救急隊員に対する公務執行妨害罪
酒に酔った被疑者が公務員である救急隊員に対して暴行を加えた事例を想定し、公務執行妨害罪や暴行罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。
【ケース】
北海道札幌市中央区在住のAさんは、札幌市中央区の会社に勤める会社員です。
Aさんは仕事の帰りに飲食店に立ち寄り飲酒したところ泥酔してしまい、店で転倒して顔から流血しました。
店員が慌てて消防局に通報し、通報を受けて臨場した救急隊員がAさんを搬送しようとしたところ、Aさんは暴れて救急隊員に対し殴る蹴るの暴行を加えました。
暴行を受けた救急隊員に怪我はありませんでしたが、Aさんは救急隊員の通報を受けて臨場した札幌市中央区を管轄する札幌方面中央警察署の警察官により、公務執行妨害罪で現行犯逮捕されました。
≪ケースはすべてフィクションです。≫
【公務執行妨害罪について】
今回のケースは、札幌市消防局に所属する公務員である救急隊員に対し、暴行を加えた、という場合を想定しています。
公務員に対し暴行を加え被害者である公務員が怪我をしていないという場合、公務執行妨害罪と暴行罪の成立が考えられます。
(暴行罪)
刑法208条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
(公務執行妨害罪)
刑法95条 公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
公務執行妨害罪は、職務の執行に当たる公務員に対して、暴行や脅迫を加えた場合に成立する罪です。
国または地方公共団体の事務を処理する公務員であれば広く対象となりますが、特に多いのは警察官や救急隊員に対する公務執行妨害罪です。
公務執行妨害罪における「暴行又は脅迫」は、間接的なものを含めて幅広く認められる可能性があります。
なお、Aさんの行為は暴行罪にも該当しますが、
暴 行 罪:被害者個人の生命身体を保護法益としている
公務執行妨害罪:公務員の公務の遂行を保護法益としている
ことから、それぞれ目的が異なります。
最終的に公務執行妨害罪と暴行罪で起訴された有罪となった場合、一つの行為で複数の罪に該当する観念的競合の問題となりより重い刑が処されることになるため、「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」の範囲で刑事罰が言い渡されます。
【事務所紹介】
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、公務執行妨害罪のような被害者が公務員である場合の事件に対応しています。
公務執行妨害罪の場合、保護法益の問題や被害者が公務員という立場である点などから、暴行罪とは異なる見通し・弁護活動が予想されます。
北海道札幌市中央区にて、家族が救急隊員の方に対する公務執行妨害罪で現行犯逮捕されたという場合、すぐに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご連絡ください。
24時間365日予約受付の窓口にて、担当者が初回接見サービスについてご説明致します。