親告罪~示談成立で事件解決~

示談成立で事件解決に向けた活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説します。

~事例~

北海道札幌市中央区の繁華街で、酒に酔っていたAさんは、路面店の看板を壊しているところを北海道中央警察署の警察官に器物損壊罪現行犯逮捕されました。
酔いが冷めたAさんは、自身の行為を反省し、被害者に謝罪と被害弁償をしたいと考えています。
逮捕の連絡を受けたAさんの妻は、急いで刑事事件専門弁護士に相談の連絡を入れました。
(フィクションです。)

親告罪とは

親告罪」というのは、被害者などの告訴権者からの告訴がなければ、検察官が公訴の提起をすることができない犯罪のことをいいます。

告訴」は、犯罪被害者などの一定の人(告訴権者)が、捜査機関に対し、犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求めることをいいます。
告訴は、捜査機関による捜査の端緒となり、告訴を受理した捜査機関は、申告された犯罪事実に関して捜査を開始します。
同じく捜査の端緒として被害者による「被害届」の提出がありますが、こちらは犯罪被害の事案を申告するものであり、必ずしも犯人の処罰を求める意思が含まれるものではありません。
また、告訴と似た用語に「告発」というものがありますが、告発は、告訴権者以外の者が、捜査機関に対し、犯罪事実を申告して、犯人の処罰を求めることをいいます。
告訴や告発がある場合、司法警察員は関係書類や証拠物を検察官に送らなければならず、検察官は処分結果を告訴人に通知しなければなりません。

親告罪には、以下のような犯罪があります。
・名誉棄損罪
・侮辱罪
・ストーカー規制法違反
・過失傷害罪
・器物損壊罪
・信書開封・隠匿罪

他に、被害者と加害者の間に一定の関係性がある場合のみ親告罪となるものもあります。
・窃盗罪
・詐欺罪
・横領罪
・恐喝罪
・不動産侵奪罪
これらは、親族間関係がある場合親告罪となります。

なぜ特定の犯罪が親告罪となっているのか、不思議に思われる方も多いのではないでしょうか。
ひとつは、事実が明るみになることで被害者に不利益になる犯罪があるからです。
例えば、性犯罪では、被害者の証言や状況の再現が重要な証拠となるため、被害者の捜査協力は必要不可欠です。
そのため、被害者は捜査機関、時には法廷で、事件について何度も思い出し、人に話さなければなりません。
そのことで被害者が精神的な苦痛を感じてしまうこともあります。
そのため、性犯罪では加害者の刑事責任を追及するかどうかについて、被害者に一定の選択肢を与えるべきだと考えられていました。
しかし、告訴がなければ起訴することができないため被害者が泣き寝入りするケースが多いことや、性犯罪への厳罰化の流れを受けて、性犯罪が非親告罪に変更されました。
旧強姦罪や強制わいせつ罪は、かつて親告罪とされていましたが、平成29年の刑法改正により非親告罪となり、告訴がなくても検察官が起訴することができるようになりました。
また、親族間の問題は、当事者同士で解決すべきだと考えられ、一定の財産犯については親族間では親告罪となっています。

親告罪で事件を穏便に解決するためには

親告罪は、被害者らからの告訴がなければ検察官は起訴することができません。
そのため、親告罪に該当する罪で被疑者として捜査されているのであれば、早期に被害者との示談交渉に着手する必要があります。

しかし、告訴をしている被害者は、加害者に対して処罰感情があり、加害者との交渉に応じようとしない場合もあります。
また、告訴をする前であっても、一般的には、被害者は加害者に対して恐怖や嫌悪感を抱いており、なかなかうまく交渉できないことが多いです。
そもそも、捜査機関が加害者に対して被害者の連絡先を教えることもそう多くないため、連絡すらできないこともあります。

そのため、通常、示談交渉は弁護士を介して行います。
弁護士を通しての交渉であれば、応じてくれる被害者も多く、連絡先を入手し交渉に着手できます。
法律の専門家である弁護士は、被害者の気持ちに配慮しながら、示談を成立させることのメリット・デメリットを丁寧に説明し、被害者・加害者両者が納得のできる示談内容になるよう粘り強く交渉することが期待できるでしょう。

示談が成立し、被害者が告訴を取り下げたり、告訴をしないことを約束することで、検察官は不起訴で事件を終了します。
不起訴となれば、前科も付きません。

このように、親告罪に当たる罪を起こした場合には、できるだけ早く被害者と示談を成立させるべく示談交渉に着手することが重要です。

親告罪に該当する罪を犯し、何とか事件を穏便に解決することができないかとお悩みであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
示談交渉に豊富な経験をもつ刑事事件専門弁護士が対応いたします。
無料法律相談・初回接見サービスに関するお問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら