公務執行妨害罪で逮捕

札幌市手稲区の公務執行妨害事件について、あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士が解説します。

【事件】

札幌市手稲区在住のAさんは、会社の飲み会で大量に飲酒し、泥酔した状態で会社の面々に別れを告げました。
その後、自宅の最寄り駅までなんとか帰ってきたものの、駅の出入口の前で寝転がりました。
そんなAさんの姿を駅員が見つけて声を掛けたものの、Aさんは一向にその場を動かないどころか暴れ始めたため、通報により警察官が臨場しました。
Aさんは支離滅裂な発言をしながら警察官の胸倉を掴むなどしたため、公務執行妨害罪の疑いで逮捕されました。
北海道手稲警察署でAさんと接見した弁護士は、勾留を阻止して早期釈放を目指すことにしました。
(フィクションです。)

【公務執行妨害罪について】

公務員が職務を執行するに当たり、その公務員に対して暴行または脅迫を加えた場合、公務執行妨害罪が成立する可能性があります。
実際の事件では警察官に対するものが多く見られますが、それ以外にも国や地方自治体の職員であれば対象となる可能性があります。
公務執行妨害罪の特徴の一つとして、保護の対象が公務員の職務である点が挙げられます。
たとえば暴行罪や傷害罪であれば、保護の対象としているのは暴行などが向けられる人の身体です。
公務執行妨害罪の場合、公務員の身体を保護しているわけではなく、公務員が行う職務を保護していると考えられています。

上記のような特性は、公務執行妨害罪の成立要件や弁護活動にも影響を及ぼしています。
まず、手段の一つである暴行は、必ずしも公務員に直接向けられたものである必要はないと考えられています。
裁判例では、警察官が証拠物として押収した覚せい剤入りの容器を破壊したケースにおいて、公務執行妨害罪の成立を認めたものがあります。
また、暴行・脅迫の対象となった公務員との示談があまり意味をなさず、そもそも示談に応じてもらえないことが殆どです。
公務執行妨害罪はいわば社会全体の利益を害する罪であるため、公務員という特定の個人への被害弁償などがあまり意味を持たないのです。以上の点から、公務執行妨害罪は単純な暴行事件や脅迫事件と同様に考えるべきではないと言えるでしょう。

【勾留阻止による早期釈放】

公務執行妨害罪の疑いで逮捕されると、その後72時間以内に検察官および裁判官が勾留すべきか判断し、勾留決定により最低10日間拘束が続く危険が生じます。
このことから分かるように、逮捕後に勾留されるかどうかは、逮捕による身体拘束の期間の長短に大きく影響します。
そこで、早期釈放を目指すうえでは、勾留決定を回避できるかどうかという点が非常に重要になってきます。

勾留決定に至るまでには、①検察官による勾留請求と②裁判官による勾留請求の当否の判断という2つのステップを辿ります。
弁護士としては、上記①②の段階において、被疑者を勾留しないよう求めることが重要な弁護活動となります。
具体的な方法は、検察官および裁判官に対し、勾留が妥当でないことを口頭または書面で主張するのが一般的です。
その結果、検察官や裁判官が勾留しないという判断を下すと、被疑者は逮捕による身体拘束から逃れてすぐに釈放されるのです。

一般的に、逮捕および勾留の理由は、逃亡および証拠隠滅のおそれがあるというのが主です。
そのため、もし勾留阻止による早期釈放を目指すには、被疑者側の事情を明らかにして逃亡および証拠隠滅の心配がないことを主張しなければなりません。
ただ、そうした事情の主張を行うには法的な視点が必要であり、なおかつチャンスは多くとも上記①②で計2回と貴重なものです。
もし勾留阻止を目指すなら、刑事事件に詳しい弁護士身柄解放活動を依頼することをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件の経験豊富な弁護士が、逮捕された方の早期釈放を目指してあらゆる弁護活動を試みます。
ご家族などが公務執行妨害罪の疑いで逮捕されたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

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