SNSトラブルで告訴①
SNSトラブルで問題となる罪と刑事告訴・被害届について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。
【ケース】
北海道札幌市東区在住のAは、札幌市東区内の会社に勤める会社員です。
Aは子どもが友人からいじめられているという話を聞き、いじめている子の親について、本名で「Vはアバズレで、頼めば誰でもやれる」「Vの不倫相手は数知れず」などのデマを、不特定多数の者が見られるかたちでSNSに投稿しました。
投稿に気が付いたVは、札幌市東区を管轄する札幌方面東警察署の警察官に対して刑事告訴しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【SNSトラブルについて】
SNSは、ソーシャル・ネットワーク・サービス(Social Networking Service)の略称で、いわゆるLINEやInstagram、Facebookなどのサービスを指します。
SNSの多くは、自身の考えや撮った画像・動画をアップロードし、鍵付きのアカウントであれば特定の者に対し、鍵をかけていないアカウントであれば不特定多数の者に対し、それを公開するというものです。
SNSは、使い方によっては便利なツールとなる一方、使い方を誤るとトラブルに発展し、結果的に人に迷惑をかけたり、ともすれば刑事事件に発展することもございます。
では、どのような場合に刑事事件に発展していくか、以下で検討致します。
・人に対しての悪口を投稿した
他人に対する悪口を投稿して問題となるのは、名誉毀損罪や侮辱罪が挙げられます。
名誉毀損罪と侮辱罪の条文はそれぞれ以下のとおりですが、名誉毀損罪は具体的事実を摘示する必要があり、侮辱罪は単なる侮辱で成立します。
名誉毀損罪の言う事実は真実である必要はありません。
名誉毀損罪の場合も侮辱罪の場合も公然性を必要としているため、例えば鍵付きアカウントでフォロワー(投稿を閲覧できる人)が数名であれば、公然性は否定されることになるでしょう。
ただし、その投稿がスクリーンショットを撮られるなどして不特定又は多数の者により閲覧できるといういわゆる伝播性が認められた場合、例え数人しか見られない形での投稿であっても公然性が認められる場合が考えられます。
刑法230条1項 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
同231条 事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。
・人を脅すような投稿をした
他人を脅かすような投稿をした場合、脅迫罪の適用が検討されます。
脅迫罪の条文は以下のとおりです。
刑法222条1項 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
・店などの営業を妨害した
対象が人ではなく店などの場合、信用毀損罪や偽計・威力業務妨害の罪に問われる可能性があります。
例えば、「○○の店で出す食事には髪の毛や虫が入っている。」などの投稿をした場合には信用毀損罪や偽計業務妨害罪が適用されます。
また、「店員の態度に腹が立ったので、明日、○○の店に放火をしに行く。」などの投稿をした場合には、威力業務妨害罪の適用が検討されます。
いずれの場合も、実際に業務が妨害されたという事実までは必要としていないため、たとえ誰もが投稿を信じず、翌日以降の売り上げが下がっていなかったとしても、罪に問われる可能性はあります。
刑法233条 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
同234条 威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。
【刑事告訴と被害届】
≪次回のブログに続きます。≫
北海道札幌市東区にて、名誉毀損罪などの親告罪で刑事告訴された方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部に御連絡ください。