強姦事件で情状弁護
いわゆる強姦事件を起こした場合に問題となる罪と、その際に行う情状弁護について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。
【ケース】
北海道札幌市白石区在住のAは札幌市白石区内の会社に勤める会社員です。
Aは一人で酒を飲んで泥酔していたところ、札幌市白石区内の路上で帰宅途中のVが歩いているところを目撃しました。
Aは劣情を催して後をつけ、公衆トイレに入ったところを確認して個室トイレのドアをこじ開けてVの口に自分の衣服を巻き付け、声を上げられないようにして無理やり性行為に及ぶ、いわゆる強姦をしました。
事件後、恐ろしくなってAはその場を離れましたが、数時間後に札幌市白石区内を管轄する白石警察署に行き、自首しました。
≪ケースはすべてフィクションです。≫
【強姦について】
相手の合意に基づかずに性行為やそれに類する行為は強姦と呼ばれています。
以前は強姦罪という条文がありましたが、刑法の改正により強制性交等罪という罪になりました。
これにより、従来の男性が女性の性器に陰茎を入れる強姦行為だけでなく、男性が男性の肛門に性器を入れる肛門性交、男性が男女の口に性器を入れる口腔性交についても強制性交「等」に含まれることとなり、事件の対象になりました。
ケースのように突然個室トイレのドアをこじ開けて進入し、無理やり性行為をした場合には強制性交等罪が適用されると考えられます。
条文は以下のとおりです。
刑法177条 十三歳以上の者に対し、暴行または脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
【情状弁護とは】
一般の会話などでも「情状酌量の余地あり」などという場合があるかもしれません。
刑事事件では、この情状と呼ばれる事情を主張することで、弁護人が被告人の量刑をより軽くするための弁護活動を行うことになります。
そもそも、刑事事件の裁判官は、刑事裁判で弁護側・検察官側双方の主張を聞き、被告人が有罪か無罪か、有罪だった場合はその量刑(どれくらいの刑事罰を科すことが妥当か)を判断します。
その過程で、検察官は捜査段階で収集した証拠に基づき、被告人が起こした事件について説明したうえで、その証拠などを列挙します。
反対に、弁護人は被告人が犯人性を否認している場合であれば証拠についての異議申立てなどを行うほか、認めている場合には情状弁護を行い減刑を目指します。
情状には、犯情(事実)と一般情状があります。
犯情とは、被告人がどのような事件を起こしたかという点にあります。
例えば、Aがガムテープや紐などを用意する、連絡をして待ち伏せしていたなどの計画的な犯行ではないという点や、飲酒の上での犯行であることなどが挙げられるでしょう。
一般情状は、例えば事件後にAが被害者に対して贖罪の意思を表していることや、被害弁済・示談を行った等、前科の有無、性に対するカウンセリングを受け、プログラムを受けている等の事情が挙げられます。
【情状を求める弁護活動は早期対応が必要】
Aの行為が卑劣であると評価されることは、言うまでもありません。
しかし、自責の念に駆られているだけでは、被害者の救済には繋がらず、被告人の家族にも迷惑が掛かると考えられます。
特に、強制性交等罪は、5年以上(20年以下)の有期懲役で、懲役刑に執行猶予を付けるためには3年以下である必要があることから、被告人にとって有利な事情を主張していかなければ実刑判決を受けることになります。
そのため、情状弁護は極めて重要です。
とはいえ、とりわけ一般情状の部分は一朝一夕にできるわけではなく、長期に亘り性依存症などのカウンセリングに通院したり、示談交渉をしたり、家族の監督体制を整えたりと、裁判までに多くの対応が求められます。
そのため、早期に弁護士に事件を依頼して、弁護活動に着手する必要があります。
北海道札幌市白石区にて、ご家族が強制性交等罪などの刑事事件で逮捕され、情状弁護について知りたいという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。