禁止命令に背いてストーカー

禁止命令に背いてストーカー

ストーカー規制法に基づく禁止命令を受けていたにもかかわらず、それに背いてストーカー行為をした場合の罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。
【ケース】
北海道夕張郡栗山町在住のAは、夕張郡の会社に勤める会社員です。
Aは夕張郡内在住のVと過去に交際していましたが、破局してしまいました。
しかし、未練があったAはV宅に繰返し行き復縁を申し入れました。
Vはその都度断りましたが、Aは繰返し復縁を申入れてきたことから、Vは夕張郡栗山町を管轄する栗山警察署に相談してストーカー規制法に基づく禁止命令を下しました。
しかし、Aはその後も偶然を装いVに接触しようとして、Vの近辺をうろつきました。
Vはその件を夕張郡栗山町を管轄する栗山警察署に相談し、栗山警察署の警察官は、Vの自宅付近を重点的にパトロールしていたところAが現れたため、ストーカー規制法に基づき逮捕しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【ストーカー規制法とは?】

ストーカー規制法は正式名称を「ストーカー行為等の規制等に関する法律」といい、その名称のとおりストーカーと呼ばれる行為により被害者の身体・自由・名誉に対する危害の発生防止などを目的としています。

ストーカー規制法は、平成11年に埼玉県桶川市で発生した桶川ストーカー殺人事件(被害女性が交際中の相手に別れ話をしたところ逆上され、ストーカー行為を繰り返された上に殺人事件に発展したという事件。)を契機に、議員立法によって成立されました。

【ストーカー規制法の対象となる行為】

では、ストーカー規制法はどのような行動を制限しているのでしょうか。
ストーカー規制法では、「つきまとい等」という行為を定め、つきまとい等を繰り返した場合を「ストーカー行為」と呼んでいます。
つきまとい等の定義は、
①特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の勘定を充足する目的で
②被害者本人や家族に対して
③以下の行為をすることです。
・つきまといや相手の居場所への押し掛け、周囲へのうろつき
・監視したり監視しているように思わせる行為
・面会や交際等の要求
・粗野あるいは乱暴な言動
・無言電話や拒まれた後の連続した電話、メール等
・汚物や動物の死体等を送付
・名誉を害するようなことを言ったり、それを匂わせる言動
・交際当時に撮影した卑猥な動画や画像を送りつける
です。

ストーカー行為は、後述する警告・禁止命令を受けたことがない場合でも適用することができます。

【ストーカーでの行政処分】

ストーカー規制法では、つきまとい等をしている者が被害者に接触しないようにするために、
・警告
・禁止命令
という2種類の制度を定めています。
警告は、行政指導と呼ばれるもので、「更に反復して当該行為をしてはならない旨」を告知するものです。
警告を受けた場合には警告書という書類が交付されます。
警告には法的拘束力はありません。

一方、禁止命令は行政処分と呼ばれ、法的拘束力を有する手続きです。
禁止命令は基本的に被害者からの申し出でを受けることからはじまり、原則先に聴聞という手続きを行いつきまとい行為をした者の言い分を聞いた上で、1年間の制限付きで被害者との接触を禁止するという手続きです。

警告は違反した場合にすぐに刑罰を科されるわけではありませんが、禁止命令に違反した場合には禁止命令違反として、刑事事件に発展します。
刑罰については後述致します。

【ストーカー規制法の罰則規定は?】

これまで、ストーカー規制法のルールや定義について見てきましたが、刑罰はどうなっているのでしょうか。
以下で確認します。

つきまとい等 ⇒罰則規定なし
禁止命令違反 ⇒ストーカー行為をした場合「二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金に処する。」(同法19条各項)
       ⇒ストーカー行為までには至らなかった場合(つまり、例えば禁止命令後に一度だけ会いに行った場合等)「前条に規定するもののほか、禁止命令等に違反した者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」(同法20条)
ストーカー行為⇒一年以下の懲役又は百万円以下の罰金(同法18条)

北海道夕張郡栗山町にて、御家族がストーカー規制法違反で刑事処罰を受ける可能性がある場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部に御相談ください。

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