Author Archive

犯罪収益隠匿事件:法的側面と事例による解説

2023-10-30

犯罪収益隠匿事件:法的側面と事例による解説

犯罪収益隠匿罪、通称「マネロン罪」は近年注目を集めています。 しかし、この罪についての理解は一般にはまだ浅いものがあります。 本記事では、犯罪収益隠匿罪の法的側面と具体的な事例を交えて詳しく解説します。

1 犯罪収益隠匿罪とは?

犯罪収益隠匿罪(はんざいしゅうえきいんとくざい)、通称「マネロン罪」とは、犯罪によって得られた収益を隠匿または移転する行為を罰する法律です。
この罪は、組織的犯罪処罰法に基づいています。
目的は、犯罪によって得られた資金の流れを追跡しやすくすることで、組織的犯罪を根絶することです。

犯罪収益隠匿罪は、いわゆる「前提犯罪」が存在する場合に適用されます。
前提犯罪とは、詐欺、薬物取引、無登録貸金業など、犯罪収益を生む可能性のある犯罪を指します。
この前提犯罪によって得られた収益を隠匿または移転する行為が、犯罪収益隠匿罪とされます。

この罪には、厳格な罰則が設けられています。
具体的には、懲役や罰金、そして資産の没収などがあります。
そのため、この罪に問われると、重大な影響を受ける可能性が高いです。

2 犯罪収益隠匿事件の事例

犯罪収益隠匿罪の理解を深めるために、具体的な事例を挙げて解説します。
この事例はフィクションですが、実際に起こり得るケースを基にしています。

事例:無登録貸金業者による犯罪収益隠匿

無登録貸金業者A社は、法定利息を大幅に超える利率で貸付を行っていました。
この業者は、全国の顧客に対して、法定利息の約84倍から約118倍で金銭を貸し付けていました。
そして、得られた元利金約3億3,800万円を、他人名義の口座に振り込む形で収益を隠匿していました。

このケースでは、無登録貸金業者A社は出資法違反(超高金利)という前提犯罪を犯しています。
さらに、その犯罪で得た収益を他人名義の口座に振り込むことで、犯罪収益隠匿罪に該当する行為を行っています。

このような事例を通じて、犯罪収益隠匿罪の具体的な適用例とその重要性が理解できるでしょう。

3 法的要件と罰則

犯罪収益隠匿罪には、特定の法的要件が必要です。
これらの要件が満たされた場合にのみ、この罪が適用されます。

法的要件

  1. 前提犯罪の存在:犯罪収益隠匿罪が適用されるためには、前提となる犯罪(詐欺、薬物取引、無登録貸金業など)が存在する必要があります。
  2. 犯罪収益の隠匿または移転:前提犯罪によって得られた収益を隠匿、または移転する行為が行われた場合。
  3. 因果関係:前提犯罪と犯罪収益の隠匿または移転との間に明確な因果関係が存在する必要があります。

罰則

犯罪収益隠匿罪に問われた場合、以下のような罰則が適用される可能性があります。

  1. 懲役刑:最も一般的な罰則として、懲役刑があります。具体的な期間は、前提犯罪の重さや隠匿行為の規模によります。
  2. 罰金:一定額以上の罰金が科される場合もあります。
  3. 資産の没収:犯罪によって得られた資産が没収される可能性もあります。

4 前提犯罪との関連性

犯罪収益隠匿罪は、他の犯罪行為が前提となる特殊な罪です。
この「前提犯罪」と犯罪収益隠匿罪との関連性について、詳しく解説します。

前提犯罪の種類

前提犯罪は多岐にわたりますが、主なものとしては以下のような犯罪があります。

  1. 詐欺罪:不正な手段で他人から金品を騙し取る行為。
  2. 薬物取引:違法な薬物の製造、販売、所持など。
  3. 無登録貸金業:貸金業の許可を得ずに金銭の貸付を行う行為。

前提犯罪と犯罪収益隠匿罪の連鎖

  1. 捜査の進行:前提犯罪に対する捜査が進むと、その過程で犯罪収益隠匿罪も明らかになる場合が多いです。
  2. 再逮捕・追送致:前提犯罪で逮捕・勾留された後、犯罪収益隠匿罪で再逮捕・追送致されるケースもあります。

複数の罪による罰則の重複

前提犯罪と犯罪収益隠匿罪が同時に適用される場合、罰則はそれぞれ独立して適用されます。
これにより、被告人はより重い刑罰に直面する可能性があります。

以上が前提犯罪と犯罪収益隠匿罪との関連性についての説明です。
次の項目では、マネロン罪の積極的運用について詳しく解説します。

5 マネロン罪の積極的運用

犯罪収益隠匿罪、通称「マネロン罪」は、近年、捜査機関によって積極的に運用されています。
このセクションでは、その背景と具体的な運用方法について解説します。

積極的運用の背景

  1. 組織的犯罪の根絶:マネロン罪の積極的運用は、組織的犯罪を根絶するための一環です。
  2. 国際的な協力:資金洗浄が国際的な問題となっているため、各国との協力を強化する意味でも積極的な運用が求められます。

運用の具体例

  1. 資金の流れの追跡:犯罪収益がどのように移動しているかを詳細に追跡し、関連する人物や組織を特定します。
  2. 複数の罪での起訴:前提犯罪だけでなく、マネロン罪での追加起訴を行い、より重い罰則を科す場合があります。

法改正と未来展望

近年では、マネロン罪に関する法改正も議論されています。
これにより、今後は更に厳格な運用が見込まれるとともに、その適用範囲も広がる可能性があります。

6 防御策と対処法

犯罪収益隠匿罪は厳格な罰則があるため、事前の防御策と万が一の対処法が必要です。
このセクションでは、その具体的な方法について解説します。

防御策

  1. 合法的なビジネス運営:前提犯罪を犯さないように、ビジネス運営は常に合法的に行うことが基本です。
  2. 資金の透明性:資金の流れを透明にし、不正な資金が流れないように管理することが重要です。
  3. 内部監査の強化:定期的に内部監査を行い、不正な行為がないか確認することも有効な防御策です。

対処法

  1. 弁護士の早期依頼:犯罪収益隠匿罪の疑いがかかった場合は、早期に弁護士に相談することが重要です。
  2. 証拠の保全:自身が無実であることを証明するための証拠をしっかりと保全する必要があります。
  3. 協力的な姿勢:捜査機関と協力的に対応することで、より軽い罰則にする可能性もあります。

7 まとめと今後の展望

本記事では、犯罪収益隠匿罪について、その法的側面から具体的な事例、防御策と対処法まで幅広く解説しました。
この罪は、前提犯罪と密接に関連しており、その運用は日々厳格化しています。

まとめ

  1. 犯罪収益隠匿罪の重要性:この罪は組織的犯罪を根絶するため、また国際的な資金洗浄対策として非常に重要です。
  2. 法的要件と罰則:前提犯罪の存在とその収益の隠匿・移転が主な法的要件であり、厳格な罰則が設けられています。
  3. 防御策と対処法:事前の防御策としては合法的なビジネス運営と透明な資金の管理が基本です。

今後の展望

  1. 法改正と厳格化:今後、法改正が行われる可能性があり、その運用は更に厳格化すると予想されます。
  2. 情報の普及と啓発:この罪についての正確な情報を広め、一般の理解を深めることが今後の課題です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、犯罪収益隠匿罪などの複雑な刑事事件にも対応しています。犯罪収益隠匿事件の場合、共犯者や関係者が多く存在することから、証拠隠滅の恐れが高いとして長期間の身柄拘束が見込まれます。

また、起訴され刑事裁判になる可能性が高いため、事件について否認する場合は対立構造になるほか、罪を認める場合には犯情や一般情状を最大限主張する等、事案に即した弁護活動が求められます。

北海道札幌市やその周辺で、家族が犯罪収益隠匿罪で捜査を受けている、逮捕されているという場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士による初回接見サービス(有料)をご利用ください。

痴漢事件と不同意わいせつ罪

2023-10-27

痴漢事件と不同意わいせつ罪

日常生活で耳にする「痴漢」と「不同意わいせつ罪」。 これらは一見似ているが、法的には大きな違いがあります。 この記事では、その違いと具体的な事例を交えて解説します。

1 痴漢事件(迷惑防止条例違反)とは?

痴漢とは、一般的に公共の場所で他人の身体に触れる行為を指します。
このような行為は、多くの場合、各都道府県が定める「迷惑防止条例」に違反するとされています。

例えば、北海道迷惑行為防止条例では、公共の場所や乗物にいる者に対して、正当な理由がないのに身体に触れる行為が禁止されています。
具体的には、条例の文言に「何人も、正当な理由がないのに、公共の場所又は公共の乗物にいる者に対し、著しく羞恥させ、又は不安を覚えさせるような方法で、身体に触れること」とあります。

このように、痴漢行為は地域によっては条例で規制されており、違反者には罰則が科されます。
罰則の内容は条例によって異なる場合がありますが、一般的には罰金や懲役刑(拘禁刑)などが考えられます。

2 事例(痴漢事件)

Aさんは北海道小樽市に住む一般の会社員です。
事件当日、Aさんは函館本線に乗車していました。

電車内で、Aさんは眠っているVさんを見つけました。
その瞬間、Aさんは劣情を催し、Vさんの股間付近を服の上から触りました。

5分ほど経過した後、Vさんは目を覚まし、Aさんの行為に気づきました。
すぐに駅員に被害を申告し、その後、小樽警察署の警察官が臨場しました。

当初、Aさんは痴漢事件(迷惑防止条例違反)で捜査を受けていました。
しかし、車内の防犯カメラの映像を確認した結果、捜査は不同意わいせつ罪の嫌疑に変わりました。

この事例からわかるように、痴漢事件は迷惑防止条例違反として捜査が始まることが多いです。
しかし、状況や証拠によっては、罪状が変わる可能性もあります。

3 不同意わいせつ罪とは?

不同意わいせつ罪は、刑法に基づく犯罪の一つです。
この罪は、相手の同意がない状態でわいせつな行為を行った場合に適用されます。

具体的には、刑法176条1項により、「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、6月以上10年以下の拘禁刑に処する」と定められています。

この条文からわかるように、不同意わいせつ罪は被害者が「同意しない意思を形成し、表明することが困難な状態」にある場合、特に重視されます。
例えば、被害者が眠っている、または意識が不明瞭な状態である場合などが該当します。

罰則としては、6月以上10年以下の拘禁刑が科される可能性があります。
これは、迷惑防止条例違反(痴漢)と比べても、はるかに重い罰則が科されることを意味します。

4 事例(不同意わいせつ罪)

先に紹介したAさんのケースを再度取り上げます。
Aさんは、函館本線の電車内で眠っているVさんに対して、わいせつな行為を行いました。

この行為は、当初は痴漢事件(迷惑防止条例違反)として捜査が始まりましたが、車内の防犯カメラの映像を基に、不同意わいせつ罪の嫌疑に変更されました。

このケースでは、Vさんが「眠っている」状態であったため、刑法176条1項にある「同意しない意思を形成し、表明することが困難な状態」に該当します。
そのため、Aさんの行為は不同意わいせつ罪として評価されました。

この事例から、不同意わいせつ罪は被害者の状態や行為の性質によって、痴漢事件よりも重い罪として扱われる可能性が高いことがわかります。

また、不同意わいせつ罪での立件は、目撃者や防犯カメラの映像など、確固たる証拠が必要とされる場合が多いです。

5 痴漢と不同意わいせつ罪の違い

痴漢と不同意わいせつ罪は、一見似ているように感じられるかもしれませんが、法的にはいくつかの重要な違いがあります。

法的根拠

まず、痴漢は主に各都道府県の「迷惑防止条例」に基づいています。
一方で、不同意わいせつ罪は「刑法」に基づいています。

罰則の重さ

痴漢での罰則は、一般的には罰金や拘禁刑が考えられます。
しかし、不同意わいせつ罪では、6月以上10年以下の拘禁刑しか用意されていないため、。

適用される状況

痴漢は、公共の場所で他人の身体に触れる行為が対象です。
不同意わいせつ罪は、被害者が「同意しない意思を形成し、表明することが困難な状態」にある場合に適用されます。

証拠の必要性

痴漢は目撃者や防犯カメラの映像などがあれば立件が容易ですが、不同意わいせつ罪ではより確固たる証拠が求められる場合があります。

6 どちらの罪に当たるか?

痴漢と不同意わいせつ罪は、法的には異なる罪ですが、実際の事件ではどちらの罪に当たるのかが問題となる場合があります。

行為による違い

痴漢行為と不同意わいせつ罪との関係性は、いうなれば延長線上にあります。そして、その境界線は明確ではありません。たとえば、「下着の上からであれば痴漢、下着の中に手を入れたら不同意わいせつ」などと決まっているわけではなく、下着の上から行った行為であっても不同意わいせつ罪が適用されることはあります。

事例からの学び

先に紹介したAさんのケースでは、当初は痴漢事件として捜査が始まりましたが、後に不同意わいせつ罪に変更されました。
このように、捜査の進行や新たな証拠が出てくることで、罪状が変わることがあります。

証拠の重要性

特に不同意わいせつ罪では、確固たる証拠が必要とされる場合が多いです。
例えば、防犯カメラの映像や目撃者の証言などが、罪状を決定づける重要な要素となります。

罪の重さと影響

痴漢と不同意わいせつ罪では、罰則の重さが大きく異なります。
そのため、どちらの罪に当たるかによって、受ける社会的・法的な影響も大きく変わります。

7 まとめと注意点

この記事を通じて、痴漢と不同意わいせつ罪の違いについて詳しく解説してきました。

法的根拠の違い

痴漢は主に迷惑防止条例に、不同意わいせつ罪は刑法に基づいています。

罰則の違い

痴漢は罰金や拘留が一般的ですが、不同意わいせつ罪では6月以上10年以下の拘禁刑が科される可能性があります。

状況と証拠

同一の行為でも、状況や証拠によって罪状が変わる可能性があります。

注意点

  • 痴漢や不同意わいせつ行為は、法的にも社会的にも重大な犯罪です。
  • 事前に法的な知識を持つことで、不必要なトラブルを避けることができます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。

北海道小樽市を走行中の函館本線にて痴漢行為をしてしまい、北海道迷惑行為防止条例違反や不同意わいせつ罪で捜査を受けている・家族が逮捕されているという場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。

現住建造物等放火罪:事例を交えた詳細な法律解説

2023-10-24

現住建造物等放火罪:事例を交えた詳細な法律解説

現住建造物等放火罪は、その名の通り、人が住んでいる建物に放火する行為に対する罪です。 この罪は非常に重く、最悪の場合、死刑にもされうる重大な犯罪です。 今回は、この罪についての法的側面を事例を交えて詳しく解説します。

項目1:現住建造物等放火罪とは?

現住建造物等放火罪(以下、現住放火罪)は、人が住んでいる建物や現に人がいる建造物に放火する行為に対する罪です。 この罪は、日本の刑法第108条に規定されています。 最も重い場合、死刑にもされうる非常に重大な犯罪です。

この罪は、放火行為によって不特定多数の人の生命・身体・財産に危険を及ぼす可能性があるため、非常に厳しく罰せられます。 具体的には、死刑、無期懲役、または五年以上の有期懲役が科される可能性があります。

法律用語で言うと、この罪は「公共の平穏を保護法益」としています。 つまり、この罪によって保護されるのは、公共の安全と平穏です。

項目2:この罪が成立する具体的な要件

現住放火罪が成立するためには、いくつかの具体的な要件が必要です。 まず、放火行為が行われた建造物が「現に人が住居に使用している」か「現に人がいる」状態である必要があります。

「現に人が住居に使用している」とは、その建造物が日常的に人の生活の場として使用されている状態を指します。 一方で、「現に人がいる」とは、放火が行われた瞬間に、その建造物内に人が存在している状態を意味します。

次に、放火行為自体ですが、「日的物の燃焼を惹起させる行為」または「それに原因力を与える行為」が必要です。 具体的には、目的物に直接火をつける行為や、媒介物に火をつけて目的物に火を移す行為などが該当します。

さらに、この罪は故意である必要があります。 つまり、行為者が放火によって建造物が燃えること、そしてその建造物が「現に人が住居に使用している」または「現に人がいる」状態であることを認識している必要があります。

以上のような要件が揃った場合、現住放火罪が成立します。

項目3:「放火」とは何か?

「放火」という言葉は一般的によく使われますが、法律の文脈での「放火」には特定の定義があります。 具体的には、「日的物の燃焼を惹起させる行為」または「それに原因力を与える行為」とされています。

この定義にはいくつかの要点があります。 まず、放火行為は必ずしも目的物に直接火をつける行為だけではありません。 媒介物に火をつけて、その火を目的物に移すような行為も放火とされます。

また、既に火がついている場所に油を注ぐなどして、火の勢いを助長・増大させる行為も放火に該当します。 このような行為は、火力の勢いを助長・増大させるという点で、放火行為と同視されます。

さらに、放火行為は故意である必要があります。 つまり、火をつける行為自体が偶然や事故であった場合、放火罪は成立しません。

項目4:不作為による放火の可能性

一般的に、犯罪は行為によって成立するものと考えられがちですが、不作為、すなわち何もしないことによっても犯罪が成立する場合があります。
このような状況は、不作為犯と呼ばれます。
現住放火罪においても、不作為による放火の可能性が考えられます。

例えば、火事に気づいたにも関わらず、消火活動を行わない、または消防への通報を怠った場合、その行為が放火に該当する可能性があります。
特に、その人が建物の所有者や管理者であり、消火の責任がある場合には、不作為によって現住放火罪が成立する可能性が高まります。

ただし、このような場合でも、行為者が火事によって「現に人が住居に使用している」または「現に人がいる」建造物が燃えることを認識している必要があります。
また、その人が消火活動を行う能力があったかどうかも重要な要素となります。

不作為による放火は、一見、行為による放火とは異なるように思えますが、法的には同じく厳しく罰せられる可能性があります。

項目5:実行の着手とは?

犯罪が成立するためには、単に犯罪の意志を持っているだけでは不十分です。 その意志を具体的な行動に移し、犯罪を「実行の着手」した状態で初めて、犯罪が成立する可能性があります。 現住放火罪においても、この「実行の着手」が非常に重要な要素となります。

「実行の着手」とは、犯罪を完成させるための具体的な行動を開始した状態を指します。 例えば、放火するためにガソリンを購入したり、火をつけるための道具を用意したりする行為は、実行の着手に該当する可能性があります。

しかし、これらの行為が必ずしも「実行の着手」に該当するわけではありません。 重要なのは、その行為が犯罪を完成させるための「直接的な手段」であるかどうかです。 例えば、ガソリンを購入する行為が、他の合法的な目的で行われた場合、実行の着手には該当しない可能性があります。

このように、「実行の着手」は犯罪が成立するかどうかを判断する重要な要素であり、具体的な事例や状況によってその評価が変わる可能性があります。

項目6:この罪が成立しない場合の他の罪

現住放火罪が成立しない場合でも、その行為が他の罪に該当する可能性があります。 例えば、放火行為が「現に人が住居に使用している」または「現に人がいる」建造物以外で行われた場合、一般的な放火罪(刑法第109条)や重大な場合には特定放火罪(刑法第110条)に該当する可能性があります。

また、放火行為が成立しなかった場合でも、その行為が他人の財産を損壊する可能性がある場合、器物損壊罪(刑法第234条)に該当することも考えられます。

さらに、放火行為が人の生命や身体に危険を及ぼす可能性がある場合、傷害罪や殺人罪に該当する可能性もあります。 特に、放火行為が他人の死亡につながった場合、殺人罪が成立する可能性が高くなります。

このように、現住放火罪が成立しない場合でも、その行為が他の罪に該当する可能性は高く、それぞれの罪に応じた刑罰が科される可能性があります。

項目7:弁護活動の重要性

現住放火罪は非常に重大な犯罪であり、その刑罰も厳しいため、弁護活動が非常に重要です。 特に、この罪が疑われる場合、早期の段階で専門の弁護士に相談することが求められます。

弁護士は、証拠の収集や事実関係の確認、さらには公判における弁護戦略の立案など、多岐にわたる活動を行います。 また、犯罪が成立するかどうかの微妙な要件、例えば「実行の着手」や「故意」などについて、専門的な知識と経験を持っています。

さらに、弁護士は被告人の人権を守る役割も果たします。 例えば、取り調べの際に不当な圧力がかかった場合や、証拠が不十分な場合には、その事実を明らかにして、適切な裁判が行われるように努力します。

このように、現住放火罪に関わる場合、弁護活動は被告人にとって、また社会にとっても非常に重要な活動です。 早期の段階での専門的な弁護が、より公正な裁判を実現するためには不可欠です。

項目8:まとめと弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の紹介

本記事では、現住建造物等放火罪について詳細に解説しました。 この罪は非常に重大な犯罪であり、成立する要件やその他に該当する可能性のある罪、さらには弁護活動の重要性についても触れました。 法律用語や要件が複雑であるため、専門的な知識と対応が必要です。

このような複雑な刑事事件に対応するためには、専門の弁護士の協力が不可欠です。 ここで、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部を紹介します。 同事務所は、刑事事件に特化した法律事務所であり、経験豊富な弁護士が在籍しています。 早期の段階での適切な弁護活動が、より公正な裁判を実現するためには不可欠です。

何か問題が発生した場合、早急に専門の弁護士に相談することを強くお勧めします。

無免許運転とは?

2023-10-21

無免許運転とは?

無免許で車を運転する行為は、一見無害に思えるかもしれませんが、実は重大な法的リスクが伴います。 この記事では、無免許運転の定義から、それに対する法的な罰則、さらには実際の事例まで、詳しく解説していきます。

1  無免許運転とは?

無免許運転とは、運転免許を取得していない状態で、自動車やバイクなどの車両を公道で運転する行為を指します。 この行為は、日本の道路交通法によって明確に禁止されています。

運転免許は、運転する車両の種類に応じて異なるものがあります。 例えば、普通自動車、大型自動車、原動機付自転車(いわゆるバイク)など、それぞれ専用の免許が必要です。 無免許でこれらの車両を運転すると、法的には「無免許運転」とされ、罰則が科されます。

無免許運転は、単なる交通違反以上の重大な犯罪行為とされています。 そのため、この行為によっては、罰金や懲役刑が科される可能性もあります。 また、無免許で運転して事故を起こした場合、その責任は非常に重くなります。

2: 事例を想定

無免許運転がどれほど重大な問題であるかを理解するために、いくつかの事例を挙げてみましょう。

事例1: 高校生の無免許運転による死亡事故

北海道江別市にて、江別市内に住むとある高校生が、運転免許証を取得したことがないにも関わらず友人の車を無免許で運転していた際、交差点で信号無視をしてしまい、対向車と衝突。 その結果、対向車の運転手が死亡するという悲惨な事故が発生しました。 この高校生は、自動車運転過失致死罪で逮捕・勾留された後、少年鑑別所において収容観護を経て、審判で少年院送致を言い渡されました。

事例2: 免許停止処分中の運転で逮捕

北海道小樽市在住の40代の男性が、累積免停の期間中にも関わらず無免許で車を運転していたところを、交通検問で発覚。 この男性は即座に逮捕され、後に裁判で罰金刑が科されました。

事例3: 無免許での飲酒運転

北海道札幌市白石区在住の20代の女性が、無免許かつ飲酒状態で車を運転。被害者を跳ね軽傷を負わせてしまいました。女性は危険運転致傷罪で起訴され、裁判で執行猶予付きの懲役刑を言い渡されました。

3  法的定義と罰則

無免許運転は、日本の道路交通法によって明確に禁止されています。 具体的には、道路交通法の第64条1項に「無免許運転等の禁止」として規定されています。

罰則

無免許運転に対する罰則は、道路交通法の第117条の2の2第1項1号によって定められています。 この条文によれば、無免許で車両を運転した場合、以下のような罰則が科される可能性があります。

  • 罰金: 最高で30万円
  • 懲役刑: 最長で3年

重過失致死罪や傷害罪

無免許運転によって事故を起こした場合、罰則はさらに重くなります。 重過失致死罪や重過失傷害罪が適用されることもあり、その場合の罰則は非常に厳しいものとなります。

その他の影響

無免許運転は、将来的に運転免許を取得する際にも影響を与える可能性があります。 一度無免許運転で捕まると、その後の運転免許取得が困難になるケースもあります。

4: 被害者への影響

無免許運転が引き起こす影響は、運転者自身だけでなく、他の道路利用者や被害者にも及びます。

物的被害

無免許で運転して事故を起こした場合、その責任は非常に重く、多額の賠償金が発生する可能性があります。 車両や道路施設への損害も含まれます。

精神的被害

事故によっては、被害者が精神的なトラウマを受けることもあります。 このような精神的被害は、賠償金では補えない場合も多く、その影響は長期にわたることがあります。

社会的影響

無免許運転による事故は、社会全体に対する信頼を失墜させる可能性があります。 特に、重大な事故がメディアで報道されると、一般の道路利用者が感じる安全性が低下することが考えられます。

被害者の法的手続き

被害者は、無免許運転者に対して民事訴訟を起こすことも可能です。 その場合、訴訟費用や時間、精神的な負担が増加するという副作用も考慮する必要があります。

5: 関連する法律と条文

無免許運転に関連する法律は、主に道路交通法ですが、その他にもいくつかの法律が関連しています。

道路交通法

  • 第64条1項: 無免許の者の運転の禁止
  • 第117条の2の2第1項1号: 無免許運転に対する罰則

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律違反

  • 第6条ほか:無免許運転による加重

この条文は、無免許運転がもたらす可能な罰則や、事故による刑事責任を明示しています。

自動車損害賠償責任保険法

無免許運転者が事故を起こした場合、自動車損害賠償責任保険(通称:自賠責保険)が適用されない場合があります。 これにより、被害者への賠償が困難になる可能性があります。

民法

  • 第709条: 不法行為による損害賠償責任 被害者が無免許運転者に対して民事訴訟を起こす際に参照される可能性があります。

6 防ぐための対策

無免許運転は重大な犯罪行為であり、その防止は社会全体で取り組むべき課題です。 以下は、無免許運転を防ぐための具体的な対策です。

教育と啓発

  • 学校や地域社会での交通安全教育を強化する。
  • 無免許運転の危険性についての啓発活動を行う。

法的対策

  • 交通検問の頻度を高める。
  • 無免許運転者に対する罰則をさらに厳格化する。

テクノロジーの活用

  • 車両に運転者の免許証認証システムを導入する。
  • 監視カメラやAI技術を用いて、無免許運転を事前に検出する。

個人の責任

  • 免許を持っていない人が運転することを許さない。
  • 自分自身が免許を持っていない場合、絶対に運転しない。

7 まとめと今後の注意点

この記事を通じて、無免許運転の重大性とその法的な影響、さらには防止策について詳しく解説してきました。

まとめ

  • 無免許運転は重大な犯罪行為であり、法的にも厳しく罰せられます。
  • この行為は運転者だけでなく、被害者や社会全体にも悪影響を及ぼします。
  • 防止策としては、教育、法的対策、テクノロジーの活用が考えられます。

今後の注意点

  • 免許を持っていない場合、絶対に運転しないようにしましょう。
  • 免許を持っている人も、無免許運転の危険性を周囲に広める責任があります。
  • 最新の法律や罰則についても、常に更新して理解しておくことが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。当事務所の弁護士は、これまでに数多くの交通事件・事故に携わってきました。

無免許運転事件の場合、特に重要となるのは無免許の期間とその間にどれだけ運転を繰り返したかという点が挙げられます。時として、捜査機関はより長い期間無免許運転を繰り返したという嫌疑をかけ、悪質な事案であるとして立件しようとします。よって、適切な取調べ対応やアリバイの確認など重要な弁護活動が数多く考えられます。

北海道札幌市やその周辺で無免許運転をしてしまい捜査を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。

在宅事件の場合、事務所にて無料で法律相談を受けることができます。

飲酒運転について

2023-10-18

飲酒運転について

アルコールを飲んで自動車を運転すると,各種犯罪が成立します。
飲酒運転は死亡事故につながる可能性が高くなることから,社会の厳しい評価により,刑事処分が重くなっております。
今回は,飲酒運転に関する犯罪について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。

・飲酒運転の罪

アルコールを飲んで車を運転すると,犯罪が成立します。
酔いの程度が高く,酒に酔った状態・アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態,の場合は,5年以下の懲役又は100万円以下の罰金となります。
酒に酔った状態でなくても,血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム又は呼気1リットルにつき0.15ミリグラム以上にアルコールを保有する状態にあれば,3年以下の懲役又は50万円以下の罰金となります。
飲んだのが前日だとしても,朝方に運転すれば,アルコールが残っていることがあり,十分に気を付けるべきです。

自分が飲酒運転をしなくても,酒気を帯びている者で,酒気を帯びて車両等を運転することとなるおそれがあるものに対し,車両等を提供したら,犯罪が成立します。
上記の運転者の酔いの程度により,刑罰の大きさが変わります。
酒に酔った状態・アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態の場合は5年以下の懲役又は100万円以下の罰金,上記の基準値以上にアルコールを保有する状態にあれば3年以下の懲役又は50万円以下の罰金,となります。
人に自動車を貸すときは,相手が飲酒運転をするおそれがないか十分に気を付けなければなりません。

・運転する者に酒を提供したり勧めたりする場合の罪

酒気を帯びて車両等を運転することとなるおそれがある者に対し,酒類を提供し,又は飲酒をすすめたら,犯罪が成立します。
上記の運転者の酔いの程度により,刑罰の大きさが変わります。
酒に酔った状態・アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態の場合は3年以下の懲役又は50万円以下の罰金,上記の基準値以上にアルコールを保有する状態にあれば2年以下の懲役又は30万円以下の罰金,となります。
飲食店では,客にアルコールを提供するときは,客が運転する予定があるのかどうか十分に気を付ける必要があります。
一緒に食事をしている人に対し,その人が運転する予定があるのであれば,安易にお酒をすすめてはいけません。

車両の運転者が酒気を帯びていることを知りながら,当該運転者に対し,当該車両を運転して自己を運送することを要求し,又は依頼して,当該運転者が酒気を帯びて運転する車両に同乗したら,犯罪が成立します。
車両の運転者が酒に酔った状態にあることを知りながら同乗したら,3年以下の懲役又は50万円以下の罰金となります。
車両の運転者が酒に酔った状態にあることまでは知らなかった場合や,上記の基準値以上にアルコールを保有する状態にあれば,2年以下の懲役又は30万円以下の罰金となります。
アルコールを飲んで運転するような人の車に,安易に同乗してはいけません。

・飲酒運転をした者の使用者に対する罪

自動車の使用者(安全運転管理者等その他自動車の運行を直接管理する地位にある者を含む。)は,その者の業務に関し,自動車の運転者に対し,酒気を帯びて車両等を運転することを命じ,又は自動車の運転者がこれらの行為をすることを容認したら,犯罪が成立します。
運転者の酔いの程度により,刑罰の大きさが変わります。
酒に酔った状態・アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態であることを知ったうえでの犯行の場合は,5年以下の懲役又は100万円以下の罰金となります。
酒に酔った状態までは認識していなかった場合や,上記の基準値以上にアルコールを保有する状態にあれば,3年以下の懲役又は50万円以下の罰金となります。
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人,使用人その他の従業者が,その法人又は人の業務に関し,違反行為をしたときは,行為者を罰するほか,その法人又は人に対しても,罰金刑を科されることになります。
会社の従業員が飲酒運転をすることを安易に容認してはなりません。
会社の業務で自動車の運転があるのなら,運転者が飲酒運転をしないように,きちんと監督していく必要があります。

・飲酒運転で事故を起こし被害者を死傷させた場合の罪

飲酒運転の結果,自動車の運転上必要な注意を怠り,よって人を死傷させたら,7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金となります。
上記の飲酒運転の道路交通法違反と同時に過失運転致死傷罪が成立します。
ただし,その傷害が軽いときは,情状により,その刑を免除となる可能性があります。
そうは言っても,飲酒運転での交通事故で人を怪我させる罪は重く,基本的に逮捕されて裁判になる可能性が高いです。

アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為を行い,よって,人を負傷させたら15年以下の懲役となり,人を死亡させたら1年以上の有期懲役となります。
アルコールの影響により,その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で,自動車を運転し,よって,そのアルコールの影響により正常な運転が困難な状態に陥り,人を負傷させたら12年以下の懲役となり,人を死亡させたら15年以下の懲役となります。
これらの危険運転致死傷罪は重罪であり,逮捕のうえで重い刑罰となると思われます。

アルコールの影響によりその走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転した者が,運転上必要な注意を怠り,よって人を死傷させた場合において,その運転の時のアルコールの影響の有無又は程度が発覚することを免れる目的で,更にアルコールを摂取すること,その場を離れて身体に保有するアルコールの濃度を減少させることその他その影響の有無又は程度が発覚することを免れるべき行為をしたときは,12年以下の懲役となります。
飲酒運転の状況をごまかす行為で,悪質性が高く,更に思い刑事処分となります。

・飲酒運転での弁護活動

飲酒運転の犯罪を行ってしまったら,逮捕されるリスクが高まります。
逮捕されなかったとしても,重い刑事処分となってしまう可能性があります。
刑事事件ではスピードが大切です。
すぐに弁護士に連絡し,相談して依頼しましょう。
逮捕後最大72時間は,たとえ家族の方でも逮捕された人との接見ができませんが,弁護士が代わりに連絡を取ってくれます。
逮捕された場合,最長で23日間,身体が拘束されますが,その間に検察官が起訴をするかどうかを判断します。
非常に限られた時間で活動しなければならず,急がなければなりません。
また,逮捕直後に不当な取調べが行われ,不利な内容の調書が作成されてしまうかもしれません。
早く弁護士が接見し,取調べへの対応方法に関してきちんとしたアドバイスをする必要があります。
裁判となったら,二度と飲酒運転をしないために具体的にどうするか,示していく必要があります。
ご家族とも打ち合わせをし,裁判に対応していくことになります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,刑事を専門とする弁護士が迅速に対応いたしますので,お気軽にお電話ください。
これまでにも,数多くの飲酒運転事件を扱ってきました。
経験豊富な弁護士が紳士に対応いたします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では,刑事事件に関するご相談を初回無料で承っております。
無料法律相談のご予約は
フリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)
までお気軽にお電話ください。

詐欺罪とは?不動産投資での事例を交えて解説

2023-10-15

導入

詐欺罪は日常生活でよく耳にする犯罪ですが、その具体的な内容や成立条件は一般にはあまり知られていません。 この記事では、詐欺罪について基本的な法律用語とともに解説し、特に不動産投資での事例を交えて詳しく説明します。

1. 詐欺罪の基本的な定義

詐欺罪は、日本の刑法第246条に規定されています。 この犯罪は、人を欺いて財物を交付させる行為を指します。

刑法第246条1項によれば、詐欺罪の成立には以下の4つの要件が必要です。

  1. 加害者が被害者を欺く(欺罔)
    加害者が被害者に対して嘘や偽の情報を提供することです。
  2. 被害者が欺かれる(錯誤)
    被害者が加害者の提供した情報に基づいて誤った判断をすることです。
  3. 被害者が加害者に財物を渡す(交付・移転)
    被害者が加害者に対して金銭や財物を交付することです。
  4. 因果関係
    上記の1~3の要件が因果関係をもって連鎖していることです。

このように、詐欺罪は複数の要件が揃った場合に成立します。 特に、被害者が何らかの形で財物を交付した場合、詐欺罪の成立が高まります。

3. 不動産投資と詐欺罪の事例

不動産投資は、多くの人々にとって魅力的な資産運用手段とされています。 しかし、その裏で詐欺罪が成立するケースも少なくありません。

事例1: フラット35を用いた融資詐欺

Aさんは、不労所得を得たいと考え、友人から紹介された不動産会社の勧めに従い、フラット35でマンションを購入しました。 しかし、このマンションは投資用であり、Aさん自身が住む予定はありませんでした。

このケースでは、以下のように詐欺罪が成立する可能性が高いです。

  1. 欺罔(加害者が被害者を欺く)
    Aさんは、金融機関に対して居住目的であると偽ってフラット35の契約を結びました。
  2. 錯誤(被害者が欺かれる)
    金融機関は、Aさんが居住目的であると信じてローンを組みました。
  3. 交付・移転(被害者が加害者に財物を渡す)
    金融機関は、マンションの購入費用をAさんに提供しました。
  4. 因果関係
    以上の1~3が因果関係を持って成立しています。

注意点

このようなケースでは、金融機関が被害届を提出する可能性があり、その結果として詐欺罪で起訴される可能性が高くなります。

4. 詐欺罪の成立条件と不動産投資

不動産投資と詐欺罪の関連性を理解するためには、詐欺罪の成立条件を具体的な事例に当てはめて考えることが重要です。

成立条件1: 欺罔(加害者が被害者を欺く)

不動産投資の場合、投資家が金融機関に対して、自身または親族が住む目的であると偽ってフラット35などのローンを組むことが該当します。

成立条件2: 錯誤(被害者が欺かれる)

金融機関が投資家の提供した偽の情報に基づいて、ローンを組むことがこの条件に該当します。

成立条件3: 交付・移転(被害者が加害者に財物を渡す)

この条件は、金融機関が投資家にローンを提供する行為に該当します。 特に、金融機関がマンションの購入費用を直接支払う場合、この条件が成立します。

成立条件4: 因果関係

以上の1~3の条件が因果関係を持っている場合、詐欺罪が成立します。 具体的には、投資家が金融機関を欺いた結果、ローンが組まれ、その資金で不動産が購入されるという流れです。

5. 金融機関との関係

不動産投資における詐欺罪で重要なのは、金融機関との関係性です。 この項目では、金融機関が詐欺罪にどのように関与するのか、その点について詳しく解説します。

金融機関の役割

金融機関は、不動産投資においては主にローンの提供者となります。 しかし、その際には申し込み者の居住目的などを確認する責任があります。

詐欺罪の発覚

金融機関が不正なローンの利用を発見した場合、通常は被害届を提出します。 この行為が詐欺罪の発覚となり、捜査が始まる可能性が高くなります。

金融機関の対応

金融機関は、詐欺罪が発覚した場合にはローン契約を解除することがあります。 また、既に提供されたローンに対しては返済を求める場合もあります。

被害届の影響

金融機関が被害届を提出すると、その後の刑事手続きが始まります。 この段階で、詐欺罪での起訴や有罪判決が下される可能性が高くなります。

6. 詐欺罪での刑罰

詐欺罪が成立した場合、その刑罰は非常に厳しいものとなります。 この項目では、詐欺罪での具体的な刑罰について詳しく解説します。

刑期

日本の刑法第246条によれば、詐欺罪での刑罰は、懲役で最長10年とされています。 ただし、被害額や犯罪の重大性によっては、この期間が短縮される場合もあります。

賠償責任

詐欺罪が成立した場合、被害者に対する賠償責任も発生します。 これは、被害者が受けた損害を補填するためのものであり、刑罰とは別に考慮されます。

社会的信用の失墜

詐欺罪で有罪となると、社会的信用も大きく失墜します。 これが影響して、今後のビジネスや就職活動にも大きな障害が出る可能性があります。

7. 弁護士の役割と対策

詐欺罪に加担してしまった場合、弁護士が果たす役割は非常に大きいです。 この項目では、弁護士がどのような役割を果たし、どのような対策が取れるのかを詳しく解説します。

弁護士の役割

  1. 法的アドバイス
    弁護士は、詐欺罪の成立条件や可能性についての法的アドバイスを提供します。
  2. 捜査への対応
    弁護士は、警察や検察とのやり取りを代行し、被疑者の権利を守ります。
  3. 裁判の代理
    弁護士は、裁判での代理人として活動し、最も適切な防御策を提案します。

対策

  1. 早期の相談
    詐欺罪の疑いがある場合、早期に弁護士に相談することが重要です。
  2. 証拠の保全
    弁護士は、証拠を適切に保全し、それを裁判で有利に使う方法を指導します。
  3. 和解の交渉
    場合によっては、被害者との和解が可能な場合もあります。 弁護士は、そのような交渉をスムーズに進めるためのサポートを提供します。

8. まとめ

この記事では、詐欺罪について基本的な法律用語とともに解説しました。 特に、不動産投資での詐欺罪がどのように成立するのか、具体的な事例を用いて詳しく説明しました。

  1. 詐欺罪の基本的な定義
    詐欺罪は、人を欺いて財物を交付させる行為であり、刑法第246条に規定されています。
  2. フラット35とは
    フラット35は、特定の利用条件があり、その違反は詐欺罪に当たる可能性があります。
  3. 不動産投資と詐欺罪の事例
    不動産投資での詐欺罪が成立する具体的なケースを解説しました。
  4. 詐欺罪の成立条件と不動産投資
    詐欺罪の成立条件と不動産投資がどのように関連するのかを詳しく説明しました。
  5. 金融機関との関係
    金融機関が詐欺罪にどのように関与するのか、その点について解説しました。
  6. 詐欺罪での刑罰
    詐欺罪での具体的な刑罰について説明しました。
  7. 弁護士の役割と対策
    詐欺罪に巻き込まれた場合、弁護士がどのような役割を果たし、どのような対策が取れるのかを解説しました。

詐欺罪は、その成立条件や関連する要素が多く、複雑です。 しかし、正確な知識と適切な対策によって、リスクを最小限に抑えることが可能です。 何か疑問や不明点があれば、早期に専門家に相談することをお勧めします。

強盗罪について

2023-10-12

強盗罪について

強盗罪は重罪であり,逮捕・勾留されて実刑で刑務所に入る可能性があります。
今回は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が,強盗罪について解説いたします。

【強盗罪の条文】

(強盗)
第236条 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は,強盗の罪とし,五年以上の有期懲役に処する。
2 前項の方法により,財産上不法の利益を得,又は他人にこれを得させた者も,同項と同様とする。

【強盗罪の保護法益】

強盗罪は,財産的法益だけでなく,人格的法益をも,その保護法益としております。
暴行・脅迫を財物奪取の手段とする点に着目して,窃盗罪より重く処罰することにしております。
財物のみでなく,財産上の利益を得た場合も,同様に処罰されます。
相手方の反抗を抑圧するに足る程度の暴行・脅迫により,被害者の意思に反して,財物の占有を奪取する犯罪です。
反抗を抑圧するに足りない程度の暴行・脅迫の場合は,瑕疵があるものの一応は相手方の意思に基づく占有の移転があり,恐喝罪となります。

【強盗罪における暴行・脅迫】

暴行は,身体に向けられた不法な有形力の行使をいいます。
脅迫は,害悪の告知をいいます。
財物奪取の目的遂行の障害となり得る者に対して加えられれば足り,必ずしも財物を所持する者に加えられる必要はありません。

暴行・脅迫は,被害者の反抗を抑圧するに足りるものであることを要します。
被害者に加えられた暴行・脅迫の程度の判断は,社会通念上一般に被害者の反抗を抑圧するに足りる程度のものかどうかという客観的基準によって決することになります。
具体的事案における被害者の主観を基準に判断はされません。
客観的に反抗を抑圧するに足りる暴行・脅迫が加えられた以上,現実に被害者の反抗が抑圧されなかったとしても,強盗罪における暴行・脅迫となります。
その判断は,暴行・脅迫の態様だけではなく,犯行場所,犯行時刻,周囲の状況,相手方の性別・年齢・体格等も考慮して,具体的に判断されることになります。
同程度の暴行・脅迫であっても,それが行われた状況,犯人と相手方の性別・年齢等の事情等により,反抗を抑圧するに足りる程度のものかどうかの判断を異にする場合があります。
おもちゃのけん銃を突き付ける行為は,それが本物のけん銃ではないと容易に見破られる状況でされたのでない限り,反抗を抑圧するに足りるものといえます。

【強盗罪の強取とは】

強取とは,相手方の反抗を抑圧するに足りる暴行・脅迫を手段として,財物の事実上の占有を自己が取得し,又は第三者に取得させることをいいます。
行為者が相手方から財物を奪取する場合だけでなく,相手方が交付した財物を受領することも,それが相手方の自由意思に基づくものでない限り,強取に当たります。
暴行・脅迫を加えて財物を奪取する意思で,まず財物を奪取した後に被害者に暴行・脅迫を加えた場合も,強取に当たります。

暴行・脅迫を加えて相手方の反抗を抑圧した後に,財物奪取の意思を生じ,財物を奪取した場合が問題となります。
新たに加えられる暴行・脅迫は,通常の強盗の場合に比して程度の弱いものでも反抗を抑圧するに足りると思われ,状況次第では犯人がその場に居続けるだけで足りる場合があります。
先に加えられた暴行・脅迫と人の存在とが相まって,財物奪取目的の暴行・脅迫と同視されることになります。

【強盗罪における故意】

故意の内容として,暴行・脅迫を加えて相手方の反抗を抑圧し,その財物を奪取することの認識を有することが必要です。
財物の種類・数量を個別的に認識する必要はなく,予定外の財物を奪取した場合にも故意に欠けることはありません。
窃盗罪同様,「権利者を排除して他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従って利用し又は処分する意思」である不法領得の意思も必要です。

【財産上の利益】

不法に財産上の利益を得たら,2項の強盗利得罪が成立します。
財産上の利益は,1項の財物以外のすべての財産上の利益を指し,積極的財産の増加であると,消極的財産の減少であるとを問いません。
債務の免除や履行期の延期,債務負担の約束,財産的価値のある役務・輸送サービスの提供等は,いずれも財産上の利益に当たります。

【強盗罪の着手時期】

財物奪取の目的で相手方の反抗を抑圧するに足りる暴行・脅迫を加えた時点で,強盗罪の実行の着手が認められます。
強盗の故意でまず財物を奪取しても,暴行・脅迫が行われない限り,強盗罪の実行の着手は認められません。
財物奪取の意図なく,暴行・脅迫を加え,相手方の反抗抑圧状態に乗じて財物を奪取する場合には,財物奪取に着手した時点で強盗罪の実行の着手が認められます。

既遂は,財物の取得の時期を基準とし,暴行・脅迫により財物に対する被害者の占有を排し,これを自己又は第三者の実力支配下に置いた時となります。
まず財物を奪取した後に,暴行・脅迫を加えた場合には,これにより奪取した財物を確保した時点で強盗既遂となります。

【強盗罪の未遂犯処罰規定】

(未遂罪)
第243条 第二百三十五条から第二百三十六条まで,第二百三十八条から第二百四十条まで及び第二百四十一条第三項の罪の未遂は,罰する。
(強盗予備)
第237条 強盗の罪を犯す目的で,その予備をした者は,二年以下の懲役に処する。

未遂罪だけでなく,予備罪も処罰されます。
強盗罪の危険性,反社会性の大きさを考慮して,その予備行為を処罰することにより,強盗の実行に至る前にこれを鎮圧しようとしております。

【強盗の予備罪】

予備罪は目的犯であり,強盗の目的でその予備行為がされることを要します。
いわゆる居直り強盗や事後強盗の目的のように,相手方に暴行・脅迫を加える目的が未必的なものに止まる場合においても成立します。

予備とは,強盗罪の実行の準備行為をすることをいいます。
単なる計画や謀議だけでは足らず,強盗の決意を外部的に表現するような行為がされることを要します。

【窃盗からの暴行等で問題となる事後強盗罪】

(事後強盗)
第238条 窃盗が,財物を得てこれを取り返されることを防ぎ,逮捕を免れ,又は罪跡を隠滅するために,暴行又は脅迫をしたときは,強盗として論ずる。

事後強盗罪は,その犯行形態の実質的違法性やしばしば相手の殺傷という重大な結果を伴うことから,処罰されることになります。

本罪は窃盗犯人を主体とします。
窃盗犯人とは,窃盗の実行に着手した者をいいます。

財物を得てこれを取り返されることを防ぐ目的,逮捕を免れる目的,罪跡を隠滅する目的のいずれかの目的が必要になります。
相手が現実に財物を取り返そうとしたり犯人を逮捕しようとしていたか否かは問われません。

事後強盗罪も強盗として論じられる以上,暴行・脅迫の程度も,強盗罪の場合と同様に相手の反抗を抑圧するに足りる程度のものであることを要します。
暴行・脅迫の相手方は,窃盗の被害者だけではなく,本条所定の各目的を遂げるのに障害となる者であれば足ります。

事後強盗罪が成立するためには,財物取得の場面と暴行・脅迫の場面との間の場所的・時間的関係や,状況としての繋がりなどを総合して,当該暴行・脅迫が財物の取得と密接な関連性を有すると認められる状況の下に行われることが必要です。

本罪の実行の着手は,窃盗犯人が,本条所定の目的で相手方の反抗を抑圧するに足りる暴行・脅迫に着手した時点で認められます。
事後強盗強盗として論じられる以上,その既遂・未遂の基準も強盗罪と同様に財物取得の有無,すなわち窃盗の既遂・未遂により決せられます。

【睡眠薬を飲ませる等により金品を盗む昏睡強盗罪】

(昏酔強盗)
第239条 人を昏酔させてその財物を盗取した者は,強盗として論ずる。

暴行・脅迫を手段としなくても,その実質的違法性の程度は強盗罪と同程度であると考え,昏睡強盗罪が成立することになります。
事後強盗罪とともに準強盗と呼ばれます。

昏酔させるとは,一時的又は継続的に,相手方に意識喪失その他意識又は運動機能の障害を生じさせて,財物に対する有効な支配を及ぼし得ない状態に陥らせることをいいます。
典型的には失神させたり睡眠状態に陥らせる場合がこれに当たりますが,意識はあっても身体的機能を麻痺させる場合も含みます。
昏睡させる方法は,薬物の使用,麻酔薬の施用等制限はありません。
相手を昏睡させる行為は,財物盗取の目的でされなければなりません。

【強盗の罪における弁護活動について】

これまで見てきたとおり、強盗に関する罪は多種多様で、成立した場合の刑事罰は重いものとなっています。
また、今回のブログで説明した強盗の結果、被害者が死傷してしまった場合には、強盗致死傷の罪が適用され、無期懲役や死刑といった厳しい刑事罰が科せられます。

強盗の罪で家族が逮捕されているという場合、身柄解放を求める活動、被害者との謝罪・弁済を行う活動、取調べ状況の確認やアドバイス、起訴後の公判・公判前整理手続など、様々な場面で事案に即した弁護活動が求められます。
北海道札幌市にて、家族が強盗罪で逮捕・勾留された場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士による初回接見サービス(有料)をご利用ください。

窃盗罪について

2023-10-09

窃盗罪について

万引き等の窃盗罪を犯してしまい,弁護士に相談・依頼をする人が少なくありません。
今回は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が,窃盗罪について解説いたします。

【窃盗罪の条文】

(窃盗)
第235条 他人の財物を窃取した者は,窃盗の罪とし,十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

【窃盗罪の保護法益】

窃盗罪の保護法益は,財物に対する占有・所持です。
社会における財産的秩序は,所有権等の本権の存否自体よりも,占有が有する本権推定機能に対する信頼を考礎にしていることから,財物の所持自体が保護されるべき対象であるとされております。
刑法第242条も,「自己の財物であっても,他人が占有し,又は公務所の命令により他人が看守するものであるときは,この章の罪については,他人の財物とみなす。」と規定しております。
法令上所持を禁じられている物でも,法律上正当にこれを所持する権限を有するかどうかを問わず,物の所持という事実上の状態それ自体が独立の法益として保護されることになります。
権原に基づかない所持の侵害についても占有侵害の構成要件該当性を肯定した上で,自己の財物や権利に基づく奪取行為の可罰性は違法性阻却の問題として処理されることになります。

【窃盗罪の客体(対象となる物)】

客体は他人の占有する財物です。
共同占有物・共有物の場合は,共同占有者の1人が他の者の占有を排除して自己の単独占有に移せば,その限りで占有の侵害があることになります。
他人の占有・所持は,人が物を実力的に支配する関係があれば認められます。
事実上の支配があるとするためには,主観的要素としての支配意思と,客観的要素としての支配の事実が必要です。
支配意思は,物を事実上支配・管理しようという意欲・意思のことをいいます。
支配意思は,個々特定の財物に向けられた具体的なものであることを必要とせず,時間的・場所的に包括的なもので足ります。
自宅や倉庫内に存在する財物についても,その存在を具体的に知らなくても,不在のときも支配意思が認められます。
支配の事実は,現実の握持を必要とせず,財物自体の特性,支配者の支配の意思の強弱,距離等による客観的・物理的な支配関係の強弱,等の実質的基準で判断されます。
置き忘れられた物については,時間的・距離的間隔やその他の事情を総合的に考慮のうえで判断されます。
占有が認められない場合は,占有離脱物横領罪等の成否が問題となります。

【窃盗等罪の例外(親族相盗例)】

刑法第244条第1項により,配偶者,直系血族又は同居の親族との間で窃盗罪を犯した者は,その刑を免除されることになります。
同条第2項により,第1項に規定する親族以外の親族との間で犯した窃盗罪は,告訴がなければ公訴を提起することができません。
これは,家庭内のことは出来るだけ国家権力が介入するべきではないとの価値観に基づいているからです。
そのため,同条第3項により,親族でない共犯については適用しない,と規定されております。

【窃盗罪の着手の時期】

窃取とは,財物の占有者の意思に反して,その占有を侵害し,自己又は第三者の占有に移すことです。
手段・方法は問われません。

実行の着手は,他人の財物の占有を侵害する具体的危険が発生する行為を行った時点で認められます。
具体的事案において判断する場合には,対象となる財物の形状,窃取行為の態様,犯行の日時・場所等の諸般の状況が考慮されることになります。
侵入窃盗では,財物の物色行為のあった時点で着手が認められることが多いです。
もっとも,倉庫や金庫室などの場合は,侵入行為があった時点で占有侵害の危険が現実化しているものと見ることができるから,侵入行為をした時点で窃盗の実行の着手を認めることが多いです。
車上狙いや自動車盗の場合も,ドアの開扉・解錠や窓ガラスの破壊等,自動車内への侵入行為を始めた時点で着手が認められることが多いです。

窃盗の既遂時期は,財物の他人の占有を排除して自己又は第三者の占有に移した時点で認められます。
具体的事案における既遂時期の判断に当たっては,対象となる財物の形状,窃取行為の態様,犯行の日時・場所等の諸般の状況が勘案されることになります。
目的物が大きい場合には,目的物の性質・大きさや周囲の状況・管理者による強さの度合い等により事実上の支配があったといえる時点が変わってきます。

【窃盗罪の故意(不法領得の意思)】

窃盗罪の故意として,財物の占有者の意思に反して,その占有を侵害し,自己又は第三者の占有に移すことについての認識が必要です。
故意の他に,不法領得の意思が必要となります。
不法領得の意思とは,「権利者を排除して他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従って利用し又は処分する意思」をいいます。
権利者排除意思は,使用窃盗・一時窃盗を窃盗罪として処罰しない機能を果たします。
利用処分意思は,毀棄隠匿罪と区別する基準としての機能を果たします。
しかし,自動車を一時的に使用する意思だったとしても,自動車の価値の大きさから権利者排除意思が認められ,不法領得の意思が認められることになります。
また,経済的用法については,その物の本来の用途にかなったとか,財物から生じる何らかの効用を享受するということで足ります。

【罪数の問題】

窃盗罪が既遂となったら,犯罪は終了して違法状態が継続していることになります。
この段階で犯人が目的物を損壊したり費消したりしても,それは既に窃盗罪によって包括的に評価されているので,不可罰的事後行為として器物損壊罪や横領罪を構成しません。
しかし,窃盗罪では評価され尽くしていない新たな法益侵害を伴う場合は,別個の罪が成立することになります。

【窃盗罪での弁護活動】

窃盗罪を犯してしまったら,被害者に対する示談活動が必要になります。
当事者同士で直接話し合うと,感情的になってしまい,状況が悪化して話がまとまらなくなる可能性があります。
また,きちんとした示談書面を作成しないと,後に問題が残ってしまう可能性があります。
被害者から過剰な賠償を請求される可能性もあります。
弁護士を入れて,被害者に対して誠意ある示談交渉を冷静に行う必要があります。

逮捕されたら,釈放を求めていくことになります。
証拠隠滅や逃亡のおそれがないことを,弁護士を通じて主張していくことになります。
被害者に対して示談を成立させたり,家族が身元引受人になって監督してもらったりして,準備することになります。
検察官や裁判官は簡単に釈放を認めないので,弁護士を通じてしっかりした主張・説明をしていかなければなりません。

起訴されて裁判となったら,公判の準備をしなければなりません。
示談・被害弁償を進め,2度とこのような事件を起こさないようにしていくことを示していきます。
家族に情状証人になってもらったり,仕事や家庭の環境調整を進めることになります。

もし窃盗をしていないにも関わらず犯行を疑われたら,きちんと否認主張をしていかなければなりません。
捜査機関,特に警察官は,否認の主張を無視して,取調べで威圧したり不当な誘導をしてきたりすることがあります。
状況に応じて黙秘したり,取調べでの弁護士の立会い・準立会いを行ったり,捜査機関に対して抗議書面を送ったり,弁護士による弁護人面前調書を作成したりして対応することになります。
起訴されて裁判となったら,公判前整理手続を含めて証拠を精査して,きちんと争っていく必要があります。
刑事弁護に精通した弁護士が対応する必要があります。

当事務所では,無料相談を実施しております。
刑事弁護はスピードが重要ですので,お早めにご連絡・ご相談ください。

ブランドのコピー品を転売する行為は法に触れる?事例を通して商標法違反の罪と罰を解説

2023-10-06

ブランドのコピー品を転売する行為は法に触れる?事例を通して商標法違反の罪と罰を解説

偽造品が市場に氾濫している現代、誰もが一度は「コピー品」に出会った経験があるでしょう。
しかし、そのコピー品を転売する行為が法に触れる可能性があることは、多くの人が知らないかもしれません。
この記事では、ブランドのコピー品を転売する行為がどのような法的リスクを孕んでいるのか、商標法違反に焦点を当てて解説します。

商標法とは何か

商標法は、企業や個人が自分の商品やサービスに使用する商標を保護する法律です。
商標とは、商品やサービスの出所を示すものであり、商標を無断で使用した場合、商標法によって罰せられる可能性があります。

商標法違反の具体的な罪

商標法違反にはいくつかの罪が存在します。
これには、商標の偽造、無許可での使用、そして今回のテーマであるコピー品の転売も含まれます。
特に転売の場合、ブランドの名前やロゴ、デザインなどを無許可で使用しているため、商標法に違反する可能性が高くなります。

コピー品の転売を事例にした商標法違反の罰則

コピー品の転売が商標法違反となった場合、その罰則は厳しいものとなります。
具体的には、最高で10年以下の懲役または1000万円以下の罰金、あるいはその両方が科される可能性があります。
これは日本の商標法における罰則であり、他の国でも同様に厳格な罰則が存在する場合が多いです。

たかがコピー品、とお思いの方もおられるかもしれません。しかし、商標権はブランドのイメージを左右する重大な権利であり、粗悪品などでブランドのイメージを低下させることは、そのブランド会社が長きに亘り培ってきた信用を毀損する行為であり、会社に計り知れない影響を及ぼす恐れがある悪質な行為であるといえます。よって、多額の損害賠償が認められるケースもあり、刑事上も厳しい刑事罰が科されるおそれがあります。

転売業者による罰則回避の手口とその対策

一部の転売業者は、商標法違反の罰則を回避するために様々な手口を用います。
例えば、「模倣品であることを明示している」と主張したり、ブランド名を微妙にアレンジして使用するなどです。
しかし、これらの手口も厳密には商標法違反に該当する可能性が高く、法的なリスクを完全に回避するわけではありません。

被害を受けたブランド側の対応策

コピー品の転売によって被害を受けるのは、消費者だけでなくブランド側も同様です。
多くのブランドは、自社の商標が無許可で使用されている場合、法的手段を講じることが一般的です。
これには、損害賠償請求や差し止め請求などがあり、これらの訴訟は通常、高額な賠償金が発生する可能性があります。

転売業者だけでなく購入者もリスクを負う

コピー品の転売が問題なのは、転売業者だけでなく購入者もリスクを負います。
購入者が知っているかどうかに関わらず、コピー品を購入する行為自体が商標法に触れる可能性があります。
一部の国では、偽造品を購入した者も罰せられる場合があるため、消費者自身も十分な注意が必要です。

まとめと今後の注意点

商標法違反としてコピー品の転売は、多くのリスクを孕んでいます。
転売業者はもちろん、購入者にも法的な影響が及ぶ可能性があるため、商標法についての知識は必須です。
この記事を通じて、商標法に関する基本的な理解と、コピー品に関わるリスクを把握していただければと思います。

性犯罪について

2023-10-03

性犯罪について

刑事事件で性犯罪は非常に多く、当事務所にも多数の相談・依頼があります。
今回は、主な性犯罪の概要について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。

<盗撮>

性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律
(性的姿態等撮影)
第二条 次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
一 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為
イ 人の性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分
ロ イに掲げるもののほか、わいせつな行為又は性交等(刑法(明治四十年法律第四十五号)第百七十七条第一項に規定する性交等をいう。)がされている間における人の姿態
二 刑法第百七十六条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
三 行為の性質が性的なものではないとの誤信をさせ、若しくは特定の者以外の者が閲覧しないとの誤信をさせ、又はそれらの誤信をしていることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
四 正当な理由がないのに、十三歳未満の者を対象として、その性的姿態等を撮影し、又は十三歳以上十六歳未満の者を対象として、当該者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者が、その性的姿態等を撮影する行為
2 前項の罪の未遂は、罰する。
3 前二項の規定は、刑法第百七十六条及び第百七十九条第一項の規定の適用を妨げない。

正当な理由がないのに、密かに、他人の裸や下着等を盗撮したら、犯罪が成立します。
スカートの中をスマートフォンカメラで盗撮したり、温泉施設やトイレにカメラを設置して盗撮したりする事件が多いです。
女性の家に侵入して、カメラを設置して盗撮する事件も少なくありません。

密かにでなくても、相手が同意しない状況等で裸や下着等を撮影したら、犯罪が成立します。
相手が同意しない具体的状況としては、後述の不同意わいせつ罪の各号があります。

相手の同意があっても、相手を騙して裸や下着等を撮影したら、犯罪が成立します。
医療行為で必要だと嘘を言って騙したり、自分以外には見せないと嘘を言って騙したり、することが考えられます。

相手が16歳未満であれば、真の同意があっても、裸や下着等を撮影したら、犯罪が成立します。
相手が13歳以上16歳未満の場合は、相手との年齢差が5歳未満であれば、犯罪は成立しません。

これらの犯罪は、未遂でも罰せられます。
撮影までは実施していなくても、撮影のためにカメラを向けたり設置したら、未遂罪として処罰されることになります。

同時に不同意わいせつ罪や監護者わいせつ罪が成立することもあります。

<痴漢・北海道迷惑行為防止条例違反>

北海道迷惑行為防止条例
(卑わいな行為の禁止)
第2条の2 何人も、正当な理由がないのに、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 公共の場所又は公共の乗物にいる者に対し、著しく羞恥させ、又は不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をすること。
ア 衣服等の上から、又は直接身体に触れること。
(罰則)
第11条 第2条の2、第6条又は第9条第1項の規定のいずれかに違反した者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
2 常習として、第2条の2、第6条又は第9条第1項の規定のいずれかに違反した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

いわゆる痴漢として、電車等で女性のお尻等を触れば、犯罪が成立します。
常習的に犯行を繰り返していたら、より重い処罰となります。
アルコールで酔っぱらって痴漢をしてしまうケースも多くあります。
より程度が強く、女性の陰部や胸を直接触ったりするような場合は、不同意わいせつ罪が成立します。

<公然わいせつ>

(公然わいせつ)
第百七十四条 公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

外の人がいる場所で下半身を露出して見せつけるようなことをしたら、公然わいせつ罪が成立します。

<不同意わいせつ>

(不同意わいせつ)
第百七十六条 次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、六月以上十年以下の拘禁刑に処する。
一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
2 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、わいせつな行為をした者も、前項と同様とする。
3 十六歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。

相手の同意なくわいせつな行為をしたら、不同意わいせつ罪が成立します。
同意しない状況として各号に記載がありますが、不同意の場合が広く含まれており、犯罪が成立しやすくなっております。
安易に相手が同意していると思っていたと主張しても、主張が認められる可能性は低いです。

相手の同意があっても、相手を騙してわいせつな行為をしていたら、犯罪が成立します。
医療行為で必要だと言って騙したり、暗闇の中で恋人と偽って騙したり、してわいせつな行為をするケースが考えられます。

相手が16歳未満であれば、真の同意があってもわいせつな行為をしたら犯罪が成立します。
相手が13歳以上16歳未満の場合は、相手との年齢差が5歳未満であれば、犯罪は成立しません。

<不同意性交等>

(不同意性交等)
第百七十七条 前条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第百七十九条第二項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、五年以上の有期拘禁刑に処する。
2 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、性交等をした者も、前項と同様とする。
3 十六歳未満の者に対し、性交等をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。

不同意わいせつ罪と同じく、相手が同意しない状況で性交等をしたら、不同意性交等罪が成立します。
性交等は、性交、肛門性交、口腔性交だけでなく、膣若しくは肛門に指等の身体の一部や性的なおもちゃ等の物を挿入する行為であってわいせつなもの、が含まれます。
加害者・被害者ともに男女関係なく成立することになります。

相手の同意があっても、相手を騙して性交等をしていたら、犯罪が成立します。
医療行為や宗教行為で必要だと言って騙したり、暗闇の中で恋人と偽って騙したり、して性交等をするケースが考えられます。

相手が16歳未満であれば、真の同意があっても性交等をしたら犯罪が成立します。
相手が13歳以上16歳未満の場合は、相手との年齢差が5歳未満であれば、犯罪は成立しません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、これまでに数多くの性犯罪事件の加害者側の弁護活動を行ってまいりました。
性犯罪事件の多くは被害者がいるものであり、適切な弁護活動を行わなければ逮捕されて長期間の勾留が行われたり、刑事裁判で厳しい刑事処罰が科せられたりするおそれがあります。
北海道札幌市にて、性犯罪事件を起こしてしまい自首を検討している方警察官から呼び出しを受けている方家族が逮捕・勾留されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご連絡ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受けることができます。
家族が逮捕・勾留されている場合はこちら。

« Older Entries Newer Entries »

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら