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詐欺罪とは?不動産投資での事例を交えて解説
導入
詐欺罪は日常生活でよく耳にする犯罪ですが、その具体的な内容や成立条件は一般にはあまり知られていません。 この記事では、詐欺罪について基本的な法律用語とともに解説し、特に不動産投資での事例を交えて詳しく説明します。
1. 詐欺罪の基本的な定義
詐欺罪は、日本の刑法第246条に規定されています。 この犯罪は、人を欺いて財物を交付させる行為を指します。
刑法第246条1項によれば、詐欺罪の成立には以下の4つの要件が必要です。
- 加害者が被害者を欺く(欺罔)
加害者が被害者に対して嘘や偽の情報を提供することです。 - 被害者が欺かれる(錯誤)
被害者が加害者の提供した情報に基づいて誤った判断をすることです。 - 被害者が加害者に財物を渡す(交付・移転)
被害者が加害者に対して金銭や財物を交付することです。 - 因果関係
上記の1~3の要件が因果関係をもって連鎖していることです。
このように、詐欺罪は複数の要件が揃った場合に成立します。 特に、被害者が何らかの形で財物を交付した場合、詐欺罪の成立が高まります。
3. 不動産投資と詐欺罪の事例
不動産投資は、多くの人々にとって魅力的な資産運用手段とされています。 しかし、その裏で詐欺罪が成立するケースも少なくありません。
事例1: フラット35を用いた融資詐欺
Aさんは、不労所得を得たいと考え、友人から紹介された不動産会社の勧めに従い、フラット35でマンションを購入しました。 しかし、このマンションは投資用であり、Aさん自身が住む予定はありませんでした。
このケースでは、以下のように詐欺罪が成立する可能性が高いです。
- 欺罔(加害者が被害者を欺く)
Aさんは、金融機関に対して居住目的であると偽ってフラット35の契約を結びました。 - 錯誤(被害者が欺かれる)
金融機関は、Aさんが居住目的であると信じてローンを組みました。 - 交付・移転(被害者が加害者に財物を渡す)
金融機関は、マンションの購入費用をAさんに提供しました。 - 因果関係
以上の1~3が因果関係を持って成立しています。
注意点
このようなケースでは、金融機関が被害届を提出する可能性があり、その結果として詐欺罪で起訴される可能性が高くなります。
4. 詐欺罪の成立条件と不動産投資
不動産投資と詐欺罪の関連性を理解するためには、詐欺罪の成立条件を具体的な事例に当てはめて考えることが重要です。
成立条件1: 欺罔(加害者が被害者を欺く)
不動産投資の場合、投資家が金融機関に対して、自身または親族が住む目的であると偽ってフラット35などのローンを組むことが該当します。
成立条件2: 錯誤(被害者が欺かれる)
金融機関が投資家の提供した偽の情報に基づいて、ローンを組むことがこの条件に該当します。
成立条件3: 交付・移転(被害者が加害者に財物を渡す)
この条件は、金融機関が投資家にローンを提供する行為に該当します。 特に、金融機関がマンションの購入費用を直接支払う場合、この条件が成立します。
成立条件4: 因果関係
以上の1~3の条件が因果関係を持っている場合、詐欺罪が成立します。 具体的には、投資家が金融機関を欺いた結果、ローンが組まれ、その資金で不動産が購入されるという流れです。
5. 金融機関との関係
不動産投資における詐欺罪で重要なのは、金融機関との関係性です。 この項目では、金融機関が詐欺罪にどのように関与するのか、その点について詳しく解説します。
金融機関の役割
金融機関は、不動産投資においては主にローンの提供者となります。 しかし、その際には申し込み者の居住目的などを確認する責任があります。
詐欺罪の発覚
金融機関が不正なローンの利用を発見した場合、通常は被害届を提出します。 この行為が詐欺罪の発覚となり、捜査が始まる可能性が高くなります。
金融機関の対応
金融機関は、詐欺罪が発覚した場合にはローン契約を解除することがあります。 また、既に提供されたローンに対しては返済を求める場合もあります。
被害届の影響
金融機関が被害届を提出すると、その後の刑事手続きが始まります。 この段階で、詐欺罪での起訴や有罪判決が下される可能性が高くなります。
6. 詐欺罪での刑罰
詐欺罪が成立した場合、その刑罰は非常に厳しいものとなります。 この項目では、詐欺罪での具体的な刑罰について詳しく解説します。
刑期
日本の刑法第246条によれば、詐欺罪での刑罰は、懲役で最長10年とされています。 ただし、被害額や犯罪の重大性によっては、この期間が短縮される場合もあります。
賠償責任
詐欺罪が成立した場合、被害者に対する賠償責任も発生します。 これは、被害者が受けた損害を補填するためのものであり、刑罰とは別に考慮されます。
社会的信用の失墜
詐欺罪で有罪となると、社会的信用も大きく失墜します。 これが影響して、今後のビジネスや就職活動にも大きな障害が出る可能性があります。
7. 弁護士の役割と対策
詐欺罪に加担してしまった場合、弁護士が果たす役割は非常に大きいです。 この項目では、弁護士がどのような役割を果たし、どのような対策が取れるのかを詳しく解説します。
弁護士の役割
- 法的アドバイス
弁護士は、詐欺罪の成立条件や可能性についての法的アドバイスを提供します。 - 捜査への対応
弁護士は、警察や検察とのやり取りを代行し、被疑者の権利を守ります。 - 裁判の代理
弁護士は、裁判での代理人として活動し、最も適切な防御策を提案します。
対策
- 早期の相談
詐欺罪の疑いがある場合、早期に弁護士に相談することが重要です。 - 証拠の保全
弁護士は、証拠を適切に保全し、それを裁判で有利に使う方法を指導します。 - 和解の交渉
場合によっては、被害者との和解が可能な場合もあります。 弁護士は、そのような交渉をスムーズに進めるためのサポートを提供します。
8. まとめ
この記事では、詐欺罪について基本的な法律用語とともに解説しました。 特に、不動産投資での詐欺罪がどのように成立するのか、具体的な事例を用いて詳しく説明しました。
- 詐欺罪の基本的な定義
詐欺罪は、人を欺いて財物を交付させる行為であり、刑法第246条に規定されています。 - フラット35とは
フラット35は、特定の利用条件があり、その違反は詐欺罪に当たる可能性があります。 - 不動産投資と詐欺罪の事例
不動産投資での詐欺罪が成立する具体的なケースを解説しました。 - 詐欺罪の成立条件と不動産投資
詐欺罪の成立条件と不動産投資がどのように関連するのかを詳しく説明しました。 - 金融機関との関係
金融機関が詐欺罪にどのように関与するのか、その点について解説しました。 - 詐欺罪での刑罰
詐欺罪での具体的な刑罰について説明しました。 - 弁護士の役割と対策
詐欺罪に巻き込まれた場合、弁護士がどのような役割を果たし、どのような対策が取れるのかを解説しました。
詐欺罪は、その成立条件や関連する要素が多く、複雑です。 しかし、正確な知識と適切な対策によって、リスクを最小限に抑えることが可能です。 何か疑問や不明点があれば、早期に専門家に相談することをお勧めします。

北海道で刑事事件や少年事件に関するお悩みをお持ちの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部をご利用ください。
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強盗罪について
強盗罪について
強盗罪は重罪であり,逮捕・勾留されて実刑で刑務所に入る可能性があります。
今回は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が,強盗罪について解説いたします。
【強盗罪の条文】
(強盗)
第236条 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は,強盗の罪とし,五年以上の有期懲役に処する。
2 前項の方法により,財産上不法の利益を得,又は他人にこれを得させた者も,同項と同様とする。
【強盗罪の保護法益】
強盗罪は,財産的法益だけでなく,人格的法益をも,その保護法益としております。
暴行・脅迫を財物奪取の手段とする点に着目して,窃盗罪より重く処罰することにしております。
財物のみでなく,財産上の利益を得た場合も,同様に処罰されます。
相手方の反抗を抑圧するに足る程度の暴行・脅迫により,被害者の意思に反して,財物の占有を奪取する犯罪です。
反抗を抑圧するに足りない程度の暴行・脅迫の場合は,瑕疵があるものの一応は相手方の意思に基づく占有の移転があり,恐喝罪となります。
【強盗罪における暴行・脅迫】
暴行は,身体に向けられた不法な有形力の行使をいいます。
脅迫は,害悪の告知をいいます。
財物奪取の目的遂行の障害となり得る者に対して加えられれば足り,必ずしも財物を所持する者に加えられる必要はありません。
暴行・脅迫は,被害者の反抗を抑圧するに足りるものであることを要します。
被害者に加えられた暴行・脅迫の程度の判断は,社会通念上一般に被害者の反抗を抑圧するに足りる程度のものかどうかという客観的基準によって決することになります。
具体的事案における被害者の主観を基準に判断はされません。
客観的に反抗を抑圧するに足りる暴行・脅迫が加えられた以上,現実に被害者の反抗が抑圧されなかったとしても,強盗罪における暴行・脅迫となります。
その判断は,暴行・脅迫の態様だけではなく,犯行場所,犯行時刻,周囲の状況,相手方の性別・年齢・体格等も考慮して,具体的に判断されることになります。
同程度の暴行・脅迫であっても,それが行われた状況,犯人と相手方の性別・年齢等の事情等により,反抗を抑圧するに足りる程度のものかどうかの判断を異にする場合があります。
おもちゃのけん銃を突き付ける行為は,それが本物のけん銃ではないと容易に見破られる状況でされたのでない限り,反抗を抑圧するに足りるものといえます。
【強盗罪の強取とは】
強取とは,相手方の反抗を抑圧するに足りる暴行・脅迫を手段として,財物の事実上の占有を自己が取得し,又は第三者に取得させることをいいます。
行為者が相手方から財物を奪取する場合だけでなく,相手方が交付した財物を受領することも,それが相手方の自由意思に基づくものでない限り,強取に当たります。
暴行・脅迫を加えて財物を奪取する意思で,まず財物を奪取した後に被害者に暴行・脅迫を加えた場合も,強取に当たります。
暴行・脅迫を加えて相手方の反抗を抑圧した後に,財物奪取の意思を生じ,財物を奪取した場合が問題となります。
新たに加えられる暴行・脅迫は,通常の強盗の場合に比して程度の弱いものでも反抗を抑圧するに足りると思われ,状況次第では犯人がその場に居続けるだけで足りる場合があります。
先に加えられた暴行・脅迫と人の存在とが相まって,財物奪取目的の暴行・脅迫と同視されることになります。
【強盗罪における故意】
故意の内容として,暴行・脅迫を加えて相手方の反抗を抑圧し,その財物を奪取することの認識を有することが必要です。
財物の種類・数量を個別的に認識する必要はなく,予定外の財物を奪取した場合にも故意に欠けることはありません。
窃盗罪同様,「権利者を排除して他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従って利用し又は処分する意思」である不法領得の意思も必要です。
【財産上の利益】
不法に財産上の利益を得たら,2項の強盗利得罪が成立します。
財産上の利益は,1項の財物以外のすべての財産上の利益を指し,積極的財産の増加であると,消極的財産の減少であるとを問いません。
債務の免除や履行期の延期,債務負担の約束,財産的価値のある役務・輸送サービスの提供等は,いずれも財産上の利益に当たります。
【強盗罪の着手時期】
財物奪取の目的で相手方の反抗を抑圧するに足りる暴行・脅迫を加えた時点で,強盗罪の実行の着手が認められます。
強盗の故意でまず財物を奪取しても,暴行・脅迫が行われない限り,強盗罪の実行の着手は認められません。
財物奪取の意図なく,暴行・脅迫を加え,相手方の反抗抑圧状態に乗じて財物を奪取する場合には,財物奪取に着手した時点で強盗罪の実行の着手が認められます。
既遂は,財物の取得の時期を基準とし,暴行・脅迫により財物に対する被害者の占有を排し,これを自己又は第三者の実力支配下に置いた時となります。
まず財物を奪取した後に,暴行・脅迫を加えた場合には,これにより奪取した財物を確保した時点で強盗既遂となります。
【強盗罪の未遂犯処罰規定】
(未遂罪)
第243条 第二百三十五条から第二百三十六条まで,第二百三十八条から第二百四十条まで及び第二百四十一条第三項の罪の未遂は,罰する。
(強盗予備)
第237条 強盗の罪を犯す目的で,その予備をした者は,二年以下の懲役に処する。
未遂罪だけでなく,予備罪も処罰されます。
強盗罪の危険性,反社会性の大きさを考慮して,その予備行為を処罰することにより,強盗の実行に至る前にこれを鎮圧しようとしております。
【強盗の予備罪】
予備罪は目的犯であり,強盗の目的でその予備行為がされることを要します。
いわゆる居直り強盗や事後強盗の目的のように,相手方に暴行・脅迫を加える目的が未必的なものに止まる場合においても成立します。
予備とは,強盗罪の実行の準備行為をすることをいいます。
単なる計画や謀議だけでは足らず,強盗の決意を外部的に表現するような行為がされることを要します。
【窃盗からの暴行等で問題となる事後強盗罪】
(事後強盗)
第238条 窃盗が,財物を得てこれを取り返されることを防ぎ,逮捕を免れ,又は罪跡を隠滅するために,暴行又は脅迫をしたときは,強盗として論ずる。
事後強盗罪は,その犯行形態の実質的違法性やしばしば相手の殺傷という重大な結果を伴うことから,処罰されることになります。
本罪は窃盗犯人を主体とします。
窃盗犯人とは,窃盗の実行に着手した者をいいます。
財物を得てこれを取り返されることを防ぐ目的,逮捕を免れる目的,罪跡を隠滅する目的のいずれかの目的が必要になります。
相手が現実に財物を取り返そうとしたり犯人を逮捕しようとしていたか否かは問われません。
事後強盗罪も強盗として論じられる以上,暴行・脅迫の程度も,強盗罪の場合と同様に相手の反抗を抑圧するに足りる程度のものであることを要します。
暴行・脅迫の相手方は,窃盗の被害者だけではなく,本条所定の各目的を遂げるのに障害となる者であれば足ります。
事後強盗罪が成立するためには,財物取得の場面と暴行・脅迫の場面との間の場所的・時間的関係や,状況としての繋がりなどを総合して,当該暴行・脅迫が財物の取得と密接な関連性を有すると認められる状況の下に行われることが必要です。
本罪の実行の着手は,窃盗犯人が,本条所定の目的で相手方の反抗を抑圧するに足りる暴行・脅迫に着手した時点で認められます。
事後強盗も強盗として論じられる以上,その既遂・未遂の基準も強盗罪と同様に財物取得の有無,すなわち窃盗の既遂・未遂により決せられます。
【睡眠薬を飲ませる等により金品を盗む昏睡強盗罪】
(昏酔強盗)
第239条 人を昏酔させてその財物を盗取した者は,強盗として論ずる。
暴行・脅迫を手段としなくても,その実質的違法性の程度は強盗罪と同程度であると考え,昏睡強盗罪が成立することになります。
事後強盗罪とともに準強盗と呼ばれます。
昏酔させるとは,一時的又は継続的に,相手方に意識喪失その他意識又は運動機能の障害を生じさせて,財物に対する有効な支配を及ぼし得ない状態に陥らせることをいいます。
典型的には失神させたり睡眠状態に陥らせる場合がこれに当たりますが,意識はあっても身体的機能を麻痺させる場合も含みます。
昏睡させる方法は,薬物の使用,麻酔薬の施用等制限はありません。
相手を昏睡させる行為は,財物盗取の目的でされなければなりません。
【強盗の罪における弁護活動について】
これまで見てきたとおり、強盗に関する罪は多種多様で、成立した場合の刑事罰は重いものとなっています。
また、今回のブログで説明した強盗の結果、被害者が死傷してしまった場合には、強盗致死傷の罪が適用され、無期懲役や死刑といった厳しい刑事罰が科せられます。
強盗の罪で家族が逮捕されているという場合、身柄解放を求める活動、被害者との謝罪・弁済を行う活動、取調べ状況の確認やアドバイス、起訴後の公判・公判前整理手続など、様々な場面で事案に即した弁護活動が求められます。
北海道札幌市にて、家族が強盗罪で逮捕・勾留された場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士による初回接見サービス(有料)をご利用ください。

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窃盗罪について
窃盗罪について
万引き等の窃盗罪を犯してしまい,弁護士に相談・依頼をする人が少なくありません。
今回は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が,窃盗罪について解説いたします。
【窃盗罪の条文】
(窃盗)
第235条 他人の財物を窃取した者は,窃盗の罪とし,十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
【窃盗罪の保護法益】
窃盗罪の保護法益は,財物に対する占有・所持です。
社会における財産的秩序は,所有権等の本権の存否自体よりも,占有が有する本権推定機能に対する信頼を考礎にしていることから,財物の所持自体が保護されるべき対象であるとされております。
刑法第242条も,「自己の財物であっても,他人が占有し,又は公務所の命令により他人が看守するものであるときは,この章の罪については,他人の財物とみなす。」と規定しております。
法令上所持を禁じられている物でも,法律上正当にこれを所持する権限を有するかどうかを問わず,物の所持という事実上の状態それ自体が独立の法益として保護されることになります。
権原に基づかない所持の侵害についても占有侵害の構成要件該当性を肯定した上で,自己の財物や権利に基づく奪取行為の可罰性は違法性阻却の問題として処理されることになります。
【窃盗罪の客体(対象となる物)】
客体は他人の占有する財物です。
共同占有物・共有物の場合は,共同占有者の1人が他の者の占有を排除して自己の単独占有に移せば,その限りで占有の侵害があることになります。
他人の占有・所持は,人が物を実力的に支配する関係があれば認められます。
事実上の支配があるとするためには,主観的要素としての支配意思と,客観的要素としての支配の事実が必要です。
支配意思は,物を事実上支配・管理しようという意欲・意思のことをいいます。
支配意思は,個々特定の財物に向けられた具体的なものであることを必要とせず,時間的・場所的に包括的なもので足ります。
自宅や倉庫内に存在する財物についても,その存在を具体的に知らなくても,不在のときも支配意思が認められます。
支配の事実は,現実の握持を必要とせず,財物自体の特性,支配者の支配の意思の強弱,距離等による客観的・物理的な支配関係の強弱,等の実質的基準で判断されます。
置き忘れられた物については,時間的・距離的間隔やその他の事情を総合的に考慮のうえで判断されます。
占有が認められない場合は,占有離脱物横領罪等の成否が問題となります。
【窃盗等罪の例外(親族相盗例)】
刑法第244条第1項により,配偶者,直系血族又は同居の親族との間で窃盗罪を犯した者は,その刑を免除されることになります。
同条第2項により,第1項に規定する親族以外の親族との間で犯した窃盗罪は,告訴がなければ公訴を提起することができません。
これは,家庭内のことは出来るだけ国家権力が介入するべきではないとの価値観に基づいているからです。
そのため,同条第3項により,親族でない共犯については適用しない,と規定されております。
【窃盗罪の着手の時期】
窃取とは,財物の占有者の意思に反して,その占有を侵害し,自己又は第三者の占有に移すことです。
手段・方法は問われません。
実行の着手は,他人の財物の占有を侵害する具体的危険が発生する行為を行った時点で認められます。
具体的事案において判断する場合には,対象となる財物の形状,窃取行為の態様,犯行の日時・場所等の諸般の状況が考慮されることになります。
侵入窃盗では,財物の物色行為のあった時点で着手が認められることが多いです。
もっとも,倉庫や金庫室などの場合は,侵入行為があった時点で占有侵害の危険が現実化しているものと見ることができるから,侵入行為をした時点で窃盗の実行の着手を認めることが多いです。
車上狙いや自動車盗の場合も,ドアの開扉・解錠や窓ガラスの破壊等,自動車内への侵入行為を始めた時点で着手が認められることが多いです。
窃盗の既遂時期は,財物の他人の占有を排除して自己又は第三者の占有に移した時点で認められます。
具体的事案における既遂時期の判断に当たっては,対象となる財物の形状,窃取行為の態様,犯行の日時・場所等の諸般の状況が勘案されることになります。
目的物が大きい場合には,目的物の性質・大きさや周囲の状況・管理者による強さの度合い等により事実上の支配があったといえる時点が変わってきます。
【窃盗罪の故意(不法領得の意思)】
窃盗罪の故意として,財物の占有者の意思に反して,その占有を侵害し,自己又は第三者の占有に移すことについての認識が必要です。
故意の他に,不法領得の意思が必要となります。
不法領得の意思とは,「権利者を排除して他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従って利用し又は処分する意思」をいいます。
権利者排除意思は,使用窃盗・一時窃盗を窃盗罪として処罰しない機能を果たします。
利用処分意思は,毀棄隠匿罪と区別する基準としての機能を果たします。
しかし,自動車を一時的に使用する意思だったとしても,自動車の価値の大きさから権利者排除意思が認められ,不法領得の意思が認められることになります。
また,経済的用法については,その物の本来の用途にかなったとか,財物から生じる何らかの効用を享受するということで足ります。
【罪数の問題】
窃盗罪が既遂となったら,犯罪は終了して違法状態が継続していることになります。
この段階で犯人が目的物を損壊したり費消したりしても,それは既に窃盗罪によって包括的に評価されているので,不可罰的事後行為として器物損壊罪や横領罪を構成しません。
しかし,窃盗罪では評価され尽くしていない新たな法益侵害を伴う場合は,別個の罪が成立することになります。
【窃盗罪での弁護活動】
窃盗罪を犯してしまったら,被害者に対する示談活動が必要になります。
当事者同士で直接話し合うと,感情的になってしまい,状況が悪化して話がまとまらなくなる可能性があります。
また,きちんとした示談書面を作成しないと,後に問題が残ってしまう可能性があります。
被害者から過剰な賠償を請求される可能性もあります。
弁護士を入れて,被害者に対して誠意ある示談交渉を冷静に行う必要があります。
逮捕されたら,釈放を求めていくことになります。
証拠隠滅や逃亡のおそれがないことを,弁護士を通じて主張していくことになります。
被害者に対して示談を成立させたり,家族が身元引受人になって監督してもらったりして,準備することになります。
検察官や裁判官は簡単に釈放を認めないので,弁護士を通じてしっかりした主張・説明をしていかなければなりません。
起訴されて裁判となったら,公判の準備をしなければなりません。
示談・被害弁償を進め,2度とこのような事件を起こさないようにしていくことを示していきます。
家族に情状証人になってもらったり,仕事や家庭の環境調整を進めることになります。
もし窃盗をしていないにも関わらず犯行を疑われたら,きちんと否認主張をしていかなければなりません。
捜査機関,特に警察官は,否認の主張を無視して,取調べで威圧したり不当な誘導をしてきたりすることがあります。
状況に応じて黙秘したり,取調べでの弁護士の立会い・準立会いを行ったり,捜査機関に対して抗議書面を送ったり,弁護士による弁護人面前調書を作成したりして対応することになります。
起訴されて裁判となったら,公判前整理手続を含めて証拠を精査して,きちんと争っていく必要があります。
刑事弁護に精通した弁護士が対応する必要があります。
当事務所では,無料相談を実施しております。
刑事弁護はスピードが重要ですので,お早めにご連絡・ご相談ください。

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ブランドのコピー品を転売する行為は法に触れる?事例を通して商標法違反の罪と罰を解説
ブランドのコピー品を転売する行為は法に触れる?事例を通して商標法違反の罪と罰を解説
偽造品が市場に氾濫している現代、誰もが一度は「コピー品」に出会った経験があるでしょう。
しかし、そのコピー品を転売する行為が法に触れる可能性があることは、多くの人が知らないかもしれません。
この記事では、ブランドのコピー品を転売する行為がどのような法的リスクを孕んでいるのか、商標法違反に焦点を当てて解説します。
商標法とは何か
商標法は、企業や個人が自分の商品やサービスに使用する商標を保護する法律です。
商標とは、商品やサービスの出所を示すものであり、商標を無断で使用した場合、商標法によって罰せられる可能性があります。
商標法違反の具体的な罪
商標法違反にはいくつかの罪が存在します。
これには、商標の偽造、無許可での使用、そして今回のテーマであるコピー品の転売も含まれます。
特に転売の場合、ブランドの名前やロゴ、デザインなどを無許可で使用しているため、商標法に違反する可能性が高くなります。
コピー品の転売を事例にした商標法違反の罰則
コピー品の転売が商標法違反となった場合、その罰則は厳しいものとなります。
具体的には、最高で10年以下の懲役または1000万円以下の罰金、あるいはその両方が科される可能性があります。
これは日本の商標法における罰則であり、他の国でも同様に厳格な罰則が存在する場合が多いです。
たかがコピー品、とお思いの方もおられるかもしれません。しかし、商標権はブランドのイメージを左右する重大な権利であり、粗悪品などでブランドのイメージを低下させることは、そのブランド会社が長きに亘り培ってきた信用を毀損する行為であり、会社に計り知れない影響を及ぼす恐れがある悪質な行為であるといえます。よって、多額の損害賠償が認められるケースもあり、刑事上も厳しい刑事罰が科されるおそれがあります。
転売業者による罰則回避の手口とその対策
一部の転売業者は、商標法違反の罰則を回避するために様々な手口を用います。
例えば、「模倣品であることを明示している」と主張したり、ブランド名を微妙にアレンジして使用するなどです。
しかし、これらの手口も厳密には商標法違反に該当する可能性が高く、法的なリスクを完全に回避するわけではありません。
被害を受けたブランド側の対応策
コピー品の転売によって被害を受けるのは、消費者だけでなくブランド側も同様です。
多くのブランドは、自社の商標が無許可で使用されている場合、法的手段を講じることが一般的です。
これには、損害賠償請求や差し止め請求などがあり、これらの訴訟は通常、高額な賠償金が発生する可能性があります。
転売業者だけでなく購入者もリスクを負う
コピー品の転売が問題なのは、転売業者だけでなく購入者もリスクを負います。
購入者が知っているかどうかに関わらず、コピー品を購入する行為自体が商標法に触れる可能性があります。
一部の国では、偽造品を購入した者も罰せられる場合があるため、消費者自身も十分な注意が必要です。
まとめと今後の注意点
商標法違反としてコピー品の転売は、多くのリスクを孕んでいます。
転売業者はもちろん、購入者にも法的な影響が及ぶ可能性があるため、商標法についての知識は必須です。
この記事を通じて、商標法に関する基本的な理解と、コピー品に関わるリスクを把握していただければと思います。

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刑事・少年事件に関する初回相談はすべて無料です。初回接見は、365日、夜間でも対応可能です。札幌市内に位置し、アクセスも良好です。お一人で悩まず、まずはご相談ください。
性犯罪について
性犯罪について
刑事事件で性犯罪は非常に多く、当事務所にも多数の相談・依頼があります。
今回は、主な性犯罪の概要について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。
<盗撮>
性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律
(性的姿態等撮影)
第二条 次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
一 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為
イ 人の性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分
ロ イに掲げるもののほか、わいせつな行為又は性交等(刑法(明治四十年法律第四十五号)第百七十七条第一項に規定する性交等をいう。)がされている間における人の姿態
二 刑法第百七十六条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
三 行為の性質が性的なものではないとの誤信をさせ、若しくは特定の者以外の者が閲覧しないとの誤信をさせ、又はそれらの誤信をしていることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
四 正当な理由がないのに、十三歳未満の者を対象として、その性的姿態等を撮影し、又は十三歳以上十六歳未満の者を対象として、当該者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者が、その性的姿態等を撮影する行為
2 前項の罪の未遂は、罰する。
3 前二項の規定は、刑法第百七十六条及び第百七十九条第一項の規定の適用を妨げない。
正当な理由がないのに、密かに、他人の裸や下着等を盗撮したら、犯罪が成立します。
スカートの中をスマートフォンカメラで盗撮したり、温泉施設やトイレにカメラを設置して盗撮したりする事件が多いです。
女性の家に侵入して、カメラを設置して盗撮する事件も少なくありません。
密かにでなくても、相手が同意しない状況等で裸や下着等を撮影したら、犯罪が成立します。
相手が同意しない具体的状況としては、後述の不同意わいせつ罪の各号があります。
相手の同意があっても、相手を騙して裸や下着等を撮影したら、犯罪が成立します。
医療行為で必要だと嘘を言って騙したり、自分以外には見せないと嘘を言って騙したり、することが考えられます。
相手が16歳未満であれば、真の同意があっても、裸や下着等を撮影したら、犯罪が成立します。
相手が13歳以上16歳未満の場合は、相手との年齢差が5歳未満であれば、犯罪は成立しません。
これらの犯罪は、未遂でも罰せられます。
撮影までは実施していなくても、撮影のためにカメラを向けたり設置したら、未遂罪として処罰されることになります。
同時に不同意わいせつ罪や監護者わいせつ罪が成立することもあります。
<痴漢・北海道迷惑行為防止条例違反>
北海道迷惑行為防止条例
(卑わいな行為の禁止)
第2条の2 何人も、正当な理由がないのに、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 公共の場所又は公共の乗物にいる者に対し、著しく羞恥させ、又は不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をすること。
ア 衣服等の上から、又は直接身体に触れること。
(罰則)
第11条 第2条の2、第6条又は第9条第1項の規定のいずれかに違反した者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
2 常習として、第2条の2、第6条又は第9条第1項の規定のいずれかに違反した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
いわゆる痴漢として、電車等で女性のお尻等を触れば、犯罪が成立します。
常習的に犯行を繰り返していたら、より重い処罰となります。
アルコールで酔っぱらって痴漢をしてしまうケースも多くあります。
より程度が強く、女性の陰部や胸を直接触ったりするような場合は、不同意わいせつ罪が成立します。
<公然わいせつ>
(公然わいせつ)
第百七十四条 公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
外の人がいる場所で下半身を露出して見せつけるようなことをしたら、公然わいせつ罪が成立します。
<不同意わいせつ>
(不同意わいせつ)
第百七十六条 次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、六月以上十年以下の拘禁刑に処する。
一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
2 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、わいせつな行為をした者も、前項と同様とする。
3 十六歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。
相手の同意なくわいせつな行為をしたら、不同意わいせつ罪が成立します。
同意しない状況として各号に記載がありますが、不同意の場合が広く含まれており、犯罪が成立しやすくなっております。
安易に相手が同意していると思っていたと主張しても、主張が認められる可能性は低いです。
相手の同意があっても、相手を騙してわいせつな行為をしていたら、犯罪が成立します。
医療行為で必要だと言って騙したり、暗闇の中で恋人と偽って騙したり、してわいせつな行為をするケースが考えられます。
相手が16歳未満であれば、真の同意があってもわいせつな行為をしたら犯罪が成立します。
相手が13歳以上16歳未満の場合は、相手との年齢差が5歳未満であれば、犯罪は成立しません。
<不同意性交等>
(不同意性交等)
第百七十七条 前条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第百七十九条第二項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、五年以上の有期拘禁刑に処する。
2 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、性交等をした者も、前項と同様とする。
3 十六歳未満の者に対し、性交等をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。
不同意わいせつ罪と同じく、相手が同意しない状況で性交等をしたら、不同意性交等罪が成立します。
性交等は、性交、肛門性交、口腔性交だけでなく、膣若しくは肛門に指等の身体の一部や性的なおもちゃ等の物を挿入する行為であってわいせつなもの、が含まれます。
加害者・被害者ともに男女関係なく成立することになります。
相手の同意があっても、相手を騙して性交等をしていたら、犯罪が成立します。
医療行為や宗教行為で必要だと言って騙したり、暗闇の中で恋人と偽って騙したり、して性交等をするケースが考えられます。
相手が16歳未満であれば、真の同意があっても性交等をしたら犯罪が成立します。
相手が13歳以上16歳未満の場合は、相手との年齢差が5歳未満であれば、犯罪は成立しません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
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飲食店で皿に放尿した事例
飲食店で皿に放尿した事例
昨今、飲食店での不適切な行為を動画に撮影してSNSで拡散するという事例が少なからず見受けられます。一例としては醤油さしや湯呑みなどを舐めたり、除菌用スプレーをライターで引火させたりするなど態様は様々です。
今回は明治時代に発生した「飲食店で客に提供する際に用いる皿(厳密には判例では鋤焼鍋と徳利)に放尿する」という事例を用いて、成立する可能性のある罪と、それに対する弁護活動について、具体的な法律の観点から解説します。
器物損壊罪の成立可否
まず第一に考えられるのが、器物損壊罪の成立です。器物損壊罪は刑法第261条で「…他人の物を損壊し…た者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。」と定められています。皿などを割る、という行為は明確な「損壊」に該当するかと思われますが、放尿しただけという場合には言葉どおりの損壊には当たらないように思われます。しかし判例は、客に食事を提供するための皿などに放尿することで、実際には壊れていなかったとしても再びその皿などを使って食事を提供することが心理的に不可能であることから、実際に壊れていなかったとしても効用を害することで使えないと判断されるような場合には、器物損壊罪が成立する旨判示しています。
業務を妨害する罪の成立可否
飲食店で皿に放尿した行為は、店舗の営業に対しても影響を及ぼす可能性があります。
このような行為を動画で撮影して拡散する行為は、客が減少する、あるいは清掃・点検などのため臨時で店を閉める必要が出るなど、営業に悪影響を及ぼす可能性が考えられます。
その場合、刑法第234条の「威力業務妨害罪」や同233条の「偽計業務妨害罪」の成立が検討されます。
業務を妨害する罪は、他人の営業を妨害する行為に対して定められた罪です。
具体的には、放尿によって店舗の営業が実質的に妨害された場合、この罪が適用される可能性が高くなりますが、実際に営業が妨害されたかどうかという点は必ずしも問題にならず、たとえ営業に実質的な妨害がなされなかったとしても、業務を妨害する罪は成立する場合があります。
損害賠償と民事訴訟
皿に放尿するという行為は、飲食店に対して損害を与える可能性が高いです。 このような場合、店側は民法に基づいて損害賠償を請求することができます。 損害賠償の対象となるのは、具体的な物的損害(例:消毒や清掃のコスト)だけでなく、店の評判損失による精神的損害も含まれ得ます。 こうした民事訴訟は、刑事訴訟とは別に進行することが一般的です。 そのため、刑事罰が科されたとしても、その後に民事訴訟でさらなる賠償が求められる可能性があります。
まとめと弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の紹介
本記事では、飲食店で皿に放尿した場合の法的リスクと弁護活動について解説しました。 公然わいせつ罪、業務を妨害する罪など、多角的な視点から成立する罪について説明しました。 さらに、損害賠償と民事訴訟の可能性まで、広範にわたる情報を提供しました。 このような状況に直面した場合、早期の法的対応が非常に重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、このような複雑な刑事事件に対しても専門的なアドバイスとサポートを提供しています。 経験豊富な弁護士がお客様一人一人の状況に合わせた最善の防御策をご提案します。 何か問題に直面した際には、ぜひともご相談ください。

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繰り返し電話を掛けるストーカー行為
繰り返し電話を掛けるストーカー行為
近年、スマートフォンの普及と共に、繰り返し電話を掛けるようなストーカー行為が増加しています。
このような行為が法的にどのように評価されるのか、成立する罪とその弁護について解説します。
成立する罪の概要
繰り返し電話を掛ける行為がもたらす法的な問題は多岐にわたります。
まず最も直接的なのは、「ストーカー規制法」による罰則です。
ただし、この法律以外にも刑法の「威力業務妨害」や「脅迫」に当たる場合もあります。
さらに、個人情報の不正利用が絡む場合は、個人情報保護法による罰則も考えられます。
これらは主なものであり、状況によっては他の法律に抵触する可能性もあります。
このような多様な法的リスクについては、具体的に次の項目で詳細に解説します。
「ストーカー規制法」に基づく罰則
「ストーカー規制法」では、特定の個人に対して繰り返し無用な連絡をする行為が規制されています。
繰り返し電話を掛ける行為は、この法律においても明確に禁止されており、違反した場合には罰金または懲役刑が科されます。
一般に、初犯であれば罰金が科されることが多いですが、事案によってはより重い刑罰が適用される場合もあります。
この法律に基づくと、警告・指導を受けた後も行為が改善されない場合、罰則が適用される確率が高くなります。
また、被害者が明示的に連絡を拒否したにも関わらず繰り返し電話を掛けた場合、より厳しい判決が下される可能性があります。
刑法における「威力業務妨害」
ストーカー行為が「ストーカー規制法」に該当しない場合でも、日本の刑法にはそのような行為を罰する条項がいくつか存在します。
特に、「威力業務妨害」という罪が該当することがあります。
この罪は、他人の業務を妨害する行為を罰するもので、ストーカー行為が被害者の仕事に支障をきたした場合などに適用されることがあります。
繰り返し電話を掛ける行為が業務に支障をきたした場合、この罪に問われる可能性があります。
例えば、被害者が仕事中に繰り返し電話がかかってくることで、仕事に集中できなくなったといった場合です。
この罪での有罪判決が下されると、罰金または懲役刑が科されることとなります。
弁護活動の基本的なステップ
繰り返し電話を掛けるストーカー行為で逮捕・起訴された場合、即座に弁護士に相談することが重要です。
第一歩として、弁護士は事実関係の確認を行います。
これには、電話の内容、頻度、被害者との関係性、以前からのトラブルの有無などが含まれます。
次に、これらの情報に基づいて最も有効な弁護戦術を練ります。
具体的には、事実を否認する場合、証拠の提出や証人の尋問が行われます。
また、事実を認める場合でも、心情酌量や過去の事例、類似ケースとの比較などを用いて、刑罰の軽減を図ることがあります。
弁護士はまた、被告人の人格や生活状況を考慮し、裁判で有利な情報を提出する場合もあります。
具体的なケースで有力な弁護戦術
ストーカー行為の繰り返し電話に関して、弁護士が用いる有力な戦術はいくつかあります。
例えば、被害者が電話を一切拒否していなかった場合、その点を強調してストーカー行為の意図を否定することがあります。
また、電話の内容が一般的なものであった場合、特定の人を威圧・妨害する目的がなかったと主張することも考えられます。
さらに、電話の頻度がそれほど高くなく、被害者の日常生活や業務に影響を及ぼしていないと証明できる場合、罰則の軽減や無罪を主張する材料となることもあります。
ただし、これらの戦術は事案によって効果が異なるため、弁護士としっかりと相談して最適な戦術を選ぶ必要があります。
総括
本記事では、繰り返し電話を掛けるストーカー行為に関連する法的側面と弁護活動について解説しました。
ストーカー行為に該当する可能性がある罪、具体的には「ストーカー規制法」や刑法の「威力業務妨害」が説明されました。
また、加害者が逮捕・起訴された場合の弁護活動の基本的なステップと有力な弁護戦術についても触れました。
被害者側の対応と法的手続きにも焦点を当て、どのような行動が有効かについて解説しました。
この情報が、ストーカー行為に関する理解を深める一助となれば幸いです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部について
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ストーカー行為をはじめとする様々な刑事事件に対応しており、豊富な経験と専門知識を有する弁護士が在籍しています。
個々のケースに対する柔軟な対応と確かな法的サービスを提供しており、被害者から加害者まで幅広いクライアントの法的問題を解決しています。
何か問題や不明点があれば、気軽にご相談いただけます。

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大麻の所持と法律
大麻の所持と法律
大麻の所持は日本で厳しく取り締まられています。一口に「大麻の所持」と言っても、その成立要件や罰則はさまざまなケースで違います。この記事では、具体的な事例を交えて大麻の所持に関する成立要件と罰則の違いについて解説します。
1 大麻の所持とは何か?
大麻の所持とは、一般的には大麻草またはその製品を無許可で携帯・保管する行為を指します。
この所持には「故意」が必要です。
意図せずに大麻を所持していた場合、一般には成立要件を満たさないとされますが、証明は困難です。
法律用語でいう「故意」とは、その行為を意図して行うことを指します。
日本では、大麻取締法により、大麻の所持は厳しく規制されています。
この法律が定めるとおり、無許可での大麻の所持は犯罪行為とされ、厳しい罰則が科されます。
以上が大麻の所持に関する基本的な情報です。
2 大麻取締法とは?
大麻取締法は、大麻の生産、輸送、所持、使用などに関する規制を定めた日本の法律です。
この法律は1948年に制定され、その後も何度か改正されています。
大麻取締法に違反すると、懲役が科される可能性があります。
特に、大麻の無許可での所持や使用は厳しく罰せられ、初犯であっても状況次第では懲役刑が科されるおそれがあります。
法律用語で言う「懲役」とは、犯罪者を一定期間、刑務所に収容して働かせる刑罰のことを指します。
3 大麻の所持に関する成立要件
大麻の所持に関する成立要件は、主に以下の三点です。
・大麻草(多くはタバコのように加熱して煙を吸引する)またはその成分を含むもの(大麻リキッドと呼ばれる液体様のもの、乾燥大麻をクッキーなどに混ぜている場合もあります)を実際に携帯・保管していること。
・その行為が「故意」であること。
・無許可であること。
これらの要件が全て揃うと、大麻の所持として法的に成立します。
特に、「故意」については注意が必要です。
故意については先にも触れましたが、その行為を意図して行うことが必要です。
例えば、知らない間に大麻が自分のカバンに入っていた場合、その所持は「故意」はないと言えます。
ただし、これを証明するのは非常に困難で、多くの場合で故意が推定されます。
また、「無許可」とは、大麻取締法に基づいた許可や免許がない状態を指します。
例外的に医療や研究目的で大麻を使用する場合もありますが、これには特別な許可が必要です。
4 事例1 自宅での所持
大麻の所持が発覚するケースとして、自宅での発見があります。
この場合、自宅で大麻を保管していたとされる場合、大麻取締法により厳しく罰せられます。
例えば、自宅の引き出しやクローゼットに大麻が隠されていた場合、これは「故意」であると判断される可能性が高いです。
一方で、他人が勝手に自宅に大麻を隠した場合、故意の成立要件が問われるケースもあります。
しかし、実際には、自宅での発見が多くの場合「故意」であると判断され、罰則が科される事例が多いです。
法律用語で「罰則」とは、法律に違反した行為に対して科される刑罰や制裁措置のことを指します。
特に、大麻取締法では、自宅での大麻所持も外出先での所持と同様に厳しく取り締まられます。
5 事例2 車内での所持
車内での大麻所持もよく報道されるケースの一つです。
こちらも自宅での所持と同様、大麻取締法に基づき厳しく罰せられます。
警察が交通違反や車両検査の際に大麻を発見した場合、通常は「故意」であると判断されます。
ただし、車内に複数人がいた場合、誰が大麻を所持していたのかが不明確な状況も考えられます。
このような場合、具体的な証拠がない限り、成立要件に該当しない可能性もあります。
法律用語で「証拠」とは、事実を証明するための手段や資料のことを指します。
例えば、車内で発見された大麻が特定の人物の指紋で覆われているならば、その人物が「故意」で所持していたと判断される証拠となります。
その際、一人の人間が所持していたとしても、同乗していた者にその大麻を所持しているという認識があるような場合には、共同所持の罪として直接所持していた者以外の者も逮捕される可能性があります。
大麻の場合、使用の罪は規定されていませんが、尿検査などが行われて陽性反応が出ることで、共同所持の裏付け証拠となって起訴されることも考えられます。
6 事例3 大麻成分を含む商品の所持
近年、大麻成分(特にCBD)を含む商品が一般的になりつつあります。
しかし、日本においては大麻取締法が適用される場合があり、その所持も違法とされる可能性があります。
例として、海外で合法的に販売されているCBDオイルを日本で所持した場合、その成分にTHC(テトラヒドロカンナビノール)が含まれていると、大麻取締法により罰せられる可能性が高まります。
THCは大麻の成分であり、日本では規制されています。
法律用語で「THC」とは、テトラヒドロカンナビノールの略で、大麻の成分の一つです。
この成分には精神作用があり、大麻取締法によって規制されています。
「CBD」はカンナビジオールの略で、大麻の成分ではありますが、日本では一定の条件下で合法とされています。
7 大麻の所持に対する具体的な罰則
最後に、大麻の所持に対して科される具体的な罰則について説明します。
大麻取締法に基づき、大麻の無許可での所持には以下のような罰則があります。
大麻の所持については、以下のとおり条文で定められています。
大麻取締法24条の2
第1項 大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、5年以下の懲役に処する。
第2項 営利の目的で前項の罪を犯した者は、10年以下の懲役に処し、又は情状により10年以下の懲役及び300万円以下の罰金に処する。
第3項 前二項の未遂罪は、罰する。
大麻の単純な所持の場合は最高で懲役5年、売買や譲渡が目的での所持の場合は最高で懲役10年。
このように、初犯であっても罰金刑がないため略式手続きに付されることがなく正式裁判になり、特に販売目的での所持はさらに重い刑罰が科されます。
また、営利目的での所持が認められた場合、懲役刑に加えて罰金刑が併科されることも考えられます。
法律用語で「最高で」とは、その罪に対して科されることが可能な最も重い刑罰を指します。
一方で、刑の具体的な長さや罰金の額は、裁判での事情や証拠によって決まります。
以上が、大麻の所持に対する具体的な罰則です。
この記事を通じて、大麻の所持とその成立要件、罰則について理解を深めていただければ幸いです。
8 事務所紹介
この記事を通じて、大麻の所持に関する法的な成立要件や罰則、それに伴う具体的な事例について解説しました。
大麻に関する法律は非常に厳格であり、その違反に対する罰則も厳しいものが設けられています。
もし、大麻に関する法的な問題で困っている場合、専門的な法的アドバイスが必要な場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部をご利用いただくことをおすすめします。
この法律事務所は、刑事事件に特化した経験豊富な弁護士が在籍しており、大麻に関する事件でも高い解決率を誇ります。
また、初回相談は無料となっており、家族が逮捕・勾留されている場合には有料の初回接見サービスをご利用いただけます。
以上が、この記事の総括と弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の紹介です。
何か問題が発生した際は、専門の法的支援を受けることで、最良の解決を目指しましょう。

北海道で刑事事件や少年事件に関するお悩みをお持ちの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部をご利用ください。
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器物損壊事件の解説
器物損壊事件の解説
器物損壊事件は日常生活でも頻繁に報道される犯罪の一つです。 この記事では、具体的な事例を想定しながら器物損壊が問題となる罪や罰について詳しく解説します。
器物損壊罪とは?
器物損壊罪とは、他人の所有する物を故意に壊す行為を指します。
この罪は一見単純に思えますが、具体的な事例や状況によっては刑法上の扱いが大きく変わることがあります。
例えば、損壊の意図があるかないか、損壊した物の価値などが影響を与えます。
日本の刑法では、このような行為を犯罪として処罰しています。
次の項目では、この罪に関する法的根拠を詳しく見ていきましょう。
法的根拠:刑法第261条
刑法第261条 前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。
器物損壊罪の法的根拠は、日本の刑法第261条に明示されています。 この条文によれば、他人の物を損壊した者は、3年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金に処されるとされています。 この法条は一見シンプルですが、実際の裁判では多くの要素が考慮されます。 たとえば、損壊された物の価値や、犯行の動機、前科の有無などが刑の重さに影響を与えることがあります。
故意犯処罰の原則
器物損壊罪には、物を壊したという客観的な状況だけでなく、故意、つまりは意図した行為であるという主観面での要件があります。
器物損壊罪の条文には明記こそされていないものの、刑法38条1項で「罪を犯す意思がない行為は、罰しない。ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない。」と規定されていることから、原則として故意にした行為でない限り、罪には問われないのです。
例えば、相手を殴ろうと考えてゴルフクラブで被害者の頭を殴打した場合、これは故意にゴルフクラブで相手の頭を殴打していることから、故意が認められるとして殺人未遂罪や傷害罪が成立します。他方、公園でゴルフの素振りをしていたところ手が滑ってゴルフクラブが飛んで行ってしまったとして、通行人の頭に当たり怪我をした場合、これで傷害罪は成立しません。※ただし、過失(不注意)により怪我をさせたことによる過失傷害罪が成立する可能性はあります。
器物損壊罪については、過失犯処罰規定は設けられていないため、例えば道端で具合が悪くなって倒れた拍子にお店の看板を倒して壊してしまったとしても、器物損壊罪は成立しません。
具体的な事例:車窓を割る行為
一般的な器物損壊の事例としてよく挙げられるのが、車窓を割る行為です。
この行為は明らかに他人の所有物を損壊するものであり、刑法第261条に基づいて罰せられる可能性が高いです。
しかし、事例によっては、損壊した理由や状況が詳細に調査されます。
たとえば、何らかの事故や自然災害で窓が割れた場合、故意がないため刑事責任は問われません。
逆に、恨みや怒りから窓を割った場合、その故意性が重く見られ、罰金や懲役の可能性が高まります。
また、複数回にわたって同じ行為を繰り返した場合、ストーカー行為とも結びつき、より重い刑罰が科されることもあります。
刑罰と量刑基準
器物損壊罪での刑罰は、主に懲役または罰金となります。 具体的には、刑法第261条により、3年以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。 しかし、実際の刑罰は様々な要素によって決まります。 例えば、損壊した物の価値、被害者との関係、過去の犯罪歴、犯行の動機などが考慮されることが一般的です。 特に重要なのは「量刑基準」と呼ばれるもので、これに基づいて裁判所が刑罰を決定します。 量刑基準は裁判例や判例によっても影響を受けるため、同じような犯罪でも刑罰が異なる場合があります。
補償と民事訴訟
器物損壊事件は刑事訴訟だけでなく、民事訴訟にもつながる可能性があります。
つまり、刑事責任とは別に、被害者から損害賠償請求されるケースも多いです。
特に高額な物を損壊した場合、被害者はその価値に見合った賠償を求めるでしょう。
この際、被害者側が提出する証拠や、犯人側の賠償能力も裁判で考慮されます。
なお、民事訴訟においては、通常「過失」も問われる場合があります。
これは刑事訴訟とは異なり、故意でなくても賠償責任が発生する可能性がある点に注意が必要です。
したがって、器物損壊事件に巻き込まれた場合、刑事責任だけでなく、民事責任にも備える必要があります。
器物損壊事件における注意点
器物損壊事件は一見シンプルな犯罪に見えるかもしれませんが、多くの要素が影響を与える複雑な事件です。 故意や動機、損壊した物の価値、被害者との関係などが、刑罰や賠償金に大きく影響を与えます。 また、刑事訴訟だけでなく、民事訴訟の可能性も常に考慮する必要があります。 この記事を通じて、器物損壊事件についての基本的な知識と、注意すべきポイントを把握していただければと思います。 何か問題が発生した場合には、早急に専門の弁護士に相談することが最も安全な対応と言えるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部について
あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、器物損壊事件をはじめとする各種刑事事件に精通した弁護士が多数在籍しています。 このような事件は、一見単純に思えても、法的には多くの複雑な要素が絡み合っています。 故意性、動機、被害者との関係性、そしてそれらがどのように量刑基準や損害賠償に影響を与えるかなど、専門的な知識と経験が必要です。
私たちの事務所では、器物損壊罪を始めとする各種法条に基づいた詳細な解説と実績があります。 事件の内容によっては、不起訴処分を獲得した事例も多数ございます。
何か問題が発生した場合、早急に専門の弁護士に相談することが重要です。 あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、一人一人のクライアントに対して最適な法的サービスを提供することをお約束します。 お気軽にご相談ください。

北海道で刑事事件や少年事件に関するお悩みをお持ちの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部をご利用ください。
当事務所は刑事事件・少年事件を取り扱う法律事務所です。刑事・少年事件の豊富な経験と専門知識を持った弁護士による充実した弁護活動を提供いたします。
刑事・少年事件に関する初回相談はすべて無料です。初回接見は、365日、夜間でも対応可能です。札幌市内に位置し、アクセスも良好です。お一人で悩まず、まずはご相談ください。
予備試験受験生アルバイト求人募集
予備試験受験生アルバイト求人募集
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、全国12都市にある各法律事務所にて、予備試験受験生のアルバイトを求人募集致します。
予備試験受験生アルバイトについて
予備試験受験生が司法試験に合格するためには勉強環境及びモチベーションの維持が重要になります。特に予備試験受験後は、合格発表まで、次の行動を起こしづらかったり勉強に身が入りづらい時期でもあります。そんな時には、勉強及びモチベーション維持のために、法律事務所でのアルバイトが一つの有効な手段となります。
あいち刑事事件総合法律事務所の事務アルバイトに採用されると、専門弁護士による刑事・少年事件の弁護活動を間近に見ることができます。予備試験の勉強で学んだ法律知識が弁護士事務所でどのように使われているのかを見ることで、知識の確認と深化定着につながります。深夜早朝アルバイトであれば、冷暖房完備の快適で静かな環境で、電話対応などの簡単な仕事以外の時間は自由に勉強等をしていただけます(深夜早朝手当も出ます)。
司法試験合格者のアルバイトを多数受け入れ、当事務所アルバイト経験者の多くが司法試験に合格しているモチベーションの高い職場です。司法試験合格に向けて勉強やモチベーション維持をしたい方や、弁護士・検察官・裁判官を目指していて刑事事件又は少年事件に興味のある司法試験予備試験受験生は是非ご応募下さい。
予備試験受験生アルバイト求人募集情報
【事務所概要】
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、日本では稀有な、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う全国的刑事総合法律事務所です。創立以来、刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動に従事し、重大著名事件から市民生活に密接した事件まで、数多くの事件をほぼ全分野にわたって幅広く取り扱ってきました。現在は、札幌、仙台、さいたま、千葉、東京(新宿、八王子)、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、福岡まで全国に事務所を構えており、経験豊富な弁護士に加え、元裁判官、元検察官、元官僚等の専門領域を持ったエキスパートが集まる専門性の高い職場環境となっています。刑事・少年事件のリーディングファームとして、プロフェッショナル養成のための所内研修及び業務支援制度を整え、全国に高レベルの弁護サービス普及を目指しています。また、犯罪被害者支援や入管事件にも力を入れて取り組んでいますので、犯罪被害者支援や外国人問題に興味のある予備試験受験生も歓迎しています。
【募集職種】
・事務アルバイト
・深夜早朝アルバイト
【給与(東京の場合)】
・事務アルバイト:時給1300円+交通費
・深夜早朝アルバイト:時給1300円+深夜早朝割増(25%UP)+交通費
※時給は勤務地によって異なり、1000〜1300円となります。
【勤務地】
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、JR札幌駅と、札幌市営地下鉄の大通駅から徒歩圏内とアクセスの良い場所に事務所を構えています。
主に札幌市や近隣市町村からの御相談・御依頼が多いですが、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所ということで、遠方からのご相談・ご依頼を受けることも少なくありません。
刑事事件・少年事件に興味がある方、検事や裁判官を希望されている方は、ぜひ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部のアルバイトに御応募ください。
【勤務時間】
勤務時間:週1日~、1日3時間~
※業務内容や個人の事情に応じて勤務時間は柔軟に対応いたしますのでご相談下さい。
【仕事内容】
・事務アルバイト
事務対応(電話応対、来客対応、書面作成、書類提出、記録整理等)
法律書面準備(リサーチ、資料の収集)
テキスト作成
・深夜早朝アルバイト
電話対応
テキスト作成
※上記仕事以外の時間はご自身の勉強等にあてていただいて構いません
【執務環境】
・交通費支給
・各事務所とも主要駅近く利便性抜群。
・PC、事務処理環境、インターネット等完備
・刑事、少年、外国人事件の専門性が高い職場
予備試験受験生アルバイト求人応募方法
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の予備試験受験生向けアルバイト求人募集にご興味のある方は、エントリー・説明会参加フォーム又は電子メールnoritakesaiyou@keiji-bengosi.com 宛で事務所までご応募ご質問下さい。5日間程度のうちに採用担当者からメール又は電話でご連絡させていただきます。

北海道で刑事事件や少年事件に関するお悩みをお持ちの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部をご利用ください。
当事務所は刑事事件・少年事件を取り扱う法律事務所です。刑事・少年事件の豊富な経験と専門知識を持った弁護士による充実した弁護活動を提供いたします。
刑事・少年事件に関する初回相談はすべて無料です。初回接見は、365日、夜間でも対応可能です。札幌市内に位置し、アクセスも良好です。お一人で悩まず、まずはご相談ください。