仕事中の事故で刑事裁判に

仕事中の事故で刑事裁判に

仕事中に事故を起こしてしまい刑事裁判になったという事例を想定し、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。

【ケース】

北海道伊達市在住のAさんは、伊達市内の会社に勤務し工事現場で作業をする会社員です。
Aさんは伊達市内の工事現場で工事をしていた際、作業用重機の操作を誤り、一緒に作業をしていたVさんがAさんの運転する重機と壁の間に挟まってしまいました。
Aさんはすぐに病院に搬送されましたが、圧死(窒息死)で死亡しました。
救急隊員の通報を受けて臨場した伊達市内を管轄する札幌方面伊達警察署の警察官は、Aさんを在宅捜査しました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【仕事中の事故】

今回のAさんの事例は、作業用重機の操作を誤った結果作業をしていたVさんが重機と壁の間に挟まって死亡した、という事例を想定しています。

まず、刑事事件は、大原則として「罪を犯す意思がない行為は、罰しない。」(刑法38条1項前段)と規定されています。
つまり、意図的に行った行為についてのみ罰することが、大原則となっています。
例えば、図書館で借りた本を読んでいてページをめくっていた際に誤ってページが破れてしまったとして、物を損壊した場合に成立する器物損壊罪の適用が疑われますが、意図的に破ったのでなければ器物損壊罪は適用されません(最も、その物を賠償する等の民事上の請求が行われることはあり得ます。)。

次に、「ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない。」(同1項後段)という規定があります。
故意の犯罪以外は処罰をしないことが原則ですが、特別に定めた方があれば、それは処罰の対象になるということです。

今回のAさんの事例については、Vさんに対し殺意を抱いていた等の事実はないことを想定しています。
すなわち、殺人罪や傷害致死罪などは成立しません。
但し、過失(不注意・注意不足)によってVさんを殺めてしまったという可能性が考えられます。
不注意によって他人を死亡させてしまった罪には、「過失致死罪」と「業務上過失致死罪重過失致死罪」があります。
条文は以下のとおりです。

(過失致死罪)
刑法210条 過失により人を死亡させた者は、50万円以下の罰金に処する。
(業務上過失致死罪/重過失致死罪)
刑法211条 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。

業務上過失致死罪は「業務上必要な注意を怠った」場合に、重過失致死罪は「重大な過失」があった場合に、人を死亡させることで成立する罪です。
過失致死罪業務上過失致死罪重過失致死罪は、刑事罰がかなり大きく違い、単なる過失であるのか、業務上あるいは重大な過失であるのか、という点は判断するうえで重要になります。

今回のAさんについては、重機を使用しての作業を行っていたことから、重機の免許を有する立場で反復してその業務に当たっているという性質上、業務上過失致死罪に問われる可能性が高いと言えます。
もっとも、Vさんが本来いないはずの場所から突然出てきた、等の事情があれば、「過失」がないとして立件できない場合も考えられます。
実際の事件では、どの程度の過失であったのか検討することは重要になります。

【刑事裁判について】

過失致死罪業務上過失致死罪重過失致死罪などの罪に問われた場合、捜査の結果検察官が起訴し得るだけの証拠が整っていて且つ起訴するべき事案であると判断した場合、管轄する地方裁判所や簡易裁判所に対して起訴します。
起訴された方は被告人という立場になり、刑事裁判を受けることになります。

Aさんの事件については、被害者が亡くなっていることから、厳しい判決が言い渡される可能性があります。
そのため、刑事裁判が始まる前から、被害者遺族への謝罪と賠償を行う、過失がなかったと主張する場合には弁護人面前調書の作成を行うなどの証拠収集などが必要です。
いずれの場合でも、早めに弁護士に依頼し、万全の状態で刑事裁判の期日を迎えることが望ましいと言えるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、過失致死罪業務上過失致死罪重過失致死罪といった被害者が亡くなった重大事件の弁護経験もございます。
北海道伊達市にて、過失致死罪業務上過失致死罪重過失致死罪などの事件で捜査を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご連絡ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受けることができます。
家族が逮捕・勾留されている場合はこちら。

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら