ネット上の書き込みで名誉毀損罪・侮辱罪に

ネット上の書き込みで名誉毀損罪・侮辱罪に

ネットでの書き込み等で問題となる名誉毀損罪や侮辱罪について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。

【ケース】

北海道沙流郡在住のAさんは、沙流郡内で自営業で生計を立てている成人です。
Aさんは近所に住むVさんがSNS上でAさんの悪口と思しき内容の投稿を繰り返していることに気付きました。
Aさんはそれに怒りを覚え、Aさんも新たなアカウントを作成したうえで「Vさんは10年前に強姦で逮捕されたけれど親に示談金を詰ませて不起訴になった」という投稿を発信しました。

数ヶ月後、Aさんの自宅に沙流郡内を管轄する門別警察署の警察官が来て、ネットでの書き込みの件で捜査をする旨告げられ、令状に基づき家宅捜索が行われた後警察署で任意の取調べが行われました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【ネット上での書き込みが名誉毀損罪や侮辱罪に】

インターネット・スマートフォンの普及に伴い、インターネットのブログやSNSなど用いて、一般人が全世界に情報を発信できる社会になりました。
インターネットの普及は便利な側面もありますが、掲示板やSNSなどでは匿名で投稿できることを良いことに、他人を傷つけ貶めるような書き込みが見受けられます。
個人に対して行うこのような書き込みは、名誉毀損罪や侮辱罪にあたり処罰される可能性があります。

・名誉毀損罪
他人の名誉を傷つける言葉を流布したり画像や動画をアップロードした場合には、名誉毀損罪が適用されます。
条文は以下のとおりです。

刑法230条1項 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

第一に、公然性について、そもそも、明治40年公布の刑法では、インターネットなどの存在は想定しておらず、専ら口頭や印刷物で情報を広めることを想定していたと考えられます。
しかし、現代では先述のとおりインターネットを通じて個人が情報を容易に発信することができるようになったため、これらも公然性が認められる場合が当然にあると考えられます。
例えば、誰しもがアクセスできるような方法でアップロードしたブログやSNSなどであれば、公然性があると認められます。
その際、実際に不特定・多数の者が閲覧したかどうかは問題にならず、たとえインターネットの大海に埋もれていたとしても、実際に不特定・多数の者が閲覧できる状態でアップした場合には、公然性は認められます。

第二に、事実を摘示するという点について、これは条文に記載のとおり「事実の有無」を問うていません。
前科があるということを積極的に発信することは、被害者の名誉を毀損する内容の「事実」を公然と摘示したと言えますので、Aが発信した情報が「真実」であってもなくても、名誉毀損罪が成立します。

・侮辱罪

名誉毀損に似た条文に、侮辱罪があります。
条文は以下のとおりです。

刑法231条 事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

名誉毀損罪と侮辱罪の違いは、「事実を摘示した」かどうかという点です。
今回Aさんが投稿した内容は、「Vさんは10年前に強姦で逮捕されたけれど親に示談金を詰ませて不起訴になった」というものです。
これは、Vさんの過去の前歴について、具体的事実を列挙していることから、事実に該当すると考えられます。
よって、名誉毀損罪が適用されると考えられます。

なお、ニュースや週刊誌などで被疑者・被告人の実名が報道される場合があります。
これも名誉毀損罪に該当する恐れがありますが、具体的に名誉毀損罪に当たるかどうかは、「公共の利害に関する事実」との比較衡量により検討されます。
つまり、メディアが報じることに公共性が認められる場合には、名誉毀損罪は成立しません。
もっとも、今回のAさんの事例は、10年前の前歴情報についての内容であり、もはや公共性が認められるものではなく実名報道等とは一線を画すものであり、名誉毀損罪は成立することになります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
北海道沙流郡にて、インターネット上の書き込みで名誉毀損罪や侮辱罪に問われている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士による無料相談をご利用ください。
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