Archive for the ‘財産事件’ Category

横領事件での弁護活動

2023-08-21

横領事件での弁護活動

会社の得意先でたまたま預かったお金を着服したという事例を想定して、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。

【ケース】

北海道伊達市在住のAさんは、伊達市内の会社で技術職の仕事をしています。
ある日、Aさんは伊達市内の得意先を訪れて機械の保守点検を行った際、得意先の社員から「先月おたくに振込む予定だったお金を振込み忘れていたから、渡しておいて」と言われ、現金10万円を受け取りました。
これまでにAさんは現金を受け取ったことはなく、これは着服してもバレないのではないかと思い会社には報告しませんでしたが、Aさんの横領行為が発覚してしまい、会社の社長からは伊達市内を管轄する伊達警察署に被害届を出すことを検討していると言われました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【横領で問題となる罪】

他人から預かるなどして自分のもとにあるモノやカネを着服した場合には、
・(単純)横領
・業務上横領
のいずれかが成立すると考えられます。
条文はそれぞれ以下のとおりです。

(横領罪)
刑法252条1項 自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。
(業務上横領罪)
刑法253条 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。

横領の罪は、被害者の意に反して財物を移転する窃盗罪とは異なり、被害者を欺罔して財物を受け取る詐欺罪とも異なり、あくまで被害者の意思で、加害者を信頼して財物を預けた結果、加害者がその信頼を裏切って預かった財物を自分のものにするような場合に成立します。
Aさんの場合は仕事中に行った横領行為ですので、一見すると業務上横領罪が成立するように思えます。
しかし、業務上横領罪のいう業務とは、社会生活上の地位に基づき反復継続して行う事務を指します。
経理の担当者や経営者、集金担当者などが分かりやすい例ですが、Aさんの場合はそのような職務を任されているわけではなく、得意先を保守点検のために訪れた際に、本来は振込により支払うべき代金を今回に限り現金で預かったところその金を着服したため、業務上横領罪は成立せず、横領罪の成立に留ると評価される可能性があります。
横領罪業務上横領罪とでは法定刑が大きく異なるため、どちらの罪が成立するかという点は非常に重要であると言えます。

【横領の罪で弁護士に弁護を依頼】

横領の罪では、すぐに警察に通報され刑事手続きが進み裁判になる、という事例もありますが、被害を受けた会社が、加害者が謝罪して被害金額を賠償に応じれば刑事事件化を望まないという場合も少なくありません。
実際に、加害者側としても、仕事を続け乍らであれば弁済はできるが、逮捕されたり刑事裁判で実刑に処された場合には被害弁償ができないという方も多くおられるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、Aさんのように横領罪業務上横領罪で捜査を受けている方の弁護活動についても経験があります。
会社が相手の横領事件では、例えば加害者側が横領した金額以上の金額を横領したことにされて請求された、適切な示談書の取交しができておらず弁済しても被害届を提出され刑事事件化された、などの更なるトラブルに発展したというケースもあります。
被害届を提出される前であっても、弁護士に依頼し適切な弁護活動を受けることが望ましいと言えます。
北海道伊達市にて、横領罪業務上横領罪で会社から被害届を出すと言われている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士による無料法律相談をご利用ください。

【お客様の声】落とし物を拾得して宥恕のある示談を求める

2023-07-27

【お客様の声】落とし物を拾得して宥恕のある示談を求める

落とし物を拾得して自分のものにしてしまい捜査を受けたものの、宥恕のある示談の締結に至り不起訴処分を獲得したという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。

【事例】

北海道赤平市在住のAさんは、赤平市内で自営業をしていました。
ある日、赤平市内の観光地の駐車場付近にて財布の落とし物に気付き、それを拾得して、警察官に届け出ず中に入っていた現金約10万円を自分のものにしました。
落とし主のVさんが赤平市内を管轄する赤歌警察署の警察官に被害届を提出したところ、Aさんによる犯行であるとして、Aさんは在宅で捜査されることになりました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【落とし物を拾得して届け出なかった】

他人の忘れ物・落とし物を拾い、勝手に使ったり販売したりする行為は、遺失物横領罪又は窃盗罪に問われる可能性があります。
条文は以下のとおりです。

(遺失物横領罪)
刑法254条 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。
(窃盗罪)
刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

遺失物横領罪と窃盗罪では、遺失物横領罪の法定刑が1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料であるのに対し、窃盗罪は10年以下の懲役又は50万円以下の罰金と、大きな差があります。
そのため、被疑者(加害者)にとってはどちらの条文が適用されるかということが重要になるケースも多いと考えられます。

遺失物横領罪と窃盗罪では、落とし物が占有下にあるかどうかという点が問題となります。
遺失物が占有を離れているのであれば遺失物横領罪になり、他人の占有下にある場合には窃盗罪が適用されることになります。
例えば、人の家にある財布を持ち去る行為は、たとえ所有者が手に持っている、あるいは身に着けていなかったとしても、家の中という占有下にあると評価されるため、窃盗罪が成立します。
他方で、公園のベンチに数時間以上忘れられている落とし物は、占有離脱物横領罪が成立します。

評価が分かれる問題としては、スーパーやデパートなどといった場所で忘れ物・落とし物を拾って使ったり販売したりする行為については、その店舗に占有が認められ、遺失物横領罪ではなく窃盗罪として評価される可能性があります。
また、過去の判例では、バス停に置き忘れたカメラを取った行為について、その場を離れてから5分程度・20メートルほどの場所にいたことから、持ち主の実力支配化内にあったとして、占有が認められ、遺失物横領罪ではなく窃盗罪が適用されたというものがあります。

【宥恕のある示談を求める弁護活動】

遺失物横領罪や窃盗罪といった被害者がいる事件の場合、示談交渉が重要な弁護活動の一つと言えます。
一口に示談交渉と言っても、その内容は事件ごとに異なりますが、
・謝罪する
・被害品を返却する
・(被害金額や迷惑をかけたことに対する)示談金を支払う
・被害届を取り下げる
・刑事告訴を取り消す
・被害者が加害者を赦す(宥恕する)
などの内容であり、示談書として取り交わすことが一般的です。

例えば、名誉毀損罪や侮辱罪、器物損壊罪といった刑事告訴がなければ検察官が起訴することができない親告罪の場合、刑事告訴の取消を求める示談を目指すことになるでしょう。
しかし今回のAさんの事件の場合は親告罪ではないため、告訴取消以外の内容を求めることになるでしょう。
ちなみに、Vさんは被害届を提出しています。

一般的に被害届が提出されることではじめて警察官が捜査を開始することになりますが、被害者が被害届を取り下げたからといって検察官が起訴できないという訳ではありません。

Aさんの事例では、弁護士がVさんと示談交渉をした結果、Vさんは今回に限りAさんを赦すという意向になったため、示談書に宥恕の文言を入れることができました。
そして、締結した示談書を検察官に示したところ、
・Aさんに前科がないこと
・被害金額がそこまで大きくはないこと
・示談し被害弁償ができていること
・被害者が宥恕していること
等の事情により、Aさんを不起訴にしました。

北海道赤平市で落とし物を拾得し警察官に届け出なかったことで窃盗罪や遺失物横領罪により捜査を受けているという場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士による無料相談をご利用ください。

【お客様の声】下着の窃盗で保護観察付き執行猶予

2023-07-24

【お客様の声】下着の窃盗で保護観察付き執行猶予

他人の家に侵入して下着の窃盗を繰り返した事件の裁判で保護観察付きの執行猶予判決が言い渡されたという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。

【事例】

北海道滝川市在住のAさんは、滝川市内で飲食店を経営しています。
Aさんは逮捕される以前、滝川市内で他人の住居に侵入して下着を盗む下着ドロボー行為を繰り返していました。
被害者の一人が滝川市内を管轄する滝川警察署に被害届を提出したことで捜査が開始され、Aさんはその被疑者として通常逮捕されました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【下着の窃盗で問題となる罪】

先ず、他人の下着を盗んだ(窃取した)ことから、窃盗罪の成立が検討されます。
条文は以下のとおりです。

刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

他人の使用した下着とはいえ、財物であると評価される可能性が高いことから、窃盗罪が成立します。

次に、他人の住居や敷地に侵入して下着を窃取した場合、住居侵入罪が適用されます。
条文は以下のとおりです。

刑法130条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

下着を窃取するために他人の敷地に侵入する行為は正当な理由があるとは言えないことから、住居侵入罪についても成立すると考えられます。

【保護観察付きの執行猶予判決】

今回Aさんに言い渡された刑は、保護観察付きの執行猶予でした。
執行猶予判決には一部執行猶予と全部執行猶予がありますが、Aさんの場合は全部執行猶予でした。
全部執行猶予は、刑法25条各項で、禁錮以上の前科がないなどの一定の条件下で「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けた」あるいは「情状により」、「1年以上5年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することができる」と定められています。
よく報道などで「懲役1年執行猶予3年の有罪判決」などと聞くかと思いますが、この場合、判決の宣告から14日を経たのち3年の間に刑事罰が科せられるような再犯事件などがなければ、1年間刑事収容施設に行く必要がなくなります。
但し、執行猶予の期間中に再犯事件を起こした場合、その事件での裁判で執行猶予が取消され、再犯事件の刑事罰+懲役1年、ということになります。

更に、Aさんには保護観察が付されました。
刑法25条の2第1項では、全部の執行猶予の期間中に保護観察に付することができると規定されています。
そして保護観察の内容については、更生保護法にその定めがあります。
保護観察が付された場合、法務省の職員である保護観察官やそのサポートをする保護司によって更生保護や再犯防止のための面談等により報告・指導が行われます。
保護観察期間中は健全な生活を保持すること、保護観察官や保護司の呼出しに応じること、引越しの際には事前に届け出ること、等の遵守事項が定められていて、違反した場合には保護観察所長が検察官に申し出、検察官は裁判所に執行猶予の取消しを請求することができます。

成人事件の保護観察付執行猶予は、性犯罪や薬物事件で特に用いられます。
今回のAさんの場合、罪名こそ窃盗罪・住居侵入罪ですが、その実は下着ドロボーといういわば性犯罪事件であることから、保護観察付きの執行猶予判決が言い渡されました。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
下着ドロボーのような性犯罪事件の場合、被害者がいる事件とはいえ被害金額は少ないが被害者の被害感情は強く、加害者に対し厳しい刑事処罰を求める場合が少なくありません。
また、下着ドロボーは検挙されるまでに同種の犯罪を繰り返していることも多く、余罪捜査も含めて厳しい取調べが予想されます。
北海道滝川市にて、家族が下着ドロボーで逮捕されてしまい、保護観察付きの執行猶予判決が言い渡される可能性がある場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご連絡ください。

弁護士の接見交通権とは

2023-06-27

弁護士の接見交通権とは

被疑者・被告人が勾留されている状況での接見交通権について、例外的に行われる接見指定などと併せて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。

【事例】

北海道岩見沢市在住のAさんは、岩見沢市内の会社に勤める会社員です。
Aさんは、知人Xさん、Yさんと打合せをしたうえで、岩見沢市内に住むVさんに因縁をつけて脅迫し、現金200万円を脅し取りました。
Vさんから恐喝事件での被害届を受けた岩見沢市内を管轄する岩見沢警察署の警察官は、Aさんらを恐喝罪で通常逮捕しました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【恐喝罪について】

今回のケースでは、Aさん、Xさん、YさんがVさんに因縁をつけて脅迫し、現金200万円を脅し取ったという事例を想定しています。
恐喝罪の条文は以下のとおりです。

刑法249条1項 人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

【接見交通権について】

接見交通権とは、簡単に言うと逮捕・勾留されている被疑者・被告人と弁護人とが自由に面会することを認めるルールです。
ここでいう用語について触れておきます。

被疑者:罪を犯したと疑われ捜査されている人
被告人:罪を犯したと疑われ起訴されて刑事裁判を受ける前、あるいは裁判を受けている最中の人
弁護人:司法試験に合格して弁護士として登録し、且つ、その事件の被疑者・被告人の弁護をする立場にある者

接見交通権は刑事訴訟法で以下のとおり保障されています。

刑事訴訟法39条1項 身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は、弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者(弁護士でない者にあつては、第31条第2項の許可があつた後に限る。)と立会人なくして接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。

よって、弁護人(及び弁護人になろうとする者、以下では「弁護人等」)は、立会人なしでの接見や書類の授受が認められています。
というのも、一般の方が面会をするうえでは、

・平日の日中の時間帯にしかできない
・逮捕段階では面会は認められていない
・時間は原則15分未満
・面会時には警察官などの立会いがある
・手紙などは内容を確認される

といった厳しい制約がありますが、弁護人等にはこれらの制限がありません。
理屈上は、24時間365日接見を行うことができるということになります。
(最も、護送中あるいは病院で受診をしている等、接見室が使えないような状況下で物理的に接見が出来ない場合もあります。)

【接見交通権と接見指定】

接見交通権が認められているため弁護人等は被疑者・被告人と自由に接見をすることができますが、例外的に、接見が制限される場合があります。

刑事訴訟法39条3項 検察官、検察事務官又は司法警察職員…は、捜査のため必要があるときは、公訴の提起前に限り、第1項の接見又は授受に関し、その日時、場所及び時間を指定することができる。但し、その指定は、被疑者が防禦の準備をする権利を不当に制限するようなものであつてはならない。

まず、接見を制限できるのは起訴前、すなわち被疑者段階に限られます。
起訴された被告人に対しては、制限は及びません。
次に、接見を制限できるのは「捜査のため必要がある」場合に限られます。
そして、その場合に警察官や検察官・検察事務官は、弁護人等に対して、接見等の日時等を指定することができるとしています。
ゆえに、接見を制限することはできても、接見を禁止することはできません。

以前は、この接見指定が多く活用され、弁護人等であっても接見の時間は15分まで、といった厳しい時間的制約があったようです。
しかし、この接見指定について争った裁判で、最高裁は

・原則としていつでも接見の機会を与えなければならない
・「取調べの中断等により捜査に顕著な支障が生ずる場合」にのみ制限できる
・その場合、弁護人と協議してできる限り速やかな接見のための日時等を指定することで、被疑者が弁護人と防禦の準備をすることができるような措置を取る必要がある

としています。(最判平3・5・10ほか)

現在では、弁護人が接見を制限される場合としては、別の弁護士接見が行われていて接見室が空いていない場合や、検察庁・裁判所での接見の場合など、それほど多くありません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、弁護活動の最中に接見交通権が侵害された場合、捜査機関に対し抗議をするなど毅然とした態度で対応します。
それだけ、刑事弁護において接見交通権は重要な権利と言えます。
北海道岩見沢市にて、恐喝事件で家族が逮捕された場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士による初回接見サービス(有料)をご利用ください。

強盗をして逮捕された

2023-06-24

強盗をして逮捕された

強盗罪を犯してしまったら,逮捕・勾留され,実刑で長期間刑務所に入る可能性があります。
被害者への示談活動や,事実を争うのであればきちんと裁判の準備をしなければなりません。
今回は,強盗罪について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。

【強盗罪の成立要件】

(強盗)
第236条 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は,強盗の罪とし,五年以上の有期懲役に処する。
2 前項の方法により,財産上不法の利益を得,又は他人にこれを得させた者も,同項と同様とする。

本条は,財産的法益だけでなく人格的法益も保護法益としております。
財物に対する占有を奪取する犯罪である点で窃盗罪と共通しますが,暴行・脅迫を財物奪取の手段とする点でより重く処罰するものです。

暴行は,身体に向けられた不法な有形力の行使をいいます。
脅迫は,害悪の告知をいいます。
財物奪取の目的遂行の障害となり得る者に対して加えられれば足り,必ずしも財物を所持する者に加えられる必要はありません。

暴行・脅迫の程度としては,被害者の反抗を抑圧するに足りるものであることを要します。
被害者に加えられた暴行・脅迫の程度の判断は,社会通念上一般に被害者の反抗を抑圧するに足りる程度のものかどうかという客観的基準によって決められます。
客観的に反抗を抑圧するに足りる暴行・脅迫が加えられた以上,現実に被害者の反抗が抑圧されなかったとしても,強盗罪における暴行・脅迫となります。
暴行・脅迫の程度の判断は,暴行・脅迫の態様だけではなく,犯行場所・犯行時刻・周囲の状況・相手方の性別・年齢・体格等も考慮して具体的に判断されることになります。

強取とは,相手方の反抗を抑圧するに足りる暴行・脅迫を手段として,財物の事実上の占有を自己又は第三者に取得させることをいいます。
行為者が相手方から財物を奪取する場合はもちろん,相手方が交付した財物を受領することも,それが相手方の自由意思に基づくものでない限り,強取に当たります。
暴行・脅迫により反抗を抑圧された被害者が気付かないうちに財物を奪取した場合,反抗を抑圧された被害者が財物を放置して逃げた後にこれを取得した場合も,強取に当たります。
反抗を抑圧するに足りる暴行・脅迫を加えて財物を取得した場合には,仮に相手方に恐怖心を抱かせたものの反抗を抑圧するに至らなかったとしても,強盗(既遂)罪が成立します。
被害者が専ら犯人を憐れんで財物を交付した場合には,意思に反する財物の交付があったとはいえず,暴行・脅迫が手段となっているともいい難いので,強取に当たらず,強盗未遂罪となります。
暴行・脅迫を加えて財物を奪取する意思で,まず財物を奪取した後に被害者に暴行・脅迫を加えた場合も,強取に当たります。

本罪は故意犯であり,暴行・脅迫を加えて相手方の反抗を抑圧し,その財物を奪取することの認識を有することが必要です。
故意に加えて,不法領得の意思が必要です。
不法領得の意思は,権利者を排除し他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従いこれを利用し又は処分する意思をいいます。

本条第2項の強盗利得罪は,財産上不法の利益を得るとは,不法に財産上の利益を得ることをいいます。
財産上の利益とは,本条第1項の財物以外のすべての財産上の利益を指し,積極的財産の増加であると,消極的財産の減少であるとを問いません。
債務の免除・履行期の延期・債務負担の約束・財産的価値のある役務(輸送サービス等)の提供等は,いずれも財産上の利益に当たります。
必ずしも相手方による処分行為を必要とするものではなく,反抗を抑圧するに足りる暴行・脅迫を加えた結果,相手方が事実上償務の弁済請求ができない状態に陥った等の場合には,強盗利得罪が成立します。

実行の着手は,財物奪取の目的で相手方の反抗を抑圧するに足りる暴行・脅迫を加えた時点で認められます。
財物奪取の意図なく暴行・脅迫を加え,相手方の反抗抑圧状態に乗じて財物を奪取する場合には,財物奪取に着手した時点で強盗罪の実行の着手が認められます。

既遂は財物の取得の時期を基準とし,暴行・脅迫により財物に対する被害者の占有を排し,これを自己又は第三者の実力支配下に置いた時に,既遂となります。

相手方の反抗を抑圧するに足りない程度の暴行・脅迫により,瑕疵があるものの一応相手方の意思に基づく占有の移転があれば,恐喝罪となります。

【窃盗の後の行為により成立する事後強盗罪】

(事後強盗)
第238条 窃盗が,財物を得てこれを取り返されることを防ぎ,逮捕を免れ,又は罪跡を隠滅するために,暴行又は脅迫をしたときは,強盗として論ずる。

事後強盗罪は,窃盗犯人が財物を取得した後に人に発見されてこれを取り返されるのを防ぐ目的で暴行・脅迫を加えた場合,あるいは財物取得の有無を問わず,逮捕を免れ又は罪跡を隠滅する目的で暴行・脅迫を加える場合に成立します。
居直り強盗と同様にその犯行形態の実質的違法性やしばしば相手の殺傷という重大な結果を伴う点で,その処分について強盗と同様に取り扱うこととしたものです。
本罪は昏酔強盗とともに準強盗と呼ばれております。

本罪は窃盗犯人を主体とする犯罪です。
窃盗犯人とは,窃盗の実行に着手した者をいい,財物を取り返されることを防ぐ目的の場合は窃盗が既遂となっていることが前提となりますが,それ以外の目的の場合は未遂・既遂を問わないことになります。

本罪が成立するためには,財物を取り返されることを防ぐ目的・逮捕を免れる目的・罪跡を隠滅する目的のうち,少なくともいずれか1個の目的で相手に暴行・脅迫を加えることが必要です。
犯人にこのような目的があれば足り,相手が現実に財物を取り返そうとしたり犯人を逮捕しようとしていたか否かは問いません。

財物を得てこれを取り返されることを防ぐ目的は,暴行・脅迫によることなく財物を自己の事実上の占有下に置いた後,被害者側からその財物を取り返されるのを防ぐ目的をいいます。

逮捕を免れる目的は,窃盗未遂又は既遂の犯人が,被害者や警察官等から取り押さえられて身柄を拘束されるのを防ぐ目的をいいます。
現に相手が逮捕しようとする必要はなく,自己が逮捕される事態を回避するために暴行・脅迫を加えた場合も,本罪が成立します。

罪跡を隠滅する目的は,後日窃盗犯人として検挙され,処罰されることになると認められる罪跡を隠滅しようとする意図をいいます。

事後強盗罪も強盗として論じられる以上,暴行・脅迫の程度も,強盗罪の場合と同様に相手の反抗を抑圧するに足りる程度のものであることを要します。
強盗罪の場合と同様に,暴行・脅迫の態様のほか,犯行場所,犯行時刻,周囲の状況,相手方の性別・年齢・体格等を考慮し,当該暴行・脅迫が,相手方の財物の取返しや窃盗犯人の逮捕等の意思を制圧するに足りる程度のものであるかを客観的に判断することになります。
暴行・脅迫の相手方は,窃盗の被害者だけではなく,財物を取り返そうとする者・窃盗犯人を逮捕しようとする者など,本条所定の各目的を遂げるのに障害となる者であれば足ります。

事後強盗罪が成立するためには,財物取得の場面と暴行・脅迫の場面との間の場所的・時間的関係や,状況としての繋がりなどを総合して,当該暴行・脅迫が財物の取得と密接な関連性を有すると認められる状況の下に行われることが必要です。

本罪の実行の着手は,窃盗犯人が,本条所定の目的で相手方の反抗を抑圧するに足りる暴行・脅迫に着手した時点で認められます。
事後強盗強盗として論じられる以上,その既遂・未遂の基準も強盗罪と同様に財物取得の有無,窃盗の既遂・未遂により決せられます。

【被害者を眠らせたり気絶させたりして財産を奪う昏睡強盗罪】

(昏酔強盗)
第239条 人を昏酔させてその財物を盗取した者は,強盗として論ずる。

相手方を昏酔させてその反抗を抑圧し,財物を盗取する行為は,暴行・脅迫を手段としなくてもその実質的違法性の程度は強盗罪と同程度であり,強盗として取り扱われることになります。
本罪は事後強盗とともに準強盗と呼ばれます。

昏酔させるとは,一時的又は継続的に,相手方に意識喪失その他意識又は運動機能の障害を生じさせて,財物に対する有効な支配を及ぼし得ない状態に陥らせることをいいます。
失神させたり,眠らせたり,麻痺させたりすることをいいます。
方法は,薬物や麻酔薬の使用等が考えらます。
相手を昏酔させる行為は,財物盗取の目的でされなければなりません。

盗取とは,相手方が昏酔状態にあり,財物奪取を阻止し得ない状態にあることに乗じて,財物を奪取して財物を自己の事実的支配の下に置くことをいいます。

実行の着手は,財物盗取の目的で相手方を昏酔させる行為に着手した時に認められます。
既遂時期は,他人の占有を排除し,財物を自己の事実的支配の下に置いた時となります。

【強盗に関する特別法】

他に特別罪として,以下のものがあります。

盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律
第2条 常習トシテ左ノ各号ノ方法ニ依リ刑法第二百三十五条,第二百三十六条,第二百三十八条若ハ第二百三十九条ノ罪又ハ其ノ未遂罪ヲ犯シタル者ニ対シ竊盗ヲ以テ論ズベキトキハ三年以上,強盗ヲ以テ論ズベキトキハ七年以上ノ有期懲役ニ処ス
一 兇器ヲ携帯シテ犯シタルトキ
二 二人以上現場ニ於テ共同シテ犯シタルトキ
三 門戸牆壁等ヲ踰越損壊シ又ハ鎖鑰ヲ開キ人ノ住居又ハ人ノ看守スル邸宅,建造物若ハ艦船ニ侵入シテ犯シタルトキ
四 夜間人ノ住居又ハ人ノ看守スル邸宅,建造物若ハ艦船ニ侵入シテ犯シタルトキ
第3条 常習トシテ前条ニ掲ゲタル刑法各条ノ罪又ハ其ノ未遂罪ヲ犯シタル者ニシテ其ノ行為前十年内ニ此等ノ罪又ハ此等ノ罪ト他ノ罪トノ併合罪ニ付三回以上六月ノ懲役以上ノ刑ノ執行ヲ受ケ又ハ其ノ執行ノ免除ヲ得タルモノニ対シ刑ヲ科スベキトキハ前条ノ例ニ依ル
第4条 常習トシテ刑法第二百四十条ノ罪(人ヲ傷シタルトキニ限ル)又ハ第二百四十一条第一項ノ罪ヲ犯シタル者ハ無期又ハ十年以上ノ懲役ニ処ス

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窃盗事件を起こしてしまった

2023-06-21

窃盗事件を起こしてしまった

窃盗事件を起こしてしまったら,逮捕・勾留されて刑事処分を受けることになってしまうかもしれません。
被害者への示談活動や,事実を争うのであればきちんと裁判の準備をしなければなりません。
今回は,窃盗罪について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。

【窃盗罪が成立するための要件】

(窃盗)
第235条 他人の財物を窃取した者は,窃盗の罪とし,十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

窃盗罪の保護法益は,占有です。
社会における財産的秩序は,所有権等の本権の存否自体よりも,むしろ占有が有する本権推定機能に対する信頼を基礎にしていると考え,財物の所持自体が保護されるべき対象であるとされています。
刑法第242条は,「自己の財物であっても,他人が占有し,又は公務所の命令により他人が看守するものであるときは,この章の罪については,他人の財物とみなす。」とされていて,自己の財物でも他人が所持する物は窃盗罪の客体となることを示しております。
法令上所持を禁じられている物に関しても,法律上正当にこれを所持する権限を有するかどうかを問わず,物の所持という事実上の状態それ自体が独立の法益として保護されることになります。
共同占有物・共有物の場合には,共同占有者の1人が他の者の占有を排除して自己の単独占有に移せば,その限りで占有・本権の侵害があることになるから,本罪が成立することになります。

占有・所持は,人が物を実力的に支配する状態,物を事実上支配・管理する状態をいいます。
このような事実上の支配があるとするためには,主観的要素としての支配の意思と,客観的要素としての支配の事実が必要です。
支配の意思とは,物を事実上支配・管理しようという意欲・意思をいいます。
事実上の支配をなし得る能力が全くない者,生まれたばかりの赤ん坊等は,占有の主体とはなり得ません。
支配の意思は,必ずしも個々特定の財物に向けられた具体的なものであることを必要とせず,時間的・場所的に包括的なもので足ります。
自宅や倉庫内に存在する財物については,その存在を具体的に知らなくても支配意思が認められるし,不在のときも支配の意思が認められます。
支配の意思は,不断に積極的意思が存続することを必要とせず,潜在的に支配を継続する意思があれば足ります。
積極的に支配を放棄する意思が示されない以上,一時自宅の中で所在を失念している物にも支配意思は及んでいるし,睡眠中のような財物の存在を意識しない状況のときでも支配意思は損なわれません。
支配の事実は,占有の客観的要素であります。
必ずしも現実の握特を必要とせず,単純に物理的に判断されるものではありません。
具体的事案で事実上の支配・占有の有無を決するについては,財物自体の特性,占有者の支配の意思の強弱,距離等による客観的・物理的な支配関係の強弱,等で判断されます。

窃取とは,財物の占有者の意思に反して,その占有を侵害し,自己又は第三者の占有に移すことです。
実行の着手は,他人の財物の占有を侵害する具体的危険が発生する行為を行った時点で認められます。
具体的事案において判断する場合には,対象となる財物の形状,窃取行為の態様,犯行の日時・場所等の諸般の状況が考慮されることになります。
既遂時期については,犯人が目的となる財物の他人の占有を排除して,自己又は第三者の占有に移した時点となります。
具体的事案における既遂時期の判断に当たっては,実行の着手の判断と同様に,対象となる財物の形状,窃取行為の態様,犯行の日時・場所等の諸般の状況が勘案されることになります。

本罪は故意犯であり,財物の占有者の意思に反して,その占有を侵害し,自己又は第三者の占有に移すことについての認識が必要となります。
金銭的な利欲目的の存在は必要ありません。
故意については,錯誤があるときが問題となります。
客体について他人所有物を無主物と誤信していれば,窃盗の故意を欠くことになります。
目的物を占有離脱物と誤信していれば,窃盗の故意を欠き,占有離脱物横領罪で処断されることになります。
目的物を自己所有と誤信しても,他人が占有していることを併せて認識していれば,故意は認められます。
他人の所有・占有を認識していれば,その他人が誰であるかを誤信していても,故意の存在に影響はありません。

故意の他に,不法領得の意思が必要となります。
不法領得の意思とは,権利者を排除し他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従いこれを利用し又は処分する意思をいいます。
前段の権利者排除意思の部分が,使用窃盗・一時使用を窃盗罪として罰しない機能を果たし,
後段の利用・処分意思が,毀棄・隠匿罪と区別する基準としての機能を果たすことになります。
経済的用法に従いこれを利用し又は処分する意思にいう経済的用法とは,その物の本来の用途にかなったとか,財物から生じる何らかの効用を享受するということで足ります。
利用し又は処分することも,必ずしも経済的な意義を有する必要はありません。
性的目的で下着を盗んだ場合等も,窃盗罪が成立します。

本罪が既遂に達した後は,犯罪は終了し違法状態が継続していると考えられるから,この段階で犯人が目的物を損壊したり費消したりしても,それは既に窃盗罪によって包括的に評価されているので,不可罰的事後行為となり,別に器物損壊罪や横領罪は成立しません。
窃盗罪では評価され尽くしていない新たな法益侵害を伴う場合は,別個の罪が成立します。
盗品を売却する際に買主を欺けば,詐欺罪が成立します。
窃取した預貯金通帳を利用して,真正な権利者であるように装って預金を払い戻した場合も,詐欺罪が成立します。
窃取したキャッシュカードや騙取したローンカードを不正に利用して,現金自動支払機から現金を払い戻せば,自動支払機の管理者との関係で現金の窃盗罪が成立します。

【窃盗罪以外に問題となる特別法の条文】

窃盗罪の特別法として,以下のものがあります。

盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律
(常習特殊窃盗罪)
第2条 常習トシテ左ノ各号ノ方法ニ依リ刑法第二百三十五条,第二百三十六条,第二百三十八条若ハ第二百三十九条ノ罪又ハ其ノ未遂罪ヲ犯シタル者ニ対シ竊盗ヲ以テ論ズベキトキハ三年以上,強盗ヲ以テ論ズベキトキハ七年以上ノ有期懲役ニ処ス
一 兇器ヲ携帯シテ犯シタルトキ
二 二人以上現場ニ於テ共同シテ犯シタルトキ
三 門戸牆壁等ヲ踰越損壊シ又ハ鎖鑰ヲ開キ人ノ住居又ハ人ノ看守スル邸宅,建造物若ハ艦船ニ侵入シテ犯シタルトキ
四 夜間人ノ住居又ハ人ノ看守スル邸宅,建造物若ハ艦船ニ侵入シテ犯シタルトキ
(常習累犯窃盗罪)
第3条 常習トシテ前条ニ掲ゲタル刑法各条ノ罪又ハ其ノ未遂罪ヲ犯シタル者ニシテ其ノ行為前十年内ニ此等ノ罪又ハ此等ノ罪ト他ノ罪トノ併合罪ニ付三回以上六月ノ懲役以上ノ刑ノ執行ヲ受ケ又ハ其ノ執行ノ免除ヲ得タルモノニ対シ刑ヲ科スベキトキハ前条ノ例ニ依ル

森林法
第197条 森林においてその産物(人工を加えたものを含む。)を窃取した者は,森林窃盗とし,三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

【事務所紹介】

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は,刑事を専門とする弁護士が迅速に対応いたしますので,お気軽にお電話ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では,刑事事件に関するご相談を初回無料で承っております。
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迅速な対応が必要となりますので,お早めにご相談ください。

詐欺で逮捕された

2023-06-09

詐欺で逮捕された

詐欺事件を起こしてしまったら,逮捕・勾留され,長期間身体拘束される可能性があります。
金額が大きかったり前科がある場合は,実刑で刑務所に入ることになるかもしれません。
早期に弁護士を通じて釈放を求めて,被害者と示談交渉をする必要があります。
事実関係について争いがあれば,取調べ対応を慎重にして,裁判に備える必要があります。
今回は,詐欺罪・特に刑法第246条第1項の詐欺罪について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。

・詐欺罪の条文

(詐欺)
第246条 人を欺いて財物を交付させた者は,10年以下の懲役に処する。

・詐欺の相手方

詐欺罪の保護法益は,個人の財物の占有です。
物の所持という事実上の状態それ自体が保護されます。
他人の占有する他人の財物が客体となります。
財物の所有者としての他人は,自然人であると法人その他の団体であるとを問いません。
国や地方公共団体も含まれます。
動産だけでなく,不動産も含まれます。

・詐欺罪に当たる行為

行為は,人を欺いて財物を交付させることです。
欺く行為の相手方は,必ずしも財物の所有者又は占有者であることを要しないが,その財物について事実上又は法律上財産的処分行為をなし得る権限ないし地位を有する者でなければなりません。
欺く行為は,必ずしも特定人に向けられる必要はなく,いわゆる広告詐欺のように,不特定人に向けられたものでも認められます。
訴訟詐欺は,裁判所を欺いて勝訴の判決を得,敗訴者から財物を交付させる場合をいいます。
欺かれた者と財物の交付者とが異なるが,詐欺罪が成立します。
一方,クレジットカード詐欺は,クレジット会員が代金支払の意思も能力もないのに自己名義のクレジットカードを使用して,加盟店から物品を購入し又は飲食する場合をいいます。
加盟店に対する関係で1項詐欺罪が認められます。
不正に入手した他人名義又は架空名義のクレジットカードを使用して,加盟店から物品を入手する場合について,加盟店に対する1項詐欺罪が認められます。

欺くとは,人を錯誤に陥らせる行為をすることをいいます。
錯誤とは,観念と真実との不一致を指します。
機械を相手とする詐欺的行為は,人を欺く行為ではないから,詐欺罪とはならず,窃盗罪となります。
欺く手段・方法は,何らの制限もなく,言語によるものでも動作によるものでもよく,直接的な方法によるものでも間接的な方法によるものでも認められます。
作為によると不作為によるとを問いません。
積極的に詐術を用い,虚偽の事実を告知する場合はもちろん,事実を告知しないことにより,相手方が既に錯誤に陥っている状態を継続させ利用する場合も,詐欺罪は成立し得ます。
ただし,当該不作為が詐欺罪にいう欺く行為に当たるといえるためには,不作為犯が成立するための法的な告知義務が行為者に認められる場合であることを要します。
法的な告知義務が認められる場合としては,法令に規定されている場合のほか,契約上・慣習上・条理上認められる場合もあり得ます。
人を欺く行為は,これにより相手方が錯誤に陥り,行為者の希望するような財産的処分行為をするに至らせるような性質のものであることが必要です。
必ずしも法律行為の要素に関する虚偽の表示であることを要せず,法律行為の動機に関して錯誤に陥らせる場合でも,相手方が真実を知れば財物の交付をしないであろうというべき重要な事項につき虚偽の意思表示をするものであれば,詐欺罪に当たります。
現在の事実及び過去の事実のほか,将来起こり得る事実に関する事柄であっても,それが関連する現在又は過去の事実を偽り将来を推測する場合には,人を欺く行為の内容たり得ます。
価値判断や意見の表示も,欺く行為たり得ます。
人を欺く行為は,当該具体的状況の下で一般人を錯誤に陥れる可能性のあるものでなければなりません。
一般人を錯誤に陥れる可能性があるか否かは,行為の際の具体的事情を考慮して,一般的・客観的見地から判断されます。
商品を売買する場合など経済活動の場面において,売り手が多少の駆引きや誇張した広告・宣伝文句を用いることは,日常生活において見受けられるところであり,取引上における信義則に反しないと認められる場合には,欺く行為に当たらないとされています。

財物を交付させるとは,相手方の錯誤に基づく財産的処分行為によって財物の占有を自己又は第三者が取得することをいいます。
錯誤は観念と真実との不一致を指すが,財産的処分行為をするように動機づけられるものであれば足ります。
財産的処分行為と認められるためには,主観的要件として財産を処分する意思と,客観的要件として財産を処分する事実とが必要です。
財産を処分する事実は,法律行為に限らず,事実行為でも認められます。
法律行為としての財産的処分行為の意思表示は,民事上無効なものや取り消し得るものであっても,詐欺罪の成立に影響しません。
交付があったといい得るためには,相手方の財産的処分行為の結果として,行為者側に財物の占有が移転することが必要です。
欺く行為に基づいて財物を交付する者は,通常欺かれた者自身であるが,欺かれた者の財産的処分行為に拘束される地位・状態にある者も交付者に含まれ,必ずしも同一人になるとは限りません。
処分行為者をして行為者以外の第三者に財物を交付させても詐欺罪に当たります。
第三者の範囲は,行為者との間に特別な事情が存在する者に限られ,全く無関係な第三者に財物を交付させた場合は,詐欺罪は成立しません。

詐欺罪の実行の着手時期は,行為者が財物を騙し取る意思で欺く行為を開始した時点に認められ,相手方が錯誤に陥ったかどうかを問いません。

詐欺罪が既遂に達するには,行為者の人を欺く行為によって相手方が錯誤に陥り,それに基づく処分行為によって財物の占有を行為者又は第三者に移転することが必要です。
欺く行為,錯誤,処分行為,財物の移転の間には,それぞれ因果関係がなければなりません。
財物の占有を行為者又は第三者に移転するとは,財物に対する被害者の支配力を排除して,行為者自身又は行為者と一定の関係にある第三者がその財物を支配内に置くことをいいます。

詐欺罪は財産罪であるから,その成立には被害者に財産上の損害が生じたことを要します。
被害者が民事上保護されても,詐欺罪の成立には影響がありません。
人を欺いて財物の交付を受けた場合に,行為者がその中の一部分について正当に受領し得る権利を有するときにも,欺く行為がなければ全体として交付を受けることができないときには,詐欺罪は交付を受けた財物全部について成立します。
人を欺く手段として対価を提供した場合においても,詐欺罪が交付を受けた財物全部について成立します。

・故意犯処罰の原則

詐欺罪の故意が認められるためには,行為者が相手方を欺いて錯誤に陥らせ,その財産的処分行為によって財物を交付させ,自己又は第三者が占有を取得すること及びその因果関係について認識していることが必要です。
その認識は,確定的なものでなく未必的なものであっても足ります。
他人の財物を騙し取る意思は,自己を利するためであると,他人を利するためであるとを問いません。
後日返済する意思があっても詐欺罪が成立します。
詐欺罪の主観的要件として,故意のほかに不法領得の意思を必要とします。
不法領得の意思は,権利者を排除し他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従いこれを利用し又は処分する意思となります。

・事務所紹介

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,刑事弁護を専門とする弁護士が多数在籍しております。
北海道で詐欺事件などの刑事事件で逮捕・勾留され,相談・依頼したいという方は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士による有料の初回接見サービスをご利用ください。
接見して状況を確認した後,説明させていただいた後に,正式契約となったら事件を対応させていただきます。
逮捕されていない場合でも,ぜひ無料面談をご利用ください。
迅速な対応が必要となりますので,お早めにご相談ください。

食い逃げはどのような罪?

2023-04-27

食い逃げはどのような罪?

食い逃げで問題となる罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。

【事例】

北海道札幌市南区在住のAさんは、札幌市南区の会社に勤める会社員です。
Aさんは事件当日、別の居酒屋で酒を飲んだのち、飲食店Vにて食事をしました。
この飲食店Vは券売機等により事前に精算する方法ではなく、食事が終了した後に精算する方法で店を運営していました。
しかしVさんは食事をした後に精算(支払い)をすることなく店を離れてしまい、いわゆる食い逃げに気付いた飲食店Vの店主がAさんを捕まえ、札幌市南区を管轄する札幌方面南警察署に通報しました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【食い逃げで窃盗罪は成立しない可能性が高い】

食い逃げは被害店舗の財産である食材を失わせる行為であることから、窃盗罪が成立するのではないかと考える方が居られるかもしれませんが、成立しない可能性が高いと言えます。
窃盗罪の条文は以下のとおりです。

刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

窃盗罪のいう「窃取」とは「財物の占有者の意に反してその占有を侵害する」又は「自己又は第三者の占有に移転する」ことで成立します。
食い逃げ事件の場合を検討すると、少なくとも飲食店Vは(店員や店主)自らの意思でAさんに料理を提供しているため、窃盗罪は成立しないことになります。

【食い逃げで詐欺罪が成立する可能性がある】

では、食い逃げ事件は刑事上の罪に問われないのかというと、詐欺罪に問われる可能性があります。
詐欺罪の条文は以下のとおりです。

刑法246条1項 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

食事の後に精算をするシステムの飲食店の場合、注文をした相手に「お金は払っていただけますよね?」と質問することはなく、当然に注文をした料理の代金は精算時に支払ってくれるだろうと考えて料理を提供すると考えられます(いわゆる、ぼったくりバー等を除く)。
詐欺罪が成立するためには
①欺罔行為(相手を騙す行為)
②錯誤(被害者が騙される)
③財物の移転(②に従って財物を加害者に渡す)
④①~③に一連の因果関係が認められる
という要件を満たす必要があります。

そのため、Aさんが注文をする時点で①店主や店員を騙す(支払う意思がないのに料理の注文をする)意思が認められた場合、②店員は当然に支払うであろうと考え、③料理を作ってAさんに提供する、ことになり、①~③に因果関係が認められることになります。

他方で、例えば注文する者が店主や店員を騙す意図はなく、単に財布を持っているあるいは所持金が足りると思って料理を注文したが実際には財布を無くしていたり所持金が足りなかったりした場合、①の要件を満たさないため、詐欺罪は成立しないと考えられます。
よって、Aさんが財布を持っていると思っていたが財布を前に飲食した店に忘れた場合や酔っ払って所持金を勘違いしていた場合等では、詐欺罪は成立しません。

【民事上の債務不履行は当然に認められる】

たとえAさんが注文する時点で財布がない状況であると気づかなかったとしても、飲食店Vの店員に注文をして店員が料理を提供している以上、対価の支払い義務は生じます。
刑事事件で罪に問われなかったとしても、当事者間での債権―債務関係は別問題ですので、料理の提供を受けていることに対する支払い義務は負いますので、飲食店Vが代金を請求した場合にはAさんが支払う義務があると認められます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は刑事事件・少年事件の弁護を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、これまでに数多くの財産犯事件(詐欺罪や窃盗罪など)を経験してきました。
食い逃げ事件の場合、余罪を含め厳しい取調べが行われるおそれがあります。
北海道札幌市南区にて、家族が食い逃げ事件により詐欺罪などで捜査を受けている場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご連絡ください。

事後強盗事件で自首を検討

2023-03-27

事後強盗事件で自首を検討

事後強盗事件で問題となる罪と、自首・出頭の諸問題について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。

【ケース】

北海道日高郡在住のAさんは、日高郡内の会社に勤める会社員です。
Aさんは事件当日、日高郡内のスーパーマーケットにて、商品棚に陳列された商品を清算せずに店外に持ち出す万引き行為をしたところ、スーパーマーケットの保安係Vさんに目撃され、店外に出たところで声掛けをされました。
Aさんは驚いて逃げようとしましたが、VさんがAさんの腕を掴んだため、Vさんの手を振りほどき鞄でVさんの腕を叩き、隙を見て店から走って逃げました。
1時間ほど経った後、Aさんが当該スーパーマーケットの前を通ったところ、警察車両が停まっていたことから、不安になり日高郡内を管轄する札幌方面静内警察署に自首をしようか検討しています。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【事後強盗事件について】

まず、Aさんは陳列棚に陳列された商品を万引きしようとしています。
万引きは窃盗罪に該当します。
条文は以下のとおりです。

(窃盗罪)
刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

次に、Aさんは万引きが発覚してしまったのち、逃げようとして保安係であるVさんの手を振り払ったのち、カバンで腕を叩いたことを想定しています。
この行為は、逮捕を免れようとして暴行を加えていると評価され、事後強盗罪が適用される可能性があります。
条文は以下のとおりです。

(事後強盗罪)
刑法238条 窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。
(強盗罪)
刑法236条1項 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。

【自首と出頭について】

小説やドラマなどで「自首する」という言葉を耳にすることが少なからずあるかと思います。
自首について、刑法では以下のとおり定められています。

刑法42条1項 罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。

条文を見ると、
・罪を犯した者
・捜査機関が発覚する前
の状態で自首(自ら出頭した)場合に刑を減刑することができると規定しています。

まず、「罪を犯した者」であることが要件となっています。
家族や友人が「Aさんが罪を犯したのです。」と言ったからといって、自首は成立しません。

次に、「捜査機関が発覚する前」ということが要件となっています。
よって、例えば、警察官から電話があり「○○の件でお伺いしたいので×日に出頭してください。」という連絡があったとしても、自首には当たりません。
この、「捜査機関が発覚する前」なのかどうかは捜査情報に当たるため、捜査機関から連絡が来ていないから捜査機関が発覚する前である、とは限りません。
捜査機関は防犯カメラや自動車のナンバープレート、交通系ICカードの履歴など、様々な方法で被疑者の特定を行い、その期間は数日で行われる場合もあれば数ヶ月かかる場合もあります。
この点で、自首を検討するのであれば早めに対応した方が良い、と言えるでしょう。

自首した場合には、取調べが行われて自首調書が作成され、証拠の一部となります。
自首した場合には「逃亡の恐れ」や「罪証(証拠)隠滅の恐れ」がないと判断され、逮捕・勾留されない場合もありますが、事件によっては自首しなかった場合と同様に逮捕するケースもあります。

自首の場合も、自首には当たらない出頭の場合も、直後に取調べが行われること、逮捕される可能性があることを念頭に、弁護士に相談したうえで自首・出頭にのぞむことが良いと考えられます。
北海道日高郡にて、事後強盗罪で捜査を受ける可能性があり自首・出頭を検討しているという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご連絡ください。
事務所にて、無料で相談を受けることができます。
家族が逮捕・勾留されている場合はこちら。

万引き事件で略式手続

2023-03-21

万引き事件で略式手続

万引きと呼ばれる窃盗事件を繰り返して略式手続を受けたという事例を想定して、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。

【ケース】

北海道苫小牧市在住のAさんは、苫小牧市内でパート勤務をしています。
Aさんはルーティンのように、出勤前に苫小牧市内のコンビニエンスストアに立ち寄り、商品棚に陳列されている菓子パンを万引きするという窃盗事件を繰り返していました。
コンビニエンスストアの店長であるVさんは棚卸し作業で万引き事件に気付き、防犯カメラを解析したところ、Aさんによる犯行であると特定しました。
事件当日も万引きを行ったAさんですが、店長Vさんが店に出た瞬間声掛けし、万引きを認めたため、Vさんは警察署に通報しました。
通報を受けて臨場した札幌方面苫小牧警察署の警察官は、Aさんを万引きによる窃盗罪で逮捕しました。
逮捕ののち、20日間の勾留を受けたAさんは、略式手続を受けることになりました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【万引きについて】

コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの商品棚に陳列された商品について、精算せずに店外に持ち出すいわゆる万引き行為は、窃盗罪に問われます。
窃盗罪の条文は以下のとおりです。

刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する。

【万引きの立証は容易ではない?】

Aさんのように、万引きを常習的に行っているという事件は少なからず見られます。
このAさんに対し、すべての万引き事件が立証できるのかというと、そうではありません。
万引きが行われる店は、多くの場合不特定多数の客が出入りします。
そのため、たとえAさんが来店した日に同じ商品が毎回万引きされたからといって、すべての商品をAさんが万引きしたと断定することはできず、それぞれの商品についてAさんが万引きしたと評価できるだけの証拠がなければ、Aさんを罪に問うことができません。

【略式手続とは】

刑事事件を起こした場合、警察官等の捜査を受けたうえで検察官に事件を送致され、検察官は受理した証拠をもとに補充捜査や再捜査を指揮したうえで、被疑者を起訴するかどうかについて検討します。
検察官が起訴するべき事件だと判断した場合、本来であれば正式な公判請求を行い、公開の法廷で刑事裁判が行われて判決が言い渡されます。
しかし、刑事事件の件数は非常に多く、全ての事件で公判請求してしまうと検察官・裁判官の負担は大きくなります。

そこで、一定の軽微な事件で、被疑者が被疑事実を認めていて、略式手続に同意した場合には、略式手続がとられます。
略式手続に付された場合、公開の法廷での裁判は行われず、言い渡された罰金又は科料を納付することで刑罰を受けます。
略式手続で言い渡すことができる罰金の上限は100万円です。

【略式手続を受ける前に弁護士に相談】

略式手続は公開の法廷で裁判を受けることがないという点で、被告人の負担は小さいと言えます。
しかし、略式手続で言い渡される判決は罰金刑・科料といった刑事罰ですので、いわゆる前科に当たることになります。
北海道苫小牧市にて、万引き事件を起こしてしまい
略式手続を受けるかどうか悩んでいる
・前科を避けたい
という方は、略受け(略式手続に同意する書類を作成する)前に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご連絡ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受けることができます。
Aさんのように、家族が万引き事件で逮捕・勾留されている場合はこちら。

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