ひき逃げ事件を起こして逮捕された
ひき逃げ事件は交通犯罪の中でも特に悪質性が高く、重い刑罰を科されることになります。
ひき逃げ事件で成立する犯罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。
<過失運転致死傷罪>
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律
(過失運転致死傷)
第5条 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
(無免許運転による加重)
第6条 4 前条の罪を犯した者が、その罪を犯した時に無免許運転をしたものであるときは、十年以下の懲役に処する。
本罪は過失犯です。
自動車に関連する事故であっても、自動車の運転に通常随伴する行為に起因しない事故については、本罪の適用対象外であり、過失致死傷罪や業務上過失致死傷罪が問題となります。
自動車の運転上必要な注意とは、運転者が自動車を運転する上で遵守すべき注意義務のことをいいます。
人の死傷と因果関係があるものが対象となります。
前方注視義務、歩行者等の有無を確認しながら安全に進行すべき義務、ハンドル・ブレーキ等の運転を的確にすべき義務、信号機の設置されていない交差点で一時停止や徐行をする義務、等があります。
注意義務違反によって人の死傷結果が発生すると本罪が成立します。
どのような注意義務違反がある場合に本罪が成立するかは、道路の状況、加害者や被害者の状況、事故の発生状況等を個別具体的に検討されて判断されます。
発生した事故からして、どのような措置を取っていれば事故の発生を回避することができたかを具体的状況に即して検討し、運転者に対してそのような措置義務を求めることが可能で相当かを検討して、本罪の成立を判断します。
道路交通法等の関連法規を守っているかどうかは、参考にはされますが、本罪の成立不成立に直結するわけではありません。
本罪が成立するためには、自動車の運転上必要な注意を怠ったことと人の死傷結果との間に因果関係が認められる必要があります。
傷害が軽い場合は、情状により、その刑を免除することができます。
事故の態様、過失の内容・程度、被害状況、慰謝の措置の有無・内容、被害者の処罰意思、本人の反省状況等、一切の事情を考慮して相当と認めるときは、処罰の必要性がないため、判決で刑の言渡しそのものを免除されます。
過失運転致死傷罪を犯したときに無免許運転だった場合は、より罪が重くなります。
無免許運転は、運転免許制度を無視する悪質な行為であり、運転に必要な適性・技能・知識を欠いている可能性があり、危険性の高い行為です。
その結果、人を死傷させる結果を生じた人に対し、より重い処罰を可能とするものです。
罪を犯した時点で、自らが無免許であることを認識している必要があります。
<救護・報告義務違反>
道路交通法
(交通事故の場合の措置)
第72条 交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。同項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置(第七十五条の二十三第一項及び第三項において「交通事故発生日時等」という。)を報告しなければならない。
第117条 車両等(軽車両を除く。以下この項において同じ。)の運転者が、当該車両等の交通による人の死傷があつた場合において、第七十二条(交通事故の場合の措置)第一項前段の規定に違反したときは、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2 前項の場合において、同項の人の死傷が当該運転者の運転に起因するものであるときは、十年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
第117条の5 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
一 第七十二条(交通事故の場合の措置)第一項前段の規定に違反した者(第百十七条第一項又は第二項に該当する者を除く。)
第119条 次の各号のいずれかに該当する者は、三月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
十七 第七十二条(交通事故の場合の措置)第一項後段に規定する報告をしなかつた者
交通事故があったときは、運転者等は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければなりません。
直ちにとは、すぐにという意味で、急迫の程度が高い場合をいいます。
負傷者を救護しとは、現場において応急の手当をすることはもちろん、119番に電話したり、最寄りの病院へ負傷者を運んだりすることをいいます。
道路における危険を防止する等必要な措置を講ずるとは、事故を起こした車両等が道路上に放置され、又は積載物が飛散しており、そのため道路における危険を生じさせるおそれがあるときは、速やかにこれを安全な場所に移動させたりすることをいいます。
交通事故があったときは、当該車両等の運転者等は、警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければなりません。
交通事故の当事者である車両等の運転者等にこのような報告義務を課しているのは、警察官が、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るという見地から、その交通事故の起こった現場の状況を的確に知る必要があるためです。
すぐに警察へ電話して報告しなければなりません。
ひき逃げ事件は特に悪質な犯罪と評価され、逮捕されて重い刑事処分となる可能性が高いです。
まずは安全運転を心掛けて、事故を起こさないことが第一です。
交通事故を起こしてしまったら、すぐに近くに停車し、事故や被害者の状況を確認し、警察に電話して連絡しなければなりません。
もしその場を離れて逃げてしまったら、時間をかけてでも警察が犯人特定のために捜査し、最終的には逮捕されることになります。
逃げたら、逃げていない場合と比較して、大きく刑罰が重くなります。
逮捕されて実名報道されてしまうリスクもあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、ひき逃げ事件を含めて多数の交通犯罪を扱ってきました。
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接見して状況を確認した後、説明させていただいた後に、正式契約となったら事件を対応させていただきます。
逮捕されていない場合でも、ぜひ無料面談をご利用ください。
迅速な対応が必要となりますので、お早めにご相談ください。