札幌市の盗品等有償譲受事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。
【事件】
Aさんは、札幌市豊平区内で中古タイヤの販売店を営んでおりますが、販売している中古タイヤの一部は、友人のBさんから、盗品タイヤと知りながら買い取ったものでした。
やがて、Bさんは、札幌豊平警察署に窃盗罪で逮捕され、その取調べの中で、Bさんは、Aさんに盗品タイヤを売っていたことを供述しました。
そして、Aさんにも捜査が及び、Aさんは盗品等有償譲受罪の疑いで逮捕されました。
Aさんは勾留の際に接見禁止が下ったため、事件の依頼を受けた弁護士が接見禁止解除を目指すことにしました。
(フィクションです。)
【盗品等有償譲受罪について】
窃盗罪や詐欺罪などの財産犯により得られた物を有償で譲り受けた場合、盗品等有償譲受罪が成立する可能性があります。
犯人自らが行う盗品等の処分行為は、犯人が自己の所有物を処分する行為と見られ、窃盗罪などと別個に罪が成立するわけではありません。
一方、犯人以外の者による盗品等の処分行為は、盗品等有償譲受罪などにより罰せられることになっているのです。
その理由は、盗品等の移転により被害者が物を取り戻しづらくなったり、買い手などの存在が財産犯の発生を助長・促進したりする危険があるためです。
盗品等譲受罪が成立するのは、飽くまでも財産犯に事後的に関与した場合です。
そのため、犯行の当初から加担していた場合には、たとえ盗品等を処分したとしても盗品等有償譲受罪は成立しないと考えられます。
たとえば、犯行計画や実行の段階で強盗に加担し、それにより得られた盗品を売却すれば、盗品等有償譲受罪ではなく強盗罪の共犯となるでしょう。
盗品等有償譲受罪の法定刑は10年以下の懲役および50万円以下の罰金であるのに対し、強盗罪の法定刑は5年以上の懲役(上限20年)です。
成立する犯罪が違うとこのように刑罰も異なるため、どの段階で関与したかという点は重要となることがあります。
ちなみに、窃盗罪の法定刑は10年以下の懲役か50万円以下の罰金のいずれかであり、両方とも科される盗品等有償譲受罪の方が重いと言えます。
このように窃盗罪を犯した者より重く処罰される理由は、先述した財産犯の助長・促進という盗品等有償譲受罪の性格にあると考えられています。
【接見禁止を解除するには】
逮捕された被疑者は、その後48時間以内に警察署から検察庁へ、24時間以内に検察庁から裁判所へ行き、裁判所で勾留の当否を判断されるのが大半です。
そして、裁判所が勾留決定を下すと、被疑者は逮捕の期限である2~3日に加え、更に10日から20日拘束されることになります。
面会をはじめとする被疑者との接触は、逮捕段階では許されないことが多い一方、勾留段階では曜日や時間帯などの制限を伴い許されるのが原則です。
ですが、勾留段階において、例外的に弁護士以外の者との接触を禁じられることがあります。
刑事事件において面会は接見と言われているため、この接触の禁止は接見禁止決定と呼ばれます。
接見禁止が行われる事件は、関係者間で逃亡や証拠隠滅を画策する可能性が高いと考えられるものです。
たとえば、複数名が犯行に関与する共犯事件では、こうした可能性が特に高いとして接見禁止が付されやすい傾向にあります。
ですが、たとえ接見禁止に理由があるとしても、対象が家族を含む広範囲に及ぶのは見過ごせません。
そこで、弁護士としては接見禁止の解除を目指すことが考えられます。
裁判官はひとまず広範囲にわたって接見禁止の判断を下すので、そこに弁護士が意見を述べることで範囲を狭めることが期待できるというわけです。
もし接見禁止が付いた事件でご家族などが面会を望むなら、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件のプロである弁護士が、豊富な知識と経験を武器に接見禁止の解除を目指します。
ご家族などが盗品等有償譲受罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。