談が重要となります。
ただ、振り込め詐欺は通常、被害者の人数、被害金額が共に大きいのが特徴です。
また、被害者の処罰感情も強いため、限られた時間の中で、振り込め詐欺の被害者全員との示談が困難であったり、示談金の準備が難しくなったりするケースがほとんどです。
また、振り込め詐欺の被害者は犯人に連絡先を教えたり、交渉、面会したりすることは拒否するでしょう。
そのため、振り込め詐欺の示談は、専門家である弁護士に依頼して示談交渉を進めるべきなのです。
実刑判決が科せられる可能性が非常に高い振り込め詐欺にあっても、無罪執行猶予判決を獲得するケースもあります。先ほど述べたように、「道具屋」や「受け子」、「出し子」などの末端関与者など様々な役割がありますし、その役割に応じて適切な弁護活動が必要となります。
振り込め詐欺グループは、ピラミッド型に組織化していることもあり、その上層部のことを末端関与者が知らず、さらに、事件の内容も知らされず、知らない間に振り込め詐欺に関与している場合もあり、そのような受け子の犯意を否定し、無罪判決が言い渡されたケースもあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件のプロである弁護士が、最短でお申込み直後、遅くとも24時間以内に初回接見に向かいます。
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