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北海道札幌市厚別区にて、つきまといを繰り返したストーカー規制法違反事件を想定し解説

2023-11-12

北海道札幌市厚別区にて、つきまといを繰り返したストーカー規制法違反事件を想定し解説

嫌がる仕草

ストーカー事件については,警察への相談数も多く,大きな社会問題となっております。
今回は,ストーカー事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。

【事例】

北海道札幌市厚別区在住のAさんは、札幌市厚別区内の会社に勤める会社員です。
Aさんは同僚のVさんに恋慕していましたが、Vさんに袖にされたため、札幌市厚別区内のVさんの家の周りをうろつくなどしたうえで、Vさんに対して「あなたに交際相手がいないのは調査して分かっています。なぜ私と交際してくれないのですか。」「交際してくれるまでこの辺りをうろつき続けますよ。」などと発言しました。
Vさんは厚別区内を管轄する札幌方面厚別警察署の警察官に相談しました。

※事例はすべてフィクションです。

【ストーカー規制法の目的と定義】

ストーカー行為等の規制等に関する法律(略してストーカー規制法)」では,法律の目的として,「この法律は,ストーカー行為を処罰する等ストーカー行為等について必要な規制を行うとともに,その相手方に対する援助の措置等を定めることにより,個人の身体,自由及び名誉に対する危害の発生を防止し,あわせて国民の生活の安全と平穏に資することを目的とする。」と規定しております。

犯行は,「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」が必要となります。

「つきまとい等」は,上記目的で,当該特定の者又はその配偶者,直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し,次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいいます。
1 つきまとい,待ち伏せし,進路に立ちふさがり,住居,勤務先,学校その他その現に所在する場所若しくは通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし,住居等に押し掛け,又は住居等の付近をみだりにうろつくこと。
2 その行動を監視していると思わせるような事項を告げ,又はその知り得る状態に置くこと。
3 面会,交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。
4 著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
5 電話をかけて何も告げず,又は拒まれたにもかかわらず,連続して,電話をかけ,文書を送付し,ファクシミリ装置を用いて送信し,若しくは電子メールの送信等をすること。
6 汚物,動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し,又はその知り得る状態に置くこと。
7 その名誉を害する事項を告げ,又はその知り得る状態に置くこと。
8 その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き,その性的羞恥心を害する文書,図画,電磁的記録(電子的方式,磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって,電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この号において同じ。)に係る記録媒体その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置き,又はその性的羞恥心を害する電磁的記録その他の記録を送信し若しくはその知り得る状態に置くこと。

「位置情報無承諾取得等」とは,上記目的で,当該特定の者又はその配偶者,直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し,その承諾を得ないで,相手の位置情報を取得したり,位置情報が分かる道具を相手に取り付けさせたりすることをいいます。
相手のGPS情報を取得したり,GPS機器を相手に取り付けたりすることをいいます。

ストーカー行為」とは,同一の者に対し,つきまとい等又は位置情報無承諾取得等を反復してすることをいいます。
つきまとい等に関して,第1号から第4号までと,第5号の電子メールの送信等に係る部分の行為については,身体の安全,住居等の平穏若しくは名誉が害され,又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限ります。

何人も,つきまとい等又は位置情報無承諾取得等をして,その相手方に身体の安全,住居等の平穏若しくは名誉が害され,又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせてはなりません。

【ストーカー規制法における警告】

警視総監若しくは道府県警察本部長又は警察署長は,つきまとい等又は位置情報無承諾取得等をされたとして当該つきまとい等又は位置情報無承諾取得等に係る警告を求める旨の申出を受けた場合において,当該申出に係る違反する行為があり,かつ,当該行為をした者が更に反復して当該行為をするおそれがあると認めるときは,当該行為をした者に対し,更に反復して当該行為をしてはならない旨を「警告」することができます。

【ストーカー規制法における禁止命令等】

都道府県公安委員会は,違反する行為があった場合において,当該行為をした者が更に反復して当該行為をするおそれがあると認めるときは,その相手方の申出により,又は職権で,当該行為をした者に対し,次に掲げる事項を命ずる「禁止命令等」をすることができます。
1 更に反復して当該行為をしてはならないこと。
2 更に反復して当該行為が行われることを防止するために必要な事項
原則として聴聞を行わなければなりません。
禁止命令等の効力は,禁止命令等をした日から起算して1年です。
期間は1年ごとに延長することができます。

【ストーカー行為等での罰条】

ストーカー行為をした者は,1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処されることになります。
更に反復してつきまとい等又は位置情報無承諾取得等をしてはならないことの禁止命令等に違反してストーカー行為をした者は,2年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処されることになります。
更に反復してつきまとい等又は位置情報無承諾取得等をしてはならないことの禁止命令等に違反して,つきまとい等又は位置情報無承諾取得等をすることにより,ストーカー行為をした者も,同様となります。
更に反復してつきまとい等又は位置情報無承諾取得等をしてはならないことの禁止命令等に違反して,ストーカー以外の行為をした者は,6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されることになります。

【ストーカーに関するその他の条文】

ストーカー事件では,他にも以下のような刑法上の犯罪が問題になることがあります。

(住居侵入等)
第130条 正当な理由がないのに,人の住居若しくは人の看守する邸宅,建造物若しくは艦船に侵入し,又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は,三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

(傷害)
第204条 人の身体を傷害した者は,十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

(暴行)
第208条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは,二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

(脅迫)
第222条 生命,身体,自由,名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は,二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
2 親族の生命,身体,自由,名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も,前項と同様とする。

(強要)
第223条 生命,身体,自由,名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し,又は暴行を用いて,人に義務のないことを行わせ,又は権利の行使を妨害した者は,三年以下の懲役に処する。
2 親族の生命,身体,自由,名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し,人に義務のないことを行わせ,又は権利の行使を妨害した者も,前項と同様とする。
3 前二項の罪の未遂は,罰する。

(名誉毀損)
第230条 公然と事実を摘示し,人の名誉を毀損した者は,その事実の有無にかかわらず,三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
2 死者の名誉を毀損した者は,虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ,罰しない。

(侮辱)
第231条 事実を摘示しなくても,公然と人を侮辱した者は,一年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

他にも,私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(リベンジポルノ法)違反が問題になる可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律所札幌支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、ストーカー規制法違反など俗にストーカーと呼ばれる行為で刑事事件に発展した場合の弁護活動に対応しています。
北海道札幌市厚別区にて、ご自身がストーカー規制法違反で捜査を受けている方、家族がストーカー規制法違反で逮捕されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律所札幌支部にご連絡ください。

北海道札幌市白石区にて泥酔した被害者と性行為をして不同意性交等罪に問われたという事例を想定して解説

2023-11-09

北海道札幌市白石区にて泥酔した被害者と性行為をして不同意性交等罪に問われたという事例を想定して解説

嫌がる仕草

不同意性交等罪は、性的自由を侵害する重大な犯罪です。この罪について、具体的な事例を交えながら、その法的な枠組みと社会的な影響について解説します。

1. 不同意性交等罪とは

不同意性交等罪は、性的自由を侵害する行為に対して設けられた新しい法律です。
この罪は、被害者の同意なく性交等を行うことを犯罪と定めており、令和5年の刑法改正により、従来の強制性交等罪に代わって創設されました。
法定刑は5年以上の有期拘禁刑とされており、以下の3つの要件を満たす必要があります。

  1. 意に反する状態の利用
    被害者が意識不明、泥酔、睡眠中など、自己の意思を表明できない状態にあること。
  2. 同意の不在
    行為が行われた際、被害者が同意していないことが明白であること。
  3. 性交等の行為
    法律に定める性交等の行為が行われたこと。

この法律の下では、被害者の同意がない場合、たとえ暴力や脅迫がなくとも、加害者は重い刑事責任を負うことになります。
不同意性交等罪の成立は、被害者の自由意志に基づく同意の有無が鍵となり、これにより性的自由を尊重する法の精神が強調されています。

2. 想定事例

北海道札幌市白石区での出来事で不同意性交等罪に問われたという事例を想定して、検討します。
ある夜、白石区の静かな住宅街で、20代の女性が帰宅途中に泥酔状態に陥りました。
彼女は自宅近くの公園のベンチで意識を失い、その無防備な状態を利用され、性的暴行を受けるという事件が発生しました。

加害者は、札幌白石区に住むAさんで、被害女性が正常な判断ができないことを見計らって犯行に及びました。
この行為は、「アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。」(刑法176条1項3号)に乗じて性行為等をしたとされ、刑法177条1項に該当する、不同意性交等罪に該当します。
事件後、被害女性は札幌市白石区を管轄する札幌方面白石警察署の警察官に相談し、加害者は防犯カメラの映像などから特定されました。

札幌市白石区での事例はフィクションですが、このような事件(あるいは加害者2名以上が共謀して性的行為を行う)事件は少なくありません。

3. 法改正の背景

不同意性交等罪の創設に至った背景には、性犯罪に対する社会的な認識の変化があります。
令和5年に施行された刑法改正は、性的自由と尊厳をより強固に保護するためのものでした。
従来の法律では、強制性交等罪が存在しましたが、その適用には暴力や脅迫が伴う必要があり、被害者が抵抗できない状態での性交は「準強制性交等罪」として扱われていました。

しかし、この区分は被害者の受けた害の重大さを十分に反映していないとの批判がありました。
改正は、加害者の行為が被害者の同意なく行われた場合、その方法や手段に関わらず、一律に重い罪として扱うことを明確にしました。
これにより、被害者の意思が尊重され、性的自由が法的に保護される範囲が拡大されたのです。

この改正は、国際的な人権基準にも対応するものであり、性犯罪に対するより厳格な対応を求める世界的な動向を反映しています。
日本国内でも、性犯罪に対する意識が高まり、被害者支援の充実や、加害者に対する厳罰化の声が強まっていたことが、法改正の大きな推進力となりました。

4. 被害者との示談交渉

不同意性交等罪の立法において、被害者保護は最も重要な要素の一つです。
法律は、被害者が二次的な被害や社会的なスティグマに苦しむことなく、必要な支援と正義を受けられるように設計されています。

被害者支援の法的枠組み

被害者は、事件後の警察への届け出から裁判過程に至るまで、精神的なサポートを受ける権利があります。
これには、カウンセリングサービス、法的アドバイス、場合によっては匿名での支援が含まれます。
また、被害者が証言する際には、プライバシーを保護するための措置が講じられることが多く、これには非公開の審理や、証言のビデオ録画があります。

実際の支援体制

日本では、性犯罪被害者支援センターや女性相談所など、被害者を支援するための様々な組織が存在します。
これらの組織は、被害者が経験したトラウマに対処し、社会復帰を支援するための専門的なサービスを提供しています。
また、法律事務所やNPO法人と連携し、被害者が法的な手続きを進める際の支援も行っています。

このような支援体制は、被害者が自らの権利を主張し、適切な治療と法的救済を求めるための基盤を提供します。
不同意性交等罪の被害者に対する包括的な支援は、社会全体で性犯罪に対する意識を高め、被害者が正義を求めることを後押しするものです。

5. 加害者の法的責任

不同意性交等罪における加害者の法的責任は、日本の刑法において厳しく定められています。
この罪に問われた場合、加害者は重い刑事罰に直面することになります。

刑罰の規定

不同意性交等罪の法定刑は、5年以上の有期懲役刑です。
これは、被害者の意に反する性交等を行った加害者に対して、その行為の重大性を反映した刑罰を科すためのものです。
さらに、被害者に対する暴力や脅迫が伴う場合は、より重い刑罰が科される可能性があります。

法的責任の重さ

加害者が被害者の意思に反して性交等を行ったという事実は、社会的にも倫理的にも許されない重大な犯罪行為と見なされます。
このため、加害者は刑事責任のみならず、社会的な非難や職業的な制裁を含む広範な影響に直面することになります。

法的責任を問うプロセス

加害者に対する法的責任を問うプロセスは、警察の捜査から始まります。
捜査が終了すると、検察官が起訴を決定し、裁判所が審理を行います。
裁判では、加害者の行為の事実関係が詳細に検討され、被害者の証言や証拠が重要な役割を果たします。

この法的プロセスを通じて、不同意性交等罪の加害者は、その行為に対する責任を法的に問われ、社会からの正義の実現に寄与します。

6. 示談と刑事弁護

不同意性交等罪における示談は、加害者と被害者間での合意に基づく解決策です。
しかし、この犯罪の性質上、示談が成立することは少なく、法的な過程を経ることが一般的です。

示談の可能性

示談は、被害者が加害者に対して民事上の賠償を求める場合に検討されることがあります。
加害者が被害者に対して損害賠償を行い、被害者がそれを受け入れることで、民事訴訟を避けることができます。
しかし、刑事責任は民事和解の対象外であり、示談が刑事訴追を停止させるものではありません。

刑事弁護のプロセス

刑事弁護は、加害者が刑事訴訟において自己の権利を守るために行う法的な手続きです。
弁護士は、証拠の収集や証人尋問を通じて、加害者の行為の事情を明らかにし、法的な防御を構築します。
また、弁護士は、加害者が公正な審理を受け、適切な刑罰が科されるよう努めます。

不同意性交等罪の場合、刑事弁護のプロセスは特に複雑であり、加害者の行為の意図や被害者の同意の有無が重要な争点となります。
このプロセスを通じて、加害者は法的な責任を全うし、被害者は正義を求めることができます。

7. まとめと弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の紹介

この記事では、不同意性交等罪に関する重要な側面を詳細に解説しました。
この罪は、被害者の性的自由と尊厳を保護するために設けられたもので、加害者には重い刑事責任が課されます。
法改正の背景、被害者の保護、加害者の法的責任、示談と刑事弁護のプロセス、そして社会的影響と予防策について考察しました。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の役割

札幌市に位置する弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、不同意性交等罪を含む様々な刑事事件に対応しています。
この法律事務所は、被告人の権利を守り、公正な裁判を受けるためのサポートを提供しています。
また、被害者の立場からの支援も行い、法的な救済と心のケアを提供しています。

専門的なサービス

  • 刑事事件に関する法的アドバイス
  • 被告人の権利保護
  • 被害者支援とカウンセリング
  • 示談交渉のサポート

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、経験豊富な弁護士チームにより、刑事事件に関わるすべての人々に対して、専門的かつ総合的なサポートを提供しています。
不同意性交等罪に関する法的問題に直面している場合、この法律事務所は信頼できる選択肢となるでしょう。

北海道札幌市白石区にて、家族が不同意性交等罪で逮捕・勾留された場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。

北海道江別市内で盗撮した性的姿態等撮影罪で捜査を受けた事例を想定して、性的姿態等撮影罪の成立する要件などについて解説

2023-11-06

北海道江別市内で盗撮した性的姿態等撮影罪で捜査を受けた事例を想定して、性的姿態等撮影罪の成立する要件などについて解説

女性のスカートの中を盗撮する事件を起こしてしまい,当事務所に相談・依頼される方は少なくありません。
自分のスマートフォンのカメラで簡単に出来ることから,盗撮は想像する以上に頻繁に行われていると思われます。
つい出来心で好奇心から盗撮してしまったりする場合だけでなく,常習的に盗撮を繰り返す人もいます。
逮捕され,悪質な場合は実名報道されることもあります。
勤務先や学校にばれてしまい,懲戒解雇や退学処分となってしまうこともあります。
今回は,このようなスカート内の盗撮事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。

<想定事例>

北海道江別市在住のAさんは、江別市内の会社に勤める会社員です。
Aさんは、事件当日、江別市内を走行中の列車内で、スカートを履いた女性Vさんのスカート内にスマートフォンのカメラを差し向ける方法で盗撮行為をしていたところ、別の乗客がAさんの盗撮行為に気付き、通報を受けて臨場した江別市内を管轄する札幌方面江別警察署の警察官により性的姿態当撮影罪で取調べを受けました。

<性的姿態等撮影>

今年,国会で,「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」が成立いたしました。
略して性的姿態撮影等処罰法ともいいます。
これまでは盗撮に関して,各地方公共団体の条例で刑罰が規定されていましたが,これを国の統一した法律で刑罰を規定し,犯罪の成立範囲を広げ,罰則も重くなりました。
盗撮行為の多さや被害の重さから,社会的に厳しく対処することになりました。

正当な理由がないのに,ひそかに,人の性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部,臀部又は胸部をいう。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており,かつ,性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分である性的姿態等を撮影したら,性的姿態等撮影罪が成立し,3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金に処されることになります。
スカート内をカメラで盗撮することは,正当な理由なくひそかに女性の下着を撮影することになるので,性的姿態等撮影罪が成立することになります。

刑法第176条(不同意わいせつ罪)第1項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により,同意しない意思を形成し,表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて,人の対象性的姿態等を撮影する行為も,性的姿態等撮影罪が成立することになります。
刑法第176条第1項各号は,以下のとおりです。
一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
五 同意しない意思を形成し,表明し又は全うするいとまがないこと。
六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ,若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し,若しくは驚愕していること。
七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
ひそかにでなくても,上記のように女性が同意していない状況で下着を撮影したら,性的姿態等撮影罪が成立します。

また,行為の性質が性的なものではないとの誤信をさせ,若しくは特定の者以外の者が閲覧しないとの誤信をさせ,又はそれらの誤信をしていることに乗じて,人の対象性的姿態等を撮影する行為も,性的姿態等撮影罪となります。
他の人に見せないと嘘を言って女性を騙して下着を撮影したら,性的姿態等撮影罪が成立します。

ちなみに,正当な理由がないのに,13歳未満の者を対象として,その性的姿態等を撮影し,又は13歳以上16歳未満の者を対象として,当該者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者が,その性的姿態等を撮影する行為も,性的姿態等撮影罪が成立することになります。
基本的に女性が16歳未満であれば,女性の同意があっても下着を撮影したら犯罪となります。

未遂行為も罰せられることになります。
実際に撮影できなかったとしても,スカートの下からカメラを向けたら,犯罪が成立することになります。

<逮捕されたら>

スカート内の盗撮行為がその場で発覚したら,警察を呼ばれて逮捕される可能性があります。
逮捕・勾留されたら,長期間身体拘束される可能性もあります。
直ぐに弁護士を呼んで,アドバイスを受ける必要があります。
捜査機関の取調べに対し,具体的にどのように対応すればいいかを弁護士と相談することになります。
被害者への示談活動や,身体拘束から解放するための釈放活動を,弁護士を通じて行うことになります。

取調べでは,記憶に従って話すことになります。
しかし,警察が違法不当な取調べをして,威圧してきたり,話を不当に誘導してきたりする場合もあります。
状況に応じて,黙秘や抗議をしなければなりません。
具体的にどのように話すのか,それとも黙秘する必要があるのか,弁護士とよく相談することになります。
特に,実際には盗撮行為をしていないにも関わらず,盗撮を疑われて逮捕された場合は,慎重な対応が必要です。
裁判も見据えて,取調べに対して毅然とした対応をしていく必要があります。

示談活動は,弁護士が捜査機関を通じて被害者に接触し,話し合うことになります。
謝罪と誠意を示しながら,示談金の交渉をしていくことになります。
被害者へ近づかないことや,事件現場へ近づかないこと,事件の現場となった公共交通機関を利用しないこと,等も含めて話し合うことになります。
被害者が応じてもらえたら,示談書を作成し,示談金を支払うことになります。
示談が成立したら絶対に検察官が不起訴にするということではありません。
検察官は,示談の成立だけでなく,犯行の悪質性や犯人の反省や前科前歴や再犯可能性等を総合して考慮し,起訴不起訴を判断していくことになります。
なので,示談を成立させることだけが弁護士の仕事ではありません。
環境調整も含めて話し合い,実施していくことになります。

逮捕されたら,釈放を求めていくことになります。
身体拘束は,証拠隠滅や逃亡のおそれが認められることを根拠としております。
そこで,弁護士は,証拠隠滅や逃亡のおそれがないことを説得的に主張していくことになります。
特に,スカート内の盗撮事件であれば,通常はお互い赤の他人であることが多いので,被害者へ不当な働きかけをすることは不可能で,証拠隠滅のおそれがないことを強調することになります。
もちろん,示談が成立したら,それ以上の証拠隠滅や逃亡のおそれはないと主張していくことになります。

<事件が発生したらすぐに弁護士へ相談しましょう>

刑事事件はスピードが非常に重要です。
すぐに弁護士に連絡し,相談して依頼しましょう。
逮捕後最大72時間は,たとえ家族の方でも逮捕された人との接見ができませんが,弁護士が代わりに連絡を取ってくれます。
逮捕された場合,最長で23日間,身体が拘束されますが,その間に検察官が起訴をするかどうかを判断します。
検察官が起訴の判断をする前に,示談を成立させなければなりません。
非常に限られた時間で活動しなければならず,急がなければなりません。
また,逮捕直後に不当な取調べが行われ,不利な内容の調書が作成されてしまうかもしれません。
早く弁護士が接見し,取調べへの対応方法に関してきちんとしたアドバイスをする必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,刑事を専門とする弁護士が迅速に対応いたしますので,お気軽にお電話ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では,刑事事件に関するご相談を初回無料で承っております。
北海道江別市にて、性的姿態等撮影(盗撮)事件を起こしてしまい捜査を受けている方は、
フリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)
までお気軽にお電話ください。

北海道札幌市中央区での事例を想定して検討する:わいせつ電磁的記録記録媒体頒布罪とは

2023-11-03

北海道札幌市中央区での事例を想定して検討する:わいせつ電磁的記録記録媒体頒布罪とは

北海道札幌市中央区での無修正DVD販売したことでわいせつ電磁的記録記録媒体頒布罪に問われたという事例を想定して、弁護士法人あいち刑事事件総合法律所札幌支部が解説しています。

事例

北海道札幌市中央区で起こった事例を想定します。ここでは、Aさんという個人が、生活苦から被写体に許可を得て撮影した性行為の動画をDVDに焼いて販売しようと考えました。
Aさんは、性器などがモザイク処理されていない無修正動画を含むDVDを、自身の店舗で販売していました。
しかし、情報提供を受けて捜査を開始した北海道警察署の警察官によって家宅捜索を受けることになり、Aさんは札幌市中央区にある札幌方面中央警察署にて「電磁的記録記録媒体頒布」の罪で捜査を受けることになりました。Aさんは在宅で捜査を受けることになり、不安になり弁護士に相談しました。

法的背景

わいせつ電磁的記録記録媒体頒布罪についての法的背景を解説します。
この罪は、日本の刑法175条に基づいています。この条文は、わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体、その他の物を頒布、または公然と陳列した者を罰するものです。
具体的には、性器等がモザイク処理されていない無修正の映像や画像を含む電磁的記録媒体(例えばDVD)の頒布が、この罪に該当します。
この法律は、公共の道徳と秩序を保護するために設けられており、わいせつ物の流通を厳しく規制しています。
札幌市中央区の事例のように、無修正DVDの販売はこの法律によって明確に禁止されており、違反した場合には刑事罰が科せられることになります。

罪の成立要件

わいせつ電磁的記録記録媒体頒布罪とわいせつ電磁的記録記録媒体有償頒布目的所持罪の成立要件について解説します。
これらの罪は、刑法175条に基づき、わいせつな内容を含む電磁的記録媒体の頒布や所持に関連しています。
頒布罪は、わいせつな内容を含む電磁的記録媒体を他人に渡す行為、例えば販売や配布などが該当します。
一方、所持罪は、有償で頒布する目的でわいせつな電磁的記録媒体を所持している場合に成立します。これは、販売のために在庫を持っている状況などが該当します。
札幌市中央区の事例では、Aさんが無修正DVDを販売するために所持していたことが、所持罪の成立要件を満たしています。
このように、わいせつ物の頒布と所持は、それぞれ別の要件を満たす必要があり、どちらも法律によって厳しく規制されています。

判例と裁判の流れ

わいせつ電磁的記録記録媒体頒布罪に関連する判例と裁判の流れについて見ていきましょう。
この種の事件では、裁判所は違法性の認識、販売期間、販売量や売上金額、税務申告の有無などを総合的に考慮して量刑を決定します。
例えば、札幌市中央区の事例では、Aさんは数年にわたり無修正DVDを販売していたこと、違法性の認識があったことが考慮されました。
裁判では、被告人の反省の意志や社会復帰の可能性も重要な要素となります。Aさんのケースでは、家族の証人尋問を通じて、反省の意を示し、実刑回避を図る弁護戦略が取られました。
このように、わいせつ電磁的記録記録媒体頒布罪に関する裁判では、多角的な視点から被告人の行動とその背景を検討し、適切な判決を下すことが求められます。

法的教訓と社会的影響

最後に、わいせつ電磁的記録記録媒体頒布罪から学ぶ法的教訓とその社会的影響について考察します。
札幌市中央区の事例は、わいせつ物の頒布がいかに厳しく取り締まられているかを示しています。
このような法律は、公共の道徳と秩序を守るために存在し、わいせつ物の流通を防ぐことで社会全体の健全性を保つことを目的としています。
また、この事例は、個人がどのような状況にあっても、法律を遵守することの重要性を教えてくれます。
法律違反は、たとえ生活苦や他の困難な状況が背景にあったとしても、許されるものではありません。
この事件から、私たちは法律の枠組み内で行動することの重要性と、法律違反に対する厳しい社会的な見方を学ぶことができます。

まとめと弁護士法人あいち刑事事件総合法律所札幌支部の解説

本記事では、北海道札幌市中央区でのわいせつ電磁的記録記録媒体頒布罪の事例を通じて、この罪の法的背景、成立要件、裁判の流れ、弁護戦略、そして法的教訓と社会的影響について考察しました。

この事例から、わいせつ物の頒布や所持がいかに厳しく取り締まられているかが明らかになります。また、法律違反に対する社会的な見方の厳しさと、法律を遵守することの重要性が強調されています。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律所札幌支部では、このような刑事事件における法的支援を提供しています。彼らの専門家チームは、被疑者・被告人の権利を保護し、最善の結果を得るための戦略を練ることに長けています。

彼らの解説によると、刑事事件における弁護は、単に法的な側面だけでなく、被告人の人間性や社会的背景を考慮することが重要です。これにより、裁判所に対して被告人の更生の可能性を訴え、より公正な判決を求めることができます。

北海道札幌市中央区にて、わいせつ電磁的記録記録媒体陳列罪で家宅捜索を受けた方、取調べを受けた方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律所札幌支部にご連絡ください。在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受けることができます。

痴漢事件と不同意わいせつ罪

2023-10-27

痴漢事件と不同意わいせつ罪

日常生活で耳にする「痴漢」と「不同意わいせつ罪」。 これらは一見似ているが、法的には大きな違いがあります。 この記事では、その違いと具体的な事例を交えて解説します。

1 痴漢事件(迷惑防止条例違反)とは?

痴漢とは、一般的に公共の場所で他人の身体に触れる行為を指します。
このような行為は、多くの場合、各都道府県が定める「迷惑防止条例」に違反するとされています。

例えば、北海道迷惑行為防止条例では、公共の場所や乗物にいる者に対して、正当な理由がないのに身体に触れる行為が禁止されています。
具体的には、条例の文言に「何人も、正当な理由がないのに、公共の場所又は公共の乗物にいる者に対し、著しく羞恥させ、又は不安を覚えさせるような方法で、身体に触れること」とあります。

このように、痴漢行為は地域によっては条例で規制されており、違反者には罰則が科されます。
罰則の内容は条例によって異なる場合がありますが、一般的には罰金や懲役刑(拘禁刑)などが考えられます。

2 事例(痴漢事件)

Aさんは北海道小樽市に住む一般の会社員です。
事件当日、Aさんは函館本線に乗車していました。

電車内で、Aさんは眠っているVさんを見つけました。
その瞬間、Aさんは劣情を催し、Vさんの股間付近を服の上から触りました。

5分ほど経過した後、Vさんは目を覚まし、Aさんの行為に気づきました。
すぐに駅員に被害を申告し、その後、小樽警察署の警察官が臨場しました。

当初、Aさんは痴漢事件(迷惑防止条例違反)で捜査を受けていました。
しかし、車内の防犯カメラの映像を確認した結果、捜査は不同意わいせつ罪の嫌疑に変わりました。

この事例からわかるように、痴漢事件は迷惑防止条例違反として捜査が始まることが多いです。
しかし、状況や証拠によっては、罪状が変わる可能性もあります。

3 不同意わいせつ罪とは?

不同意わいせつ罪は、刑法に基づく犯罪の一つです。
この罪は、相手の同意がない状態でわいせつな行為を行った場合に適用されます。

具体的には、刑法176条1項により、「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、6月以上10年以下の拘禁刑に処する」と定められています。

この条文からわかるように、不同意わいせつ罪は被害者が「同意しない意思を形成し、表明することが困難な状態」にある場合、特に重視されます。
例えば、被害者が眠っている、または意識が不明瞭な状態である場合などが該当します。

罰則としては、6月以上10年以下の拘禁刑が科される可能性があります。
これは、迷惑防止条例違反(痴漢)と比べても、はるかに重い罰則が科されることを意味します。

4 事例(不同意わいせつ罪)

先に紹介したAさんのケースを再度取り上げます。
Aさんは、函館本線の電車内で眠っているVさんに対して、わいせつな行為を行いました。

この行為は、当初は痴漢事件(迷惑防止条例違反)として捜査が始まりましたが、車内の防犯カメラの映像を基に、不同意わいせつ罪の嫌疑に変更されました。

このケースでは、Vさんが「眠っている」状態であったため、刑法176条1項にある「同意しない意思を形成し、表明することが困難な状態」に該当します。
そのため、Aさんの行為は不同意わいせつ罪として評価されました。

この事例から、不同意わいせつ罪は被害者の状態や行為の性質によって、痴漢事件よりも重い罪として扱われる可能性が高いことがわかります。

また、不同意わいせつ罪での立件は、目撃者や防犯カメラの映像など、確固たる証拠が必要とされる場合が多いです。

5 痴漢と不同意わいせつ罪の違い

痴漢と不同意わいせつ罪は、一見似ているように感じられるかもしれませんが、法的にはいくつかの重要な違いがあります。

法的根拠

まず、痴漢は主に各都道府県の「迷惑防止条例」に基づいています。
一方で、不同意わいせつ罪は「刑法」に基づいています。

罰則の重さ

痴漢での罰則は、一般的には罰金や拘禁刑が考えられます。
しかし、不同意わいせつ罪では、6月以上10年以下の拘禁刑しか用意されていないため、。

適用される状況

痴漢は、公共の場所で他人の身体に触れる行為が対象です。
不同意わいせつ罪は、被害者が「同意しない意思を形成し、表明することが困難な状態」にある場合に適用されます。

証拠の必要性

痴漢は目撃者や防犯カメラの映像などがあれば立件が容易ですが、不同意わいせつ罪ではより確固たる証拠が求められる場合があります。

6 どちらの罪に当たるか?

痴漢と不同意わいせつ罪は、法的には異なる罪ですが、実際の事件ではどちらの罪に当たるのかが問題となる場合があります。

行為による違い

痴漢行為と不同意わいせつ罪との関係性は、いうなれば延長線上にあります。そして、その境界線は明確ではありません。たとえば、「下着の上からであれば痴漢、下着の中に手を入れたら不同意わいせつ」などと決まっているわけではなく、下着の上から行った行為であっても不同意わいせつ罪が適用されることはあります。

事例からの学び

先に紹介したAさんのケースでは、当初は痴漢事件として捜査が始まりましたが、後に不同意わいせつ罪に変更されました。
このように、捜査の進行や新たな証拠が出てくることで、罪状が変わることがあります。

証拠の重要性

特に不同意わいせつ罪では、確固たる証拠が必要とされる場合が多いです。
例えば、防犯カメラの映像や目撃者の証言などが、罪状を決定づける重要な要素となります。

罪の重さと影響

痴漢と不同意わいせつ罪では、罰則の重さが大きく異なります。
そのため、どちらの罪に当たるかによって、受ける社会的・法的な影響も大きく変わります。

7 まとめと注意点

この記事を通じて、痴漢と不同意わいせつ罪の違いについて詳しく解説してきました。

法的根拠の違い

痴漢は主に迷惑防止条例に、不同意わいせつ罪は刑法に基づいています。

罰則の違い

痴漢は罰金や拘留が一般的ですが、不同意わいせつ罪では6月以上10年以下の拘禁刑が科される可能性があります。

状況と証拠

同一の行為でも、状況や証拠によって罪状が変わる可能性があります。

注意点

  • 痴漢や不同意わいせつ行為は、法的にも社会的にも重大な犯罪です。
  • 事前に法的な知識を持つことで、不必要なトラブルを避けることができます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。

北海道小樽市を走行中の函館本線にて痴漢行為をしてしまい、北海道迷惑行為防止条例違反や不同意わいせつ罪で捜査を受けている・家族が逮捕されているという場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。

性犯罪について

2023-10-03

性犯罪について

刑事事件で性犯罪は非常に多く、当事務所にも多数の相談・依頼があります。
今回は、主な性犯罪の概要について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。

<盗撮>

性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律
(性的姿態等撮影)
第二条 次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
一 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為
イ 人の性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分
ロ イに掲げるもののほか、わいせつな行為又は性交等(刑法(明治四十年法律第四十五号)第百七十七条第一項に規定する性交等をいう。)がされている間における人の姿態
二 刑法第百七十六条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
三 行為の性質が性的なものではないとの誤信をさせ、若しくは特定の者以外の者が閲覧しないとの誤信をさせ、又はそれらの誤信をしていることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
四 正当な理由がないのに、十三歳未満の者を対象として、その性的姿態等を撮影し、又は十三歳以上十六歳未満の者を対象として、当該者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者が、その性的姿態等を撮影する行為
2 前項の罪の未遂は、罰する。
3 前二項の規定は、刑法第百七十六条及び第百七十九条第一項の規定の適用を妨げない。

正当な理由がないのに、密かに、他人の裸や下着等を盗撮したら、犯罪が成立します。
スカートの中をスマートフォンカメラで盗撮したり、温泉施設やトイレにカメラを設置して盗撮したりする事件が多いです。
女性の家に侵入して、カメラを設置して盗撮する事件も少なくありません。

密かにでなくても、相手が同意しない状況等で裸や下着等を撮影したら、犯罪が成立します。
相手が同意しない具体的状況としては、後述の不同意わいせつ罪の各号があります。

相手の同意があっても、相手を騙して裸や下着等を撮影したら、犯罪が成立します。
医療行為で必要だと嘘を言って騙したり、自分以外には見せないと嘘を言って騙したり、することが考えられます。

相手が16歳未満であれば、真の同意があっても、裸や下着等を撮影したら、犯罪が成立します。
相手が13歳以上16歳未満の場合は、相手との年齢差が5歳未満であれば、犯罪は成立しません。

これらの犯罪は、未遂でも罰せられます。
撮影までは実施していなくても、撮影のためにカメラを向けたり設置したら、未遂罪として処罰されることになります。

同時に不同意わいせつ罪や監護者わいせつ罪が成立することもあります。

<痴漢・北海道迷惑行為防止条例違反>

北海道迷惑行為防止条例
(卑わいな行為の禁止)
第2条の2 何人も、正当な理由がないのに、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 公共の場所又は公共の乗物にいる者に対し、著しく羞恥させ、又は不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をすること。
ア 衣服等の上から、又は直接身体に触れること。
(罰則)
第11条 第2条の2、第6条又は第9条第1項の規定のいずれかに違反した者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
2 常習として、第2条の2、第6条又は第9条第1項の規定のいずれかに違反した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

いわゆる痴漢として、電車等で女性のお尻等を触れば、犯罪が成立します。
常習的に犯行を繰り返していたら、より重い処罰となります。
アルコールで酔っぱらって痴漢をしてしまうケースも多くあります。
より程度が強く、女性の陰部や胸を直接触ったりするような場合は、不同意わいせつ罪が成立します。

<公然わいせつ>

(公然わいせつ)
第百七十四条 公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

外の人がいる場所で下半身を露出して見せつけるようなことをしたら、公然わいせつ罪が成立します。

<不同意わいせつ>

(不同意わいせつ)
第百七十六条 次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、六月以上十年以下の拘禁刑に処する。
一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
2 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、わいせつな行為をした者も、前項と同様とする。
3 十六歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。

相手の同意なくわいせつな行為をしたら、不同意わいせつ罪が成立します。
同意しない状況として各号に記載がありますが、不同意の場合が広く含まれており、犯罪が成立しやすくなっております。
安易に相手が同意していると思っていたと主張しても、主張が認められる可能性は低いです。

相手の同意があっても、相手を騙してわいせつな行為をしていたら、犯罪が成立します。
医療行為で必要だと言って騙したり、暗闇の中で恋人と偽って騙したり、してわいせつな行為をするケースが考えられます。

相手が16歳未満であれば、真の同意があってもわいせつな行為をしたら犯罪が成立します。
相手が13歳以上16歳未満の場合は、相手との年齢差が5歳未満であれば、犯罪は成立しません。

<不同意性交等>

(不同意性交等)
第百七十七条 前条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第百七十九条第二項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、五年以上の有期拘禁刑に処する。
2 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、性交等をした者も、前項と同様とする。
3 十六歳未満の者に対し、性交等をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。

不同意わいせつ罪と同じく、相手が同意しない状況で性交等をしたら、不同意性交等罪が成立します。
性交等は、性交、肛門性交、口腔性交だけでなく、膣若しくは肛門に指等の身体の一部や性的なおもちゃ等の物を挿入する行為であってわいせつなもの、が含まれます。
加害者・被害者ともに男女関係なく成立することになります。

相手の同意があっても、相手を騙して性交等をしていたら、犯罪が成立します。
医療行為や宗教行為で必要だと言って騙したり、暗闇の中で恋人と偽って騙したり、して性交等をするケースが考えられます。

相手が16歳未満であれば、真の同意があっても性交等をしたら犯罪が成立します。
相手が13歳以上16歳未満の場合は、相手との年齢差が5歳未満であれば、犯罪は成立しません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、これまでに数多くの性犯罪事件の加害者側の弁護活動を行ってまいりました。
性犯罪事件の多くは被害者がいるものであり、適切な弁護活動を行わなければ逮捕されて長期間の勾留が行われたり、刑事裁判で厳しい刑事処罰が科せられたりするおそれがあります。
北海道札幌市にて、性犯罪事件を起こしてしまい自首を検討している方警察官から呼び出しを受けている方家族が逮捕・勾留されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご連絡ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受けることができます。
家族が逮捕・勾留されている場合はこちら。

繰り返し電話を掛けるストーカー行為

2023-09-27

繰り返し電話を掛けるストーカー行為

近年、スマートフォンの普及と共に、繰り返し電話を掛けるようなストーカー行為が増加しています。
このような行為が法的にどのように評価されるのか、成立する罪とその弁護について解説します。

成立する罪の概要

繰り返し電話を掛ける行為がもたらす法的な問題は多岐にわたります。
まず最も直接的なのは、「ストーカー規制法」による罰則です。
ただし、この法律以外にも刑法の「威力業務妨害」や「脅迫」に当たる場合もあります。
さらに、個人情報の不正利用が絡む場合は、個人情報保護法による罰則も考えられます。
これらは主なものであり、状況によっては他の法律に抵触する可能性もあります。
このような多様な法的リスクについては、具体的に次の項目で詳細に解説します。

「ストーカー規制法」に基づく罰則

ストーカー規制法」では、特定の個人に対して繰り返し無用な連絡をする行為が規制されています。
繰り返し電話を掛ける行為は、この法律においても明確に禁止されており、違反した場合には罰金または懲役刑が科されます。
一般に、初犯であれば罰金が科されることが多いですが、事案によってはより重い刑罰が適用される場合もあります。
この法律に基づくと、警告・指導を受けた後も行為が改善されない場合、罰則が適用される確率が高くなります。
また、被害者が明示的に連絡を拒否したにも関わらず繰り返し電話を掛けた場合、より厳しい判決が下される可能性があります。

刑法における「威力業務妨害」

ストーカー行為が「ストーカー規制法」に該当しない場合でも、日本の刑法にはそのような行為を罰する条項がいくつか存在します。
特に、「威力業務妨害」という罪が該当することがあります。
この罪は、他人の業務を妨害する行為を罰するもので、ストーカー行為が被害者の仕事に支障をきたした場合などに適用されることがあります。
繰り返し電話を掛ける行為が業務に支障をきたした場合、この罪に問われる可能性があります。
例えば、被害者が仕事中に繰り返し電話がかかってくることで、仕事に集中できなくなったといった場合です。
この罪での有罪判決が下されると、罰金または懲役刑が科されることとなります。

弁護活動の基本的なステップ

繰り返し電話を掛けるストーカー行為で逮捕・起訴された場合、即座に弁護士に相談することが重要です。
第一歩として、弁護士は事実関係の確認を行います。
これには、電話の内容、頻度、被害者との関係性、以前からのトラブルの有無などが含まれます。
次に、これらの情報に基づいて最も有効な弁護戦術を練ります。
具体的には、事実を否認する場合、証拠の提出や証人の尋問が行われます。
また、事実を認める場合でも、心情酌量や過去の事例、類似ケースとの比較などを用いて、刑罰の軽減を図ることがあります。
弁護士はまた、被告人の人格や生活状況を考慮し、裁判で有利な情報を提出する場合もあります。

具体的なケースで有力な弁護戦術

ストーカー行為の繰り返し電話に関して、弁護士が用いる有力な戦術はいくつかあります。
例えば、被害者が電話を一切拒否していなかった場合、その点を強調してストーカー行為の意図を否定することがあります。
また、電話の内容が一般的なものであった場合、特定の人を威圧・妨害する目的がなかったと主張することも考えられます。
さらに、電話の頻度がそれほど高くなく、被害者の日常生活や業務に影響を及ぼしていないと証明できる場合、罰則の軽減や無罪を主張する材料となることもあります。
ただし、これらの戦術は事案によって効果が異なるため、弁護士としっかりと相談して最適な戦術を選ぶ必要があります。

総括

本記事では、繰り返し電話を掛けるストーカー行為に関連する法的側面と弁護活動について解説しました。
ストーカー行為に該当する可能性がある罪、具体的には「ストーカー規制法」や刑法の「威力業務妨害」が説明されました。
また、加害者が逮捕・起訴された場合の弁護活動の基本的なステップと有力な弁護戦術についても触れました。
被害者側の対応と法的手続きにも焦点を当て、どのような行動が有効かについて解説しました。
この情報が、ストーカー行為に関する理解を深める一助となれば幸いです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部について

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件を専門とする法律事務所です。
ストーカー行為をはじめとする様々な刑事事件に対応しており、豊富な経験と専門知識を有する弁護士が在籍しています。
個々のケースに対する柔軟な対応と確かな法的サービスを提供しており、被害者から加害者まで幅広いクライアントの法的問題を解決しています。
何か問題や不明点があれば、気軽にご相談いただけます。

被害者への電話を繰り返し行った場合のストーカー規制法違反

2023-09-15

被害者への電話を繰り返し行った場合のストーカー規制法違反

ストーカー規制法は、特定の人物に対する執拗な行為を規制する法律です。
その中でも、被害者への電話を繰り返し行うことも犯罪行為とされています。
この記事では、被害者への電話によるストーカー規制法違反について、事例を交えながら成立要件や罰則の違いに焦点を当てます。

1 ストーカー規制法の目的と概要

ストーカー規制法は、特定の人物に対する不必要な追跡や接触を禁止する法律です。
この法律は、1999年に施行され、その後何度も改正されています。
目的は、個人の尊厳と安全を保障するためです。
初めてこの法律に触れる方にとって、”ストーカー規制法”とは何か、どういった行為が規制されるのかを理解する基礎となります。
具体的には、この法律が規制する行為には、手紙やメール、電話などの通信手段を用いたものも含まれています。
このような多様な手段によるストーカー行為が問題とされ、法的に罰せられるようになっています。
特に近年は、SNSなどのデジタルメディアが進化していることで、新たな形態のストーカー行為も増加しています。

2 電話を繰り返す行為の成立要件

電話によるストーカー行為も、ストーカー規制法において明確に規制されています。
しかし、ただ電話をしただけでこの法律に抵触するわけではありません。
成立要件とは、法律が規制する行為が具体的にどのような条件下で「違法」とされるかを明示するものです。
この場合、重要な要件は以下の三つです。

意図的な行為: 電話は被害者に対して意図的にかけられている必要があります。
反復性: 一度や二度の電話ではなく、反復的な電話が必要です。
被害者の不安や恐怖: 電話によって被害者が不安や恐怖を感じていること。
一般に、これらの要件が揃った場合に初めて、電話によるストーカー行為として法的な問題が発生します。
要件がすべて揃っていない場合、その行為はストーカー規制法の適用外となりますが、それでも他の法律に抵触する可能性があります。
したがって、注意が必要です。

3 一般的な事例とその判断基準

ストーカー行為における電話は多様であり、具体的な事例を知ることは理解を深める上で非常に有用です。
例えば、過去には「毎日同じ時間にかける」「内容は一言も話さずに切る」など、様々な形態の事例が報告されています。

頻繁な電話: 毎日何度も電話をかける場合、その反復性は明らかであり、法的に問題視されるケースが多いです。
内容のない電話: 何も話さずにすぐに切るような電話も、被害者に不安や恐怖を与える場合があります。
無言の電話: 電話をかけてきて何も言わずにいるケースもあり、これもまた被害者にストレスを与えることが多いです。
これらの事例を見ると、法的な判断は単純に電話の回数や内容だけでなく、被害者がどれだけ不安や恐怖を感じたかも大きな要素となります。
また、これらの行為が一回や二回のものであれば法的に問題ない可能性もありますが、反復性が確認されるとストーカー規制法に触れる可能性が高まります。

4 被害者の感じ方が影響する要素

ストーカー規制法違反が成立するかどうかにおいて、被害者がどれだけ不安や恐怖を感じたかが重要な要素となります。
この「感じ方」は、一般的には主観的なものであるため、法的に評価するにはいくつかの基準が考慮されます。

明示的な拒否の有無: 被害者が明示的にストーカー行為を拒否していた場合、その後に行われる行為は法的に厳しく評価されることが多いです。
被害者の心理的状態: 既にストレスや心的外傷を抱えている場合、その状態が更に悪化する可能性が高く、法的には重視されます。
被害届や警察への相談: 被害者が被害届を出したり、警察へ相談を持ちかけている場合は、その恐怖や不安が高いレベルにあると判断されます。
被害者が不安や恐怖を感じていると判断される要素が多いほど、ストーカー規制法による罰則も厳しくなります。
このような状況下では、加害者がどれだけ「善意」で行動していたとしても、その行為が法的に問題視される可能性が高くなります。

5 罰則の種類とその違い

ストーカー規制法違反の罰則はいくつかの種類があり、その重さもケースバイケースで異なります。
以下は、一般的な罰則の例とそれぞれの特徴です。

罰金: 最も軽いケースであれば、罰金が科されることがあります。この罰金の額は、ケースや被害者の状態によって変動します。
懲役: 重度のストーカー行為、特に被害者が重大な精神的、身体的ダメージを受けた場合は、懲役刑が科される可能性があります。
接近禁止命令: 被害者に対する接近を禁じる命令が出されることもあります。これは、特に被害者が安全を感じられるようにするための措置です。
注意点として、これらの罰則は単独で科されるものではなく、複数の罰則が併用される場合も多々あります。
例えば、罰金と接近禁止命令が同時に出されるケースも考えられます。
また、ストーカー行為が他の犯罪、例えば傷害や侵入など、に繋がった場合は、それらの罪に対する罰則も適用されます。

6 防御策としての法的手続き

ストーカー行為が疑われる場合、被害者やその周囲が取るべき法的手続きも多くあります。
これらの手続きは早期に行うことで、事態の悪化を防ぐ可能性があります。

被害届の提出: 最も基本的な手続きは、警察に被害届を提出することです。これにより、法的に状況が認知されます。
弁護士との相談: 被害の程度や状況に応じて、専門の法律家と相談することも重要です。
仮処分命令: さらに悪化する前に、裁判所から加害者に対して仮の措置を命じる仮処分が可能です。
被害者自身が知識や情報に乏しい場合は、これらの手続きを適切に行うことが困難です。
そのため、早めに専門家の協力を得ることが、被害を最小限に抑える鍵となります。

7 弁護士に相談を

この記事では、電話を使ったストーカー行為とその法的側面について詳しく解説しました。
成立要件から被害者の感じ方、罰則の種類、法的手続きまで、多角的な視点からそのリスクと対処法を考察しました。

知識は力であり、このような状況に巻き込まれた場合、正確な情報と早期の対応が非常に重要です。
特に法的な手続きには専門的な知識が求められますので、専門家の協力を得ることがおすすめです。

ここで紹介させていただきたいのが、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部です。
この法律事務所は、ストーカー事件を始めとする多くの刑事事件に対応しており、専門的なアドバイスやサポートを提供しています。

この記事がストーカー行為とその法的側面についての理解を深める一助となれば幸いです。
何か問題に直面している場合は、ぜひとも専門家の協力を得て、適切な対処をお願いいたします。

風俗を利用して盗撮してしまった事例について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士が解説

2023-09-09

風俗を利用して盗撮してしまった事例について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士が解説

嫌がる仕草

性風俗店を利用して、相手女性から性的サービスを受ける過程で、カメラで盗撮をしていたことがばれて、警察沙汰になることがあります。
このような風俗利用での盗撮事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。

盗撮行為で問題となる罪

性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律
(性的姿態等撮影)
第二条 次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
一 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為
イ 人の性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分
ロ イに掲げるもののほか、わいせつな行為又は性交等(刑法(明治四十年法律第四十五号)第百七十七条第一項に規定する性交等をいう。)がされている間における人の姿態
二 刑法第百七十六条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
2 前項の罪の未遂は、罰する。

※刑法第百七十六条第一項各号
一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。

性風俗店で性的サービスを受けている最中に、スマートフォンやカメラを密かに設置し、動画を盗撮するケースがあります。
被害女性の裸が実際に撮影できなかったとしても、盗撮しようとして設置すれば未遂として処罰されることになります。
密かにでなくても、相手女性の同意なく撮影をしたら、犯罪が成立します。

最近、盗撮を処罰する法律が国会で新たに成立しました。
これまでは、各地方公共団体の条例によって処罰されていましたが、これを国の法律で一律に規制することになりました。
しかも、犯罪が成立しやすくなり、刑罰が重くなり、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金となりました。
これまで以上に盗撮という犯罪が厳しく処罰されることになります。
今までは逮捕されなかったケースでも、今後は逮捕されることが多くなることが予想されます。

以前は、性風俗店での盗撮について、店や被害女性が警察に通報まではしないことも少なくありませんでした。
しかし、最近は店や被害女性がすぐに警察に通報して被害届を提出することも多くなっております。
盗撮に対する社会・捜査機関の厳しい態度や、捜査や裁判過程で被害女性の個人情報が守られるようになったことも影響していると思われます。

盗撮が発覚すると、被害女性が店員や警察を呼ぶことになります。
警察の捜査が進み、逮捕される可能性があります。
逮捕されると、実名報道されるリスクもあります。
運良く逮捕されずに在宅で捜査が進むことになったとしても、捜査過程で家族や勤務先に事件のことが知られてしまうこともあります。

逮捕されてしまったら、ご家族等はぜひ当事務所に依頼してください。
早期に接見して状況を確認し、釈放や示談に向けて活動させていただきます。

釈放は、逃亡や証拠隠滅のおそれの有無で判断されることになります。
しかし、一般的に釈放のハードルは高く、裁判官・裁判所はなかなか認めません。
刑事弁護に精通した弁護士がきちんと対応する必要があります。
逃亡や証拠隠滅のおそれがないことについて説得的な意見を述べなければなりません。
当事務所はこれまでに多数の釈放を実現させてきております。

また、早期に被害女性と接触し、示談交渉をする必要があります。
風俗店での盗撮事件の場合、被害女性が直接相手をせず、店の人間が間に入って交渉してくることがあります。
店も損害を受けたと主張し、過剰に高額な賠償金を請求してくることがあります。
被害者側に対して誠意をもって対応する必要がありますが、過剰な請求に対しては毅然とした対応をしなければなりません。
被害女性に接触して交渉するときも、被害女性の信頼を得なければなりません。
交渉等の過程で被害女性の個人情報をさらすようなことは絶対にしないこと、動画データはこれ以上流出しないようにすること、二度と犯人を近づけさせないようにすること、等を説明していくことになります。
示談書についても、中身がきちんとした内容のあるものでなければ効果がありません。
このような厳しい交渉にも対応できる能力のある弁護士に依頼する必要があります。
当事務所では、このような交渉に長けた多数の弁護士が在籍しております。

警察での取調べ対応も非常に重要です。
警察は不当に悪質性を大きく見せるため、圧力をかけたり誘導してきたりすることがあります。
不当な取調べに対しては、弁護士を通じて毅然とした対応をする必要があります。
状況次第では黙秘を実施することも検討することになります。
警察に対して抗議をすることもあります。
取調べの立会い・準立会いを要求して対応することもあります。
強大な国家権力である警察に対して、素人の一般人だけで対応することは難しいです。
刑事弁護に詳しくない弁護士であれば、きちんとした対応をせずに見逃すことも少なくありません。
当事務所では、取調べ対応に精通した弁護士が多数所属しております。

刑事事件ではスピードが大切です。
すぐに弁護士に連絡し、相談して依頼しましょう。
逮捕後最大72時間は、たとえ家族の方でも逮捕された人との接見ができませんが、弁護士が代わりに連絡を取ってくれます。
逮捕された場合、最長で23日間、身体が拘束されますが、その間に検察官が起訴をするかどうかを判断します。
検察官が起訴の判断をする前に、示談を成立させなければなりません。
非常に限られた時間で活動しなければならず、急がなければなりません。
また、逮捕直後に不当な取調べが行われ、不利な内容の調書が作成されてしまうかもしれません。
早く弁護士が接見し、取調べへの対応方法に関してきちんとしたアドバイスをする必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事を専門とする弁護士が迅速に対応いたしますので、お気軽にお電話ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件に関するご相談を初回無料で承っております。
無料法律相談のご予約
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盗撮事件で示談交渉

2023-09-06

盗撮事件で示談交渉

盗撮事件で捜査を受けた場合の示談交渉について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。

【ケース】

北海道札幌市北区在住のAさんは、札幌市北区の会社に勤める会社員です。
Aさんは事件当日、札幌市北区を走行する鉄道車両の中でVさんのスカート内にスマートフォンを差し向けて撮影するいわゆる盗撮をしました。
Vさんは太ももにAさんのスマートフォンが当たったことで盗撮に気付き、盗撮をされた旨声を上げたためAさんは別の者に取り押さえられ、次の駅で駅員に引き渡されました。
駅員の通報を受けて臨場した札幌市北区を管轄する札幌方面北警察署の警察官は、Aさんを盗撮の嫌疑で逮捕しました。
Aさんの家族はVさんに謝罪し弁済したいと思いましたが、連絡先などが分からず、弁護士に示談交渉を依頼しました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【盗撮事件について】

今回のAさんの事件では、Vさんのスカート内にスマートフォンを差し向ける方法で撮影をするいわゆる盗撮事件を想定していました。
下着や裸体などを性的な目的で秘かに撮影する盗撮は、各都道府県の定める迷惑防止条例に違反します。
今回のケースでは北海道札幌市北区を走行する鉄道車両内での盗撮事件を想定していますので、北海道迷惑行為防止条例が問題となります。
該当する条文は以下のとおりです。

北海道迷惑行為防止条例2条の2 何人も、正当な理由がないのに、次に掲げる行為をしてはならない。
第2号 公共の場所若しくは公共の乗物又は集会場等…にいる者に対し、著しく羞恥させ、又は不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をすること。
ア 衣服等で覆われている身体又は下着を撮影すること(次号に規定する状態の他人に対
して行う場合を除く。)。
 イ 略
 ウ 略
(罰条:6月以下の懲役又は50万円以下の罰金※常習の場合は1年以下の懲役又は100万円以下の罰金)

【示談交渉について】

盗撮事件のような被害者がいる事件の場合の弁護活動の一つに、示談交渉が挙げられます。
示談交渉は、加害者側が被害者の方に対して謝罪や弁済を行うことで、被害者側に被害届の取下げや刑事告訴の取消などを依頼するものです。
内容は示談書・合意書といった書面にまとめられ、双方の署名捺印により示すことが一般的です。

示談書・合意書の内容はテンプレートがあるものではなく、被害者の感情に応じて、例えば加害者側が被害者の希望する列車・車両に乗車しないことを誓約する場合や、被害者の引越し代を負担する・加害者側が事件近くの場所から引越しをする等、様々な誓約を行う場合が考えられます。

示談交渉は必ず弁護士が行わなければならないわけではなく、加害者と被害者が当事者同士で示談交渉を行うことは可能です。
但し、当事者ではなく代理人として示談交渉を行う場合について、これは法律行為に当たるため弁護士以外の者が代理人になることはできません。

性犯罪事件の場合、被害者が加害者に連絡先を教えるリスクは大きいため、被害者が加害者に連絡先を開示したくないと考える場合がほとんどです。
このような場合に、警察官や検察官などの捜査機関が示談を仲介することはありません(民事不介入)。
そのため、加害者側が弁護士に依頼するか、被害者側が弁護士に代理を依頼して行う必要があります。
しかし、事件の多くは被害者側が代理人を立てない、あるいは刑事事件が終了した後に被害者側が損害賠償請求のために代理人を立てるという場合がほとんどで、刑事事件の処分が決められる前に示談交渉を行いたいと考えた場合、加害者側が代理人弁護士を立てて示談交渉に臨む必要がある場合がほとんどです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、盗撮事件を含め数多くの性犯罪事件に携わってきました。
盗撮事件では、加害者側が想像している以上に被害者が傷ついている場合が多く、示談交渉が難航する場合も少なくありません。
北海道札幌市北区にて、家族が盗撮事件で逮捕されていて示談交渉について知りたい場合、弁護経験が豊富な弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご連絡ください。

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