文書偽造事件で贖罪寄付

北海道滝川市の文書偽造事件における贖罪寄付について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

北海道滝川市の会社員Aは、実際には取引のない会社との売買契約を締結したかのように見せかけた偽造売買契約書に、偽造したこの会社の社印を押印し、偽造文書を作成しました。
そして、この売買契約書を利用して銀行から多額の融資を受けようとしましたが、偽造に気付いた銀行が、北海道滝川警察署に相談しました。
(フィクションです。)

【文書偽造事件】

文書偽造事件は、偽造した文書の種類、その文書に印鑑があるか否か、そして偽造変造かによって区別されています。

刑法では、文書の種類を(1)公文書(2)私文書の2種類に分類しています。
(1)公文書とは、公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画
(2)私文書とは、権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画
です。
公文書偽造罪は、刑法第155条に定められており、その中で(ⅰ)有印公文書偽造罪(ⅱ)有印公文書変造罪(ⅲ)無印公文書偽造(変造)罪が定められています。
私文書偽造罪は、刑法第159条に定められており、その中で(ⅰ)有印私文書偽造罪(ⅱ)有印私文書変造罪(ⅲ)無印私文書偽造(変造)罪が定められています。

【有印私文書偽造罪】

今回のケースでAが作成した偽造売買契約書は、有印私文書に当たるので、刑法第159条第1項の有印私文書偽造罪に抵触するでしょう。
有印私文書偽造罪は、行使の目的で、有印私文書を偽造することで成立する法律です。
Aは実際に、偽造した売買契約書(有印私文書)を利用して銀行からの融資を受けようとしているので、行使の目的があることについては議論の余地がありません。
ちなみにAのような偽造私文書を使用した事件で警察が捜査する場合、まず偽造私文書行使罪(刑法第161条)で捜査を開始し、その後、私文書偽造事件を裏付け捜査するケースが多いようで、私文書の偽造は逮捕される可能性が高い事件です。
有印私文書偽造、同行使罪で起訴されて有罪が確定すれば「3月以上5年以下の懲役」が科せられます。

【贖罪寄付という選択肢】

贖罪寄付とは、罪を犯したことに対する償いとして行う金銭の寄付を指します。
各都道府県の弁護士会が主な窓口になっており、寄付されたお金は犯罪被害者やその遺族の支援に充てられます。

贖罪寄付が行われるケースというのは、基本的に直接的な被害者が観念できない罪を犯した場合です。
なぜなら、直接的な被害者が観念できる事件では、第一にその被害者に対して被害弁償を行うのが一般的だからです。
文書偽造罪に関して言うと、贖罪寄付をすべきかどうかの判断は個々の事案によります。
文書偽造罪が保護しているのは文書に対する社会一般の信頼なので、理論上は被害者を観念できない罪だと言えます。
ですが、たとえば借用書の偽造により私文書偽造罪を犯した場合には、その借用書により借金を負うことになった者が実質的な被害者になりえます。
このように、贖罪寄付が妥当な弁護活動かどうかは、個々の事案の特殊性によって異なってくるということができます。
刑の減軽などを狙える的確な活動を行うのであれば、やはり弁護士に事件を依頼して選択を委ねるのが適切でしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件の経験豊富な弁護士が、贖罪寄付を含めて各事案に応じた最適な弁護活動を検討します。
文書偽造罪を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

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