少年の盗撮事件で示談

北海道苫小牧市の少年の盗撮事件における示談について、弁護士法人あいち刑事総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

大学生のAさん(18歳)は、スマートフォンを使って日頃から女性のスカートの中を盗撮していました。
ある日、Aさんが北海道苫小牧市内のスーパーマーケットに買い物に訪れた際、買い物客の中にAさんの好みの女性がいることに気づきました。
そこで、Aさんはその女性Vさんに近づき、周囲の客の目に警戒しつつAさんのスカートの中を盗撮しました。
ところが、盗撮後スマートフォンを引っ込めようとしたときに、それがスカートの裾に引っかかってVさんに気づかれました。
これにより、Aさんは北海道迷惑行為防止条例違反盗撮)の疑いで北海道苫小牧警察署にて取調べを受けることになりました。
そのことを知ったAさんの両親は、弁護士示談を依頼することにしました。
(フィクションです。)

【盗撮について】

一般的に、「盗撮」という言葉はカメラなどで密かに他人の姿を撮影する行為全般を指します。
盗撮について規制している代表的な法令は、各都道府県が定める迷惑防止条例です。
ですが、あらゆる盗撮が上記条例に抵触するわけではなく、基本的に通常他人に見られない部位や姿の「盗撮」のみが規制の対象となっています。

他の都道府県と同様に、北海道においても北海道迷惑行為防止条例盗撮について規制を設けています。
盗撮に対する規制は都道府県により若干差異がありますが、北海道における規制は以下のとおりです。

①公共の場所または公共の乗物において、衣服等で覆われている身体または下着を撮影したり、撮影機能を持つ機器を向けたりすること
②不特定または多数人が利用するような場所および乗物(事務所、教室、タクシーなど。公共の場所および公共の乗物を除く)において、①の行為をすること
③住居、トイレ、更衣室といった、人が通常衣服の全部または一部を着けない状態でいる場所において、その状態の他人を撮影したり、撮影機能を持つ機器を向けたりすること
④①②の場所において、③の行為をすること

以上のような盗撮を行った場合、6年以下の懲役または50万円以下の罰金(常習犯は1年以下の懲役または100万円以下の罰金)が科されるおそれがあります。

また、あらかじめ盗撮の目的を持って建造物に立ち入った場合、正当な理由に欠けるとして建造物侵入罪が成立する余地もあります。

【少年事件における示談】

被疑者が20歳未満の者である場合、その事件は少年事件として処理されるのが原則です。
少年事件では、刑罰が科されない代わりに、必要に応じて保護処分保護観察少年院送致など)が行われることになります。
その目的は、非行に及んだ少年に適切な措置を講じることで、少年の更生および健全な育成を実現するという狙いがあるためです。

成人が被疑者・被告人となる通常の刑事事件では、示談による被害弁償の事実が処分の決定に際して重要視されることになります。
盗撮事件の場合は、よほど重いものでない限りは示談により不起訴となる可能性が高いと言えるでしょう。
一方、少年事件では、通常の刑事事件と異なり示談による被害弁償の事実はそれほど重要視されない傾向にあります。
先述のとおり、少年事件において重要なのは少年の更生および健全な育成であり、それを実現するうえでは示談の結果より過程の方が重要視されるためです。
ですので、少年による盗撮事件では、被害者に対する謝罪、自身の性的嗜好の歪み、性犯罪の重み、といったことを、少年自身が示談を通して考えることが大切になります。
非行を犯した少年が真摯に自身と向き合えば、審判不開始あるいは不処分となる可能性は十分あるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、少年事件に特化した弁護士が、少年ひとりひとりに合わせた最善の活動を真摯に検討します。
お子さんが盗撮をしてしまったら、刑事事件少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。

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