結婚詐欺事件で勾留理由開示

結婚詐欺事件で勾留理由開示

結婚をする気がないにも拘わらず結婚する約束をして金品を騙し取る結婚詐欺事件での問題点と、勾留理由開示という手続きについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。
【ケース】
北海道千歳市在住のAは、千歳市内の会社に勤める会社員の男性です。
Aは、インターネットの出会い系サイトを利用し、結婚する気がないにも拘わらず結婚を前提に交際するという者を探し、千歳市内に住む5人に対して結婚を前提に話を進めているかのように装い、デートなどを重ねた上で「婚姻費用として一緒に貯蓄をしよう」と言い、各人から自分の口座に数十万円ないし一千万円ほどの金を振り込ませました。
その後、AはSNSなどのアカウントを全て削除し、被害者からの連絡を遮断しました。
結婚詐欺事件の被害者複数名からの相談や被害届を受けた千歳市を管轄する札幌方面千歳警察署の警察官は、捜査の末Aを結婚詐欺の嫌疑で逮捕しました。

逮捕後、Aは勾留され接見禁止という決定が下されたため、Aの家族は面会が出来ません。
そこで、Aの家族は、Aを一目見る方法がないか、弁護士に質問しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【結婚詐欺事件について】

結婚詐欺という言葉は俗語であり、正式な定義はありません。
結婚詐欺と呼ばれる行為が刑事事件に発展する場合とは、
①被疑者側は結婚する気はないが結婚する前提であると偽っていて、被害者側は結婚することを信じている
②被疑者側が被害者側に金品を要求し、被害者側は結婚の約束をしていなければ支払わない金品を渡したり貸したりした
ということが必要になるかと考えられます。

そのため、例えば被害者が、被疑者に結婚する気がないことを承知してい乍ら騙されたふりをしていた場合には①の要件を欠くと考えられますし、金品の要求はされておらず実際に渡したり貸したりしていない場合には②を欠くため(精神的苦痛などにより民事上の請求は考えられますが)刑事事件には発展しません。

詐欺罪の条文は「人を欺いて税物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。」と定められています。(刑法256条1項)

【勾留理由開示請求について】

逮捕された被疑者は、その後72時間以内に「勾留」という手続きに付されます。
勾留を請求するのは検察官、判断するのは裁判官ですが、弁護人は検察官や裁判官に対して勾留に対して意見を述べる、あるいは勾留の不服申し立て(準抗告)を行うことができます。
弁護人が勾留された理由を確認するために、まずは勾留状という書類を閲覧・謄写することを検討しますが、勾留状には被疑事実のほかに、刑事訴訟法60条1項のどの項目に当てはまるか(住所不定・罪証隠滅の恐れ・逃亡の恐れ)や「捜査未了」といった抽象的な情報しか得ることができません。
そこで、弁護人は勾留理由開示請求という手続きをとる場合があります。

勾留理由開示請求は公開の法廷で行われ(刑事訴訟法83条1項)、法廷に於ては、裁判長が勾留の理由を告げなければなりません(同法84条1項)。

刑事訴訟法82条1項 勾留されている被告人は、裁判所に勾留の理由の開示を請求することができる。
同2項 勾留されている被告人の弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族、兄弟姉妹その他利害関係人も、前項の請求をすることができる。

【勾留理由開示請求のメリット】

上述のとおり、勾留理由開示の主たる目的は「なぜ勾留の手続きをされたのか」を確認することです。
勾留された理由を裁判官から引き出すことで、身柄解放のための手がかりを掴むことが出来る場合があります。
裁判官が勾留する理由を説明すれば、その問題をクリアすれば身柄解放される確率が高まるためです。

また、勾留理由開示請求では弁護人の意見陳述ができるため(同法84条2項)、勾留の違法性や不当性について裁判官等に対して主張する必要があります。

更に、勾留の決定時に接見禁止が決定された場合、弁護士以外は(たとえ家族であっても)被疑者と面会をすることができません。
しかし、勾留理由開示の手続きは公開の法廷で行われることから、御家族も傍聴という形で勾留されている方の顔を見ることができます。
御家族にとっても勾留されている方にとっても、話はできずとも実際に顔をみることで安心するという点もあるでしょう。

北海道千歳市にて、御家族が結婚詐欺事件で逮捕され、勾留理由開示請求について知りたいという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部に御連絡ください。

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