北海道名寄市の児童買春事件における取調べ対応について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。
【事件】
北海道名寄市に住むAさんは、出会い系サイトを利用し、援助交際を希望する女性を探していました。
そして、Aさんは、3万円で援助交際をしているVさんを見つけ、Vさんに対して年齢を確認したところ、20歳であるとのことで、援助交際を申し込みました。
当日、Aさんは、名寄市内でVさんと待ち合わせし、そのまま市内のホテルに行き、3万円を渡して性交しました。Vさんの見た目は、落ち着いており、普段は仕事をしていると話していたので、未成年とは思いませんでした。
後日、Aさんは北海道名寄警察署から「先日、名寄市内のホテルで女性と会っていることについて話を聞きたい。」と呼び出しを受けました。
(フィクションです。)
【児童買春について】
金銭などの対償を渡したり、その約束をしたりして、18歳未満の者と「性交等」に及んだ場合、児童買春に当たる可能性があります。
児童買春の対象となる「性交等」には、膣、肛門、口での性交のほか、児童の性器、肛門、乳首を触ったり、自己のそれらを触らせたりする行為も含まれます。
児童買春は児童の性的搾取や性的虐待に当たるとともに、児童の心身に悪影響を及ぼしうることから、法律により規制されるに至っています。
児童買春に関する規制は、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び規制並びに児童の保護等に関する法律」に定められています。
この法律には、児童買春が先述のような行為であることを定義したうえで、児童買春を行った者に5年以下の懲役または300万円以下の罰金を科すとしています。
具体的な量刑は様々な事情を考慮のうえ決められることになりますが、被害者が一人であっても回数が多ければ刑は重くなるでしょう。
児童買春は基本的に自己の性的欲求を満足させる目的であり、なおかつその行為は青少年にたいする性交やわいせつな行為に当たります。
そうすると、児童買春をした場合、北海道青少年健全育成条例(淫行の禁止)に違反する可能性が非常に高いです。
こうしたケースではより重い児童買春の罪での処罰が見込まれますが、状況次第(たとえば金銭のやりとりの立証が難しい)では条例違反の罪で処罰されることもありえます。
ただし、その場合の罰則は2年以下の懲役または100万円以下の罰金であるため、刑罰は基本的に軽くなるでしょう。
【取調べ対応の重要性】
客観的には児童買春に当たる行為を行っていても、被疑者・被告人がその事実を認識していなければ、児童買春の罪として罰することはできません。
上記事例のように、相手方が児童(18歳未満の者)であることを知らなかった場合、児童買春の罪の成立が否定される余地が出てきます。
この場合には条例違反の罪も成立せず、なおかつ成人の買春には罰則がないため、たとえ捜査が行われたとしても最終的に不起訴や無罪になるでしょう。
ここで注意しなければならないのは、児童であることを知らなかったからといって、その弁解を捜査機関が素直に聞いてくれるとは限らないことです。
むしろ、捜査機関も児童買春の罪を立証しようと躍起になるため、取調べ対応を上手く行わなければ丸め込まれてしまうおそれがあります。
もし取調べ対応を誤ったがゆえに虚偽の事実が調書に記載されてしまえば、本来受けるはずではなかった刑罰を受ける事態に陥りかねません。
行為者が本当に知らなかったとした場合、捜査機関が求める供述は、「見た目から年齢よりも若く感じた。」「もしかすると18歳未満であったかも知れない。」などで、捜査機関の誘導に乗らないように、毅然とした取調べ対応をする必要があります。
事例の場合、Aさんは、自らVさんの年齢を確認しており、それはAさんにとって有利に働くでしょう。
以上のようなリスクの存在から、児童買春に関して取調べを受ける際には、弁護士から事前に取調べ対応を聞いておくことを強くおすすめします。
弁護士は裁判における有罪立証を見据えてアドバイスをするので、取調べ対応を誤る危険性を相当程度抑えることができます。
児童買春は重罪とされているため、処罰を受けるべきでない者が処罰を受ければ著しい不利益となります。
特に取調べ対応は早期から身につけておくことが大切なので、児童買春事件で捜査を受けることになったら可能な限り早く弁護士に相談してください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件の経験豊富な弁護士が、知識と経験に照らして適切な取調べ対応をお伝えします。
児童買春を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
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