暴行後の強盗で逮捕
暴行後の強盗によって逮捕されてしまった事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~事例~
北海道浦河郡在住のAは、北海道浦河郡内の会社に勤める会社員です。
ある日、Aは北海道浦河郡内の路上にて、Vに殴る蹴るの暴行を加えた後、Vから金品を奪う意思が生じ、反抗する意欲を失って倒れこんでいるVに向かって「財布はどこにあるんだ」などと言いながら、Vの上着から財布を抜き取った。
北海道浦河警察署の警察官は、Aを強盗の疑いで逮捕した(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。
~暴行(傷害)後の財物奪取行為~
刑法208条、204条はそれぞれ暴行罪、傷害罪について定めを置いています。
本件で、AによるVに対する殴る蹴るの行為には暴行罪が成立することは明らかであり、また暴行によってVに怪我を負わせた場合には傷害罪が成立することになります。
では、Aがその後にVの財布を抜き取った行為にはどのような罪が成立することになるのでしょうか。
Aが、Vの占有する財布をVの意思に反して奪い取っているわけですから、この行為には少なくとも窃盗罪(刑法235条)が成立します。
もっとも、上述のようにAはこのような窃盗行為の以前に暴行・傷害に当たる行為を行っています。
つまり、暴行(傷害)を手段として財物を奪っているとみることができる場合には、さらに重い強盗罪が成立する可能性があるということになるでしょう。
もっとも、強盗罪が成立する前提として、暴行(傷害)行為の時点で財物を奪取する意思が存在しなければならないと解されています。
これは刑法236条1項の強盗罪が「暴行又は脅迫を用いて」他人の「財物を強取」した者を強盗罪とすると規定していることからも分かります。
では、本件のように暴行(傷害)後にVの財布を奪う意思が生じた場合に強盗罪が成立する余地はないのでしょうか。
この点、強盗罪にいう「暴行又は脅迫」は、被害者の反抗を抑圧するに足りる程度のものである必要があります。
しかし、すでに暴行(傷害)の時点で被害者の反抗が抑圧されるに至っていた場合には、これを継続するに足りる「暴行又は脅迫」が行われれば、これをもって強盗の手段として評価することが可能であると解されています(東京高判平成20年3月19日等参照)。
本件では、一旦Vに対する暴行(傷害)行為がされた後に、財布を奪うためにVが畏怖するような言動がなされています。
この行為をもって強盗罪にいう「脅迫」と捉えることも可能であり、この脅迫によって反抗を抑圧状態が継続している被害者から財布を「強取」したものと評価することができる場合には、強盗罪が成立することになります。
したがって、本件は、窃盗罪よりも重い強盗罪が成立する可能性があることに十分に注意を要するケースであるといえるでしょう。
~強盗罪における刑事弁護活動~
強盗罪(刑法236条1項)には、「5年以上の有期懲役」という重い法定刑が定められています(当然罰金刑などの定めはありません)。
もっとも、強盗罪も財産犯であることから被害弁償などを含めた被害者との示談の締結如何では、裁判や刑事処分を避ける(不起訴処分の獲得)も不可能ではありません。
したがって、強盗罪という罪名やその法定刑に臆することなく、まずは早期に刑事弁護士に相談することが肝要といえます。
他方で、裁判となれば実刑判決のおそれもあることから、非常に慎重な弁護活動を行うことが求められる事件類型ともいえるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、強盗事件の刑事弁護活動に対応している刑事事件専門の法律事務所です。
強盗事件の弁護活動には、経験と専門知識が不可欠であり、刑事事件専門の弁護士がその能力を存分に活かすことのできる事件の一つです。
強盗事件で逮捕された方のご家族は、24時間365日対応のフリーダイヤル(0120-631-881)までまずはお電話ください。