北海道江別市の強要事件について、あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士が解説します。
【事件】
北海道江別市の中学校に通うAさん(15歳)は、友人のBさん、Cさんと共に、部活の後輩であるVさん(13歳)をいじめていました。
ある日、AさんらはVさんを部室に呼び出し、Vさんを3人で囲んで「裸にならないとやっちまうよ」などと言って服を脱がせました。
後日、そのことを知ったVさんの両親が学校と江別警察署に相談したため、Aさんらは強要罪の疑いで逮捕されました。
この件で、弁護士はAさんの父親から「少年院に行かずに済む方法はないか」と相談されました。
(フィクションです。)
【強要罪】~刑法第223条~
生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害すれば強要罪となります。
強要罪で起訴されて有罪が確定すれば3年以下の懲役が科せられます。
社会通念上、例え居酒屋の店員に不手際があったとしても、店長が土下座までする義務はありませんので、店長の土下座は、強要罪でいうところの「義務のないこと」に該当するでしょう。
強要罪が成立すか否かで重要なのは、Aさんが、どの様にして店長に土下座をさせたかです。
土下座をさせるまでに、Aさんが店長を脅迫したり、店長に暴行を加えていた場合は強要罪が成立するでしょう。
ちなみに、脅迫罪が成立するには、犯人の暴行、脅迫と、被害者の義務なき行為に因果関係が必要です。
つまり犯人の暴行、脅迫によって畏怖した被害者が、その畏怖に基づいて義務なき行為を行った場合には因果関係が認められるでしょうが、何ら畏怖せずに、単なる同情によって義務なきことを行った場合は強要未遂罪の成立にとどまります。
強要罪の法定刑は「3年以下の懲役」で、罰金刑の規定がありません。
そのため強要罪の適用が認められて、検察官が起訴した場合は必ず正式裁判となり、無罪を得なければ懲役刑が言い渡されます。(執行猶予付判決を含む)
強要罪で警察の捜査を受けている方で、その犯行を認めている場合は、起訴されるまでに被害者と示談することによって不起訴処分となる可能性が非常に高くなるので、強要罪の刑事罰を回避したい方は、早急に刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
上記事例では、Aさんら3名がVさんを囲み、「裸にならねえと痛い目見るぞ」などと言って裸になるよう要求しています。
こうした行為は、脅迫により義務のないことを行わせるものといえ、Aさんらには強要罪が成立すると考えられます。子どもによるいじめは学校という閉じた場所で行われるため、それが警察沙汰になるというのは想像しにくいかもしれません。
ですが、罪に当たる行為が行われている以上、その内容や保護者の態度いかんでは当然に刑事事件化する可能性があることは留意しておくべきです。
【少年院を回避するには】
20歳未満の者が罪を犯した場合、その事件は通常の刑事事件ではなく少年事件として扱われるのが原則です。
少年事件は逆送されない限り刑罰が科されず、その代わりに保護処分という少年の更生に向けた措置がとられることになります。
保護処分には、①保護観察、②児童自立支援施設・児童養護施設送致、③少年院送致の3つがあります。
このうち最もよく耳にするのは③少年院送致ではないかと思います。
少年院送致とは、その名のとおり少年を少年院に入院させ、そこでの生活を通して更生を図るための保護処分です。
一般的に、少年院送致が行われるのは、家庭や学校・職場といった少年の現在の環境では更生が達成しづらいケースです。
そうしたケースに当たるかどうかの判断は、少年事件が家庭裁判所に送致された後で行われる調査と、それを受けて必要に応じて行われる少年審判によります。
これらの手続を経て、少年自身や周囲の力でどの程度更生が見込めるか確かめられ、最終的な保護処分が決められることになるのです。
少年院送致を阻止するためには、第一に少年の更生が実現できる環境をきちんと整える必要があります。
それは少年自身の問題にとどまらず、主に保護者をはじめとする少年の周囲の問題でもあります。
大切なのは、悪いことをしたからといって少年を責めたりせず、非行に至った原因を紐解いてきちんと少年に向き合うことです。
具体的に何をすればいいかは少年ひとりひとりにより違うので、困ったら少年事件に詳しい弁護士に聞いてみてもよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、少年事件に強い弁護士が、少年院送致を回避するために行うべきことを丁寧にお伝えします。
お子さんが強要罪を犯してしまったら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。