贈収賄事件で逮捕

札幌市の贈収賄事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

札幌市では、一般企業に公共下水道の修繕工事を依頼することになり、入札に関する公告を行いました。
その入札期間中、市職員のAさんは、Xの代表取締役Bさんから高級料亭で食事をごちそうになった上、商品券10万円分を貰いました。
そして、Bさんから「次の入札はぜひうちにお願いします。この話はどうかご内密に」と言われたことから、Xに有利な取り計らいをしました。
その結果Xが指名されましたが、のちに上記やりとりが明るみに出たことで、Aさんは加重収賄罪の疑いで、Bさんは贈賄罪の疑いで北海道警察本部捜査第二課に逮捕されました。
Aさんの弁護士は、執行猶予の獲得に向けて弁護活動を開始しました。
(フィクションです)

【贈収賄事件について】

収賄罪は、公務員が職務に関して賄賂を収受し、またはその要求や約束をした場合に成立する可能性のある罪です。
公務員が「全体の奉仕者」(憲法15条2項)であることから、職務の公正中立とそれに対する社会一般の信頼を保護するために規定された罪です。
行為の内容によって細かく分かれますが、今回は①単純収賄罪、②受託収賄罪、③加重収賄罪に絞って解説します。

まず、単純収賄罪は、収賄罪の中で最も基本的なものです。
公務員が職務に関して「賄賂」を収受し、またはその要求や約束をした場合に成立しうるものです。
ここで言う「賄賂」とは、職務執行の対価となる不正な報酬のことであり、有形・無形を問わず様々な利益が含まれます。
上記事例では、AさんがBさんから高級料亭で食事をごちそうになっています。
このように、お金以外を収受した場合であっても、それが職務執行の対価たる利益である以上、「賄賂」に当たる可能性があります。
法定刑は5年以下の懲役です。

次に、受託収賄罪は、賄賂の収受等の際に、特定の行為をするよう、またはしないよう引き受けた場合に成立する可能性のあるものです。
特定の内容のお願いを引き受けることから、単純収賄罪よりもより重いものとして見られています。
法定刑は7年以下の懲役です。

最後に、加重収賄罪は、賄賂の収受等をした結果、不正な行為をし、または相当な行為をしなかった場合に成立する可能性のあるものです。
公務員の職務の公正を危険にさらすにとどまらず、特定人に肩入れすることで公正を損なうことにより、受託収賄罪よりも更に重く罰せられるものです。
法定刑は1年以上の有期懲役(上限20年)です。

贈賄罪は、賄賂を供与、又はその申込み若しくは約束をした場合に成立し、3年以下の懲役又は250万円以下の罰金となります。

【執行猶予を目指して】

贈収賄は、たびたびニュースなどで目にする汚職事件の典型例と言うべきものです。
そのため、証拠が不十分などの事情がない限り、高い確率で起訴されて裁判に至ることが見込まれます。
そこで、第一に行うべき弁護活動として、執行猶予に向けた情状弁護が挙げられます。

執行猶予とは、被告人に有利な事情を考慮して、刑の執行を一定期間猶予するというものです。
執行猶予となる刑の範囲には全部と一部がありますが、実務上目にする機会が多いのは全部の執行猶予ではないかと思います。
刑の全部が執行猶予となった場合、収賄罪のように懲役刑のみが定められている罪を犯しても、刑の確定後直ちに刑務所に行くという事態は回避できます。
それだけでなく、猶予期間中に新たな罪を犯すなどして執行猶予が取り消されない限り、猶予期間の経過後は刑を科されることがなくなるのです。

収賄罪・贈賄罪を犯したケースについては、直接的な被害者がいないことから、有力な弁護活動である示談という手段をとることが基本的にできません。
ですので、執行猶予を目指すのであれば、個々の事件に合わせて弁護士情状弁護の材料を検討してもらうのが賢明です。
弁護士への依頼が事件の明暗を分けることもありえるので、不安があればぜひ弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件のプロである弁護士が、執行猶予の獲得に向けて事件を綿密に検討します。
ご家族などが贈収賄事件の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

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