年齢を確認しても青少年健全育成条例違反となる場合

今回は、淫行被害者である青少年本人から年齢を確認した場合であっても、青少年健全育成条例違反となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士が解説いたします。

~ケース~

Aさんは、SNSで知り合った女性Vと、札幌市内のラブホテルで性交しました。
Vのプロフィールには「18歳」と書かれており、性交する直前においても、AさんはVに対し、18歳であることを口頭で確かめています。
しかし、Vの本当の年齢は17歳でした。
Vが学校をサボって諸方をうろついていたとき、Vは札幌方面白石警察署の警察官から補導を受け、Aさんとの関係が発覚してしまいました。
Aさんは任意で警察に出頭するよう求められています。(フィクションです)

~Aさんに青少年健全育成条例違反の罪は成立するか?~

北海道青少年健全育成条例第38条第1項は、「何人も、青少年に対し、淫行又はわいせつな行為をしてはならない。」としています。
単にSNSで知り合っただけで、他に交際を深めているわけでもない青少年と、自身の性的な満足を得るために性交した場合は、上記規定に違反する可能性が高いでしょう。

上記規定に違反し、有罪判決を受ける場合は、同条例第57条により、「2年以下の懲役又は100万円以下の罰金」に処せられます。

ところで刑法第38条1項によれば、「罪を犯す意思がない行為は、罰しない。ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない」とされており、故意犯の処罰が原則となっています。
AさんはVが18歳であると認識していたと思われるので、Vが「青少年」であるとは認識していなかったものと思われます。

原則通りであればAさんは処罰されないことになりますが、同条例第65条によれば、第38条規定に違反した場合は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として処罰を免れることができず、当該青少年の年齢を知らないことに過失がないときにはじめて処罰を免れることになります。

AさんがVの年齢を18歳であると判断した根拠は、①SNSのプロフィール欄の記載、②口頭でVに年齢を確かめたことの2点です。
残念ながら、この2点だけでは「当該青少年の年齢を知らないことに過失がない」ということは難しいでしょう。
過失がないというためには、Vの顔写真付きの身分証明書を確認するなどしていたことが必要と考えられます。
上記事実関係によれば、Aさんに北海道青少年健全育成条例違反の罪が成立する可能性は高いと思われます。

~任意出頭を求められたらすぐに弁護士と相談~

警察から任意で取調べを受けてほしい、と告げられたら、すぐに弁護士を依頼することをおすすめします。
ケースの場合は、早期に示談交渉を開始し、不起訴処分の獲得を目指して行動する必要があります。
V(実際にはVの法定代理人)と交渉し、生じさせた損害を賠償した上で、宥恕条項(「Aさんに対し寛大な処分を求める」などの文言をいいます)を示談書に盛り込んでもらうことができれば、不起訴処分を獲得できる可能性が高まります。

~最後に~

ケースの事件はVに騙され、刑事事件に巻き込まれてしまったものと考える方がおられるかもしれません。
Vの実年齢を知っていたならば犯行に及ばなかった、という場合には、確かにそのような側面があるかもしれません。
しかし、Aさんの行為が犯罪を構成しうる以上、知らないことに過失がなかったという正当な主張を超えて、開き直った態度をとるようなことは自身にとって不利になります。
真摯な内省を深め、被害者に謝罪と賠償を行い、再犯防止に努めることが、最も有利な処分を獲得するための近道といえるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
北海道青少年健全育成条例違反の嫌疑をかけられ、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。

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