覚せい剤所持事件で違法捜査

北海道函館市の覚せい剤所持事件における違法捜査について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事件】

Aさんは、某所にて薬物の売人であるBさんから覚せい剤を買い受け、急いで帰宅しようと北海道函館市内を歩いていました。
すると、交差点で白バイに乗った警察官の姿が目に入ったため、覚せい剤を持っていることが発覚したらまずいと思い歩く速度を速めました。
その様子を不審に思った警察官は、Aさんを呼び止めて職務質問をすることにしました。
職務質問の際、Aさんの鞄に目を付けた警察官は、Aさんから力ずくで鞄を奪って中身を確認しました。
その中には覚せい剤様の白い粉末が入っていたことから、Aさんは北海道函館中央警察署に強引に連れていかれたのち、覚せい剤取締法違反の疑いで逮捕されました。
Aさんと接見した弁護士は、以上の話を聞いて違法捜査の主張を検討することにしました。
(フィクションです。)

【覚せい剤所持について】

覚せい剤は、興奮や疲労感除去などの覚醒作用を有する一方、幻覚や幻聴といった精神上の悪影響が生ずる規制薬物です。
日本では、覚せい剤取締法によって「覚せい剤」の定義や取り扱い上の注意などが定められています。

覚せい剤の所持は、覚せい剤の製造・研究を行う者や覚せい剤を治療に使う医師を除いて禁止されています。
上記の者以外が覚せい剤を所持した場合、10年以下の懲役が科されるおそれがあります。
更に、営利目的(販売など)での所持であれば、1年以上の有期懲役(上限20年)および事案により500万円以下の罰金が科されるおそれがあります。
たとえば、覚せい剤が多量である、頻繁に有償で譲り渡している、購入者の情報が管理されている、などの事情があれば、営利目的の疑いは強まるでしょう。

ちなみに、警察が覚せい剤を発見した際にそれを壊せば、証拠隠滅として量刑上マイナスの評価を受けるだけでなく、公務執行妨害罪に当たる余地も出てきます。
そうしたケースでは、当然ながら科される刑も通常の覚せい剤所持の事案と比べて重くなると考えられます。
先々のことを考えれば、覚せい剤を発見されたら抵抗しないようにするのが得策でしょう。

【違法捜査を受けたら】

上記事例では、警察官がAさんの同意なしに無理やり鞄の中を確認しています。
このような行為は違法捜査の疑いが濃厚であり、場合によってはそれにより得られた証拠が裁判で利用できなくなることがあります。
刑事事件において行われる捜査の中には、身体の自由を奪う逮捕・勾留や、住居、持ち物といった私的領域を侵害する捜索・差押えなど、個人の権利・自由を侵害するものがあります。
そこで、捜査機関がこれらの捜査を適法に行うためには、裁判官の発付する令状を取得しなければならないと定められています。
違法捜査によりこの原則に反して得られた証拠は、適正な捜査の要請に反するとして、証拠として認めてもらえない可能性があるのです。

上記事例において覚せい剤所持の証拠となる覚せい剤は、警察官がAさんから鞄を奪って中身を見たことにより得られたものです。
こうした捜索・差押えの性質を持つ行為は、本来裁判官から令状を取得したうえで行わなければならないため、警察官による覚せい剤の押収は違法捜査だったと言えます。
そうすると、得られた覚せい剤の証拠能力が否定される結果、Aさんは覚せい剤所持の罪について無罪となる可能性が出てくるでしょう。
ただ、こうした主張を行うに当たっては深い法律の知識が必要なので、もし違法捜査を受けたと感じたらぜひ弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、豊富な刑事事件の経験を有する弁護士が、深い見識に基づき違法捜査の主張ができないか検討します。
覚せい剤所持の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

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