北海道網走郡の北海道迷惑防止条例違反(下着買い受け)事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。
【事例】
北海道網走郡在住のAさん(20代・会社員)は、インターネット上の掲示板でVさん(15歳)と知り合い、やがてLINEで個人的に連絡を取るようになりました。
その過程で、Aさんは次第にVさんと会ってみたいと思うようになり、Vさんにそのことを伝えてAさん宅の近くで会うことになりました。
その後何度かVさんと会ったAさんでしたが、ある日Vさんから下着の購入を持ち掛けられ、これを承諾して下着を買い受けました。
しばらくして、Aさんのもとを北海道美幌警察署の警察官が訪ね、「下着買い受けの件で話を聞きたい」と任意同行の申出を受けました。
そこで、Aさんは下着買い受けの事実を認めたうえで、取調べの前に弁護士に逮捕の可能性などを聞くことにしました。
(フィクションです。)
【下着買い受けの罪とは】
日本では、青少年(18歳未満の者)の健全な育成を目指すべく、各自治体において青少年を保護するための条例が定められています。
北海道では、北海道青少年健全育成条例(以下、「条例」)がこれに当たり、青少年やその周囲に対して様々な規制を設けています。
代表例としては、青少年との淫行の禁止や、青少年に悪影響を及ぼしうる有害図書の指定などが挙げられます。
条例が定める規制の一つとして、いわゆる下着買い受けの禁止が挙げられます。
下着買い受けとは、青少年が着用した下着またはそう称される下着を買い受ける行為のことです。
条例に違反して青少年から下着を買い受けた場合、下着買い受けの罪として30万円(反復継続して行われれば50万円)以下の罰金が科される可能性があります。
この下着買い受けの罪の成否に関して、青少年の同意がある、対価を払っているといった事情は関係ない点に注意が必要です。
【逮捕の可能性】
下着買い受けの罪は、下着を売った青少年が捜査機関に明らかにするということはあまり考えられません。
そうすると、有力な発覚経路としては、下着を売った青少年の補導が考えられます。
捜査機関が下着買い受けの事実を把握すると、たとえ青少年が処罰を望まないとしても、それにより捜査が消極的になるということは考えられません。
なぜなら、下着買い受けは健全な社会に悪影響を及ぼす罪であり、青少年が望んでいないからという理由で処罰を控えるわけにはいかないからです。
ただ、罪を犯したとして捜査の対象になったからといって、そのことが直ちに逮捕に結びつくというわけではありません。
そもそも、逮捕をはじめとする身体拘束は、被疑者が逃亡や証拠隠滅に及ぶのを防ぐために行われます。
つまり、被疑者が逃亡や証拠隠滅に及ぶ可能性が低ければ、逮捕を行うことなく在宅で捜査を進めるということも考えられるのです。
逮捕すべきかどうか、言いかえれば逃亡や証拠隠滅の可能性があるかどうかの判断は、事件の重大性、被疑者の態度、生活の安定性などの様々な要素を考慮のうえ判断されます。
上記事例では、Aさんが下着買い受けの罪という比較的軽い罪を犯しており、なおかつ下着買い受けの事実を認めています。
加えて、Aさんが会社員として安定した生活を送っていることからすると、Aさんが逃亡や証拠隠滅に及ぶ可能性は低いと言うことができます。
そうであれば、逮捕による不利益も配慮される結果、Aさんを逮捕する必要はないと判断される可能性が高いでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件に詳しい弁護士が、逮捕の可能性などの疑問に真摯にお答えします。
下着買い受けの罪を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。