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飲酒運転で逮捕された

2023-04-24

飲酒運転で逮捕された

飲酒運転は社会的に大きな問題となっており、交通犯罪の中でも重い刑罰を科されることになります。
今回は飲酒運転について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。

<飲酒運転で問題となる罪>

道路交通法
(酒気帯び運転等の禁止)
第65条 何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。
2 何人も、酒気を帯びている者で、前項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがあるものに対し、車両等を提供してはならない。
3 何人も、第一項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがある者に対し、酒類を提供し、又は飲酒をすすめてはならない。
4 何人も、車両(トロリーバス及び旅客自動車運送事業の用に供する自動車で当該業務に従事中のものその他の政令で定める自動車を除く。以下この項、第百十七条の二の二第一項第六号及び第百十七条の三の二第三号において同じ。)の運転者が酒気を帯びていることを知りながら、当該運転者に対し、当該車両を運転して自己を運送することを要求し、又は依頼して、当該運転者が第一項の規定に違反して運転する車両に同乗してはならない。
(罰則)
第117条の2 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
一 第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第一項の規定に違反して車両等を運転した者で、その運転をした場合において酒に酔つた状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいう。以下同じ。)にあつたもの
二 第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第二項の規定に違反した者(当該違反により当該車両等の提供を受けた者が酒に酔つた状態で当該車両等を運転した場合に限る。)
第117条の2の2 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
三 第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第一項の規定に違反して車両等(軽車両を除く。次号において同じ。)を運転した者で、その運転をした場合において身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあつたもの
四 第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第二項の規定に違反した者(当該違反により当該車両等の提供を受けた者が身体に前号の政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態で当該車両等を運転した場合に限るものとし、前条第一項第二号に該当する場合を除く。)
五 第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第三項の規定に違反して酒類を提供した者(当該違反により当該酒類の提供を受けた者が酒に酔つた状態で車両等を運転した場合に限る。)
六 第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第四項の規定に違反した者(その者が当該同乗した車両の運転者が酒に酔つた状態にあることを知りながら同項の規定に違反した場合であつて、当該運転者が酒に酔つた状態で当該車両を運転したときに限る。)
第117条の3の2 次の各号のいずれかに該当する者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
二 第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第三項の規定に違反して酒類を提供した者(当該違反により当該酒類の提供を受けた者が身体に第百十七条の二の二第一項第三号の政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態で車両等(軽車両を除く。)を運転した場合に限るものとし、同項第五号に該当する場合を除く。)
三 第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第四項の規定に違反した者(当該同乗した車両(軽車両を除く。以下この号において同じ。)の運転者が酒に酔つた状態で当該車両を運転し、又は身体に第百十七条の二の二第一項第三号の政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態で当該車両を運転した場合に限るものとし、同項第六号に該当する場合を除く。)

道路交通法施行令
(アルコールの程度)
第44条の3 法第百十七条の二の二第一項第三号の政令で定める身体に保有するアルコールの程度は、血液一ミリリットルにつき〇・三ミリグラム又は呼気一リットルにつき〇・一五ミリグラムとする。

酒気帯び運転等の禁止が定められ、罰則が科されております。
たとえ少量であっても、身体にアルコールを保有している場合には、そのアルコールが肉体的・精神的機能に悪影響を及ぼし、運転者の注意力が減退して散漫となり、交通事故を起こす可能性が増大します。
酒に酔った状態、アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態、の場合は、酒酔い運転として五年以下の懲役又は百万円以下の罰金となります。
いわゆる酒に酔っぱらっている状態はもちろん、感覚機能・運動機能・判断能力・抑制能力が著しく侵されている状態にある場合は、酒に酔った状態に該当することになります。
血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム又は呼気1リットルにつき0.15ミリグラム以上のアルコールを保有している状態の場合は、酒気帯び運転として三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金となります。

<飲酒者への車両提供罪>

酒気を帯びて車両等を運転することとなるおそれがある人に対し、車両等を提供してはなりません。
車両等を提供すればその人が酒気を帯びて運転することとなる蓋然性があることを、未必的にせよ認識している必要があります。
車両等を提供するとは、相手方が車両等を利用し得る状態におくことをいい、自己の車両等を相手方に直接貸与することや、相手方に車両等の所在を教えて鍵を渡す行為も該当します。
運転者が酒酔い運転か酒気帯び運転かで、車両提供者の刑事処分の大きさが変わります。

<酒類提供者等への罪>

酒気を帯びて車両等を運転することとなるおそれがある人に対して、酒類を提供したり飲酒を勧めたりしてはなりません。
酒類を提供するとは、相手方の求めに応じて酒類を出すなどして相手方が当該酒類を飲酒できる状態に置くことをいい、当該酒類が有償であるか無償であるかは問われません。
酒類の提供者は、酒類を事実上支配している人であり、酒類販売店や飲食店の経営者や経営者から店を任されている責任者等が客の注文に応じて酒類を出す場合、自宅に訪れた友人等に対して酒類を出す場合等が該当することとなります。
店員であっても、客の注文を受けて自らの判断で酒類を出すことができる場合には、酒類の提供者となります。
酒気帯び運転をするおそれがある人であることを未必的にせよ認識している必要があります。
具体的には、飲食店の常連客等で日常的に飲酒して車両等を運転して帰る人や、車両等を運転するとの言動等を行っている人が該当することになります。
提供者が、提供の相手が飲酒運転をすることとなるおそれがある人であることを知っていたかどうかについては、提供者と被提供者との関係、被提供者の日常の状況、提供者の言動等から総合的に判断することとなります。
飲酒を勧めるとは、相手方の要求の有無にかかわらず酒を飲むよう勧めることです。
運転者が酒酔い運転か酒気帯び運転かで、酒類提供者の刑事処分の大きさが変わります。

<飲酒運転同乗等の罪>

車両の運転者が酒気を帯びていることを知りながら、当該運転者に対し、当該車両を運転して自己を運送することを要求し、又は依頼して、当該運転者が酒気を帯びて運転する車両に同乗してはなりません。
明示的な要求・依頼の文言がない場合であっても、個別具体的な状況から判断して要求・依頼があったと認められる場合があります。
車両の運転者が酒気を帯びていることを認識したうえで自己の運送を要求・依頼して当該車両に同乗することが必要となります。
運転者が酒酔い状態であることを認識していたら、刑事処分が重くなります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、飲酒運転を含めて多数の交通犯罪を扱ってきました。
北海道で逮捕・勾留され、相談・依頼したいという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士による有料の初回接見サービスをご利用ください。
接見して状況を確認した後、説明させていただいた後に、正式契約となったら事件を対応させていただきます。
迅速な対応が必要となりますので、お早めにご相談ください。

ひき逃げ事件を起こして逮捕された

2023-04-21

ひき逃げ事件を起こして逮捕された

ひき逃げ事件は交通犯罪の中でも特に悪質性が高く、重い刑罰を科されることになります。
ひき逃げ事件で成立する犯罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。

<過失運転致死傷罪>

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律
(過失運転致死傷)
第5条 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
(無免許運転による加重)
第6条 4 前条の罪を犯した者が、その罪を犯した時に無免許運転をしたものであるときは、十年以下の懲役に処する。

本罪は過失犯です。
自動車に関連する事故であっても、自動車の運転に通常随伴する行為に起因しない事故については、本罪の適用対象外であり、過失致死傷罪や業務上過失致死傷罪が問題となります。
自動車の運転上必要な注意とは、運転者が自動車を運転する上で遵守すべき注意義務のことをいいます。
人の死傷と因果関係があるものが対象となります。
前方注視義務、歩行者等の有無を確認しながら安全に進行すべき義務、ハンドル・ブレーキ等の運転を的確にすべき義務、信号機の設置されていない交差点で一時停止や徐行をする義務、等があります。
注意義務違反によって人の死傷結果が発生すると本罪が成立します。
どのような注意義務違反がある場合に本罪が成立するかは、道路の状況、加害者や被害者の状況、事故の発生状況等を個別具体的に検討されて判断されます。
発生した事故からして、どのような措置を取っていれば事故の発生を回避することができたかを具体的状況に即して検討し、運転者に対してそのような措置義務を求めることが可能で相当かを検討して、本罪の成立を判断します。
道路交通法等の関連法規を守っているかどうかは、参考にはされますが、本罪の成立不成立に直結するわけではありません。
本罪が成立するためには、自動車の運転上必要な注意を怠ったことと人の死傷結果との間に因果関係が認められる必要があります。

傷害が軽い場合は、情状により、その刑を免除することができます。
事故の態様、過失の内容・程度、被害状況、慰謝の措置の有無・内容、被害者の処罰意思、本人の反省状況等、一切の事情を考慮して相当と認めるときは、処罰の必要性がないため、判決で刑の言渡しそのものを免除されます。

過失運転致死傷罪を犯したときに無免許運転だった場合は、より罪が重くなります。
無免許運転は、運転免許制度を無視する悪質な行為であり、運転に必要な適性・技能・知識を欠いている可能性があり、危険性の高い行為です。
その結果、人を死傷させる結果を生じた人に対し、より重い処罰を可能とするものです。
罪を犯した時点で、自らが無免許であることを認識している必要があります。

<救護・報告義務違反>

道路交通法
(交通事故の場合の措置)
第72条 交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。同項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置(第七十五条の二十三第一項及び第三項において「交通事故発生日時等」という。)を報告しなければならない。
第117条 車両等(軽車両を除く。以下この項において同じ。)の運転者が、当該車両等の交通による人の死傷があつた場合において、第七十二条(交通事故の場合の措置)第一項前段の規定に違反したときは、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2 前項の場合において、同項の人の死傷が当該運転者の運転に起因するものであるときは、十年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
第117条の5 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
一 第七十二条(交通事故の場合の措置)第一項前段の規定に違反した者(第百十七条第一項又は第二項に該当する者を除く。)
第119条 次の各号のいずれかに該当する者は、三月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
十七 第七十二条(交通事故の場合の措置)第一項後段に規定する報告をしなかつた者

交通事故があったときは、運転者等は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければなりません。
直ちにとは、すぐにという意味で、急迫の程度が高い場合をいいます。
負傷者を救護しとは、現場において応急の手当をすることはもちろん、119番に電話したり、最寄りの病院へ負傷者を運んだりすることをいいます。
道路における危険を防止する等必要な措置を講ずるとは、事故を起こした車両等が道路上に放置され、又は積載物が飛散しており、そのため道路における危険を生じさせるおそれがあるときは、速やかにこれを安全な場所に移動させたりすることをいいます。

交通事故があったときは、当該車両等の運転者等は、警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければなりません。
交通事故の当事者である車両等の運転者等にこのような報告義務を課しているのは、警察官が、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るという見地から、その交通事故の起こった現場の状況を的確に知る必要があるためです。
すぐに警察へ電話して報告しなければなりません。

ひき逃げ事件は特に悪質な犯罪と評価され、逮捕されて重い刑事処分となる可能性が高いです。
まずは安全運転を心掛けて、事故を起こさないことが第一です。
交通事故を起こしてしまったら、すぐに近くに停車し、事故や被害者の状況を確認し、警察に電話して連絡しなければなりません。
もしその場を離れて逃げてしまったら、時間をかけてでも警察が犯人特定のために捜査し、最終的には逮捕されることになります。
逃げたら、逃げていない場合と比較して、大きく刑罰が重くなります。
逮捕されて実名報道されてしまうリスクもあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、ひき逃げ事件を含めて多数の交通犯罪を扱ってきました。
北海道で逮捕・勾留され、相談・依頼したいという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士による有料の初回接見サービスをご利用ください。
接見して状況を確認した後、説明させていただいた後に、正式契約となったら事件を対応させていただきます。
逮捕されていない場合でも、ぜひ無料面談をご利用ください。
迅速な対応が必要となりますので、お早めにご相談ください。

被告人質問と被害者参加制度

2023-04-18

被告人質問と被害者参加制度

強制わいせつ事件で起訴された場合に問題となる、刑事裁判での被告人質問被害者参加制度について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。

【ケース】

北海道札幌市西区在住のAさんは、札幌市西区の会社に勤める会社員です。
Aさんは、札幌市西区で酒に酔って歩いていたところ、通行人Vさんとすれ違い、劣情を催してVさんを路地裏に無理やり連れて行き、下着を脱がせ陰部を触るという強制わいせつ事件を起こし、後日札幌方面西警察署の警察官に逮捕されました。
その後勾留期間を経て起訴されたAさんは、担当する弁護士から「被害者参加制度に基づき被害者が刑事裁判に参加します」との説明を受けました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【強制わいせつ罪について】

今回の事件は、Aさんが酒に酔って通行人である他人Vさんの下着を脱がせて陰部を触る、という行為が問題になります。
問題となる強制わいせつ罪の条文は以下のとおりです。

刑法176条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

なお、わいせつ行為をした際や被害者が抵抗した際に擦り傷の怪我をした場合には、強制わいせつ致傷罪とより重い罪が科せられます。
強制わいせつ致傷罪の罰条は「無期又は3年以上の懲役」で、起訴された場合は裁判員裁判対象事件となります。

【被告人質問について】

刑事裁判では、簡単に説明すると以下の流れで手続きが進められます。

・冒頭手続き(人定質問、起訴状朗読、被告人の権利告知、罪状認否)
・証拠調べ手続(冒頭陳述、検察官立証、弁護側立証、被告人質問、情状立証)
・最終弁論(論告、弁論、最終陳述)
・判決言い渡し

今回は、証拠調べ手続で行われる被告人質問について、解説します。

被告人質問とは、その名のとおり被告人(つまり、犯人として起訴された人)に対して行われる質問です。
被告人質問のタイミングは証拠調べ手続のどこで行っても良いのですが、実務では証拠調べ(証拠書類の提示や証人尋問など)が行われた後に被告人質問を設ける場合が一般的です。
被告人質問の目的は、事件についての弁解や意見を聴くことにあります。
被告人質問では、基本的に弁護人が質問⇒検察官が反対質問⇒裁判官が補充質問、という流れで行われます。

「被告人は、終始沈黙し、又は個々の質問に対し、供述を拒むことができる。」と定められているため被告人は供述拒否をする権利が認められていますが(刑事訴訟法311条1項)、裁判官が供述を求めたり、検察官や弁護人が裁判官に対し「被告人に供述を求める」よう促すことができます(同条2項、3項)。

【被害者参加制度と被告人質問】

今回想定している強制わいせつ事件では、わいせつ行為を受けた被害者がいます。
刑事裁判は被告人の有罪/無罪や有罪の場合の刑事罰を決める手続きですので、被害者は直接の当事者ではありませんが、被害者(あるいは、もし被害者が死亡したような事件では被害者遺族)が刑事裁判で意見したり質問したりしたいと考える場合があります。
これを考慮して、2007年の法改正により被害者参加制度が新設されました。
法改正以前も意見陳述の制度はありましたが、被害者参加制度では、意見陳述のほかに証人尋問や被告人質問ができるようになりました。

被害者参加人やその代理人弁護士が被告人質問をしたいと考えた場合、まずは裁判所に申し出ます。
裁判所は、被告人の弁護人に意見を聴き、必要があると認める場合で審理の状況等から相当と認める場合は、被害者参加人により被告人質問を認めます。
被告人質問は意見陳述の手続きとは異なるため、被害者参加人はあくまで「質問」をすることになります。

被害者参加人が行う被告人質問は、多くの場合が代理人弁護士により質問が行われる場合が一般的です。
しかし、ともすれば検察官以上に厳しい質問や答えに窮する質問が行われる可能性があります。
被害者参加等決定をされた事件では、通常の刑事裁判以上に綿密な打合せを行い、想定される質問等について検討する必要があるでしょう。

北海道札幌市西区にて、家族が強制わいせつ事件で逮捕・勾留された、あるいは被害者参加制度で被害者参加人が被告人質問をする可能性があるという場合、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご連絡ください。
弁護士による初回接見サービス(有料)や、在宅事件での無料相談についてご案内致します。

救急隊員に対する公務執行妨害罪

2023-04-12

救急隊員に対する公務執行妨害罪

酒に酔った被疑者が公務員である救急隊員に対して暴行を加えた事例を想定し、公務執行妨害罪や暴行罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。

【ケース】

北海道札幌市中央区在住のAさんは、札幌市中央区の会社に勤める会社員です。
Aさんは仕事の帰りに飲食店に立ち寄り飲酒したところ泥酔してしまい、店で転倒して顔から流血しました。
店員が慌てて消防局に通報し、通報を受けて臨場した救急隊員がAさんを搬送しようとしたところ、Aさんは暴れて救急隊員に対し殴る蹴るの暴行を加えました。
暴行を受けた救急隊員に怪我はありませんでしたが、Aさんは救急隊員の通報を受けて臨場した札幌市中央区を管轄する札幌方面中央警察署の警察官により、公務執行妨害罪で現行犯逮捕されました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【公務執行妨害罪について】

今回のケースは、札幌市消防局に所属する公務員である救急隊員に対し、暴行を加えた、という場合を想定しています。
公務員に対し暴行を加え被害者である公務員が怪我をしていないという場合、公務執行妨害罪と暴行罪の成立が考えられます。

(暴行罪)
刑法208条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
(公務執行妨害罪)
刑法95条 公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

公務執行妨害罪は、職務の執行に当たる公務員に対して、暴行や脅迫を加えた場合に成立する罪です。
国または地方公共団体の事務を処理する公務員であれば広く対象となりますが、特に多いのは警察官や救急隊員に対する公務執行妨害罪です。
公務執行妨害罪における「暴行又は脅迫」は、間接的なものを含めて幅広く認められる可能性があります。

なお、Aさんの行為は暴行罪にも該当しますが、
暴  行  罪:被害者個人の生命身体を保護法益としている
公務執行妨害罪:公務員の公務の遂行を保護法益としている
ことから、それぞれ目的が異なります。

最終的に公務執行妨害罪と暴行罪で起訴された有罪となった場合、一つの行為で複数の罪に該当する観念的競合の問題となりより重い刑が処されることになるため、「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」の範囲で刑事罰が言い渡されます。

【事務所紹介】

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、公務執行妨害罪のような被害者が公務員である場合の事件に対応しています。
公務執行妨害罪の場合、保護法益の問題や被害者が公務員という立場である点などから、暴行罪とは異なる見通し・弁護活動が予想されます。
北海道札幌市中央区にて、家族が救急隊員の方に対する公務執行妨害罪で現行犯逮捕されたという場合、すぐに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご連絡ください。
24時間365日予約受付の窓口にて、担当者が初回接見サービスについてご説明致します。

危険運転致死傷罪で逮捕された

2023-04-09

危険運転致死傷罪で逮捕された

危険運転致死傷罪は交通犯罪の中でも特に重い刑罰を科されることになります。
危険運転致死傷罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。

<危険運転致死傷罪・1>

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律
第2条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
一 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
二 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
三 その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
四 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
五 車の通行を妨害する目的で、走行中の車(重大な交通の危険が生じることとなる速度で走行中のものに限る。)の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転する行為
六 高速自動車国道(高速自動車国道法(昭和三十二年法律第七十九号)第四条第一項に規定する道路をいう。)又は自動車専用道路(道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第四十八条の四に規定する自動車専用道路をいう。)において、自動車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転することにより、走行中の自動車に停止又は徐行(自動車が直ちに停止することができるような速度で進行することをいう。)をさせる行為
七 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
八 通行禁止道路(道路標識若しくは道路標示により、又はその他法令の規定により自動車の通行が禁止されている道路又はその部分であって、これを通行することが人又は車に交通の危険を生じさせるものとして政令で定めるものをいう。)を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律施行令
(通行禁止道路)
第二条 法第二条第八号の政令で定める道路又はその部分は、次に掲げるものとする。
一 道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第八条第一項の道路標識等により自動車の通行が禁止されている道路又はその部分(当該道路標識等により一定の条件(通行の日又は時間のみに係るものを除く。次号において同じ。)に該当する自動車に対象を限定して通行が禁止されているもの及び次号に掲げるものを除く。)
二 道路交通法第八条第一項の道路標識等により自動車の通行につき一定の方向にするものが禁止されている道路又はその部分(当該道路標識等により一定の条件に該当する自動車に対象を限定して通行が禁止されているものを除く。)
三 高速自動車国道(高速自動車国道法(昭和三十二年法律第七十九号)第四条第一項に規定する道路をいう。)又は自動車専用道路(道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第四十八条の四に規定する自動車専用道路をいう。)の部分であって、道路交通法第十七条第四項の規定により通行しなければならないとされているもの以外のもの
四 道路交通法第十七条第六項に規定する安全地帯又はその他の道路の部分

本罪は、故意に危険な運転行為を行った結果として人を死傷させた者を故意犯として処罰するものです。
危険運転行為については、当該行為をそれと認識して行う故意が要求されます。
それによって生じた死傷の結果についての故意は要求されません。
本罪の保護法益は人の生命・身体の安全ですが、危険運転行為そのものを抑止することになり、間接的には交通の安全にも資することになります。
死傷の対象は同乗者を含みます。
本罪が成立するためには、危険運転行為と死傷の結果の間に因果関係が認められる必要があります。
死傷の結果について故意がない場合に成立し、故意がある場合は殺人罪や傷害罪や傷害致死罪等が成立します。

1号の「アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為」は、道路及び交通の状況等に応じた的確な運転操作を行うことが困難な心身の状態をいいます。
思ったとおりにハンドルやブレーキ等を操作することが難しい状態、前方を注視してそこにある危険を的確に把握して対処することができない状態、等をいいます。

2号の「その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為」は、的確な運転操作を行うことが困難になるほどのスピードをいいます。
道路の形状、路面の状況、車両の構造・性能・積載状況等によってその速度は異なります。ハンドルやブレーキ等の操作をわずかに誤っただけでも自車を進路から逸脱させることになるような速度で走行することも含まれます。

3号の「その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為」は、ハンドルやブレーキ等の基本的な運転装置を操作する初歩的な技能すら有しないことをいいます。
無免許でも技能を有していたら本号に当たりません。

4号の「人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為」は、歩行者や車の自由で安全な運行を妨げる意図で行われる必要があります。
著しく接近とは、自車を歩行者や車の直近に移動させたり、幅寄せしたり、後方からあおったり、対向車線上を走行して対向車両に著しく接近したりすることをいいます。
重大な交通の危険を生じさせる速度は、自車が人や車と衝突すれば大きな事故を生じさせると一般的に認められる速度、あるいは、相手方の動作に即応するなどして大きな事故になることを回避することが困難であると一般的に認められる速度、を意味します。

5号の「車の通行を妨害する目的で、走行中の車(重大な交通の危険が生じることとなる速度で走行中のものに限る。)の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転する行為」は、加害者車両及び被害者車両の走行速度や位置関係等を前提とした場合に、加害者の運転行為がなされることにより、両車両が著しく接近することとなる場合をいいます。
本条4号の場合と異なり、実行行為の時点で加害者車両と被害者車両の両車が実際に接近していることを要しません。

6号の「高速自動車国道(高速自動車国道法(昭和三十二年法律第七十九号)第四条第一項に規定する道路をいう。)又は自動車専用道路(道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第四十八条の四に規定する自動車専用道路をいう。)において、自動車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転することにより、走行中の自動車に停止又は徐行(自動車が直ちに停止することができるような速度で進行することをいう。)をさせる行為」は、高速道路においては、自動車を駐停車させること自体が原則として禁止されて想定されていないことから、被害者車両に停止又は徐行をさせる場合には重大な交通の危険が生じる危険性が類型的に高いために、禁止されています。

7号の「赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為」は、故意の赤信号無視のうち、およそ赤信号に従う意思のないものをいいます。

8号の「通行禁止道路(道路標識若しくは道路標示により、又はその他法令の規定により自動車の通行が禁止されている道路又はその部分であって、これを通行することが人又は車に交通の危険を生じさせるものとして政令で定めるものをいう。)を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為」は、道路標識若しくは道路標示により、又はその他法令の規定により自動車の通行が禁止されている道路又はその部分であって、これを通行することが人又は車に交通の危険を生じさせるものとして政令で定めるものを対象としています。
一方通行道路や安全地帯や立入禁止部分等も含みます。

<危険運転致死傷罪・2>

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律
第3条 アルコール又は薬物の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、そのアルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を負傷させた者は十二年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は十五年以下の懲役に処する。
2 自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるものの影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、その病気の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を死傷させた者も、前項と同様とする。

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律施行令
(自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気)
第3条 法第三条第二項の政令で定める病気は、次に掲げるものとする。
一 自動車の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈する統合失調症
二 意識障害又は運動障害をもたらす発作が再発するおそれがあるてんかん(発作が睡眠中に限り再発するものを除く。)
三 再発性の失神(脳全体の虚血により一過性の意識障害をもたらす病気であって、発作が再発するおそれがあるものをいう。)
四 自動車の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈する低血糖症
五 自動車の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈するそう鬱病(そう病及び鬱病を含む。)
六 重度の眠気の症状を呈する睡眠障害

本条は、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転することが実行行為とされています。
結果として正常な運転が困難な状態に陥ることが必要ですが、本法2条とは異なり、その可能性の認識までは不要となります。
その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態とは、自動車を運転するのに必要な注意力・判断能力・操作能力が相当程度減退している状態、あるいは、そのような状態になり得る具体的なおそれのある状態をいいます。
アルコールであれば、一般的には、酒気帯び運転罪に該当する程度のアルコール等を身体に保有している状態をいいます。

<無免許運転による加重>

第6条 第二条(第三号を除く。)の罪を犯した者(人を負傷させた者に限る。)が、その罪を犯した時に無免許運転をしたものであるときは、六月以上の有期懲役に処する。
2 第三条の罪を犯した者が、その罪を犯した時に無免許運転をしたものであるときは、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は六月以上の有期懲役に処する。

以上の犯罪について、無免許運転だった場合は、より重い刑罰となります。
無免許運転は、運転免許制度を無視する悪質な行為であり、運転に必要な適性・技能・知識を欠いている可能性があり危険性の高い行為です。
その結果、人を死傷させる結果を生じた人に対し、より重い処罰を可能とするものです。
罪を犯した時点で、自らが無免許であることを認識している必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、危険運転致死傷罪を含めて多数の交通犯罪を扱ってきました。
北海道で逮捕・勾留され、相談・依頼したいという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士による有料の初回接見サービスをご利用ください。
接見して状況を確認した後、説明させていただいた後に、正式契約となったら事件を対応させていただきます。
迅速な対応が必要となりますので、お早めにご相談ください。

SNS上での誹謗中傷

2023-04-06

SNS上での誹謗中傷

SNS上での誹謗中傷に係る諸問題について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。

【ケース】

北海道浦河郡在住のAさんは、浦河郡内で自営業をしています。
Aさんは隣人Vさんと表向きは仲が良かったものの、その実、嫌悪感を抱いていました。
そこで、Aさんは匿名のSNSアカウントを作成し、Vさんが日々アップロードしている投稿に対して「こんな投稿でグッドボタンを欲しがっているクズ」「SNSでは元気だが現実社会では何もできない」などとVさんを誹謗中傷する投稿を繰り返し行いました。
Vさんは、誹謗中傷を受けていることについて北海道浦河郡を管轄する札幌方面浦河警察署の警察官に相談し、捜査の結果Aさんによる犯行の疑いがあるとして、Aさんの家の家宅捜索が行われました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【SNS上の誹謗中傷での諸問題】

SNSは匿名で利用できるものも多く、利便性が高い一方で匿名による誹謗中傷の問題が後を絶ちません。
今回は、個人相手に誹謗中傷を行ったという事例を想定しています。
この場合、刑事・民事で以下のとおりの問題が生じます。

・刑事上の問題

誹謗中傷は、刑法の定める名誉毀損罪や侮辱罪に当たる可能性があります。
名誉毀損罪と侮辱罪の条文は以下のとおりです。

(名誉毀損罪)
刑法230条1項 公然と事実を摘示し、人の名誉を棄損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮または五十万円以下の罰金に処する。

(侮辱罪)
刑法231条 事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

例えば、「○○さんは浮気をしている」「前科がある」などと具体的な事実を摘示した場合にはそれが真実であると否とに関わらず名誉毀損罪が成立しますが、今回のAさんの事例では、抽象的な誹謗中傷が行われているため、侮辱罪の適用が検討されます。

・民事上の問題
刑事上の問題は、刑法をはじめ法律にて禁止されていること等に対し、検察官が犯人を糾弾し裁判官が刑事罰を決めるという制度です。
もしAさんが罰金10万円の判決が科されたとして、その10万円は被害者のもとには入らず、全額国庫に入ります。
一方で民事上の問題は、加害者と被害者の当事者間で行われる手続きで、例えばケースのような誹謗中傷については、被害者が加害者に対して精神的苦痛などによる損害賠償請求等が検討されます。
証拠の立証について、刑事訴訟の場合は検察官が行う必要がありますが、民事上は原告(つまりは被害者側)自ら行う必要があります。

・その他
また、そのほかに、SNS等の運営会社からアカウント削除されたり、アカウントを停止・凍結されたりするなどの不利益処分を受けることが考えられます。
これについては、運営会社側の裁量による部分が大きく、社内規則に基づく不服申立により凍結解除等が認められる可能性もありますが、凍結解除が認められる可能性は高くないでしょう。

【事務所紹介】

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、SNS誹謗中傷をした結果刑事事件に発展した、という場合の刑事弁護活動を行っています。
北海道浦河郡にて、SNS上の誹謗中傷などがきっかけで捜査を受けている、家族が逮捕されたという場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご連絡ください。

保釈を認めてほしい

2023-04-03

保釈を認めてほしい

逮捕・勾留されて正式起訴されたら、その後も勾留で身体拘束が継続されるのが原則です。
保釈の手続きについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。

<保釈とは>

保釈は、保釈保証金を裁判所へ預けることを条件として、勾留の執行を停止し、被告人を釈放する制度です。
起訴された後の被告人について認められ、起訴前の被疑者には認められません。
保釈には、権利保釈、裁量保釈、義務的保釈の3つがあります。
請求による保釈と職権による保釈があります。
保釈の裁判は勾留ごとになされますので、保釈が認められたとしても、別罪で逮捕・勾留されて釈放されないことがあります。
保釈に関する処分は、第一回公判期日までは裁判官が行い、その後は裁判所が行います。
保釈請求は、上訴申立ての有無にかかわらず、上訴提起期間中にもすることができます。
裁判所・裁判官が、保釈の判断をする前に、検察官の意見を聴かなければなりません。
保釈許否の裁判に対しては、抗告・準抗告の申立てをして争うことができます。
保釈許可の裁判に対しても、保釈保証金の額や保釈条件に不服があるときは、不服を申し立てることができます。

保釈を許す場合には、保証金額を定めなければなりません。
保証金額は、犯罪の性質及び情状、証拠の証明力並びに被告人の性格及び資産を考慮して、被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額でなければなりません。
保証金の没取という威嚇によって、被告人の逃亡を防止することを目的としています。
この保証金の没取という威嚇は、罪証隠滅の防止をも目的としています。
実刑判決後の再保釈の場合は、金額が第一審のときよりも高くなる場合がほとんどです。

保釈を許す場合には、被告人の住居を制限しその他適当と認める条件を附することができます。
保釈にあたっては、ほとんど全ての場合に制限住居が定められています。
適当と認める条件とは、被告人の逃亡および罪証隠滅を防止するのに必要かつ有効な条件をいいます。
通常付されている条件として、住居変更につき裁判所の許可を得ること、ある日数以上の旅行につき裁判所の許可を得ること、被害者等事件関係者に対する直接または弁護人を除く他の者を介しての接触禁止、などがあります。

保釈を許す決定は、保証金の納付後に執行され、釈放されることになります。
保釈保証金の準備が厳しい場合は、日本保釈支援協会や全国弁護士共同組合連合会などから手数料を支払って借りることもできます。

<権利保釈>

刑法第89条 保釈の請求があつたときは、次の場合を除いては、これを許さなければならない。
一 被告人が死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
二 被告人が前に死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
三 被告人が常習として長期三年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
四 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
五 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
六 被告人の氏名又は住居が分からないとき。

刑事訴訟法第89条は、適法な保釈の請求があったときは、本条各号所定の事由がある場合を除き、必ず保釈を許さなければならないとして、権利保釈を定めております。
禁錮以上の刑に処する判決の宣告があった後は、権利保釈は認められません。
逃亡や再犯のおそれは、権利保釈の除外事由とされていません。
特に、4号の罪証隠滅のおそれが最も問題となります。
罪証隠滅のおそれは具体的・実質的に判断されるべきですが、裁判官・裁判所はこのおそれを簡単に認めている傾向があります。

<裁量保釈>

同第90条 裁判所は、保釈された場合に被告人が逃亡し又は罪証を隠滅するおそれの程度のほか、身体の拘束の継続により被告人が受ける健康上、経済上、社会生活上又は防御の準備上の不利益の程度その他の事情を考慮し、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができる。

権利保釈が認められなかったとしても、刑事訴訟法第90条の考慮事情を判断して、保釈が認められる場合があります。
中心となるのは、「保釈された場合に被告人が逃亡し又は罪証を隠滅するおそれの程度」であり、具体的・実質的に判断されることになります。
犯罪の性質、情状、被告人の経歴、行状、性格、前科、健康状態、家族関係、公判審理の進行状況等諸般の事情を総合考慮して判断されることになります。
裁量保釈が相当であるかは、勾留されている犯罪事実について中心に考えるべきですが、判断資料として他の犯罪事実が考慮されることがあります。

<義務的保釈>

同第91条 勾留による拘禁が不当に長くなつたときは、裁判所は、第八十八条に規定する者の請求により、又は職権で、決定を以て勾留を取り消し、又は保釈を許さなければならない。

勾留が不当に長くなったら、義務として保釈は認められなければならなくなります。
しかし、不当に長いというのは、単なる時間的観念ではなく、事案の性質、犯罪の軽重、審理の経過、審判の難易等諸般の状況から総合的に判断されるべき相対的な観念とされています。
そのため、この義務的保釈が認められることはほとんどありません。

<保釈の取消と保証金の没収>

同第96条 裁判所は、左の各号の一にあたる場合には、検察官の請求により、又は職権で、決定を以て保釈又は勾留の執行停止を取り消すことができる。
一 被告人が、召喚を受け正当な理由がなく出頭しないとき。
二 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
三 被告人が罪証を隠滅し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
四 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え若しくは加えようとし、又はこれらの者を畏怖させる行為をしたとき。
五 被告人が住居の制限その他裁判所の定めた条件に違反したとき。
② 保釈を取り消す場合には、裁判所は、決定で保証金の全部又は一部を没取することができる。
③ 保釈された者が、刑の言渡を受けその判決が確定した後、執行のため呼出を受け正当な理由がなく出頭しないとき、又は逃亡したときは、検察官の請求により、決定で保証金の全部又は一部を没取しなければならない。

刑事訴訟法第96条の取消事由があれば、裁判官・裁判所の裁量により、保釈が取り消され、保釈保証金が没収されることがあります。
保釈取消・保釈保証金没収の裁判に対しては、抗告・準抗告の申立てをして争うことができます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、これまで数多くの保釈請求を行ってきました。
身体拘束されている期間は、精神的にも肉体的にも厳しいものがあります。
保釈を通すには専門家の周到な検討と準備が必要です。
北海道で逮捕・勾留され、保釈も含めて相談・依頼したいという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士による有料の初回接見サービスをご利用ください。
接見して状況を確認した後、説明させていただいた後に、正式契約となったら事件を対応させていただきます。
迅速な対応が必要となりますので、お早めにご相談ください。

職務質問中の暴行により公務執行妨害罪で逮捕された

2023-03-30

職務質問中の暴行により公務執行妨害罪で逮捕された

警察の職務質問中に警察官に対して暴行をしたとして公務執行妨害罪で逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。

【ケース】

北海道札幌市中央区在住のAさんは、お酒に酔っていました。
路上において、制服で警ら中の札幌方面中央警察署勤務の警察官から、挙動不審者として職務質問を受けました。
そうしたら、Aさんはその警察官にいきなり体当りをしました。
Aさんは、公務執行妨害罪の現行犯で逮捕されました。
≪ケースは全てフィクションです。≫

【公務執行妨害罪について】

(公務執行妨害)
刑法第95条 公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

公務執行妨害罪の保護法益は、公務員によって執行される公務です。
客体は、公務員です。
暴行・脅迫は、公務員がその職務を執行するに当たり、これに対してなされることを要します。
その職務は、広く公務員の行う職務一般を指します。
この職務行為は、法令上の根拠に基づいて行われた適法なものでなければならないが、職務行為の適否は、行為当時の状況に基づいて客観的・合理的に判断されます。
職務を執行するに当たり、とは、公務員に暴行等が加えられることにより公務に影響が生じることを防止することが必要であるから、現に執行中のものに限られず、継続した一連の職務として認められれば十分とされます。
相手方が公務員であり、その職務を執行する際、これに暴行・脅迫を加えるとの認識が必要で、これを欠くときには故意が阻却されて犯罪が成立しません。
公務の執行を妨害する意思・意図は必要とされていません。
暴行とは、公務員の職務執行に当たり、公務員に対し、その執行を妨害するに足りる不法な有形力を行使することです。
本罪の保護法益は公務であるから、公務員の身体に対して直接加えられるものばかりでなく、直接には物に対する有形力の行使であっても、公務員の身体に物理的に強い影響を与え、公務員の行動の自由を阻害すべき性質のもの、あるいはその職務執行の妨害となるべき性質のいわゆる間接暴行であれば、暴行となります。
脅迫とは、畏怖心を起こさせる目的での害悪の告知行為です。
これにより公務員が現実に畏怖の念を生じたか否かは問われません。
この暴行・脅迫は、職務の執行を妨害しうる程度のものでなければならないが、必ずしも直接に当該公務員自身に対して加えられることを要せず、公務員の職務に密接不可分の関係において関与する補助者に対して加えられるものでも成立します。
妨害の結果が現に発生しなくても、妨害となるべき程度の暴行・脅迫があれば成立します。
暴行により傷害結果が生じたときは、公務執行妨害罪と傷害罪の観念的競合となります。

公務執行妨害罪の保護法益は、公務員によって執行される公務です。
客体は、公務員です。
暴行・脅迫は、公務員がその職務を執行するに当たり、これに対してなされることを要します。
その職務は、広く公務員の行う職務一般を指します。
この職務行為は、法令上の根拠に基づいて行われた適法なものでなければならないが、職務行為の適否は、行為当時の状況に基づいて客観的・合理的に判断されます。
職務を執行するに当たり、とは、公務員に暴行等が加えられることにより公務に影響が生じることを防止することが必要であるから、現に執行中のものに限られず、継続した一連の職務として認められれば十分とされます。
相手方が公務員であり、その職務を執行する際、これに暴行・脅迫を加えるとの認識が必要で、これを欠くときには故意が阻却されて犯罪が成立しません。
公務の執行を妨害する意思・意図は必要とされていません。
暴行とは、公務員の職務執行に当たり、公務員に対し、その執行を妨害するに足りる不法な有形力を行使することです。
本罪の保護法益は公務であるから、公務員の身体に対して直接加えられるものばかりでなく、直接には物に対する有形力の行使であっても、公務員の身体に物理的に強い影響を与え、公務員の行動の自由を阻害すべき性質のもの、あるいはその職務執行の妨害となるべき性質のいわゆる間接暴行であれば、暴行となります。
脅迫とは、畏怖心を起こさせる目的での害悪の告知行為です。
これにより公務員が現実に畏怖の念を生じたか否かは問われません。
この暴行・脅迫は、職務の執行を妨害しうる程度のものでなければならないが、必ずしも直接に当該公務員自身に対して加えられることを要せず、公務員の職務に密接不可分の関係において関与する補助者に対して加えられるものでも成立します。
妨害の結果が現に発生しなくても、妨害となるべき程度の暴行・脅迫があれば成立します。
暴行により傷害結果が生じたときは、公務執行妨害罪と傷害罪の観念的競合となります。

【公務執行妨害事件が起きたらどうなる?】

警察に逮捕され、起訴されて刑事処分を受けることになります。
前科があれば、実刑で刑務所に入る可能性もあります。
検察官や裁判官は、被害弁償等の有無だけでなく、本人の反省や犯罪を繰り返す可能性などを総合的に考慮して判断していきます。
特に何度も犯罪を繰り返している人に対しては、刑事処分が重くなる傾向があります。
早期に弁護士に相談することが重要です。

【逮捕されたら】

逮捕されたら、逮捕・勾留合わせて最長23日間、警察署の留置場などで身体拘束されることになります。
外部と連絡を取ることは制限され、連日捜査機関による取調べを受けるため、被る精神的苦痛は非常に大きなものとなります。
当然、会社や学校に行くことはできません。
逮捕されたことが会社や学校に知られてしまう可能性も高まります。
逮捕されることで、報道される可能性が高まります。
検察官や裁判所に釈放を求めていくことになりますが、釈放が認められるハードルは高く、簡単には認められません。
証拠隠滅と逃亡のおそれがあるかが判断されることになります。
被害者の警察官や目撃者等に対して不当な働きかけをする可能性はない、ことを具体的に説得的に示していくことが必要です。
身元引受人を確保し、事件関係者と接触しないことを具体的に説明することになります。
刑事に強い弁護士に依頼した方が、釈放は認められやすくなります。

身体拘束された状態で正式起訴されたら、勾留の身体拘束が継続されることになります。
起訴後は保釈を求めていくことになります。
保釈とは、起訴された後、証拠隠滅や逃亡のおそれが低いうえで、一定額の金銭(保釈保証金)を支払うこと等を条件に釈放される制度をいいます。
保釈金の額は、裁判所が、犯罪の軽重や情状、経済状態や生活環境などの一切の事情を考慮して、その事件で逃亡を防ぐためにはどのくらいの金額を納めさせるのが適当かを判断した上で決定します。
保釈金の相場は、一般的に200万円前後となることが多いですが、事件によっては500万円を超える場合もあります。
保釈を取り消されて保釈金が没収されることがなければ、裁判が終わった後に裁判の結果が無罪でも有罪でも保釈金は返還されます
しかし、保釈中に問題を起こしたら、再び身体が拘束され、預けた保釈金は没収される可能性があります。
保釈金の用意が難しければ、保釈支援協会などで借りることもできます。

身体拘束された状態で正式起訴されたら、勾留の身体拘束が継続されることになります。
起訴後は保釈を求めていくことになります。
保釈とは、起訴された後、証拠隠滅や逃亡のおそれが低いうえで、一定額の金銭を支払うこと等を条件に釈放される制度をいいます。
保釈金の額は、裁判所が、犯罪の軽重や情状、経済状態や生活環境などの一切の事情を考慮して、その事件で逃亡を防ぐためにはどのくらいの金額を納めさせるのが適当かを判断した上で決定します。
保釈金の相場は、一般的に200万円前後となることが多いですが、事件によっては500万円を超える場合もあります。
保釈を取り消されて保釈金が没収されることがなければ、裁判が終わった後に裁判の結果が無罪でも有罪でも保釈金は返還されます。
しかし、保釈中に問題を起こしたら、再び身体が拘束され、預けた保釈金は没収される可能性があります。
保釈金の用意が難しければ、保釈支援協会などで借りることもできます。

【公務執行妨害罪が成立しない場合】

公務執行妨害罪が成立しないにもかかわらず、警察が被害を訴えて、捜査や逮捕をしてくることがあります。
密室の取調室で、「証拠はもうそろっている」などと言われ、警察の言われるままに話を持っていかれ、不当な内容の供述調書が作成されてしまいます。
刑事に詳しくない弁護士が対応した場合、そのような不当な状況を放置することもあります。
刑事に詳しい弁護士のきちんとしたサポートが必要になってきます。
取調べでどのようなことを言うか、弁護士と相談しながら進めていきます。
警察の威圧的な取調べが行われていたら、弁護士が抗議をしたり、黙秘を指示したりして、きちんと対応しなければなりません。
こちらに有利な証拠がないか、検討することにもなります。
起訴されて裁判となったら、きちんとこちらの主張をしていかなければなりません。
起訴前に検察官にきちんとした主張をして認められたら、不起訴となって釈放される可能性もあります。

【すぐに弁護士に相談を!】

刑事事件ではスピードが大切です。
すぐに弁護士に連絡し、相談して依頼しましょう。
逮捕後最大72時間は、たとえ家族の方でも逮捕された人との接見ができませんが、弁護士が代わりに連絡を取ってくれます。
逮捕された場合、最長で23日間、身体が拘束されますが、その間に検察官が起訴をするかどうかを判断します。
逮捕直後に不当な取調べが行われ、不利な内容の調書が作成されてしまうかもしれません。
早く弁護士が接見し、取調べへの対応方法に関してきちんとしたアドバイスをする必要があります。
起訴されたら、釈放されるために保釈を求め、裁判の対応をすることになります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事を専門とする弁護士が迅速に対応いたしますので、お気軽にお電話ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、職務質問中の公務執行妨害罪など刑事事件に関するご相談を初回無料で承っております。
接見依頼があれば、素早く対応いたします。
無料法律相談のご予約は
フリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)
までお気軽にお電話ください。

事後強盗事件で自首を検討

2023-03-27

事後強盗事件で自首を検討

事後強盗事件で問題となる罪と、自首・出頭の諸問題について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。

【ケース】

北海道日高郡在住のAさんは、日高郡内の会社に勤める会社員です。
Aさんは事件当日、日高郡内のスーパーマーケットにて、商品棚に陳列された商品を清算せずに店外に持ち出す万引き行為をしたところ、スーパーマーケットの保安係Vさんに目撃され、店外に出たところで声掛けをされました。
Aさんは驚いて逃げようとしましたが、VさんがAさんの腕を掴んだため、Vさんの手を振りほどき鞄でVさんの腕を叩き、隙を見て店から走って逃げました。
1時間ほど経った後、Aさんが当該スーパーマーケットの前を通ったところ、警察車両が停まっていたことから、不安になり日高郡内を管轄する札幌方面静内警察署に自首をしようか検討しています。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【事後強盗事件について】

まず、Aさんは陳列棚に陳列された商品を万引きしようとしています。
万引きは窃盗罪に該当します。
条文は以下のとおりです。

(窃盗罪)
刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

次に、Aさんは万引きが発覚してしまったのち、逃げようとして保安係であるVさんの手を振り払ったのち、カバンで腕を叩いたことを想定しています。
この行為は、逮捕を免れようとして暴行を加えていると評価され、事後強盗罪が適用される可能性があります。
条文は以下のとおりです。

(事後強盗罪)
刑法238条 窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。
(強盗罪)
刑法236条1項 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。

【自首と出頭について】

小説やドラマなどで「自首する」という言葉を耳にすることが少なからずあるかと思います。
自首について、刑法では以下のとおり定められています。

刑法42条1項 罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。

条文を見ると、
・罪を犯した者
・捜査機関が発覚する前
の状態で自首(自ら出頭した)場合に刑を減刑することができると規定しています。

まず、「罪を犯した者」であることが要件となっています。
家族や友人が「Aさんが罪を犯したのです。」と言ったからといって、自首は成立しません。

次に、「捜査機関が発覚する前」ということが要件となっています。
よって、例えば、警察官から電話があり「○○の件でお伺いしたいので×日に出頭してください。」という連絡があったとしても、自首には当たりません。
この、「捜査機関が発覚する前」なのかどうかは捜査情報に当たるため、捜査機関から連絡が来ていないから捜査機関が発覚する前である、とは限りません。
捜査機関は防犯カメラや自動車のナンバープレート、交通系ICカードの履歴など、様々な方法で被疑者の特定を行い、その期間は数日で行われる場合もあれば数ヶ月かかる場合もあります。
この点で、自首を検討するのであれば早めに対応した方が良い、と言えるでしょう。

自首した場合には、取調べが行われて自首調書が作成され、証拠の一部となります。
自首した場合には「逃亡の恐れ」や「罪証(証拠)隠滅の恐れ」がないと判断され、逮捕・勾留されない場合もありますが、事件によっては自首しなかった場合と同様に逮捕するケースもあります。

自首の場合も、自首には当たらない出頭の場合も、直後に取調べが行われること、逮捕される可能性があることを念頭に、弁護士に相談したうえで自首・出頭にのぞむことが良いと考えられます。
北海道日高郡にて、事後強盗罪で捜査を受ける可能性があり自首・出頭を検討しているという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご連絡ください。
事務所にて、無料で相談を受けることができます。
家族が逮捕・勾留されている場合はこちら。

万引き事件で略式手続

2023-03-21

万引き事件で略式手続

万引きと呼ばれる窃盗事件を繰り返して略式手続を受けたという事例を想定して、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。

【ケース】

北海道苫小牧市在住のAさんは、苫小牧市内でパート勤務をしています。
Aさんはルーティンのように、出勤前に苫小牧市内のコンビニエンスストアに立ち寄り、商品棚に陳列されている菓子パンを万引きするという窃盗事件を繰り返していました。
コンビニエンスストアの店長であるVさんは棚卸し作業で万引き事件に気付き、防犯カメラを解析したところ、Aさんによる犯行であると特定しました。
事件当日も万引きを行ったAさんですが、店長Vさんが店に出た瞬間声掛けし、万引きを認めたため、Vさんは警察署に通報しました。
通報を受けて臨場した札幌方面苫小牧警察署の警察官は、Aさんを万引きによる窃盗罪で逮捕しました。
逮捕ののち、20日間の勾留を受けたAさんは、略式手続を受けることになりました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【万引きについて】

コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの商品棚に陳列された商品について、精算せずに店外に持ち出すいわゆる万引き行為は、窃盗罪に問われます。
窃盗罪の条文は以下のとおりです。

刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する。

【万引きの立証は容易ではない?】

Aさんのように、万引きを常習的に行っているという事件は少なからず見られます。
このAさんに対し、すべての万引き事件が立証できるのかというと、そうではありません。
万引きが行われる店は、多くの場合不特定多数の客が出入りします。
そのため、たとえAさんが来店した日に同じ商品が毎回万引きされたからといって、すべての商品をAさんが万引きしたと断定することはできず、それぞれの商品についてAさんが万引きしたと評価できるだけの証拠がなければ、Aさんを罪に問うことができません。

【略式手続とは】

刑事事件を起こした場合、警察官等の捜査を受けたうえで検察官に事件を送致され、検察官は受理した証拠をもとに補充捜査や再捜査を指揮したうえで、被疑者を起訴するかどうかについて検討します。
検察官が起訴するべき事件だと判断した場合、本来であれば正式な公判請求を行い、公開の法廷で刑事裁判が行われて判決が言い渡されます。
しかし、刑事事件の件数は非常に多く、全ての事件で公判請求してしまうと検察官・裁判官の負担は大きくなります。

そこで、一定の軽微な事件で、被疑者が被疑事実を認めていて、略式手続に同意した場合には、略式手続がとられます。
略式手続に付された場合、公開の法廷での裁判は行われず、言い渡された罰金又は科料を納付することで刑罰を受けます。
略式手続で言い渡すことができる罰金の上限は100万円です。

【略式手続を受ける前に弁護士に相談】

略式手続は公開の法廷で裁判を受けることがないという点で、被告人の負担は小さいと言えます。
しかし、略式手続で言い渡される判決は罰金刑・科料といった刑事罰ですので、いわゆる前科に当たることになります。
北海道苫小牧市にて、万引き事件を起こしてしまい
略式手続を受けるかどうか悩んでいる
・前科を避けたい
という方は、略受け(略式手続に同意する書類を作成する)前に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご連絡ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受けることができます。
Aさんのように、家族が万引き事件で逮捕・勾留されている場合はこちら。

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