北海道苫小牧市の爆破予告事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士が解説します。
~事件~
北海道苫小牧市の高校生A君は、大学受験を控えた受験生です。
A君は、希望の大学に進学するために日々勉強していましたが、なかなか思うように成績が伸びず、希望の大学に合格できる可能性が低い状態で試験を受けました。
その結果、不合格となり、A君は希望していた大学とは異なる大学に進学することになりました。
A君は、進学を希望していた大学の試験の内容が例年と異なり、そのせいで合格できなかったと考え、仕返しをしようと考えました。
その後、A君は希望していた大学に対して、FAXと大学の問い合わせフォームに対し、「校舎を爆破する」等のメッセージを送りつけました。
大学が警察に通報し、FAXの送信元や通信履歴を調べた結果A君の犯行が明らかとなり、A君は北海道苫小牧警察署に逮捕されることになりました。
(この事件はフィクションです)
【爆破予告】
以前、イベント会場を爆破するとSNS上に書き込んだ高校生が逮捕されたことがありました。
大人だけではなく、20歳未満の未成年でも爆破予告をすれば逮捕されることがあります。
爆破予告の方法としては、手紙やFAX等のアナログな方法やSNSやインターネットの掲示板上に書き込むなど方法は様々です。
爆破予告は、威力業務妨害罪や脅迫罪、強要罪に該当することになり、犯行の態様や被害の状況によって適用される法律が異なります。
【威力業務妨害】
威力業務妨害とは、威力を用いて他人の業務を妨害する行為です。
具体的に「威力」とは、人の意思を制圧するに足りる勢力のことで、暴行や脅迫に加え、人の意思を制圧するように圧力をかけることです。
威力業務妨害に該当する行為としては、公共施設等に対する爆破予告やスーパーマーケットの食品に異物を混入させる行為等です。
最近では、インターネット上で犯行が行われることが多く、簡易投稿アプリ等にいたずらで「〇月〇日××駅を爆破する」等の投稿をして逮捕されるケースもあります。
上記ケースでは、Aくんはいたずらのつもりで、爆破予告をしています。
Aくんの行為により、大学は、休校等の措置を取らなければならない状況にあり、その自由意思が抑制されているので、Aくんの行った行為は「威力」に該当し、大学の業務を妨害したと言えるでしょう。
やった本人は単なるいたずらのつもりでも、刑事事件に発展してしまうこともあるのです。
威力業務妨害で逮捕され、起訴され有罪判決を受けると「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」が科せられることになります。
実際の処罰の傾向としては、初犯であれば略式起訴された上で罰金刑が科せられることが多く、長期間の身体拘束をされる可能性は低いです。
ただし、威力業務妨害を行ったとされる行為が悪質であったり、複数回行われている場合は詳しい取り調べが必要になる場合もあり、身体拘束が長期化する可能性もあります。
少年事件の場合は、最終的な処分は家庭裁判所が下すことになります。
処分に関しては、成人が科せられる刑事罰を考慮して判断されることになります。
成人が初犯で爆破予告(威力業務妨害罪、脅迫等)を行った場合、余程悪質でなければ執行猶予判決になることが多いと言われています。
ですので、少年の場合には保護観察処分となることが多く、反省の態度が見えない場合や更生の必要がある場合には少年院に送られることもあります。
また、高校や進学予定の大学からの処分も考えられます。
高校在学中に事件を起こした場合には、退学や謹慎等の厳しい処分が考えられます。
校則によって取り扱いがことなるため一概には言えませんが、校則の厳しい私立高校等は退学処分となる可能性があり、高校を卒業できなくなり大学進学も困難になります。
一方、大学在学中に事件を起こした場合には、大学にもよりますが、退学や謹慎等の処分はしないというケースもあります。
余程重大な犯罪(強盗殺人等)を起こさない限り、警察から大学に連絡する制度がないため、大学側が事件を把握すること自体が稀と言えます。
逮捕等の身体拘束を受け出席日数が足りず、進級できない等はありますが、大学側からの処分はあまり考えられません。
ですが、事件によっては学校対応が必要になることもあり、その場合は少年事件に強い弁護士に相談することをお勧めします。
北海道苫小牧市の少年事件でお困りの方、子供が爆破予告で逮捕された方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。