盗品等有償譲受罪で自首

北海道三笠市の盗品等有償譲受事件における自首について、弁護士法人あいち刑事総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

トレーディングカードの収集が趣味のAさんは、北海道三笠市のカードショップXが日本で数枚しかないカードを仕入れたと聞き、早速Xに足を運びました。
そして、Aさんと普段から親交がある店長のBさんに事情を聞いたところ、実はBさんが元の所有者から盗んだことを打ち明けられました。
それでもカードが欲しかったAさんは、Bさんから言い値でそのカードを買い受けて自宅に飾りました。
数日後、Aさんは自身の行為が盗品等有償譲受罪に当たることを知り、北海道三笠警察庁舎逮捕されるのではないかと思いました。
そこで、自首をした方がいいかどうか弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

【盗品等有償譲受罪について】

刑法
第二百五十六条
盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、三年以下の懲役に処する。
2 前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、十年以下の懲役及び五十万円以下の罰金に処する。

他人の物を盗んだら罪になるのは周知の事実かと思いますが、そのことを知りながら盗んだ物を譲り受けるのも罪になることはご存知でしょうか。
盗品等有償譲受罪は、窃盗罪をはじめとする財産犯により得られた物を有償で譲り受けた場合に成立する可能性のある罪です。
盗品等関与罪の一つであり、被害の回復を困難にするとともに、財産犯を助長する点で処罰に値すると考えられています。

「有償で譲り受ける」と聞くと売買を思い浮かべますが、盗品等有償譲受罪に当たるケースはそれだけではありません。
何らかのかたちで譲受けの対価が存在すればよいので、たとえば他の物との交換や借金の返済の代わりであっても盗品等有償譲受罪に当たる余地があります。

上記事例では、Bさんが元の所有者から盗み出したカードをAさんが買い取っています。
更に、Aさんはカードが盗み出されたものであることを聞かされているため、盗品だと知っていると言えます。
そうすると、Aさんは盗品等有償譲受罪が成立し、10年以下の懲役および5年以下の罰金が科されるおそれがあります。
ちなみに、盗品等有償譲受罪の法定刑は懲役と罰金の両方であり、直接物を盗んだ場合に成立する窃盗罪より重くなっています。
これは、有償での譲り受けという行為が、窃盗などの強い動機づけとなる点で特に重く処罰すべきだと考えられているためです。

【自首のメリットとデメリット】

自首とは、自らの犯罪事実を警察などに明らかにし、その処分を委ねる意思表示のことです。
自首は法律上も定めがあり、刑法において「刑を減軽することができる」とされています。

自首による刑の減軽を狙ううえで、注意すべき点がいくつかあります。
まず、捜査機関が犯罪のことを知らなかったり、誰が犯人なのか分かっていなかったりする場合でなければなりません。
つまり、捜査機関が犯罪事実と被疑者を把握しており、ただ被疑者の居場所が掴めないというケースでは、たとえ自らの意思で自首しても刑の減軽は認められないことになります。
また、捜査機関に促されて罪を明らかにするのではなく、自らの意思で自首を行う必要があります。
たとえば、取調べ中に「他に余罪はないか」などと聞かれて自首するのは、自らの意思とは言えず刑の減軽は認められません。

ただし、刑法が定める刑の減軽とは別に、自首を通した反省の態度が量刑判断に影響を及ぼすことはあります。
場合によっては、逃亡や証拠隠滅のおそれが低いとして逮捕される可能性を抑えることも期待できるでしょう。

他方、自首は自らの犯罪事実を申告するものである以上、本来であれば穏便に済むはずだったことまで刑事事件となる可能性も否定できません。
そうした点において、自首はある意味「諸刃の剣」とも言えるでしょう。
もし自首すべきか迷ったら、ぜひ一度法律の専門家である弁護士に相談してみてください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、これまで数多くの刑事事件を扱ってきた弁護士が、個々の事案に応じて自首すべきか丁寧に検討します。
盗品等有償譲受罪を犯して自首のことでお悩みなら、刑事事件少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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