北海道札幌市にて身代わり出頭をしてしまい取調べで厳しく質問された場合を想定して弁護活動を検討

北海道札幌市にて身代わり出頭をしてしまい取調べで厳しく質問された場合を想定して弁護活動を検討

北海道札幌市にて、いわゆる身代わり出頭をしてしまったものの警察官に指摘され、厳しい取調べを受けたという架空の事例を想定して、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が記述します。

【ケース】

北海道札幌市白石区在住のAさんは、札幌市白石区の会社に勤める会社員です。
事件当日、Aさんは配偶者のXさんが運転する車に乗っていたところ、Xさんは札幌市白石区の路上にて、歩行者Vさんに気付かず接触してしまう人身事故を起こしてしまいました。
しかしXさんは停止せず発進したため、Aさんが停まって現場に戻るよう言ったところ、Xさんは自身が免許停止中であることを告白しました。
そこでAさんは「免許証を持っている私が運転していたことにする」と言い、Aさんが運転席に乗り込み、現場に戻り消防と警察に通報しました。
Vさんは全治2週間の怪我を負いました。

通報を受けて臨場した札幌市白石区の白石警察署の警察官は、当初Aさんが運転手という申告を受けてAさんによる人身事故(過失運転致傷被疑事件)として捜査を開始しましたが、その後Vさんから話を聞く中で運転手はXさんだったようだと指摘され、身代わり出頭ではないのか厳しく問い質されました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【身代わり出頭について】

身代わり出頭とは、本当の事件・事故の犯人とは別の者が事件の犯人として捜査機関に名乗り出る行為を意味する俗称です。
身代わり出頭の場合に問題となる罪に、犯人隠避罪があります。
条文は以下のとおりです。

刑法103条 罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

判例によると、
蔵匿(ぞうとく):官憲の発見逮捕を免れるべき隠匿場を供給すること
隠避(いんぴ):蔵匿以外の方法により官憲の発見逮捕を免れしむるべき一切の行為を包含する
とされています。(大判昭5.9・18)

つまり、
犯人蔵匿罪:犯人が捜査機関に見つからないよう家にかくまったり、ホテルを取ってやるなどの行為
犯人隠避罪:犯人が捜査機関に見つからないよう犯人蔵匿罪以外の方法で犯人が捜査対象にならないようにする行為
ということになります。
身代わり出頭の場合、本当は犯人ではないにもかかわらず、犯人であるかのように捜査機関に出頭する行為を意味し、これによって捜査機関は本当の犯人を見つけられなくなる可能性があります。
実際に捜査機関が身代わり出頭してきた者が犯人であると信じたか否かは問題にはなりません。

なお、ケースの例でいうと、
X:過失運転致傷罪(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律違反)
 :道路交通法違反(無免許運転罪)
A:犯人隠避罪
の成立が検討されますが、仮にAさんがXさんの無免許運転を知り乍ら運転を頼むなどして同乗していた場合、Aさんは道路交通法64条3項にも違反する可能性があります。

【犯人蔵匿罪での取調べ対応】

事例のAさんが犯人隠避罪を疑われた場合、捜査機関はまず、誰が真犯人であるのかを重要視します。
次に、犯人隠避罪に至った経緯を詳しく調べます。
仮に、XさんがAさんに身代わり出頭をするよう強いたのであれば、Xさんには強要罪が成立する可能性がありますし、XさんからAさんに身代わり出頭するよう進言したのであれば、Xさんには犯人隠避教唆罪が成立する可能性があります。
その場合、Aさんの犯人隠避罪の責任はないあるいは限定的であると評価されるでしょう。

捜査機関は周囲の防犯カメラの映像解析や目撃証言の収集などの客観的な証拠収集に尽力しますが、そのような客観証拠が少ない場合は特に、身代わり出頭したAさんに対しても(口調や態度が)厳しい取調べをする恐れがあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部には、刑事事件・少年事件についてのご相談が日々多くなされます。
その中で、取調べについてのご相談もございます。
相談内容は、意に反した内容の調書が作成され押印を迫られたというものや、黙秘権の説明を受けたものの喋らないなら逮捕する旨言われたり、厳しい態度・馬鹿にした態度での取調べが行われたものなど、多岐に渡ります。
そのような違法の疑いがある、あるいは不適切な態度での取調べが行われている場合、弁護士に弁護を依頼し、然るべき対応を取る必要があります。
具体的には、担当取調べ官に対し抗議、警察署長(・監察)・検察庁に対して違法・不適切な取調べを是正するよう求める意見書や抗議文の提出、取調べ立会の申入れ、取調べの録音録画を求めるといったことが検討されます。
現状、我が国では取調べで弁護士の立会は認められていません。
しかし弊所では、在宅事件での取調べでは、準立会という方法を活用します。
取調べの準立会は、対象となっている被疑者の方が取調べを受ける日に弁護士も一緒に警察署に行き、取調室の近くで弁護士が待機し、取調べを受けていて不安や疑問を感じた場合には一旦退席して弁護士と相談するというものです。
この方法で取調べ状況が改善された例も多数見られます。

北海道札幌市白石区にて、いわゆる身代わり出頭をしてしまい犯人隠避罪に問われている方、取調べが不安な方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で法律相談を受けることができます。

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