刑事事件での黙秘権行使

刑事事件における黙秘権について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士が解説します。

~事件~

北海道千歳市在住のAさんは、千歳市内の会社に勤務する派遣社員です。
Aさんは、SNSで知り合った女子高生を金銭を支払い性交渉をしたとして、警察に逮捕されることになりました。
警察での取調べで、余罪について厳しく追及され、過去に同様の事件を起こしていないかどうかを聴取されました。
Aさんは、覚えていないと答えましたが、実際には他に5名の女子高生と金銭を支払い性交渉を行っていました。
正直にすべて話すべきかどうか迷ったAさんは、接見に来た弁護士に取調べ対応を相談し、黙秘権について詳しく聞きました。
(フィクションです)

【警察の取調べ】

事件を起こしてしまった場合、逮捕されれば当然のこと、逮捕されていなくても警察の取調べを受ける事となります。
警察の取調べは、取調室という密室で、犯人と警察官1対1で行われます。(補助官と呼ばれる警察官が同席する場合もある)
取調べする担当警察官は、事件の内容だけでなく、事件前の行動や、事件を起こした動機、時として家族や仕事の事まで聞いてきます。
当然、取調べを受ける者には、黙秘権(供述拒否権)という権利が法律で認められて、警察官の質問に答えなくても問題ありません。
しかし、警察官はあの手この手を使って供述を引き出そうとし、時には脅迫や暴行を用いた違法な取調べをする事もあります。
そのような違法な取調べ状況下で作成された供述調書には、証拠能力が認められない可能性が高いですが、取調べは密室で行われているので、後からを証拠能力を否定するのは非常に困難です。

【黙秘権とは】

黙秘権とは、刑事事件が行われる取り調べの際に、発言を拒否できる権利です。
黙秘権は、憲法と刑事訴訟法で認められている権利で、憲法には「何人も自己に不利益な供述を強要されない」と規定されています。
刑事訴訟法には、「取り調べに際しては、被疑者に対し、あらかじめ、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない」と規定されています。
ですので、捜査機関側が黙秘権があることを告げずに自白を強要した場合には、憲法や法律違反となります。

【黙秘権の行使】

では、黙秘権を行使する状況はどのようなタイミングがあるのでしょうか。
実際のケースでは、
警察からの取り調べを受けている時
検察官から取り調べを受けている時
裁判の場で尋問を受けている時
があります。
黙秘権を行使するには、取り調べが始まるタイミングに黙秘権を行使する旨伝えたり、終始黙り続けることで事足ります。
また、取り調べの過程で、余罪の取り調べが行われることもあり、逮捕された件については取り調べに応じ、余罪については黙秘権を行使するといったことも可能です。

【黙秘権の注意点】

黙秘権について解説しましたが、注意する点もあります。
まず、黙秘権を行使した場合、取り調べが難航し捜査が長引くことになり、身体拘束が長期化する可能性があります。
自白を強要されることは少なくなってきていますが、取り調べを多数回、長時間行い自白した方が楽になるような状況に持っていかれることもあります。
また、明らかな物的証拠がある場合には、黙秘権を行使してもあまり意味をなさないこともあります。
いずれの場合にも、取調べで黙秘権を行使するべきかどうかは、刑事事件に強い弁護士に相談した上で対応することをお勧めします。

北海道千歳市の刑事事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

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