北海道札幌市の刑事事件・少年事件を専門とする弁護士が解説-18歳・19歳が犯罪を行ったら
民法上、18歳以上は成人となりました。
しかし、18歳・19歳が犯罪を行ったら、特定少年とされ、20歳以上の成人や18歳未満の少年とは別に特別な扱いを受けることになります。
今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が、18歳・19歳の特定少年が犯罪を行った場合について解説いたします。
<検察への逆送>
特定少年が犯罪を行ったら、通常の少年事件と同様に、全件が家庭裁判所に送られることになります。
そして、家庭裁判所の審判を受け、少年院や保護観察の保護処分などを受けることになります。
しかし、一定の場合には、家庭裁判所から検察官へ事件が送られ、通常の刑事手続きで刑事裁判を受けることになります。
家庭裁判所は、特定少年に係る事件については、罰金以下の刑に当たる罪の事件も含めて、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは、決定をもって、これを管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければなりません。
また、家庭裁判所は、特定少年に係る次に掲げる事件については、検察官に送致しなければなりません。
・故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であって、その罪を犯すとき16歳以上の少年に係るもの
・死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪の事件であって、その罪を犯すとき特定少年に係るもの
ただし、調査の結果、犯行の動機、態様及び結果、犯行後の情況、特定少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは、検察に送致しないことになります。
逆送決定で刑事手続きで進むことになったら、成人の手続きと同様に扱われることになります。
実刑で刑務所に入ることになる可能性があります。
刑事手続きでの裁判所は、事実審理の結果、少年の被告人を保護処分に付するのが相当であると認めるときは、決定をもって、事件を家庭裁判所に移送しなければなりません。
しかし、実際にまた家庭裁判所に戻るケースは非常に少ないです。
<保護処分についての特例>
家庭裁判所は、審判を開始した事件につき、少年が特定少年である場合には、犯情の軽重を考慮して相当な限度を超えない範囲内において、決定をもって、次の各号に掲げる保護処分のいずれかをしなければなりません。
ただし、罰金以下の刑に当たる罪の事件については、第一号の保護処分に限り、これをすることができます。
1 6月の保護観察所の保護観察に付すること。
2 2年の保護観察所の保護観察に付すること。
3 少年院に送致すること。
第2号の保護観察においては、遵守事項違反の場合に少年院に収容することができるものとし、家庭裁判所は、同号の保護処分をするときは、その決定と同時に、1年以下の範囲内において犯情の軽重を考慮して同項の決定により少年院に収容することができる期間を定めなければなりません。
家庭裁判所は、審判の結果、2年の保護観察所の保護観察処分を受けた者がその遵守すべき事項を遵守しなかったと認められる事由があり、その程度が重く、かつ、少年院において処遇を行わなければ本人の改善及び更生を図ることができないと認めるときは、これを少年院に収容する旨の決定をしなければなりません。
家庭裁判所は、第3号の保護処分をするときは、その決定と同時に、3年以下の範囲内において犯情の軽重を考慮して少年院に収容する期間を定めなければなりません。
保護処分においては、保護観察所の長をして、家庭その他の環境調整に関する措置を行わせることができます。
<記事等の掲載の禁止の特例>
特定少年のとき犯した罪により検察へ逆送されて公訴を提起された場合は、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載することができるようになりました。
起訴後に実名報道される可能性があります。
<18歳・19歳の特定少年が事件を起こしたら>
逮捕されたら、身体拘束され、長期間勾留される可能性があります。
家庭裁判所に送られた後は、少年鑑別所に収容される可能性があります。
学校や職場に行くことができなくなり、ばれて退学処分や懲戒解雇となるリスクがあります。
若い人が長期間身体拘束されるのは、肉体的にも精神的にも非常に苦しいものです。
弁護士を通じて釈放を求めていくことになります。
証拠隠滅や逃亡のおそれがなく、釈放されなければならない必要性を示していきます。
釈放が認められるハードルは高いので、弁護士が家族と打ち合わせをしながら計画的に行動していく必要があります。
被害者がいる事件では、示談や被害弁償を検討することになります。
どのように被害者と接触するのか、どのように話し合っていくのか、お金はいくらくらい用意するべきか、どのタイミングで交渉するべきか、など検討するべきことは多いです。
弁護士と相談しながら進めていくことになります。
警察での取調べ対応は非常に重要です。
やってもいない犯罪を認めさせられる可能性があります。
実際に犯罪を行っていたとしても、その内容の悪質性がより大きく見えるように話を持って行かれる可能性があります。
警察は違法・不当な取調べをしてくる可能性があります。
圧力をかけたり、強引に話をこちらに不利に誘導したりしてきます。
そのような違法・不当な取調べに対応するためには、刑事弁護に精通した弁護士に相談して対応する必要があります。
黙秘したり、抗議をしたり、在宅事件であれば取調べに付き添ったり、その時の状況に応じて柔軟に対応していく必要があります。
家庭裁判所に送られたら、弁護士は付添人という役割で行動していくことになります。
犯罪としてどのようなことがあったのか、その背景として家庭や学校や友人関係に具体的にどのような問題があったのか、改善するためにはどのようなことをしていく必要があるのか、などを家族みんなで検討します。
家庭裁判所調査官とも話し合い、どのような対応をしていく必要があるのかを検討していきます。
そして、最終的に少年審判で裁判官に対して意見を示し、適正な処分を求めていくことになります。
重大事件の場合は、検察へ逆送されないようにしなければなりません。
検察へ逆送されて起訴され、裁判で実刑判決となり、刑務所に入ることになってしまうかもしれません。
犯行の動機、態様及び結果、犯行後の情況、特定少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を分析し、刑事処分でなく少年院などの方が特定少年にとってふさわしいことを主張していくことになります。
18歳・19歳の子供が事件を行ってしまった両親は、ぜひ早めに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部までご相談ください。
当事務所では、これまでにも多くの特定少年事件を扱って解決に導いてきました。
特定少年自身の反省を促しながら、家族と共に問題に向き合って解決していきます。
とにかく軽い処分を求めていく、というだけでなく、真に問題の解決のためには何が必要か、背景としてどのようなことがあるのか、をきちんと分析して対応していきます。
表面的な解決だけでは終わらせません。
初回の面談は無料です。
有料で初回接見にも対応いたします。
今後どうすればいいか、懇切丁寧にご説明いたします。
刑事事件はスピードが重要ですので、なるべき早くご相談ください。