窃盗罪で審判不開始

北海道余市町の窃盗事件における審判不開始について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事件】

高校2年生のAさんは、同じ高校の不良生徒からいじめられており、カツアゲにあっていました。(ここでは恐喝罪は不問とする。)初めのころは、親の財布からお金を盗んでいたのですが、親に見つかってしまいました。それでも不良生徒からのお金の要求は止まず、ある日、アルバイト先のコンビニエンスストアのレジからお金を抜き取りました。
その日は何事もなく終わりましたが、後日店長から呼び出され、レジからお金を抜き取る姿が防犯カメラに写っていたことを伝えられました。
Aさんは解雇され、同時に北海道余市警察署から窃盗罪の疑いで捜査されることになりました。
そのことをAさんの両親から相談された弁護士は、審判不開始になる見込みがあることを伝えました。
(フィクションです。)

【窃盗罪と横領罪の違い】

上記事例では、Aさんがコンビニのレジからお金を盗んだことが原因で、窃盗罪の疑いが掛けられています。
会社などのお金を私的に費消した場合、その行為は「横領」と言われることがよくあります。
刑法には横領罪という罪も存在しますが、上記事例においてAさんが窃盗罪とされたのはなぜでしょうか。

窃盗罪横領罪との間で決定的に違うのは、占有、すなわち物に対する支配が誰により行われているかという点です。
窃盗罪は、他人が支配している物を自己の支配下に移した場合に成立する可能性がある罪です。
一方、横領罪は、(一時的であれ)自己が支配している他人の物を黙って処分(売却など)した場合に成立する可能性がある罪です。
たとえば、同意を得て借りている友人の服を勝手に売ってしまうという行為が典型例として挙げられます。

上記事例では、アルバイトとして働いているAさんがコンビニのレジのお金を盗んでいます。
アルバイトという身分は、使用者(雇用主)からレジのお金をある程度自由に利用・処分する権限を認められていないのが通常です。
そうすると、レジのお金を支配しているのはコンビニであって、Aさんは業務の一環としてお金に触れるに過ぎないと言えます。
このような場合には、Aさんが占有をコンビニから自己のもとへ移転させたことになり、窃盗罪に当たると考えられるのです。

【審判不開始について】

20歳未満の者が罪を犯した場合、事件は原則として刑事事件ではなく少年事件となります。
両者は犯罪の成否が問題になる点で共通ですが、捜査の終了後の取り扱いが大きく異なります。
少年事件は少年の健全な育成が目的なので、刑罰ではなく保護処分という措置によって、少年の更生や成長が図られることになります。

少年事件は、刑事事件として捜査が行われた後、一部を除いて家庭裁判所に送致されます。
家庭裁判所では、非行事実(罪に当たる行為)だけでなく、少年の性格や能力などの面も調査が行われます。
その結果、何らかの措置が必要だと思われれば審判になりますが、問題ないとされれば審判不開始で事件は終了します。

審判不開始になるケースというのは、少年が自ら反省しているとともに、保護者をはじめとする周囲の環境が少年の健全な育成を図るうえで問題ないと考えられる場合です。
そのため、審判不開始を実現するうえでは、少年とその周囲に問題がない、あるいは問題があっても自らの手で解消できることを示していく必要があります。
その際、少年事件に詳しい弁護士の手を借りれば、どういった方向性で進めばいいかが明確になりやすいでしょう。
もし審判不開始を目指すのであれば、一度お近くの弁護士に相談してみてください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、少年事件のツボを押さえている弁護士が、お子さんのことを常に考えながら審判不開始などを目指します。
北海道余市町でお子さんが窃盗罪を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

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