【事例解説】公園のゴミ箱に放火 報道され不安に(後編)

常習的に公園のごみ箱に放火した事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説します。

参考事件

北海道函館市に住むAさんは、仕事のストレスを解消するため、人がいない時間帯を見計らって、職場や自宅近くの複数の公園内のごみ箱に放火して憂さを晴らしていました。ある日、ネットニュースに公園の放火で警察が捜査中との記事が出たため、Aさんは自身が逮捕されないか心配になっています。
(フィクションです。)

器物損壊罪にも問われる可能性も

前編では、本件の事例について建造物等以外放火罪が成立する可能性について解説しました。後編では、器物損壊罪について解説します。

 事例では、公園内のゴミ箱に火を付けたことで逮捕されたため、放火に関する罪でないことに違和感を覚えるかもしれません。
しかし放火行為があっても状況次第で成立する罪が変わることはすでに前編で述べた通りです。
 器物損壊罪は、刑法第261条(出典/e-GOV法令検索)に「前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。」として定められています。

 「損壊」とは、「物の効用を害する一切の行為」を意味します。物理的な破壊だけでなく、隠す、汚すといった行為も含まれています。
 「傷害」は、ペット等の動物を傷付けた場合を指します。
なお、「前3条」とは、第258条の公務所(官公庁その他公務員が職務を行う所)で使用される文書または電磁的記録を毀棄する「公用文書等毀棄罪」、第259条の法的な権利や義務を証明する文書または電磁的記録を毀棄する「私用文書等毀棄罪」、第260条の建造物等を損壊する「建造物等損壊罪(及び同致死傷罪)」をそれぞれ指しています。
 つまり、この3条に含まれない他人の物を損壊」すると器物損壊罪になります。

 今回の事例のように、公園のごみ箱に放火して、そのままではごみ箱として使えない状態にさせれば、「他人の物を損壊」したといえ、器物損壊罪が成立する可能性があります。

 前編でも解説したように、事件当時の周囲の状況や、犯罪についてのAの認識などによっても成立する犯罪が異なり得ますから、正しく事態を把握するためにも、弁護士に相談して専門的なアドバイスを受けることが肝要といえるでしょう。

弁護活動

 器物損壊事件は、親告罪です。被害者の告訴が無ければ起訴ができない犯罪のことを親告罪といいます。
 そのような事件では、被害者と示談を成立させることが、刑の軽重や、不起訴の獲得などにとって重要となるでしょう。弁護士が間に入ることで、はじめは難しかった示談が首尾よくまとまるケースもあります

逮捕された場合は、早期釈放も目標として弁護活動を行うことになります。
その他、酌むべき事情があること、これまで真面目に暮らしてきたこと、反省を深め更生を誓っていること等を意見書の形にして、検察官に提出するなどの活動も考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件と少年事件を中心に扱う弁護士事務所です。
当事務所では初回であれば無料の法律相談を、逮捕または勾留中の方の場合はそのもとに直接弁護士が伺う初回接見サービスのご予約を、フリーダイヤル「0120-631-881」で受け付けております。
器物損壊罪や建造物等以外放火罪の事件を起こしてしまった、又はご家族が器物損壊罪や建造物等以外放火罪の容疑で逮捕されてしまった、そういった時には弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部へ、是非、ご連絡ください。

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