今回は、面識のない被害者と喧嘩をし、傷害を負わせた疑いで逮捕されてしまった場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。
~ケース~
Aさんは、北海道芦別市内の路上において、面識のないVとトラブルになり、頭に血がのぼったAさんは拳でVの顔面を殴打してしまいました。
その結果、Vは鼻骨骨折の傷害を負い、Aさんは通報によって駆け付けた北海道芦別警察署の警察官により、傷害の疑いで現行犯逮捕されてしまいました。
Aさんには勤め先があり、無断欠勤を続けることによって解雇されてしまうことをおそれています。
どうすればよいのでしょうか。(フィクションです)
~傷害罪について~
傷害罪とは、文字通り人を傷害する犯罪です。
他人を殴ったり、蹴るなどしてケガを負わせてしまった場合には、通常、傷害罪が成立することになるでしょう(刑法第204条)。
法定刑は「十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金」となっています。
なお、銃砲または刀剣類を用いて人の身体を傷害した場合は、「暴力行為等処罰に関する法律」が適用されます(同法第1条の2)。
この場合の法定刑は「一年以上十五年以下の懲役」となります。
Aさんは素手でVに傷害を負わせているので、刑法第204条の傷害罪が成立することになるでしょう。
~逮捕後、Aさんはどうなるか?~
逮捕・勾留された場合、捜査段階において最長23日間の身体拘束を受けます。
その間、外出することはできませんので、勤め先に出勤することは不可能です。
そのため、身体拘束が長引けば長引くほど、職場を無断欠勤する回数が増えることになります。
無断欠勤を繰り返せば、職場を解雇されてしまう可能性が極めて高いです。
職場を失ってしまうと、事件が解決した後の社会復帰が困難になるかもしれません。
~早期の身柄解放の実現を目指す~
逮捕された場合であっても、勾留が付かなければ、逮捕日を含め1~3日で外に出られます。
無断欠勤が1~3日程度であれば、解雇されずに済むかもしれません。
釈放された後は、今まで通りに出勤して問題ないでしょう。
ケースのように、事件の内容が偶発的なケンカであり、被害者とも面識がない場合にあっては、適切な弁護活動を尽くすことにより、勾留されずに釈放される可能性が見込めます。
そのため、一刻も早く弁護士に弁護活動を依頼することをおすすめします。
~ケースの事件において想定される身柄解放活動~
逮捕直後においては、勾留を回避することが重要です。
適法にAさんを勾留するためには、以下の要件を満たしていることが必要です。
〇勾留の要件
①被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があること
②(1)被疑者が定まった住居を有しないこと
②(2)被疑者が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があること
②(3)被疑者が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があること
③勾留の必要性が認められること
※なお、②(1)~(3)は、いずれか1つ充足すれば足ります。
勾留請求を行う検察官や、勾留の可否を審査する裁判官が上記の要件を満たしていないと判断すれば、勾留されずに済みます。
そのために、逮捕直後からAさんの身元引受人を用意し、身元引受人においてAさんを監督する態勢を整え、検察官や裁判官にアピールすることが必要です。
身元引受人が責任をもってAさんを監督すると誓う上申書を作成する必要もあるでしょう。
早期の身柄解放を実現するためには、一刻も早く身柄解放活動に着手する必要があります。
まずは接見にやってきた弁護士からアドバイスを受け、有利な事件解決を目指していきましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が喧嘩をし、傷害の疑いで逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。