ひき逃げで略式罰金

北海道伊達市のひき逃げ事件における略式罰金について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士が解説します。

~ケース~

北海道伊達市のタクシー運転手Aは、1週間前、乗務中に道路に飛び出してきた小学生と接触する交通事故を起こしました。
小学生が「大丈夫です。ごめんなさい。」と言ったのでAは、最寄りの北海道伊達警察署に事故を届け出ませんでした。
しかし先日、事故現場を通ると、事故の目撃者を探す立て看板が設置されていたのです。
看板に「ひき逃げ事件」と書かれていたのを見て不安になったAは、北海道の刑事事件に強い弁護士に法律相談しました。
(フィクションです。)

~ひき逃げ事件~

ひき逃げは、交通事故を起こして相手にケガを負わせたことに対して「過失運転致死傷罪」が、ケガ人を救護しなかったことに対して「道路交通法(救護義務)違反」が、交通事故を警察に届け出なかったことに対して「道路交通法違反(不申告罪)」の3つの罪に当たります。
今回の事故でAに科せられるおそれのある罰則規定は
過失運転致死傷罪・・・7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金
道路交通法(救護義務)違反・・・10年以下の懲役又は100万円以下の罰金
道路交通法違反(不申告罪)・・・3ヵ月以下の懲役又は5万円以下の罰金
です。

~救護義務違反~

道路交通法救護義務違反について考えてみたいと思います。
そもそも運転手等の救護義務については、道路交通法第72条に、交通事故が起こった時には、直ちに自動車等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等の措置を講じなければならない旨が明記されています。
ただ今回の事故では、被害者である小学生が「大丈夫です。」と言っています。
この様な場合でも、Aに救護義務が生じるのでしょうか。
それは事故時の接触状況や、小学生の負傷状況、事故現場の状況等によって左右され、被害者が「大丈夫だ。」と言ったからといって、それだけで事故を起こした運転手の救護義務が消滅するわけではありません。
今回のような事故の場合、Aが小学生が負傷していないことを確認していれば、救護義務違反に問われない可能性がありますが、小学生の言葉を信じて、負傷程度の確認をしていなければ、救護義務を怠ったと判断される可能性が高いでしょう。

~示談交渉~

弁護士は弁護活動の一環として示談交渉を行っていくことになります。
しかし刑事事件の被害者は加害者本人やその家族からの交渉を直接は受け付けないことが多いです。
しかし、間に弁護士が入ることによって示談交渉を受け入れてもらえる可能性は高まりますし、弁護士は示談交渉のプロですので希望する範囲内で示談を締結することができるかもしれません。
特に交通事故での刑事弁護については被害者との示談が締結できたかどうかが、処分にも大きく影響してきますので、示談交渉を弁護士に依頼するようにしましょう。
今回の事例では、道路交通法違反と過失運転致傷という罪名となりますが、被害者との示談の締結によっては起訴される時の罪名が道路交通法違反となり、公判請求されずに略式起訴で終了するという可能性も高まります。

~略式起訴~

略式起訴とは、通常の起訴手続きを簡略化し、略式の手続きで処分を終わらせる起訴方法のことをいいます。
略式起訴になると略式命令が出され、罰金又は科料を支払うことになります。
略式命令で終了することのできる事件は、100万円以下の罰金、科料に相当する事件で、被疑者が容疑を認めているなどの決まりがあります。
略式起訴で罰金刑となると、前科はついてしまうことになりますので、あくまで無罪を主張するのであれば、略式起訴に正式裁判の申し立てを行い、正式な裁判を受けることになります。

交通事故もその内容や被害者の容態によっては実刑判決となってしまう可能性もあります。
このような事態を防ぐためにも、刑事事件に強い弁護士に刑事弁護活動を依頼するようにしましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では刑事事件に強い弁護士が初回接見、無料法律相談を行っています。

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