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被害者への電話を繰り返し行った場合のストーカー規制法違反

2023-09-15

被害者への電話を繰り返し行った場合のストーカー規制法違反

ストーカー規制法は、特定の人物に対する執拗な行為を規制する法律です。
その中でも、被害者への電話を繰り返し行うことも犯罪行為とされています。
この記事では、被害者への電話によるストーカー規制法違反について、事例を交えながら成立要件や罰則の違いに焦点を当てます。

1 ストーカー規制法の目的と概要

ストーカー規制法は、特定の人物に対する不必要な追跡や接触を禁止する法律です。
この法律は、1999年に施行され、その後何度も改正されています。
目的は、個人の尊厳と安全を保障するためです。
初めてこの法律に触れる方にとって、”ストーカー規制法”とは何か、どういった行為が規制されるのかを理解する基礎となります。
具体的には、この法律が規制する行為には、手紙やメール、電話などの通信手段を用いたものも含まれています。
このような多様な手段によるストーカー行為が問題とされ、法的に罰せられるようになっています。
特に近年は、SNSなどのデジタルメディアが進化していることで、新たな形態のストーカー行為も増加しています。

2 電話を繰り返す行為の成立要件

電話によるストーカー行為も、ストーカー規制法において明確に規制されています。
しかし、ただ電話をしただけでこの法律に抵触するわけではありません。
成立要件とは、法律が規制する行為が具体的にどのような条件下で「違法」とされるかを明示するものです。
この場合、重要な要件は以下の三つです。

意図的な行為: 電話は被害者に対して意図的にかけられている必要があります。
反復性: 一度や二度の電話ではなく、反復的な電話が必要です。
被害者の不安や恐怖: 電話によって被害者が不安や恐怖を感じていること。
一般に、これらの要件が揃った場合に初めて、電話によるストーカー行為として法的な問題が発生します。
要件がすべて揃っていない場合、その行為はストーカー規制法の適用外となりますが、それでも他の法律に抵触する可能性があります。
したがって、注意が必要です。

3 一般的な事例とその判断基準

ストーカー行為における電話は多様であり、具体的な事例を知ることは理解を深める上で非常に有用です。
例えば、過去には「毎日同じ時間にかける」「内容は一言も話さずに切る」など、様々な形態の事例が報告されています。

頻繁な電話: 毎日何度も電話をかける場合、その反復性は明らかであり、法的に問題視されるケースが多いです。
内容のない電話: 何も話さずにすぐに切るような電話も、被害者に不安や恐怖を与える場合があります。
無言の電話: 電話をかけてきて何も言わずにいるケースもあり、これもまた被害者にストレスを与えることが多いです。
これらの事例を見ると、法的な判断は単純に電話の回数や内容だけでなく、被害者がどれだけ不安や恐怖を感じたかも大きな要素となります。
また、これらの行為が一回や二回のものであれば法的に問題ない可能性もありますが、反復性が確認されるとストーカー規制法に触れる可能性が高まります。

4 被害者の感じ方が影響する要素

ストーカー規制法違反が成立するかどうかにおいて、被害者がどれだけ不安や恐怖を感じたかが重要な要素となります。
この「感じ方」は、一般的には主観的なものであるため、法的に評価するにはいくつかの基準が考慮されます。

明示的な拒否の有無: 被害者が明示的にストーカー行為を拒否していた場合、その後に行われる行為は法的に厳しく評価されることが多いです。
被害者の心理的状態: 既にストレスや心的外傷を抱えている場合、その状態が更に悪化する可能性が高く、法的には重視されます。
被害届や警察への相談: 被害者が被害届を出したり、警察へ相談を持ちかけている場合は、その恐怖や不安が高いレベルにあると判断されます。
被害者が不安や恐怖を感じていると判断される要素が多いほど、ストーカー規制法による罰則も厳しくなります。
このような状況下では、加害者がどれだけ「善意」で行動していたとしても、その行為が法的に問題視される可能性が高くなります。

5 罰則の種類とその違い

ストーカー規制法違反の罰則はいくつかの種類があり、その重さもケースバイケースで異なります。
以下は、一般的な罰則の例とそれぞれの特徴です。

罰金: 最も軽いケースであれば、罰金が科されることがあります。この罰金の額は、ケースや被害者の状態によって変動します。
懲役: 重度のストーカー行為、特に被害者が重大な精神的、身体的ダメージを受けた場合は、懲役刑が科される可能性があります。
接近禁止命令: 被害者に対する接近を禁じる命令が出されることもあります。これは、特に被害者が安全を感じられるようにするための措置です。
注意点として、これらの罰則は単独で科されるものではなく、複数の罰則が併用される場合も多々あります。
例えば、罰金と接近禁止命令が同時に出されるケースも考えられます。
また、ストーカー行為が他の犯罪、例えば傷害や侵入など、に繋がった場合は、それらの罪に対する罰則も適用されます。

6 防御策としての法的手続き

ストーカー行為が疑われる場合、被害者やその周囲が取るべき法的手続きも多くあります。
これらの手続きは早期に行うことで、事態の悪化を防ぐ可能性があります。

被害届の提出: 最も基本的な手続きは、警察に被害届を提出することです。これにより、法的に状況が認知されます。
弁護士との相談: 被害の程度や状況に応じて、専門の法律家と相談することも重要です。
仮処分命令: さらに悪化する前に、裁判所から加害者に対して仮の措置を命じる仮処分が可能です。
被害者自身が知識や情報に乏しい場合は、これらの手続きを適切に行うことが困難です。
そのため、早めに専門家の協力を得ることが、被害を最小限に抑える鍵となります。

7 弁護士に相談を

この記事では、電話を使ったストーカー行為とその法的側面について詳しく解説しました。
成立要件から被害者の感じ方、罰則の種類、法的手続きまで、多角的な視点からそのリスクと対処法を考察しました。

知識は力であり、このような状況に巻き込まれた場合、正確な情報と早期の対応が非常に重要です。
特に法的な手続きには専門的な知識が求められますので、専門家の協力を得ることがおすすめです。

ここで紹介させていただきたいのが、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部です。
この法律事務所は、ストーカー事件を始めとする多くの刑事事件に対応しており、専門的なアドバイスやサポートを提供しています。

この記事がストーカー行為とその法的側面についての理解を深める一助となれば幸いです。
何か問題に直面している場合は、ぜひとも専門家の協力を得て、適切な対処をお願いいたします。

バイクでのひき逃げ事件

2023-09-12

バイクでのひき逃げ事件

交通事故は誰にでも起こり得る瞬発的な出来事です。
特にバイクでのひき逃げ事件は、被害者はもちろん、加害者にも重大な影響を及ぼします。
この記事では、バイクでのひき逃げ事件に関わる罪と罰について具体的に解説します。

1. ひき逃げとは何か

ひき逃げとは、簡単に言えば交通事故を起こした後にその場から逃げ去る行為を指します。 この行為は、日本の法律において厳しく罰せられています。 具体的には、道路交通法第70条によって「交通事故を起こした者は、その事故の処理に関する責任を負い、現場に残る義務がある」と明記されています。 逃げることで、その義務を怠った場合には、この法律に違反した形となり、罰則が科されます。 重要なのは、逃げた事自体が罪であり、それによって被害者がさらに困難な状況に置かれる可能性が高いという点です。 このように、ひき逃げは道徳的にも法的にも許されない行為であると言えます。

2. ひき逃げの罪状

ひき逃げ事件においては通常、二つ以上の罪状が考慮されます。 最も一般的なのは「過失運転致死傷」と「救護義務(道路交通法)違反」です。

過失運転致死傷は、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律に基づく罪であり、事故によって人が傷ついたり、亡くなった場合に適用されます。 この罪に問われると、懲役や罰金が科される可能性があります。 一方で、道路交通法違反は、ひき逃げ行為自体が非法であるとして罰せられるものです。

加えて、事件の重大性によっては、「殺人」や「傷害」の罪に問われる場合もあります。 これは、加害者が故意に相手を傷つけたり、危険な状況を作り出した場合に該当します。 故意か過失かによっても罪状は大きく変わるため、その判断はしばしば裁判で決定されます。

以上のように、ひき逃げ事件では複数の罪状が絡み合い、その全体像は非常に複雑です。 この点を考慮すると、専門的な法的アドバイスが必要であると言えるでしょう。

3. 道路交通法における罰則

道路交通法にはひき逃げに対する罰則が具体的に定められています。 具体的な刑罰は、事案や状況によって異なるため一概には言えませんが、罰金は数十万円から数百万円、禁錮は数ヶ月から数年が一般的です。

また、道路交通法によっては、運転免許の点数が減点される、または免許が剥奪される可能性もあります。 これによって、今後の運転生活にも大きな影響を与えることとなります。

さらに、罰則が科されるだけでなく、保険料が上がる、就職に影響が出るなど、様々な生活面での制約が考えられます。 そのため、ひき逃げ事件は財政的、社会的なダメージも大きいと言えるでしょう。

総じて、道路交通法における罰則は厳格であり、ひき逃げを行った場合には多方面での影響が考えられます。 このような重大な結果を避けるためにも、交通事故を起こした場合は適切な手続きを踏むことが重要です。

4.人身事故における諸問題

車やバイクを運転していて事故を起こしてしまい、その事故が原因で被害者が死傷してしまった場合、俗にいう人身事故として取り扱われます。
人身事故の場合、刑事上の責任/民事上の責任/行政上の責任の3つの責任が問題となります。
以下で、その概要を説明します。

・刑事上の責任
刑事上の責任は、各種法律に規定されている罪を犯した場合に問題となります。
飲酒運転や無免許等の運転の場合を除き、運転手の不注意によって発生させた人身事故の場合には「過失運転致死傷罪」という罪に問われます。
この罪は、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(通称、自動車運転処罰法)に規定されています。
人身事故が発生した場合、運転手(=被疑者)は逮捕される場合もありますし、逮捕されずに在宅で捜査を受けることもあります。
いずれの場合でも、被疑者は警察官や検察官からの捜査・取調べを受け、証拠が揃って検察官が起訴した場合、刑事裁判や略式手続により刑事罰を科せられることになります。

罰条:7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

・民事上の責任
人身事故の場合、事故により怪我をした方、死亡した方がおられます。
また、歩行者にあっては事故の衝撃で持ち物が壊れた、運転手にあっては車やバイクが損傷した、といった金銭的な被害を受けることがあります。
この場合、加害者側が被害者側にその損害を補償する必要があります。

自動車やバイク等を運転する場合、自動車損害賠償責任保険(通称、自賠責)に加入することが義務付けられています。
もっとも、自賠責の場合は補償の金額に上限があるため、任意保険に加入して対人・対物無制限にする等、予め対応されている方もおられるでしょう。

・行政上の責任
刑事上の責任、民事上の責任に加え、人身事故を起こした場合には行政上の責任を負うことにもなります。
御案内のとおり、自動車やバイクを運転する場合には運転免許が必要となるところ、交通違反や事故を起こした場合には反則点数が加点され、一定以上の点数に達した場合には免許停止や取消といった処分を受けることになります。
人身事故については、不注意の程度と被害者の怪我の程度により、加点される点数が異なります。
免許停止や免許取消といった行政処分は刑事事件のような裁判は行われず淡々と手続きが行われて通知書が届きますが、90日以上の免許停止や免許取消といった行政処分を受ける場合、聴聞(意見の聴取)という手続が行われ、弁明をする機会が与えられます。

被害者への賠償責任

ひき逃げ事件では、刑罰だけでなく、民事上の賠償責任も問われます。 これには、医療費、慰謝料、失業した場合の収入損失など、多岐にわたる要素があります。

賠償責任は、事故の規模や被害者の状態によって大きく変わり得ます。 特に重傷を負わせた場合や死亡させた場合は、賠償額は非常に高額になる可能性があります。 この賠償は通常、保険が適用される部分とされない部分があり、保険外での支払いが必要な場合も多いです。

なお、賠償責任は基本的に加害者個人が負うものです。 しかし、家族や企業が関与している場合には、その範囲が広がることもあります。 例えば、仕事での配達中に事故を起こした場合、会社にも賠償責任が及ぶ可能性があります。

賠償責任によって生じる金銭的負担は、長期にわたって加害者の生活に影響を及ぼす可能性があります。 したがって、この点も考慮に入れると、ひき逃げは決して行ってはいけない行為であると強調されます。

事故後の適切な対応と法的手続き

交通事故を起こした場合、ひき逃げをしないで適切な対応をすることが重要です。 まず、事故現場で安全確保をして、必要であれば救急車を呼びます。 次に、警察に通報して事故の報告を行い、その後、保険会社への連絡も必要です。

これらの手続きは、将来的に裁判になった場合や賠償交渉で有利な証拠ともなりえます。 また、正確な情報の報告が行われることで、事故の解決がスムーズに進む可能性が高まります。

適切な対応をしなかった場合、それが後で裁判において不利に働く可能性もあります。 例えば、現場から逃げたことで、過失割合が高く見積もられると、賠償責任額も大きくなる可能性があります。

そのため、事故を起こした場合には冷静に、そして適切な手続きを踏むことが、法的にも倫理的にも最も正しい行動であると言えます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の紹介

ひき逃げ事件は複雑な法的要素と高度な専門知識が求められる問題です。そのため、弁護士のアドバイスが不可欠となります。弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、初回接見サービスが提供されており、多くのメリットがあります。この記事ではそのメリットについて詳しく説明します。

1. 専門的なアドバイス

初回接見で弁護士と直接話すことで、事件に対する専門的なアドバイスを受けられます。 この段階での専門的な意見は、今後の対応に大いに役立ちます。

2. 事案の早期解決

弁護士が早い段階で関与することで、事件の早期解決が期待できます。 専門家の指導があるため、無駄な手続きを省き、効率的に問題を解決できます。

3. 精神的安堵

法的な問題に直面した場合、精神的な負担は少なくありません。 初回接見サービスを受けることで、少なくとも一つの安堵感を得ることができます。

4. 費用の明確化

初回接見では、将来必要となるであろう費用についても明確にされます。 これによって、費用面での不安要素を減らすことができます。

5. 初回接見サービスの手厚さ

弁護士法人あいちでは、初回接見サービスが非常に手厚く、質問にも丁寧に答えてくれます。 そのため、具体的な疑問点や不安点をしっかりと解消できます。

6. 地域性の考慮

札幌支部であるため、地域性を考慮したアドバイスが受けられます。 地域による法的状況や風潮に合わせた対応が可能です。

7. まとめと今後のステップ

初回接見サービスを受けることで、ひき逃げ事件における多くの法的問題を効率よく、かつ確実に解決へと導いてくれます。 このサービスが提供するメリットを活かし、次なるステップへと進むための準備を整えましょう。

風俗を利用して盗撮してしまった事例について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士が解説

2023-09-09

風俗を利用して盗撮してしまった事例について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士が解説

嫌がる仕草

性風俗店を利用して、相手女性から性的サービスを受ける過程で、カメラで盗撮をしていたことがばれて、警察沙汰になることがあります。
このような風俗利用での盗撮事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。

盗撮行為で問題となる罪

性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律
(性的姿態等撮影)
第二条 次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
一 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為
イ 人の性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分
ロ イに掲げるもののほか、わいせつな行為又は性交等(刑法(明治四十年法律第四十五号)第百七十七条第一項に規定する性交等をいう。)がされている間における人の姿態
二 刑法第百七十六条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
2 前項の罪の未遂は、罰する。

※刑法第百七十六条第一項各号
一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。

性風俗店で性的サービスを受けている最中に、スマートフォンやカメラを密かに設置し、動画を盗撮するケースがあります。
被害女性の裸が実際に撮影できなかったとしても、盗撮しようとして設置すれば未遂として処罰されることになります。
密かにでなくても、相手女性の同意なく撮影をしたら、犯罪が成立します。

最近、盗撮を処罰する法律が国会で新たに成立しました。
これまでは、各地方公共団体の条例によって処罰されていましたが、これを国の法律で一律に規制することになりました。
しかも、犯罪が成立しやすくなり、刑罰が重くなり、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金となりました。
これまで以上に盗撮という犯罪が厳しく処罰されることになります。
今までは逮捕されなかったケースでも、今後は逮捕されることが多くなることが予想されます。

以前は、性風俗店での盗撮について、店や被害女性が警察に通報まではしないことも少なくありませんでした。
しかし、最近は店や被害女性がすぐに警察に通報して被害届を提出することも多くなっております。
盗撮に対する社会・捜査機関の厳しい態度や、捜査や裁判過程で被害女性の個人情報が守られるようになったことも影響していると思われます。

盗撮が発覚すると、被害女性が店員や警察を呼ぶことになります。
警察の捜査が進み、逮捕される可能性があります。
逮捕されると、実名報道されるリスクもあります。
運良く逮捕されずに在宅で捜査が進むことになったとしても、捜査過程で家族や勤務先に事件のことが知られてしまうこともあります。

逮捕されてしまったら、ご家族等はぜひ当事務所に依頼してください。
早期に接見して状況を確認し、釈放や示談に向けて活動させていただきます。

釈放は、逃亡や証拠隠滅のおそれの有無で判断されることになります。
しかし、一般的に釈放のハードルは高く、裁判官・裁判所はなかなか認めません。
刑事弁護に精通した弁護士がきちんと対応する必要があります。
逃亡や証拠隠滅のおそれがないことについて説得的な意見を述べなければなりません。
当事務所はこれまでに多数の釈放を実現させてきております。

また、早期に被害女性と接触し、示談交渉をする必要があります。
風俗店での盗撮事件の場合、被害女性が直接相手をせず、店の人間が間に入って交渉してくることがあります。
店も損害を受けたと主張し、過剰に高額な賠償金を請求してくることがあります。
被害者側に対して誠意をもって対応する必要がありますが、過剰な請求に対しては毅然とした対応をしなければなりません。
被害女性に接触して交渉するときも、被害女性の信頼を得なければなりません。
交渉等の過程で被害女性の個人情報をさらすようなことは絶対にしないこと、動画データはこれ以上流出しないようにすること、二度と犯人を近づけさせないようにすること、等を説明していくことになります。
示談書についても、中身がきちんとした内容のあるものでなければ効果がありません。
このような厳しい交渉にも対応できる能力のある弁護士に依頼する必要があります。
当事務所では、このような交渉に長けた多数の弁護士が在籍しております。

警察での取調べ対応も非常に重要です。
警察は不当に悪質性を大きく見せるため、圧力をかけたり誘導してきたりすることがあります。
不当な取調べに対しては、弁護士を通じて毅然とした対応をする必要があります。
状況次第では黙秘を実施することも検討することになります。
警察に対して抗議をすることもあります。
取調べの立会い・準立会いを要求して対応することもあります。
強大な国家権力である警察に対して、素人の一般人だけで対応することは難しいです。
刑事弁護に詳しくない弁護士であれば、きちんとした対応をせずに見逃すことも少なくありません。
当事務所では、取調べ対応に精通した弁護士が多数所属しております。

刑事事件ではスピードが大切です。
すぐに弁護士に連絡し、相談して依頼しましょう。
逮捕後最大72時間は、たとえ家族の方でも逮捕された人との接見ができませんが、弁護士が代わりに連絡を取ってくれます。
逮捕された場合、最長で23日間、身体が拘束されますが、その間に検察官が起訴をするかどうかを判断します。
検察官が起訴の判断をする前に、示談を成立させなければなりません。
非常に限られた時間で活動しなければならず、急がなければなりません。
また、逮捕直後に不当な取調べが行われ、不利な内容の調書が作成されてしまうかもしれません。
早く弁護士が接見し、取調べへの対応方法に関してきちんとしたアドバイスをする必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事を専門とする弁護士が迅速に対応いたしますので、お気軽にお電話ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件に関するご相談を初回無料で承っております。
無料法律相談のご予約
フリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)
までお気軽にお電話ください。

盗撮事件で示談交渉

2023-09-06

盗撮事件で示談交渉

盗撮事件で捜査を受けた場合の示談交渉について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。

【ケース】

北海道札幌市北区在住のAさんは、札幌市北区の会社に勤める会社員です。
Aさんは事件当日、札幌市北区を走行する鉄道車両の中でVさんのスカート内にスマートフォンを差し向けて撮影するいわゆる盗撮をしました。
Vさんは太ももにAさんのスマートフォンが当たったことで盗撮に気付き、盗撮をされた旨声を上げたためAさんは別の者に取り押さえられ、次の駅で駅員に引き渡されました。
駅員の通報を受けて臨場した札幌市北区を管轄する札幌方面北警察署の警察官は、Aさんを盗撮の嫌疑で逮捕しました。
Aさんの家族はVさんに謝罪し弁済したいと思いましたが、連絡先などが分からず、弁護士に示談交渉を依頼しました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【盗撮事件について】

今回のAさんの事件では、Vさんのスカート内にスマートフォンを差し向ける方法で撮影をするいわゆる盗撮事件を想定していました。
下着や裸体などを性的な目的で秘かに撮影する盗撮は、各都道府県の定める迷惑防止条例に違反します。
今回のケースでは北海道札幌市北区を走行する鉄道車両内での盗撮事件を想定していますので、北海道迷惑行為防止条例が問題となります。
該当する条文は以下のとおりです。

北海道迷惑行為防止条例2条の2 何人も、正当な理由がないのに、次に掲げる行為をしてはならない。
第2号 公共の場所若しくは公共の乗物又は集会場等…にいる者に対し、著しく羞恥させ、又は不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をすること。
ア 衣服等で覆われている身体又は下着を撮影すること(次号に規定する状態の他人に対
して行う場合を除く。)。
 イ 略
 ウ 略
(罰条:6月以下の懲役又は50万円以下の罰金※常習の場合は1年以下の懲役又は100万円以下の罰金)

【示談交渉について】

盗撮事件のような被害者がいる事件の場合の弁護活動の一つに、示談交渉が挙げられます。
示談交渉は、加害者側が被害者の方に対して謝罪や弁済を行うことで、被害者側に被害届の取下げや刑事告訴の取消などを依頼するものです。
内容は示談書・合意書といった書面にまとめられ、双方の署名捺印により示すことが一般的です。

示談書・合意書の内容はテンプレートがあるものではなく、被害者の感情に応じて、例えば加害者側が被害者の希望する列車・車両に乗車しないことを誓約する場合や、被害者の引越し代を負担する・加害者側が事件近くの場所から引越しをする等、様々な誓約を行う場合が考えられます。

示談交渉は必ず弁護士が行わなければならないわけではなく、加害者と被害者が当事者同士で示談交渉を行うことは可能です。
但し、当事者ではなく代理人として示談交渉を行う場合について、これは法律行為に当たるため弁護士以外の者が代理人になることはできません。

性犯罪事件の場合、被害者が加害者に連絡先を教えるリスクは大きいため、被害者が加害者に連絡先を開示したくないと考える場合がほとんどです。
このような場合に、警察官や検察官などの捜査機関が示談を仲介することはありません(民事不介入)。
そのため、加害者側が弁護士に依頼するか、被害者側が弁護士に代理を依頼して行う必要があります。
しかし、事件の多くは被害者側が代理人を立てない、あるいは刑事事件が終了した後に被害者側が損害賠償請求のために代理人を立てるという場合がほとんどで、刑事事件の処分が決められる前に示談交渉を行いたいと考えた場合、加害者側が代理人弁護士を立てて示談交渉に臨む必要がある場合がほとんどです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、盗撮事件を含め数多くの性犯罪事件に携わってきました。
盗撮事件では、加害者側が想像している以上に被害者が傷ついている場合が多く、示談交渉が難航する場合も少なくありません。
北海道札幌市北区にて、家族が盗撮事件で逮捕されていて示談交渉について知りたい場合、弁護経験が豊富な弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご連絡ください。

自転車事故で略式手続に

2023-09-03

自転車事故で略式手続に

自転車に乗っていた際に他人に接触してしまい怪我を負わせてしまったという自転車事故を想定し、どのような罪に当たるのか、略式手続はどのような手続きなのか、等について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。

【ケース】

北海道札幌市手稲区在住のAさんは、札幌市手稲区の会社を経営する経営者です。
Aさんは事件当日、約束に間に合わせるため片手で傘を差し乍ら慌てて電動アシスト付き自転車を走らせていたところ、前方を走る自転車に接触してしまいました。
接触した自転車はVさんが乗っていて、Vさんは骨折等全治2か月の怪我を負いました。
目撃者の通報を受け臨場した札幌市手稲区を管轄する札幌方面手稲警察署の警察官は、自転車事故を起こしたAさんを在宅で捜査しました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【自転車事故について】

今回のケースは、自転車同士での事故を想定しています。
車やバイクなどでの交通事故の場合、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律の定める過失運転致死傷罪などに問われますが、自転車の場合は定義から外れています。

自転車事故では、被害者が死傷した場合、過失傷害罪・過失致死罪又は重過失致死傷罪・業務上過失致死傷罪が成立します。
条文は以下のとおりです。

(過失傷害罪)
刑法209条1項 過失により人を傷害した者は、30万円以下の罰金又は科料に処する。
(過失致死罪)
刑法210条 過失により人を死亡させた者は、50万円以下の罰金に処する。
(重過失致死傷罪/業務上過失致死傷罪)
刑法211条 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。

「過失」は、本来必要とされる注意を怠った不注意の場合を指します。
「業務上必要な注意」は、仕事に限らず、社会的地位に応じて反復継続して行う場合に必要とされる注意を指します。
「重大な過失」は、少しでも注意していれば防げたようなことさえ防げなかったような場合を指します。

今回のAさんについては、日頃から自転車に乗っていることから、反復継続して行う自転車の運転という意味で業務上過失致傷罪に問われる可能性もありますし、傘を差してブレーキが握れない状態で電動アシスト付き自転車という高速度になる可能性がある自転車を走行していたという点で重大な過失があるとして重過失致傷罪に問われる可能性もあります。
両者は同じ罰則規定ですが、自転車事故がどのような不注意で引き起こされた事故であるか、あるいは各警察署の運用によって形式的に異なります。
但し、実際にそのような過失(不注意)があったのかという点は、各事件ごとに検討しなければなりません。

【略式手続について】

刑事事件では、警察官などが捜査を行ったのち、検察官に事件送致を行います。
検察官は、自ら取調べを行ったり、警察官などに補充捜査を指示したりして、証拠を収集します。
そして、有罪を証明することができるだけの証拠が集まれば、被疑者を起訴することができます。

検察官は、まず、起訴するかどうかという点を検討します。
例えば被害者が示談に応じて被害届を取り下げた場合には検察官が起訴できるが猶予する「起訴猶予」という理由で不起訴にする場合がありますし、十分な証拠が集まらなかった場合には「嫌疑不十分」という理由で不起訴にします。

次に、起訴する場合に通常の起訴をするのか、略式起訴するのかを検討します。
本来は、起訴するすべての事件を通常の起訴にし、公判廷での刑事裁判を行うことが原則です。
しかし、すべての事件で通常の起訴を行い公判請求された場合、裁判所の裁判官にとっても公判を担当する検察官にとっても負担が大きくなります。
これは、起訴された被告人(犯人)にとっても同じでしょう。
そこで、検察官が

・事案が明白で
・100万円以下の罰金/科料に該当する場合
・被疑者が同意し書面に署名捺印をすることで(略受け)

簡易裁判所に略式起訴した場合には、略式手続に付することができます。
略式手続は、在宅事件であれば略受けを行ったのち裁判所から起訴状等と納付書が届き、銀行などで罰金・科料を納付します。
身柄拘束されている事件の場合、多くは在庁略式となるため、家族などが罰金・科料を検察庁に持ってきて納付することで釈放され事件が終了する、という流れです。

略式手続は、公開の法廷で長きに亘り裁判を行う必要がないため、被告人にとっても有益な点があります。
しかし、否認している場合には略式手続はできませんし、略式手続で言い渡される罰金・科料もいわゆる前科になるため、それらを避けて不起訴を目指すという方もおられるでしょう。

北海道札幌市手稲区にて、自転車事故を起こしてしまい、略式手続になる可能性がある方は、手続きが進む前に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士による無料相談をご利用ください。
家族が逮捕・勾留されている場合はこちら。

【フラット35】での融資詐欺事件

2023-08-30

【フラット35】での融資詐欺事件

フラット35などのローンで問題となる融資詐欺について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。

【ケース】

北海道札幌市東区在住のAさんは、札幌市東区の会社に勤める会社員です。
Aさんは不労所得に興味を抱いていたところ、友人から紹介された不動産会社の職員から不動産投資を勧められました。
その内容は、フラット35と呼ばれるローンを組んでマンションの一室を購入し、その部屋をローン以上の金額で賃貸するというものです。
Aさんは不動産会社の職員の話なので信用して良いだろうと考え、手続きを行いました。

それから数年経った後、Aさんは滞りなくローンを返済していたのですが、フラット35の契約を結んだ銀行から連絡が来て、当該マンションの居住実績を求められました。
Aさんは銀行に別の者に貸し出していることを説明したところ、融資詐欺に当たるので北海道警察署の警察官に相談すると言われました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【フラット35を使った融資詐欺】

今回のケースは、Aさんが自身が居住する予定がないにも拘らずフラット35のローンを契約したという事例を想定しています。
このフラット35とは、住宅金融支援機構と提携した金融機関が行っているサービスで、申し込み者自身や親族が住むことを条件となっています。
そのため、契約時には必ず口頭あるいは書面で、自身か親族が住むことを確認されると考えられます。
よって、他人に貸すことを前提にフラット35の契約をした場合、金融機関に対する詐欺に当たると考えられます。
詐欺罪の条文は以下のとおりです。

刑法246条
1項 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

詐欺罪は、①加害者が被害者を騙す(欺罔)、②被害者が騙される(錯誤)、③被害者が加害者に財物を渡す(交付・移転)あるいは利益を得る、④この①~③に因果関係が認められる、という場合に成立します。

今回のAさんの場合、①Aさんが金融機関に対して目的を偽って契約をする、②金融機関はAさんが住む目的で契約すると勘違いし、ローンを組む、ということになっています。
このとき、金融機関は直接Aさんに現金を渡しているわけではなくマンションの販売先に渡していると考えられます。
この場合に、刑法246条1項のいう詐欺罪は成立しませんが、ローンを組むことでマンションの購入費用を一括で支払っていない(=ローンで支払っている)という状況から「財産上の利益」を得たと考えられますので③、同2項の詐欺が成立します。

【融資詐欺での弁護活動】

ケースはフィクションですが、このような手口での融資詐欺での相談をしばし受けることがあります。
フラット35を用いた融資詐欺に加担してしまった方の中には
・不動産会社の社員から良いと言われた
・ローンの返済は滞りなく行っている
と主張される方がおられますが、居住する目的でのみ契約できるフラット35を投資目的を隠して契約している時点で刑法246条2項の詐欺罪に成立する可能性が高いと言えます。
金融機関が被害届を提出するなどして捜査機関が事件を認知した場合、詐欺罪で起訴され有罪判決を受けることになります。

北海道札幌市東区にて、フラット35を用いた融資詐欺に加担してしまったという方は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
在宅事件の場合のご相談は無料です。

釈放を求め準抗告を行う

2023-08-27

釈放を求め準抗告を行う

児童買春事件で逮捕・勾留されたという事件を想定して、釈放を求める準抗告申立の手続きについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。

【ケース】

北海道室蘭市在住のAさんは、室蘭市内で飲食店を経営しています。
AさんはSNSで知り合った室蘭市内に住む17歳の児童Vさんに対し、現金2万円を渡して性行為をしました。
SNSでのやり取りを知ったVさんの保護者は室蘭市内を管轄する室蘭警察署の警察官に相談して被害届を提出したことから、室蘭警察署の警察官はAさんを児童買春の罪で通常逮捕しました。
Aさんが勾留されたことを知ったAさんの親族は、釈放の可能性について弁護士に相談しました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【児童買春の罪】

令和5年の改正刑法により、いわゆる性同意年齢の引き上げが行われ、16歳未満の児童との性行為は原則として不同意性交罪として処罰されることになりました。
また、16歳・17歳に対して性行為等をした場合
・児童や保護者に対して対価を渡していた場合には児童買春の罪に
・それ以外の結婚を前提にしていない性行為については各都道府県の定める青少年保護育成条例違反に
該当するとして捜査され処罰されることが考えられます。
今回のAさんの事例では、17歳の児童Vさんに対して2万円の対価を渡して性行為をしているため、児童買春の罪に問われます。
条文は以下のとおりです。

児童買春、児童ポルノ処罰法2条2項
この法律において「児童買春」とは、次の各号に掲げる者に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)をすることをいう。
1号 児童
2号 (略)
3号 (略)

【準抗告申立により釈放を求める】

被疑者が逮捕された場合、逮捕から72時間以内に釈放されるか、勾留裁判を担当する裁判官により勾留質問という手続きを経て勾留が認められるかの2択です。
勾留が認められた場合、原則として10日間、その後1度延長が認められるので最大で20日間、身柄拘束されることになります。
また、被疑者は20日の間に起訴されるか釈放されることになりますが、起訴された場合、その後も勾留は続きます。

勾留を回避し釈放を求めるためには、弁護士により、勾留の裁判が行われる前に検察官や裁判官に対して勾留が不要であることを主張していく必要があります。
とはいえ、逮捕から勾留が認められるまでの手続きは、通常逮捕の翌日や翌々日頃までに行われるのが一般的で、それまでに弁護人の選任が間に合わないという方も多いです。
(なお、一定の要件を満たした場合に国が選任する国選弁護人は、勾留が決まった後に初めて選任されます。また、当番弁護士は勾留前であっても一度限り接見することができますが、「弁護人」ではないため釈放を求める弁護活動はできません。)

勾留が認められた場合には最大20日間の勾留が避けられないのかというと、必ずしもそうではありません。
勾留が認められた場合、
・勾留裁判に対する不服申し立てる(勾留を認めた勾留裁判を取り消すよう申し立てる)準抗告申立て
・勾留裁判後に変更した事情を主張し釈放を目指す勾留取消請求
という方法で釈放を求めます。

このうち準抗告申立てについては、勾留の判断に対して「逃亡や証拠隠滅の恐れ等がないため勾留を認めた判断は誤りである」という主張を行います。
準抗告の判断は、勾留の判断を下した裁判官とは別の裁判官3名で行われます。
とはいえ、別の裁判官が判断するとはいえ、一度裁判官が認めた勾留を覆すことは容易ではありません。
その意味で、勾留される前に弁護士に弁護を依頼し、勾留の判断前に検察官・裁判官に対して勾留が不要である旨意見することが望ましいと言えます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、これまでに児童買春の罪を含め数多くの刑事事件を担当していて、準抗告申立てにより釈放が認められたケースも多くございます。
北海道室蘭市にて、家族が児童買春の罪で逮捕・勾留されてしまい準抗告申立により釈放を求める場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士による初回接見サービス(有料)をご利用ください。

横領事件での弁護活動

2023-08-21

横領事件での弁護活動

会社の得意先でたまたま預かったお金を着服したという事例を想定して、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。

【ケース】

北海道伊達市在住のAさんは、伊達市内の会社で技術職の仕事をしています。
ある日、Aさんは伊達市内の得意先を訪れて機械の保守点検を行った際、得意先の社員から「先月おたくに振込む予定だったお金を振込み忘れていたから、渡しておいて」と言われ、現金10万円を受け取りました。
これまでにAさんは現金を受け取ったことはなく、これは着服してもバレないのではないかと思い会社には報告しませんでしたが、Aさんの横領行為が発覚してしまい、会社の社長からは伊達市内を管轄する伊達警察署に被害届を出すことを検討していると言われました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【横領で問題となる罪】

他人から預かるなどして自分のもとにあるモノやカネを着服した場合には、
・(単純)横領
・業務上横領
のいずれかが成立すると考えられます。
条文はそれぞれ以下のとおりです。

(横領罪)
刑法252条1項 自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。
(業務上横領罪)
刑法253条 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。

横領の罪は、被害者の意に反して財物を移転する窃盗罪とは異なり、被害者を欺罔して財物を受け取る詐欺罪とも異なり、あくまで被害者の意思で、加害者を信頼して財物を預けた結果、加害者がその信頼を裏切って預かった財物を自分のものにするような場合に成立します。
Aさんの場合は仕事中に行った横領行為ですので、一見すると業務上横領罪が成立するように思えます。
しかし、業務上横領罪のいう業務とは、社会生活上の地位に基づき反復継続して行う事務を指します。
経理の担当者や経営者、集金担当者などが分かりやすい例ですが、Aさんの場合はそのような職務を任されているわけではなく、得意先を保守点検のために訪れた際に、本来は振込により支払うべき代金を今回に限り現金で預かったところその金を着服したため、業務上横領罪は成立せず、横領罪の成立に留ると評価される可能性があります。
横領罪業務上横領罪とでは法定刑が大きく異なるため、どちらの罪が成立するかという点は非常に重要であると言えます。

【横領の罪で弁護士に弁護を依頼】

横領の罪では、すぐに警察に通報され刑事手続きが進み裁判になる、という事例もありますが、被害を受けた会社が、加害者が謝罪して被害金額を賠償に応じれば刑事事件化を望まないという場合も少なくありません。
実際に、加害者側としても、仕事を続け乍らであれば弁済はできるが、逮捕されたり刑事裁判で実刑に処された場合には被害弁償ができないという方も多くおられるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、Aさんのように横領罪業務上横領罪で捜査を受けている方の弁護活動についても経験があります。
会社が相手の横領事件では、例えば加害者側が横領した金額以上の金額を横領したことにされて請求された、適切な示談書の取交しができておらず弁済しても被害届を提出され刑事事件化された、などの更なるトラブルに発展したというケースもあります。
被害届を提出される前であっても、弁護士に依頼し適切な弁護活動を受けることが望ましいと言えます。
北海道伊達市にて、横領罪業務上横領罪で会社から被害届を出すと言われている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士による無料法律相談をご利用ください。

しつこい訪問営業で不退去罪に

2023-08-18

しつこい訪問営業で不退去罪に

しつこい訪問営業をしたことで、同意を得て訪問したにもかかわらず不退去罪で逮捕されたという事案を想定して、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。

【ケース】

北海道岩内郡在住のAさんは、岩内郡内の会社で営業の仕事をしています。
Aさんら営業社員には契約目標が設けられていて、焦りを覚えていました。
そこでAさんは、岩内郡内のとある区画で1軒1軒訪問し、商品の営業を行ういわゆる訪問営業を行いました。
その際、岩内郡内のVさんの家にて、門扉を開けて中に入り、ドアのインターフォンを押してVさんに営業で訪問した旨を告げ、Vさんが扉を開けたことで中に入り玄関で営業をしました。
VさんはAさんの営業に少し興味を抱きましたが最終的に不要であると考えたため、Aさんに対して「やはり要らないです」と言いましたが、Aさんは食い下がり、中々帰ろうとしませんでした。
そこでVさんはAさんに対し、最初は「帰ってください」と言いましたが、Aさんが帰る素振りを見せないことから、「帰らないと警察を呼びますよ」「(Aさんの)名刺に書いてある会社に連絡しますよ」と言いましたが、それでもAさんは玄関から出ようとしませんでした。
そこでVさんは実際に110番通報し、通報を受けて臨場した札幌方面岩内警察署の警察官は、Aさんに対し「不退去罪に当たる」と説明しました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【不退去罪について】

今回のAさんの事例は、不退去罪というあまり聞き馴染みのない罪名が問題となります。
条文は以下のとおりです。

刑法130条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

これは、「又は」以前は住居侵入罪を規定した条文で、アンダーラインで示した部分が不退去罪の条文です。
判例は不退去罪について「行為者の滞留の目的その間になされた行為、居住者の意思に反する程度、滞留時間等を考慮し住居の平穏が乱されたか否かにより決すべきである。」と示しています。

退去の要求は、例えば飲食店や小売業の店舗であれば社長や管理権限を有する店長・現場責任者などが行うことができますし、住居であれば世帯主だけでなく住人全員ができると考えられます。

今回想定しているケースについて、最初AさんがVさんの家を訪問した時点では、訪問営業という一応の理由があっての行為であり住居侵入罪には当たりません。
しかし、Aさんの目的は訪問営業という必ずしもVさんのためになる行為ではなく、Vさんは繰り返し家を出るよう言っていること、退去するよう言われてからもその玄関に居続けているという点で、不退去罪に当たると評価される可能性が高いです。

【不退去罪での弁護活動】

不退去罪の場合、警察官は住居等に入った目的、退去しなかった理由と時間に加え、被疑者(加害者)の生活圏と被害者宅との近接性、被害者の住所以外の情報を知っているか、身元引受人がいるか、等、様々な事情を検討したうえで、被疑者を逮捕する(現行犯逮捕、又は逮捕状の請求をする)かどうか判断します。

不退去罪は被害者がいる事件であることから、示談交渉が重要となります。
加えて、このような違法な営業活動を行わないことを誓約することも必要となるでしょう。
具体的な弁護活動については、個々の事件によって異なるため、一度弁護士に相談することをお勧めします。

北海道岩内郡にて、不退去罪が問題となっている場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご連絡ください。
在宅で捜査を受けている場合、事務所にて無料で相談を受けることができます。
家族が不退去罪で逮捕・勾留されている場合、初回接見サービス(有料)をご利用ください。

違法な取調べで作成された調書を破ったら?

2023-08-15

違法な取調べで作成された調書を破ったら?

被疑者を逮捕していないにも拘わらず、逮捕と同視し得るような状態において行った違法な取調べによって作成された調書の法的性質とそれを破った場合の問題点について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が判例を踏まえ解説致します。

【事例】

北海道虻田郡俱知安町在住のAさんは、北海道内を管轄する警察官によりとある嫌疑をかけられ、任意同行を求められました。
Aさんは身に覚えはなく任意同行には応じないと説明しましたが、警察官は令状なしに強引に警察署に連行し、Aさんが帰りたいと言ったにもかかわらず取調べを行いました。
最終的に警察官は供述調書(弁解録取書)を作成し、それを読み上げAさんに署名捺印を求めたところ、Aさんはこんな供述調書は違法で無効であるとして憤り、警察官が作成した調書を破りました。

≪最判昭57・6・24の判例を土台にしていますが、地名等はすべて変更しています。≫

【違法な取調べで作成された調書も公用文書に当たる】

今回Aさんの行為で問題となるのが、警察官が作成した供述調書(弁解録取書)を破ったという点です。
警察官は地方公務員であり、公務員が作成した文書を毀棄した場合、一般人が作成した契約書などを破棄する行為に比べ、重い罪である公用文書等毀棄罪が成立します。
条文は以下のとおりです。

(公用文書等毀棄)
刑法258条 公務所の用に供する文書又は電磁的記録を毀棄した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。

よって、Aさんは仮に無実の罪で違法な取調べを受けていたとしても、供述調書を破ったことで公用文書等毀棄罪(あるいは公務執行妨害罪)に問われることになり得ます。
しかし、違法な取調べで作成された供述調書は公用文書には当たらないのではないか、という点が問題となります。
これについて、原判決(高等裁判所の判決)では違法な取調べの過程で作成された供述調書を破いた場合、公用文書等毀棄罪は成立せず、被告人は無罪としました。
しかし最高裁判所は、取調べの違法性については直接の言及を避けつつ、その作成の過程で違法性が認められる場合でも、既にそれが文章としての意味・内容を備えている以上は、公用文書に当たるとして、それを毀棄した(破いた)被告人には公用文書等毀棄罪に問われるとしました。

【違法な取調べを受けたら冷静に弁護士に相談】

とはいえ、違法な取調べ(違法と疑われる取調べ)によって作成された供述調書については、証拠能力に疑義が生じ裁判で証拠として採用されないことが考えられます。
では、違法な取調べ受けた場合にはどうすれば良いでしょうか。

Aさんのように感情的になって供述調書を破るようなことはせず、供述や供述調書等への署名捺印は拒否することが望ましいと言えます。
そして、逮捕等されていなければ、すぐに弁護士に相談し、取調べに違法性がないかを検討したうえで、
・弁護人面前調書をつくるなどして証拠保全に努める
・弁護人から警察署長や警察本部に対し抗議する
・刑事裁判になった場合に証拠能力を争う

などの対応が必要となります。

北海道虻田郡にて、違法な取調べを受けた可能性があるという場合、公用文書等毀棄罪に当たるような行為をすることなく冷静に対応したうえで、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士による無料相談初回接見サービス(有料)をご利用ください。

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