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釈放を認めてほしい・勾留の考慮要素
釈放を認めてほしい・勾留の考慮要素
警察に逮捕されたら,検察と裁判所に送られ,勾留される可能性があります。
勾留は,身体拘束がまず10日間行われ,さらに10日間を限度に延長されることになります。
早期に弁護士を通じて勾留を争い,釈放を求めていく必要があります。
今回は,勾留がどのようなことを検討されて判断されるか,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。
刑事訴訟法
第60条 裁判所は,被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で,左の各号の一にあたるときは,これを勾留することができる。
一 被告人が定まつた住居を有しないとき。
二 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
三 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
第207条 前三条の規定による勾留の請求を受けた裁判官は,その処分に関し裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。但し,保釈については,この限りでない。
勾留は,罪証隠滅や逃亡を防止することを目的としています。
起訴前の被疑者の場合は,検察官から請求されて,裁判官が勾留するかどうかを判断します。
「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合」で,勾留の理由(「定まつた住居を有しないとき」「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき」「逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき」)と必要性が認められたら,勾留となります。
「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合」は,犯罪の嫌疑が一応認められる程度で十分とされています。
起訴や有罪判決をするのに十分でなくても認められます。
「定まつた住居を有しないとき」は,住所や居所を有しないという意味です。
各地を転々と逃げ歩いていたり,野宿生活を送っていたり,住居を黙秘して他の資料によっても住居が判明しないとき,なども含まれます。
「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき」は,証拠に対する不正な働きかけによって,終局的判断を誤らせたり捜査や公判を紛糾させたりするおそれがあるため,最も重視して検討されます。
罪証隠滅が認められて勾留されるケースが最も多いです。
安易に一般的・抽象的に認められるべきではなく,具体的・実質的な検討が求められます。
単なる抽象的な危険性では足りず,確実性までは要求されないが,具体的な資料によって裏づけられた高度の可能性のあることを要します。
罪証隠滅の対象は,犯情や重要な情状事実です。
原則として公訴事実・被疑事実であり,構成要件に該当する事実のみならず,違法性を基礎づけまたは阻却する原因となる事実,責任能力その他責任阻却事由の存否に関する事実も含まれます。
犯行に至る経緯・動機,被害者との関係,凶器の入手経路,犯行態様,共謀の成立過程,犯行後の利益分配や罪証隠滅行為,などについてが考えられます。
薬物犯罪の場合は,薬物の流れや密売組織との関わり合いなども対象となり得ます。
集団的暴力事件の場合は,犯行計画の立案過程,犯罪集団の組織や構成,集団の中で果たした地位・役割も対象となり得ます。
犯罪事実の認定にとって重要な意味を持つか,犯情を基礎づける事実として起訴不起訴の判断や量刑上重要な意味を持つか,で判断されます。
罪証隠滅の態様として,予想される証拠に対する働きかけが不当な影響を及ぼすようなものであるかが検討されます。
共犯者や証人・参考人との通謀,または証人・参考人に対する圧迫などがあります。
属する組織・団体の勢力や団体的統制力を用いて行なわれることが予想される場合もあります。
物証の毀損・隠滅も典型的な罪証隠滅行為です。
罪証隠滅の客観的可能性・実効性が中心的に判断されます。
主観的に罪証隠滅に出る意図があっても,客観的に実行可能でなければ,罪証隠滅はありえません。
被害者が捜査機関に供述した後に死亡しているようなときは,その供述を変更させることは不可能です。
捜査機関によって押収されている証拠を毀損・隠滅したりすることもできません。
証拠に対する具体的な働きかけが予想される場合においても,その働きかけによって罪証隠滅の効果を生じる実効性があると認められなければなりません。
捜査機関により関係者の供述や証拠が保全されているか,罪証隠滅行為によって重要な証拠の保全が妨げられて起訴不起訴の判断に影響を及ぼすおそれがないか,公判において検察官の立証活動が不当に妨害されることにより犯罪事実の認定や量刑に重要な影響を及ぼすおそれがないか,といった観点を総合して判断することになります。
罪証隠滅の主観的可能性,具体的な罪証隠滅行為に出る意図があるかが判断されます。
実際上は,客観的に罪証隠滅の余地が大きく,罪証隠滅行為を容易に行い得る状況にあるときは,罪証隠滅の意図をもたないと認められることは少ないです。
虚偽の弁解や客観的に明らかな事実と矛盾する供述を繰り返したり,追及されると供述を変えたりしているような場合は,罪証隠滅の意図が推認されることが多いです。
当初から一貫して詳細な自白をし,真に反省・後悔した態度を示しているなどという状況は,罪証隠滅の意図のないことを窺わせる根拠となります。
「逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき」は,刑事訴追や刑の執行を免れる目的で所在不明となることをいいます。
年齢が若い,都会に単身で居住している,職業も水商売などを転々としている,暴力団体の構成員に知り合いの者がいる,などという場合は逃亡のおそれが認められやすくなります。
相当な年齢で,配偶者や子供もいて,これまで長年月定職に就いてかなりの地位に就いていて,住む場所も自己所有の家で,居住期間が長い,などという場合は生活が安定していて逃亡のおそれが認められにくくなります。
事案が重大で非常に重い刑を科されることが予想されること,重い処分につながる可能性のある前科前歴があること,暴力団体の組織との結びつきが強くて組織力を利用して身を隠せること,などが処罰を免れる目的などで身を隠そうとすることを強く窺わせる状況と判断されます。
他に余罪のあることも考慮されます。
被告人の供述態度が悪ければ,逃亡の意図があると認められやすくなります。
勾留の理由があっても,実質的な必要性を欠くときは勾留することは許されません。
勾留の本来の目的に照らして身体を拘束しなければならない積極的な必要性・公的な利益と,その拘束によって蒙る不利益・苦痛や弊害とを比較衡量して,前者が極めて弱い場合や後者が著しく大きい場合は,勾留の実質的な必要性に欠けると判断されます。
最終的な判断は,事案の軽重や勾留の理由の度合・罪証隠滅や逃亡のおそれの強さと相関関係に立つことになります。
事案の重大性,起訴の可能性,捜査の進展度合,被疑者の仕事・家庭・健康等の事情,が具体的に考慮されます。
以上のような勾留の判断要素を具体的に検討して,勾留を争って釈放を求めていくことになります。
釈放が認められるかどうかは,弁護人個々人の能力によって大きく左右されます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,これまで数多くの釈放実績を積み重ねてきました。
釈放が認められるためには個々のケースにおいてどのような主張をすればいいかを心得ております。
北海道で逮捕・勾留され,相談・依頼したいという方は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士による有料の初回接見サービスをご利用ください。
接見して状況を確認した後,説明させていただいた後に,正式契約となったら事件を対応させていただきます。
迅速な対応が必要となりますので,お早めにご相談ください。
執行猶予を勝ち取りたい
執行猶予を勝ち取りたい
犯罪をして逮捕・勾留され,起訴されて裁判となったら,実刑で刑務所に入ることを避けるため,執行猶予を勝ち取る必要があります。
執行猶予には保護観察が付される可能性もあります。
今回は刑の全部の執行猶予と保護観察について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。
(刑の全部の執行猶予)
第25条 次に掲げる者が三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金の言渡しを受けたときは,情状により,裁判が確定した日から一年以上五年以下の期間,その刑の全部の執行を猶予することができる。
一 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
二 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても,その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
2 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあってもその刑の全部の執行を猶予された者が一年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受け,情状に特に酌量すべきものがあるときも,前項と同様とする。ただし,次条第一項の規定により保護観察に付せられ,その期間内に更に罪を犯した者については,この限りでない。
<1項 刑の全部の執行猶予>
刑の全部の執行猶予は,有罪判決に基づく刑の全部の執行を一定期間猶予し,その間にまた犯罪をしないことを条件として刑罰権を消滅させる制度です。
犯罪の悪質性や損害が小さく,前科・前歴が少ない等の事情も考慮して,実刑にする必要性がそれほど大きくない場合に認められます。
犯人に対し,実刑で刑務所に入れることによる弊害をできるだけ避け,執行猶予の取消しの可能性を示して犯罪を行わないで更生することを求め,再犯防止を実現させるものです。
「前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者」は,今回の罪が裁判にかけられて刑の全部の執行猶予を言い渡そうとする判決の言渡しの前に,という意味です。
前の罪と今回の罪の犯行日時の前後は問題となりません。
控訴・上告されて高等裁判所・最高裁判所が判決をする場合も,その言渡しの時点が基準となります。
禁錮以上の刑に処せられたとは,禁錮以上の刑に処せられるべき犯罪を行ったことをいうのではなく,現に禁錮以上の刑に処する確定判決を受けたことをいいます。
処せられたとは,その刑の執行を受けたことをいうものではないので,刑の執行が猶予された場合も処せられたことになります。
刑の全部の執行猶予の期間が経過して言渡しの効力を失ったとき等は,禁錮以上の刑に処せられたことがないことになります。
「前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても,その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者」は,実刑で刑務所での受刑期間が満了したり,仮釈放を取り消されることなくその期間を満了したりすることをいいます。
満了日から今回の裁判での刑の言渡しまでの間に,禁錮以上の刑に処せられることなく5年以上の期間が経過していれば,執行猶予が可能になります。
「三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金の言渡しを受けたとき」に執行猶予が可能であり,それを超える懲役・禁錮・罰金や,拘留・過料は対象外となります。
裁判所の裁量で「情状により」認められます。
刑の全部の執行猶予を付けるべき事案でないのに,刑の全部の執行猶予を付けた場合も,その逆の場合も,量刑不当として上訴審による是正の対象となります。
犯行態様の悪質性や結果の重大性から犯罪行為を評価し,犯罪後の事情や個々の人的な属性・環境・再犯のおそれなどを考慮して,総合的に判断をされます。
動機に酌むべき事情があること,犯罪により生じた実害が皆無ないし軽微であること,示談が成立しているか実害が弁償されていること,被害者側に落ち度があること,犯人が若年者又は高齢者であること,その者がいなければ家族が生活できないような特別の事情があること,前科・前歴がないか古いものであること,犯罪後の改悛の情が顕著であること,などを総合的に考慮されます。
執行猶予の期間は,「裁判が確定した日から一年以上五年以下の期間」で決められます。
猶予期間は,刑の執行を受けなくなる期間であることから,犯人が反省してこれ以上犯罪を行わないで更生することができるかを確認するために必要な期間か,という観点から定められます。
<2項 再度の刑の全部の執行猶予>
「前に禁錮以上の刑に処せられたことがあってもその刑の全部の執行を猶予された者」は,今回の裁判の刑の言渡しの時点で,刑の全部の執行猶予中の者をいいます。
言渡しの時点で刑の全部の執行猶予の期間が経過して言渡しの効力を失ったときは,2項ではなく1項が適用されることになります。
執行猶予期間中にまた犯罪を行った人については,1項より厳格な判断で再度の執行猶予が認められることになります。
今回の裁判で,「一年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受け」た人が対象になります。
「情状に特に酌量すべきものがあるとき」は,1項の場合よりも厳しく判断されます。
犯罪の情状が特に軽微で実刑を科す必要性が乏しく,かつ,犯人がきちんと反省して更生の見込みが大きい,ことを意味すると解されております。
保護観察中の刑の全部の執行猶予中だった者に対しては,再度の刑の全部の執行猶予は許されません。
2項で再度の執行猶予となった者には,必ず保護観察に付されます。
(刑の全部の執行猶予中の保護観察)
第25条の2 前条第一項の場合においては猶予の期間中保護観察に付することができ,同条第二項の場合においては猶予の期間中保護観察に付する。
2 前項の規定により付せられた保護観察は,行政官庁の処分によって仮に解除することができる。
3 前項の規定により保護観察を仮に解除されたときは,前条第二項ただし書及び第二十六条の二第二号の規定の適用については,その処分を取り消されるまでの間は,保護観察に付せられなかったものとみなす。
保護観察は,犯罪をした者に対し,社会内において適切な処遇を行うことにより,再び犯罪をすることを防ぎ,善良な社会の一員として自立し,改善更生することを助けるとともに,犯罪予防の活動の促進等を行い,もって,社会を保護し,個人及び公共の福祉を増進することを目的とします。
刑務所に入れなくても更生が可能と思われる者に対して,保護観察対象者の改善更生を図ることを目的として,指導監督や補導援護を行うことにより実施されます。
刑の全部の執行猶予中の保護観察は,その執行猶予の全期間にわたって付されるべきもので,その一部の期間だけに付することはできません。
第25条第1項の刑の全部の執行猶予の際に保護観察に付するかどうかは裁判所の裁量であり,それを付けることが被告人の更生と再犯の防止の観点から適当かどうかを考慮して判断することになります。
罰金刑を言い渡す場合にも保護観察に付することができます。
保護観察は,執行猶予期間中にまた犯罪を行って刑の言渡しを受ける場合に,再度の刑の全部の執行猶予にすることができない,という意味では,不利益な処分です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では,刑事弁護を専門とする弁護士が多数在籍しております。
北海道で逮捕・勾留され,相談・依頼したいという方は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士による有料の初回接見サービスをご利用ください。
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被告人質問と被害者参加制度
被告人質問と被害者参加制度
強制わいせつ事件で起訴された場合に問題となる、刑事裁判での被告人質問と被害者参加制度について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。
【ケース】
北海道札幌市西区在住のAさんは、札幌市西区の会社に勤める会社員です。
Aさんは、札幌市西区で酒に酔って歩いていたところ、通行人Vさんとすれ違い、劣情を催してVさんを路地裏に無理やり連れて行き、下着を脱がせ陰部を触るという強制わいせつ事件を起こし、後日札幌方面西警察署の警察官に逮捕されました。
その後勾留期間を経て起訴されたAさんは、担当する弁護士から「被害者参加制度に基づき被害者が刑事裁判に参加します」との説明を受けました。
≪ケースはすべてフィクションです。≫
【強制わいせつ罪について】
今回の事件は、Aさんが酒に酔って通行人である他人Vさんの下着を脱がせて陰部を触る、という行為が問題になります。
問題となる強制わいせつ罪の条文は以下のとおりです。
刑法176条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
なお、わいせつ行為をした際や被害者が抵抗した際に擦り傷の怪我をした場合には、強制わいせつ致傷罪とより重い罪が科せられます。
強制わいせつ致傷罪の罰条は「無期又は3年以上の懲役」で、起訴された場合は裁判員裁判対象事件となります。
【被告人質問について】
刑事裁判では、簡単に説明すると以下の流れで手続きが進められます。
・冒頭手続き(人定質問、起訴状朗読、被告人の権利告知、罪状認否)
・証拠調べ手続(冒頭陳述、検察官立証、弁護側立証、被告人質問、情状立証)
・最終弁論(論告、弁論、最終陳述)
・判決言い渡し
今回は、証拠調べ手続で行われる被告人質問について、解説します。
被告人質問とは、その名のとおり被告人(つまり、犯人として起訴された人)に対して行われる質問です。
被告人質問のタイミングは証拠調べ手続のどこで行っても良いのですが、実務では証拠調べ(証拠書類の提示や証人尋問など)が行われた後に被告人質問を設ける場合が一般的です。
被告人質問の目的は、事件についての弁解や意見を聴くことにあります。
被告人質問では、基本的に弁護人が質問⇒検察官が反対質問⇒裁判官が補充質問、という流れで行われます。
「被告人は、終始沈黙し、又は個々の質問に対し、供述を拒むことができる。」と定められているため被告人は供述拒否をする権利が認められていますが(刑事訴訟法311条1項)、裁判官が供述を求めたり、検察官や弁護人が裁判官に対し「被告人に供述を求める」よう促すことができます(同条2項、3項)。
【被害者参加制度と被告人質問】
今回想定している強制わいせつ事件では、わいせつ行為を受けた被害者がいます。
刑事裁判は被告人の有罪/無罪や有罪の場合の刑事罰を決める手続きですので、被害者は直接の当事者ではありませんが、被害者(あるいは、もし被害者が死亡したような事件では被害者遺族)が刑事裁判で意見したり質問したりしたいと考える場合があります。
これを考慮して、2007年の法改正により被害者参加制度が新設されました。
法改正以前も意見陳述の制度はありましたが、被害者参加制度では、意見陳述のほかに証人尋問や被告人質問ができるようになりました。
被害者参加人やその代理人弁護士が被告人質問をしたいと考えた場合、まずは裁判所に申し出ます。
裁判所は、被告人の弁護人に意見を聴き、必要があると認める場合で審理の状況等から相当と認める場合は、被害者参加人により被告人質問を認めます。
被告人質問は意見陳述の手続きとは異なるため、被害者参加人はあくまで「質問」をすることになります。
被害者参加人が行う被告人質問は、多くの場合が代理人弁護士により質問が行われる場合が一般的です。
しかし、ともすれば検察官以上に厳しい質問や答えに窮する質問が行われる可能性があります。
被害者参加等決定をされた事件では、通常の刑事裁判以上に綿密な打合せを行い、想定される質問等について検討する必要があるでしょう。
北海道札幌市西区にて、家族が強制わいせつ事件で逮捕・勾留された、あるいは被害者参加制度で被害者参加人が被告人質問をする可能性があるという場合、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご連絡ください。
弁護士による初回接見サービス(有料)や、在宅事件での無料相談についてご案内致します。
保釈を認めてほしい
保釈を認めてほしい
逮捕・勾留されて正式起訴されたら、その後も勾留で身体拘束が継続されるのが原則です。
保釈の手続きについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。
<保釈とは>
保釈は、保釈保証金を裁判所へ預けることを条件として、勾留の執行を停止し、被告人を釈放する制度です。
起訴された後の被告人について認められ、起訴前の被疑者には認められません。
保釈には、権利保釈、裁量保釈、義務的保釈の3つがあります。
請求による保釈と職権による保釈があります。
保釈の裁判は勾留ごとになされますので、保釈が認められたとしても、別罪で逮捕・勾留されて釈放されないことがあります。
保釈に関する処分は、第一回公判期日までは裁判官が行い、その後は裁判所が行います。
保釈請求は、上訴申立ての有無にかかわらず、上訴提起期間中にもすることができます。
裁判所・裁判官が、保釈の判断をする前に、検察官の意見を聴かなければなりません。
保釈許否の裁判に対しては、抗告・準抗告の申立てをして争うことができます。
保釈許可の裁判に対しても、保釈保証金の額や保釈条件に不服があるときは、不服を申し立てることができます。
保釈を許す場合には、保証金額を定めなければなりません。
保証金額は、犯罪の性質及び情状、証拠の証明力並びに被告人の性格及び資産を考慮して、被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額でなければなりません。
保証金の没取という威嚇によって、被告人の逃亡を防止することを目的としています。
この保証金の没取という威嚇は、罪証隠滅の防止をも目的としています。
実刑判決後の再保釈の場合は、金額が第一審のときよりも高くなる場合がほとんどです。
保釈を許す場合には、被告人の住居を制限しその他適当と認める条件を附することができます。
保釈にあたっては、ほとんど全ての場合に制限住居が定められています。
適当と認める条件とは、被告人の逃亡および罪証隠滅を防止するのに必要かつ有効な条件をいいます。
通常付されている条件として、住居変更につき裁判所の許可を得ること、ある日数以上の旅行につき裁判所の許可を得ること、被害者等事件関係者に対する直接または弁護人を除く他の者を介しての接触禁止、などがあります。
保釈を許す決定は、保証金の納付後に執行され、釈放されることになります。
保釈保証金の準備が厳しい場合は、日本保釈支援協会や全国弁護士共同組合連合会などから手数料を支払って借りることもできます。
<権利保釈>
刑法第89条 保釈の請求があつたときは、次の場合を除いては、これを許さなければならない。
一 被告人が死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
二 被告人が前に死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
三 被告人が常習として長期三年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
四 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
五 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
六 被告人の氏名又は住居が分からないとき。
刑事訴訟法第89条は、適法な保釈の請求があったときは、本条各号所定の事由がある場合を除き、必ず保釈を許さなければならないとして、権利保釈を定めております。
禁錮以上の刑に処する判決の宣告があった後は、権利保釈は認められません。
逃亡や再犯のおそれは、権利保釈の除外事由とされていません。
特に、4号の罪証隠滅のおそれが最も問題となります。
罪証隠滅のおそれは具体的・実質的に判断されるべきですが、裁判官・裁判所はこのおそれを簡単に認めている傾向があります。
<裁量保釈>
同第90条 裁判所は、保釈された場合に被告人が逃亡し又は罪証を隠滅するおそれの程度のほか、身体の拘束の継続により被告人が受ける健康上、経済上、社会生活上又は防御の準備上の不利益の程度その他の事情を考慮し、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができる。
権利保釈が認められなかったとしても、刑事訴訟法第90条の考慮事情を判断して、保釈が認められる場合があります。
中心となるのは、「保釈された場合に被告人が逃亡し又は罪証を隠滅するおそれの程度」であり、具体的・実質的に判断されることになります。
犯罪の性質、情状、被告人の経歴、行状、性格、前科、健康状態、家族関係、公判審理の進行状況等諸般の事情を総合考慮して判断されることになります。
裁量保釈が相当であるかは、勾留されている犯罪事実について中心に考えるべきですが、判断資料として他の犯罪事実が考慮されることがあります。
<義務的保釈>
同第91条 勾留による拘禁が不当に長くなつたときは、裁判所は、第八十八条に規定する者の請求により、又は職権で、決定を以て勾留を取り消し、又は保釈を許さなければならない。
勾留が不当に長くなったら、義務として保釈は認められなければならなくなります。
しかし、不当に長いというのは、単なる時間的観念ではなく、事案の性質、犯罪の軽重、審理の経過、審判の難易等諸般の状況から総合的に判断されるべき相対的な観念とされています。
そのため、この義務的保釈が認められることはほとんどありません。
<保釈の取消と保証金の没収>
同第96条 裁判所は、左の各号の一にあたる場合には、検察官の請求により、又は職権で、決定を以て保釈又は勾留の執行停止を取り消すことができる。
一 被告人が、召喚を受け正当な理由がなく出頭しないとき。
二 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
三 被告人が罪証を隠滅し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
四 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え若しくは加えようとし、又はこれらの者を畏怖させる行為をしたとき。
五 被告人が住居の制限その他裁判所の定めた条件に違反したとき。
② 保釈を取り消す場合には、裁判所は、決定で保証金の全部又は一部を没取することができる。
③ 保釈された者が、刑の言渡を受けその判決が確定した後、執行のため呼出を受け正当な理由がなく出頭しないとき、又は逃亡したときは、検察官の請求により、決定で保証金の全部又は一部を没取しなければならない。
刑事訴訟法第96条の取消事由があれば、裁判官・裁判所の裁量により、保釈が取り消され、保釈保証金が没収されることがあります。
保釈取消・保釈保証金没収の裁判に対しては、抗告・準抗告の申立てをして争うことができます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、これまで数多くの保釈請求を行ってきました。
身体拘束されている期間は、精神的にも肉体的にも厳しいものがあります。
保釈を通すには専門家の周到な検討と準備が必要です。
北海道で逮捕・勾留され、保釈も含めて相談・依頼したいという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士による有料の初回接見サービスをご利用ください。
接見して状況を確認した後、説明させていただいた後に、正式契約となったら事件を対応させていただきます。
迅速な対応が必要となりますので、お早めにご相談ください。
万引き事件で略式手続
万引き事件で略式手続
万引きと呼ばれる窃盗事件を繰り返して略式手続を受けたという事例を想定して、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。
【ケース】
北海道苫小牧市在住のAさんは、苫小牧市内でパート勤務をしています。
Aさんはルーティンのように、出勤前に苫小牧市内のコンビニエンスストアに立ち寄り、商品棚に陳列されている菓子パンを万引きするという窃盗事件を繰り返していました。
コンビニエンスストアの店長であるVさんは棚卸し作業で万引き事件に気付き、防犯カメラを解析したところ、Aさんによる犯行であると特定しました。
事件当日も万引きを行ったAさんですが、店長Vさんが店に出た瞬間声掛けし、万引きを認めたため、Vさんは警察署に通報しました。
通報を受けて臨場した札幌方面苫小牧警察署の警察官は、Aさんを万引きによる窃盗罪で逮捕しました。
逮捕ののち、20日間の勾留を受けたAさんは、略式手続を受けることになりました。
≪ケースはすべてフィクションです。≫
【万引きについて】
コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの商品棚に陳列された商品について、精算せずに店外に持ち出すいわゆる万引き行為は、窃盗罪に問われます。
窃盗罪の条文は以下のとおりです。
刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する。
【万引きの立証は容易ではない?】
Aさんのように、万引きを常習的に行っているという事件は少なからず見られます。
このAさんに対し、すべての万引き事件が立証できるのかというと、そうではありません。
万引きが行われる店は、多くの場合不特定多数の客が出入りします。
そのため、たとえAさんが来店した日に同じ商品が毎回万引きされたからといって、すべての商品をAさんが万引きしたと断定することはできず、それぞれの商品についてAさんが万引きしたと評価できるだけの証拠がなければ、Aさんを罪に問うことができません。
【略式手続とは】
刑事事件を起こした場合、警察官等の捜査を受けたうえで検察官に事件を送致され、検察官は受理した証拠をもとに補充捜査や再捜査を指揮したうえで、被疑者を起訴するかどうかについて検討します。
検察官が起訴するべき事件だと判断した場合、本来であれば正式な公判請求を行い、公開の法廷で刑事裁判が行われて判決が言い渡されます。
しかし、刑事事件の件数は非常に多く、全ての事件で公判請求してしまうと検察官・裁判官の負担は大きくなります。
そこで、一定の軽微な事件で、被疑者が被疑事実を認めていて、略式手続に同意した場合には、略式手続がとられます。
略式手続に付された場合、公開の法廷での裁判は行われず、言い渡された罰金又は科料を納付することで刑罰を受けます。
略式手続で言い渡すことができる罰金の上限は100万円です。
【略式手続を受ける前に弁護士に相談】
略式手続は公開の法廷で裁判を受けることがないという点で、被告人の負担は小さいと言えます。
しかし、略式手続で言い渡される判決は罰金刑・科料といった刑事罰ですので、いわゆる前科に当たることになります。
北海道苫小牧市にて、万引き事件を起こしてしまい
・略式手続を受けるかどうか悩んでいる
・前科を避けたい
という方は、略受け(略式手続に同意する書類を作成する)前に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご連絡ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受けることができます。
Aさんのように、家族が万引き事件で逮捕・勾留されている場合はこちら。
保護責任者遺棄致死事件での情状弁護
保護責任者遺棄致死事件での情状弁護
幼児に対するネグレクト等によりお子さんが亡くなってしまったという場合に問題となる保護責任者遺棄致死罪と、その際に行うことになるであろう情状弁護について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。
【ケース】
北海道浦河郡在住のAさんは、一人で1歳4月になる実子Vの子育てをしていました。
しかし、Aさんは子育てに疲れてしまい、Vさんを家に残して方々で飲み歩くなどの生活を続けていて、食事は与えなかったり、与えたとしても簡素なものしか与えなかったりと、ネグレクトと呼ばれるような生活を続けていました。
ある日、自宅に帰ったところ残していたVが冷たくなっていることに気付き、119番通報しましたがVさんは死亡してしまいました。
救急隊員からの通報を受けて臨場した北海道浦河郡を管轄する浦河警察署の警察官は、Aさんを保護責任者遺棄致死罪で逮捕しました。
≪ケースはすべてフィクションです。≫
【保護責任者遺棄致死罪について】
保護責任者遺棄致死罪は、保護を必要とする者を保護の無い状態にさらすことにより、死に至らしめた場合に成立する罪です。
保護を必要とする者については刑法218条に列挙されている①老年者②幼年者③身体障碍者④病者が対象となります。
ケースについてはVが1歳4月ですので、②が問題となります。
幼年者(あるいは老年者)は年齢だけで決まるものではなく、「扶助を必要とする」者なのか否かによって判断されますが、一般的には7~8歳未満の者についてはこれに当たると考えられています。
そして、Vの親であることから、Aには保護する責任があると評価されます。
幼年者であるVは自分で食事を用意することなど出来ないため、保護責任者であるAがVに食事を与えなければならないにも関わらずネグレクトをしているため、保護責任者遺棄致死罪が適用されます。
なお、保護責任者遺棄致死罪の法定刑は3年以上20年以下の懲役です。
刑法218条 老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、3月以上5年以下の懲役に処す る。
同219条 前2条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
同205条 身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有期懲役に処する。
【情状弁護について】
一般の会話などでも「情状酌量の余地あり」などという言葉を用いる場合があるかもしれません。
刑事事件では、この情状と呼ばれる事情を主張することで、弁護人が被告人の量刑をより軽くするための弁護活動を行うことになります。
そもそも、刑事事件の裁判官は、刑事裁判で弁護側・検察官側双方の主張を聞き、被告人が有罪か無罪か、有罪だった場合はその量刑(どれくらいの刑事罰を科すことが妥当か)を判断します。
その過程で、検察官は捜査段階で収集した証拠に基づき、被告人が起こした事件について説明したうえで、その証拠などを列挙します。
反対に、弁護人は被告人が犯人性を否認している場合であれば証拠についての異議申立てなどを行うほか、認めている場合には情状弁護を行い減刑を目指します。
情状には、犯情(事実)と一般情状があります。
犯情とは、被告人がどのような事件を起こしたかという点にあります。
例えば、Aがガムテープや紐などを用意する、連絡をして待ち伏せしていたなどの計画的な犯行ではないという点や、飲酒の上での犯行であることなどが挙げられるでしょう。
一般情状は、例えば事件後にAが被害者に対して贖罪の意思を表していることや、被害弁済・示談を行った等、前科の有無、性に対するカウンセリングを受け、プログラムを受けている等の事情が挙げられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、保護責任者遺棄致死罪などの裁判員裁判対象となるような重大事件についても取り扱っております。
北海道浦河郡にて、家族が保護責任者遺棄致死罪で逮捕・勾留されていて、その後に行われる情状弁護について知りたいという場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご連絡ください。
暴走行為で接見禁止一部解除を申請
暴走行為で接見禁止一部解除を申請
いわゆる暴走行為で問題となる共同危険行為という罪と、勾留された場合に行われる接見禁止とその一部解除を求める弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律所札幌支部が解説致します。
【ケース】
北海道千歳市在住のAさんは、千歳市内で自営業をしている25歳です。
Aさんは昔からの友人らと一緒にバイクで集団暴走を行うことを趣味としていました。
走行中、千歳市内を管轄する札幌方面千歳警察署の警察官に制止を求められることがありましたが、それを振り切って逃走することもありました。
ある日、Aさんの自宅に千歳警察署の警察官が来て、Aさんを道路交通法違反(共同危険行為)で通常逮捕しました。
Aさんの家族は裁判所からの連絡でAさんの勾留を知りましたが、同時に接見禁止決定が下されたため家族であっても面会が出来ないと説明されました。
Aさんの家族は接見禁止の解除ができないか、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士に質問しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【暴走行為で問題となる共同危険行為】
暴走行為というと一昔前の事件という印象がありますが、暴走行為でお子さんが逮捕された、等の相談は少なからずあります。
以下では、成人であるAさんが起こした暴走行為によりどのような罪に問われるのかについて、検討します。
基本的に、集団でバイクや車で行う暴走行為については、共同危険行為という罪の適用が検討されます。
共同危険行為の条文は以下のとおりです。
道路交通法68条 二人以上の自動車又は原動機付自転車の運転者は、道路において二台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ、又は並進させる場合において、共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為をしてはならない。
同117条の3 第六十八条(共同危険行為等の禁止)の規定に違反した者は、二年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
共同危険行為にあたる暴走運転には、例えば蛇行運転や信号無視、道路に目一杯広がって他の車を走行させないような行為が挙げられます。
その他、暴走行為に付随して良くある違法行為としては
・無免許の者が運転していた場合には無免許運転の罪
・無免許の者にバイクを貸した人などは無免許運転幇助罪
・マフラーなどに不正改造していた場合には不正改造等の禁止違反
などが挙げられます。
いずれも行政上の責任(違反点数の加点)のみならず刑事上の責任にも問われる可能性があります。
【接見禁止の解除と一部解除】
手続きの流れについてはコチラを併せてご覧ください。
罪を犯したと疑われる者について、捜査機関は対象者を「被疑者」として逮捕することができます。
この「逮捕」の時点では、被疑者の面会の権利は認められていません。
(極稀に、事案が単純で勾留の可能性が低いような事案では、警察官が特別に一般面会を認めることがあります。)
被疑者は、逮捕されてから48時間以内に書類と身柄を検察官に送致されます。
送致を受けた検察官は、被疑者の弁解を聴いたうえで今後の身柄拘束が必要か検討し、必要に応じて被疑者の勾留を請求します。
勾留請求を受けた裁判所の裁判官は、被疑者に質問(勾留質問)をしたうえで逃亡の恐れや証拠隠滅の恐れがあるかどうか検討し、必要に応じて勾留の決定を行います。
勾留の期間は10日間ですが、一度に限り延長することができるため、最大で20日間行われます。
この勾留の期間については、原則として誰でも面会をすることができます。(刑事訴訟法80条、81条、207条1項)
一般面会については警察官の立会いがあって事件関係の話をすることはできず、時間も15分以内と限られています。
但し、ケースのような複数人で事件を起した場合や薬物事件などの場合には、勾留決定に際して接見禁止という決定が併せてなされます。
接見禁止は、被疑者が一般面会をすることで口裏合わせをしたり証拠隠滅を指示したりすることを防ぐ目的があります。
とはいえ、勾留は最大20日間行われるうえ起訴されたらその勾留は数カ月に及ぶことがあるため、事件に関わっていない御家族の方が被疑者との一般面会を希望することが考えられます。
その場合、弁護士は接見禁止の一部あるいは全部を解除するよう申し立てる必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、共同危険行為などの刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
北海道千歳市にて、ご家族が暴走行為により共同危険行為などの罪で逮捕・勾留され、接見禁止がついたため接見禁止の一部解除を求める場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご連絡ください。
まずは担当事務が初回接見の案内を行います。
【解決事例】住居侵入罪で逮捕
【解決事例】住居侵入罪で逮捕
住居侵入罪で逮捕されてしまった事例における弁護活動等について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。
~事例~
北海道札幌市東区在住のAさんは、魔が差して安易な気持ちで、隣に住んでいる女性の家に、ベランダから侵入しました。
女性に見つかり、警察を呼ばれ、札幌市東区を管轄する札幌方面東警察署の警察官は、Aさんを住居侵入罪の疑いで逮捕しました。
Aさんの家族は、刑事事件に強いと評判の弁護士に相談することにしました。
≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫
~住居侵入事件について~
(住居侵入等)
第130条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
住居侵入罪で逮捕された場合、財産犯や性犯罪等の他の目的もあると疑われ、捜査機関から厳しい取調べを受けることがあります。
被害者は特に女性である場合は強い恐怖を覚え、犯人との接触を避けるために身体拘束が長引く可能性もあります。
~住居侵入事件における弁護活動~
家族に身元引受人になっていただき、Aさんは実家に住むことを約束し、裁判官に意見書を提出して、検察官の勾留請求を却下させて、Aさんを釈放させました。
弁護士を通じて被害者に接触し、謝罪と被害弁償をすることを示し、被害女性の引っ越し費用も負担することになり、示談が成立しました。
検察官に示談が成立したことを報告し、意見書を提出し、Aさんは不起訴となりました。
住居侵入事件を起こしてしまった場合、逮捕され、身体拘束が長引く可能性があります。
被害者の意向を確認したうえで、臨機応変に検討して示談を働きかけていくことになります。
刑事弁護に精通した弁護人がきちんと対応していく必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、住居侵入事件を含む刑事事件を専門的に扱っている法律事務所です。
弊所には、住居侵入事件に関する弁護活動を日々行っている弁護士が多数所属しています。
北海道札幌市東区にて住居侵入事件で逮捕された方のご家族やご知人は、年中無休で対応している弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までまずはご連絡ください。
担当の者が、逮捕された方に対する弁護士による早期接見(面会)サービスなどについて、分かりやすくご案内差し上げます。
取調べで注意すべきこと②
取調べで注意すべきこと②
ひき逃げ事件で問題となる罪と取調べでの注意点について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。
【ケース】
北海道美唄市在住のAは、美唄市内の会社に勤める会社員です。
ある日、自宅に美唄市内を管轄する札幌方面美唄警察署の警察官が来て、ひき逃げ事件でお話を聞かせてほしいと言われました。
そして警察署に行ったところ取調室に入るよう指示され、「○月○日にひき逃げ事件がありました。」「何か知りませんか」と尋ねられ、Aがそのようなことはなかったと答えたものの、取調官は「その時間に車で通ったのは貴方以外にいないんですよ。」「石にぶつかったかもしれない、とかあるでしょう。」「とぼけられるとこちらとしても逮捕せざるを得ないんですよね。」と言いました。
不安になったAは、次回の取調べまでに記憶を喚起させますと伝え、自宅に帰ったのち刑事事件専門の弁護士による無料相談を予約しました。
≪ケースはすべてフィクションです。≫
【ひき逃げ事件について】
≪詳細は前回のブログをご覧ください。≫
報告義務違反 :一年以下の懲役又は十万円以下の罰金(道路交通法117条の5第1号)
救護義務違反 :五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金(道路交通法117条1項)
過失運転致死傷罪:七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。(自動車運転処罰法5条)
【取調べを受ける=犯人ではない?】
≪前回のブログをご覧ください。≫
【被疑者の取調べは注意が必要】
前回のブログでお伝えしたように、取調べは事件に関係する様々な方に対して行われますが、被疑者に対する否認事件等での取調べについては注意が必要と言えます。
今日では、科学技術の発展や防犯カメラ・ドライブレコーダーなどの普及により、自白に偏重することなく客観的な証拠を集めて起訴することができるようになってきています。
それでも、しばし取調官によって自白を強要するような違法な取調べが行われているという実態があります。
我が国では、被疑者が取調べを受けている際、弁護人が立ち会うことは認められていません。
そしてその密室の中での取調べでは、以下のような違法な取調べが行われる場合があります。
・黙秘権の告知をしていない/黙秘権を行使した場合に「裁判で不利になるぞ」等と言う
・自白するように声を荒げたり強迫したりする
・自白しなければ逮捕することができる等の脅し文句を言う
・言っていないことを供述調書に書き、署名捺印するまでは帰さないと脅したり、貴方の言っていることはこういうことだからと嘘を吐いたりする
このような手法での取調べは違法です。
しかし、一般の方が取調官に対して「この取調べは違法です。」と伝えたとしても、それが是正される可能性はそう高くありません。
また、既に供述調書が作成されている場合には調書の訂正を求める必要がありますが、同じく一蹴されてしまう恐れがあります。
その場合、弁護士に弁護を依頼して、弁護人から取調官、その上司、警察官の取調べについては担当検察官や各警察署が設けている監督室(北海道警の場合は「総務課取調べ監督室」)などに対して、正式な抗議を行う必要があります。
また、そのような状況下で作成された供述調書を公判担当検察官が証拠請求した場合、不同意にしたり信用性について争ったりする必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、開設以来取調べについての質問を数多く受けてきました。
中には実際に違法と評価される取調べが行われていた場合もあり、受任後に電話と書面で適切に抗議したという実績があります。
北海道美唄市にて、ひき逃げ事件の被疑者として取調べを受けていて、取調べに不安を感じている方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受けることができます。