自転車事故で略式手続に

自転車事故で略式手続に

自転車に乗っていた際に他人に接触してしまい怪我を負わせてしまったという自転車事故を想定し、どのような罪に当たるのか、略式手続はどのような手続きなのか、等について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。

【ケース】

北海道札幌市手稲区在住のAさんは、札幌市手稲区の会社を経営する経営者です。
Aさんは事件当日、約束に間に合わせるため片手で傘を差し乍ら慌てて電動アシスト付き自転車を走らせていたところ、前方を走る自転車に接触してしまいました。
接触した自転車はVさんが乗っていて、Vさんは骨折等全治2か月の怪我を負いました。
目撃者の通報を受け臨場した札幌市手稲区を管轄する札幌方面手稲警察署の警察官は、自転車事故を起こしたAさんを在宅で捜査しました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【自転車事故について】

今回のケースは、自転車同士での事故を想定しています。
車やバイクなどでの交通事故の場合、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律の定める過失運転致死傷罪などに問われますが、自転車の場合は定義から外れています。

自転車事故では、被害者が死傷した場合、過失傷害罪・過失致死罪又は重過失致死傷罪・業務上過失致死傷罪が成立します。
条文は以下のとおりです。

(過失傷害罪)
刑法209条1項 過失により人を傷害した者は、30万円以下の罰金又は科料に処する。
(過失致死罪)
刑法210条 過失により人を死亡させた者は、50万円以下の罰金に処する。
(重過失致死傷罪/業務上過失致死傷罪)
刑法211条 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。

「過失」は、本来必要とされる注意を怠った不注意の場合を指します。
「業務上必要な注意」は、仕事に限らず、社会的地位に応じて反復継続して行う場合に必要とされる注意を指します。
「重大な過失」は、少しでも注意していれば防げたようなことさえ防げなかったような場合を指します。

今回のAさんについては、日頃から自転車に乗っていることから、反復継続して行う自転車の運転という意味で業務上過失致傷罪に問われる可能性もありますし、傘を差してブレーキが握れない状態で電動アシスト付き自転車という高速度になる可能性がある自転車を走行していたという点で重大な過失があるとして重過失致傷罪に問われる可能性もあります。
両者は同じ罰則規定ですが、自転車事故がどのような不注意で引き起こされた事故であるか、あるいは各警察署の運用によって形式的に異なります。
但し、実際にそのような過失(不注意)があったのかという点は、各事件ごとに検討しなければなりません。

【略式手続について】

刑事事件では、警察官などが捜査を行ったのち、検察官に事件送致を行います。
検察官は、自ら取調べを行ったり、警察官などに補充捜査を指示したりして、証拠を収集します。
そして、有罪を証明することができるだけの証拠が集まれば、被疑者を起訴することができます。

検察官は、まず、起訴するかどうかという点を検討します。
例えば被害者が示談に応じて被害届を取り下げた場合には検察官が起訴できるが猶予する「起訴猶予」という理由で不起訴にする場合がありますし、十分な証拠が集まらなかった場合には「嫌疑不十分」という理由で不起訴にします。

次に、起訴する場合に通常の起訴をするのか、略式起訴するのかを検討します。
本来は、起訴するすべての事件を通常の起訴にし、公判廷での刑事裁判を行うことが原則です。
しかし、すべての事件で通常の起訴を行い公判請求された場合、裁判所の裁判官にとっても公判を担当する検察官にとっても負担が大きくなります。
これは、起訴された被告人(犯人)にとっても同じでしょう。
そこで、検察官が

・事案が明白で
・100万円以下の罰金/科料に該当する場合
・被疑者が同意し書面に署名捺印をすることで(略受け)

簡易裁判所に略式起訴した場合には、略式手続に付することができます。
略式手続は、在宅事件であれば略受けを行ったのち裁判所から起訴状等と納付書が届き、銀行などで罰金・科料を納付します。
身柄拘束されている事件の場合、多くは在庁略式となるため、家族などが罰金・科料を検察庁に持ってきて納付することで釈放され事件が終了する、という流れです。

略式手続は、公開の法廷で長きに亘り裁判を行う必要がないため、被告人にとっても有益な点があります。
しかし、否認している場合には略式手続はできませんし、略式手続で言い渡される罰金・科料もいわゆる前科になるため、それらを避けて不起訴を目指すという方もおられるでしょう。

北海道札幌市手稲区にて、自転車事故を起こしてしまい、略式手続になる可能性がある方は、手続きが進む前に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士による無料相談をご利用ください。
家族が逮捕・勾留されている場合はこちら。

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