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現住建造物等放火罪について
現住建造物等放火罪について
人の住んでいる建物に放火したら,現住建造物等放火罪が成立する可能性があります。
重い罪であり,最高で死刑もありえます。
逮捕され,長期間身体拘束され,起訴されて裁判となります。
重い処分となり,刑務所に長期間入ることになります。
今回は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が,現住建造物等放火罪を解説いたします。
・現住建造物等放火罪の条文
(現住建造物等放火)
第108条 放火して,現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物,汽車,電車,艦船又は鉱坑を焼損した者は,死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
(未遂罪)
第112条 第百八条及び第百九条第一項の罪の未遂は,罰する。
(予備)
第113条 第百八条又は第百九条第一項の罪を犯す目的で,その予備をした者は,二年以下の懲役に処する。ただし,情状により,その刑を免除することができる。
・現住建造物等放火罪が成立する場合の要件
火力等により,不特定多数の人の生命・身体・財産に危険を生じさせる犯罪であって,公共の平穏を保護法益とします。
未遂や予備も罰せられます。
「放火」とは,日的物の燃焼を惹起させる行為,あるいはそれに原因力を与える行為です。
直接その目的物に点火して発火させる行為や,媒介物に点火して目的物に導火させる行為が考えられます。
既に火の付いているところに油を注ぐ行為のように,既発の火力の勢いを助長・増大させる行為もこれと同視されます。
不作為による放火も考えられます。
法律上の作為義務・消火義務の存在,消火の可能性と容易性,行為者の主観的要件等が問題となります。
消火義務の根拠としては,法令,契約・事務管理,慣習・条理が挙げられます。
客体である建造物等の所有者・占有者・管理者として,その建造物等に対する排他的支配関係が認められ,当該建造物等の燃焼の結果を防止すべき義務が発生する場合があります。
自己の過失行為に起因して発火した場合などのように,先行行為に基づいて消火義務を負うべき場合があります。
もっとも,不作為による放火罪の成立要件としての消火義務は,作為によって放火する場合と同視し得る程度の相当高度な義務であることを要します。
意思内容としては,既発の火力により建造物等が焼損されることを認容する意思で足り,未必の故意でも足ります。
実行の着手は,目的物である現住建造物等に直接点火した場合のみならず,目的物の近くでライターを操作して火花を散らしたり,マッチをすって目的物に点火する姿勢をとった場合等にも認められます。
媒介物である可燃性の導火材料に点火する行為も,その燃焼作用が継続して目的物に延焼し得べき状態に置いたときは,実行の着手が認められます。
引火性の高いガソリンや可燃性ガスなどを住宅内で撤布・放出した場合には,客観的にみて焼損という結果発生の高度の現実的危険性が既に発生していると認められ,危険発生の程度を実質的に考慮して,実際にマッチなどによる点火行為がなくても,実行の着手が肯定されることがあります。
「現に人が住居に使用し」とは,現に人の起臥寝食の場所として日常使用されることです。
「現に人がいる」とは,放火の際に人が現在することです。
いずれかの要件を充たせば現住建造物に該当します。
人は犯人以外の者をいい,犯人の家族や同居人も犯人以外の者に当たります。
「住居」は,その本来の用途が住居として使用することを目的としたものである必要はありません。
昼夜にわたって人が生活している必要はなく,夜だけ寝泊まりするという場合でも認められます。
1個の建造物の一部が起臥寝食の場として使用されていれば,全体が住居に当たることになります。
住居としての使用が継続している必要はなく,居住者が災害で一時期避難していたり,旅行などのために若干の期間留守にしていたとしても,住居でなくなることにはなりません。
人の現在は,放火当時,建造物内に犯人以外の者が存在することです。
事実上存在すれば足り,存在する権利の有無を問いません。
建造物の一部に人が現在すれば,これと一体をなす建造物全体が人の現在する建造物となります。
「焼損」は,火が放火の媒介物を離れ,客体に燃え移り独立して燃焼を継続する状態に達したことをいいます。
その主要部分が毀損されたり,効用が害されることまでは必要ありません。
もっとも,建造物から容易に取り外すことのできる畳・建具・家財道具等が燃焼しただけでは,建造物の一部が独立に燃焼を開始したとはいえず,未遂にとどまります。
故意として,自己の行為によって目的物の独立燃焼が引き起こされること,及び目的物が現に人が住居に使用し又は現に人がいるものであることの事実の認識が必要です。
未必的な認識で足ります。
・現住建造物等放火罪に該当しない場合の罪
現住建造物等放火罪が成立しない場合は,以下の犯罪等が成立する可能性があります。
(非現住建造物等放火)
第109条 放火して,現に人が住居に使用せず,かつ,現に人がいない建造物,艦船又は鉱坑を焼損した者は,二年以上の有期懲役に処する。
2 前項の物が自己の所有に係るときは,六月以上七年以下の懲役に処する。ただし,公共の危険を生じなかったときは,罰しない。
(建造物等以外放火)
第110条 放火して,前二条に規定する物以外の物を焼損し,よって公共の危険を生じさせた者は,一年以上十年以下の懲役に処する。
2 前項の物が自己の所有に係るときは,一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
・現住建造物等放火罪での弁護活動
放火をしていないにもかかわらず,犯人として疑われ,警察が捜査や逮捕をしてくることがあります。
密室の取調室で,「被害者・目撃者がこう言っている」「証拠はもうそろっている」などと言われ,警察の言われるままに話を持っていかれ,不当な内容の供述調書が作成されてしまいます。
刑事に詳しくない弁護士が対応した場合,そのような不当な状況を放置することもあります。
刑事に詳しい弁護士のきちんとしたサポートが必要になってきます。
取調べでどのようなことを言うか,弁護士と相談しながら進めていきます。
警察の威圧的な取調べが行われていたら,弁護士が抗議をしたり,黙秘を指示したりして,きちんと対応しなければなりません。
こちらに有利な証拠がないか,検討することにもなります。
起訴されて裁判となったら,きちんとこちらの主張をしていかなければなりません。
・事務所紹介
刑事事件ではスピードが大切です。
すぐに弁護士に連絡し,相談して依頼しましょう。
逮捕後最大72時間は,たとえ家族の方でも逮捕された人との接見ができませんが,弁護士が代わりに連絡を取ってくれます。
逮捕された場合,最長で23日間,身体が拘束されますが,その間に検察官が起訴をするかどうかを判断します。
非常に限られた時間で活動しなければならず,急がなければなりません。
また,逮捕直後に不当な取調べが行われ,不利な内容の調書が作成されてしまうかもしれません。
早く弁護士が接見し,取調べへの対応方法に関してきちんとしたアドバイスをする必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は,刑事を専門とする弁護士が迅速に対応いたしますので,お気軽にお電話ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では,刑事事件に関するご相談を初回無料で承っております。
無料法律相談のご予約は
フリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)
までお気軽にお電話ください。
家族が放火などの刑事事件で逮捕された場合は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士による有料の初回接見サービスをご利用ください。
接見して状況を確認し,説明させていただいた後に,正式契約となったら事件を対応させていただきます。
迅速な対応が必要となりますので,お早めにご相談ください。
賭博により現行犯逮捕
賭博により現行犯逮捕
賭博をしたことで現行犯逮捕されたという事件を想定して、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。
【ケース】
北海道札幌市中央区在住のAさんは、札幌市中央区内の会社を経営する会社経営者です。
Aさんは賭け事が好きで、友人に紹介され、月に3日以上札幌市中央区にて違法に営まれている賭博に加わっていました。
事件当日もAさんは賭博をしていたところ、捜査をしていた札幌市中央区を管轄する札幌方面中央警察署の警察官によって現行犯逮捕されました。
≪ケースはすべてフィクションです。≫
【賭博について】
金品を賭ける賭博行為について、我が国では禁止されています。
刑法の第23章は「賭博及び富くじに関する罪」として、以下のとおり規定しています。
(賭博)
第185条 賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭かけたにとどまるときは、この限りでない。
(常習賭博及び賭博場開張等図利)
第186条
1項 常習として賭博をした者は、3年以下の懲役に処する。
2項 賭博場を開張し、又は博徒を結合して利益を図った者は、3月以上5年以下の懲役に処する。
(富くじ発売等)
第187条
1項 富くじを発売した者は、2年以下の懲役又は150万円以下の罰金に処する。
2項 富くじ発売の取次ぎをした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
3項 前2項に規定するもののほか、富くじを授受した者は、20万円以下の罰金又は科料に処する。
まず法185条については、これは一度、あるいは数回ほど賭博をした場合に成立します。
賭博は、偶然に左右される事象に対して金を賭けることを意味します。
代表的なものとしてはトランプや麻雀などのボードゲームのほか、スロットマシーンを用いるもの、スポーツの勝敗や点数を対象とするものなど、様々なものがあります。
最近では、賭博とは直接関係がない事件が起因してオンラインカジノの知名度が上がっています。
「一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるとき」とは、一度の食事やタバコ数本など、賭け事の結果受け渡しするものが安価であれば、賭博罪に問われない可能性があります。
次に、法186条各項は、常習賭博と賭博場開帳等図利の罪を規定しています。
常習賭博は、その名のとおり、常習的に賭博をした場合に成立します。
常習とは反復・継続して行うこととされています。
具体的な回数などは決まっておらず、捜査機関としては、繰り返し賭博を行っていたことを立証する必要があります。
賭博場開帳等図利罪は、賭博のプラットフォームを作った場合に成立します。
例えば友人2名で賭け事をやるような場合には問題となりませんが、闇カジノなどと呼ばれるようなオンライン・オフラインで賭博の場所を作った場合、賭博のための麻雀のメンバーを募った場合などに成立します。
最後に、法187条各項は、富くじを売り買い、仲介した場合に成立します。
富くじは、今の宝くじを意味します。
宝くじは全国で販売されていますが、これは当せん金付証票法という法律により「都道府県並びに地方自治体」が、「公共事業その他公益の増進を目的とする事業」の財源に当てる場合に限り、販売できる旨定めています。(当せん金付証票法4条1項ほか)
一般人が富くじ・宝くじを販売・購入・仲介した場合、刑法187条各項に違反します。
今回のAさんの事例については、自身が賭博をしたことが問題となるため、刑法185条の賭博罪、又は刑法186条1項の常習賭博罪の成立が検討されます。
【賭博事件で現行犯逮捕された場合は弁護士へ】
今回想定したAさんの事例について、まず警察官などの捜査機関は裏付け捜査を入念に行い、常習的に賭博が行われていることの証拠を収集します。
そして、裁判所に捜索差押許可状の発付を受け、賭場に行きます。
賭場を開帳した者やその従業員は逮捕される可能性が極めて高いです。
他方で、Aさんのように客として賭博をしていただけの者については、現行犯逮捕されない可能性、あるいは逮捕されてもすぐに釈放される可能性があります。
とはいえ、常習的な賭博を疑われている場合や捜査に協力しない姿勢を見せた場合などでは、長期間身柄拘束されることもあり得ます。
北海道札幌市中央区にて、自身が賭博などの罪で在宅捜査を受けている方、あるいは家族が賭博の罪で逮捕・勾留されている方は、刑事事件・少年事件の弁護活動・付添人活動を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご連絡ください。
SNS上での誹謗中傷
SNS上での誹謗中傷
SNS上での誹謗中傷に係る諸問題について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。
【ケース】
北海道浦河郡在住のAさんは、浦河郡内で自営業をしています。
Aさんは隣人Vさんと表向きは仲が良かったものの、その実、嫌悪感を抱いていました。
そこで、Aさんは匿名のSNSアカウントを作成し、Vさんが日々アップロードしている投稿に対して「こんな投稿でグッドボタンを欲しがっているクズ」「SNSでは元気だが現実社会では何もできない」などとVさんを誹謗中傷する投稿を繰り返し行いました。
Vさんは、誹謗中傷を受けていることについて北海道浦河郡を管轄する札幌方面浦河警察署の警察官に相談し、捜査の結果Aさんによる犯行の疑いがあるとして、Aさんの家の家宅捜索が行われました。
≪ケースはすべてフィクションです。≫
【SNS上の誹謗中傷での諸問題】
SNSは匿名で利用できるものも多く、利便性が高い一方で匿名による誹謗中傷の問題が後を絶ちません。
今回は、個人相手に誹謗中傷を行ったという事例を想定しています。
この場合、刑事・民事で以下のとおりの問題が生じます。
・刑事上の問題
誹謗中傷は、刑法の定める名誉毀損罪や侮辱罪に当たる可能性があります。
名誉毀損罪と侮辱罪の条文は以下のとおりです。
(名誉毀損罪)
刑法230条1項 公然と事実を摘示し、人の名誉を棄損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮または五十万円以下の罰金に処する。
(侮辱罪)
刑法231条 事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
例えば、「○○さんは浮気をしている」「前科がある」などと具体的な事実を摘示した場合にはそれが真実であると否とに関わらず名誉毀損罪が成立しますが、今回のAさんの事例では、抽象的な誹謗中傷が行われているため、侮辱罪の適用が検討されます。
・民事上の問題
刑事上の問題は、刑法をはじめ法律にて禁止されていること等に対し、検察官が犯人を糾弾し裁判官が刑事罰を決めるという制度です。
もしAさんが罰金10万円の判決が科されたとして、その10万円は被害者のもとには入らず、全額国庫に入ります。
一方で民事上の問題は、加害者と被害者の当事者間で行われる手続きで、例えばケースのような誹謗中傷については、被害者が加害者に対して精神的苦痛などによる損害賠償請求等が検討されます。
証拠の立証について、刑事訴訟の場合は検察官が行う必要がありますが、民事上は原告(つまりは被害者側)自ら行う必要があります。
・その他
また、そのほかに、SNS等の運営会社からアカウント削除されたり、アカウントを停止・凍結されたりするなどの不利益処分を受けることが考えられます。
これについては、運営会社側の裁量による部分が大きく、社内規則に基づく不服申立により凍結解除等が認められる可能性もありますが、凍結解除が認められる可能性は高くないでしょう。
【事務所紹介】
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、SNSで誹謗中傷をした結果刑事事件に発展した、という場合の刑事弁護活動を行っています。
北海道浦河郡にて、SNS上の誹謗中傷などがきっかけで捜査を受けている、家族が逮捕されたという場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご連絡ください。
仕事中の事故で刑事裁判に
仕事中の事故で刑事裁判に
仕事中に事故を起こしてしまい刑事裁判になったという事例を想定し、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。
【ケース】
北海道伊達市在住のAさんは、伊達市内の会社に勤務し工事現場で作業をする会社員です。
Aさんは伊達市内の工事現場で工事をしていた際、作業用重機の操作を誤り、一緒に作業をしていたVさんがAさんの運転する重機と壁の間に挟まってしまいました。
Aさんはすぐに病院に搬送されましたが、圧死(窒息死)で死亡しました。
救急隊員の通報を受けて臨場した伊達市内を管轄する札幌方面伊達警察署の警察官は、Aさんを在宅捜査しました。
≪ケースはすべてフィクションです。≫
【仕事中の事故】
今回のAさんの事例は、作業用重機の操作を誤った結果作業をしていたVさんが重機と壁の間に挟まって死亡した、という事例を想定しています。
まず、刑事事件は、大原則として「罪を犯す意思がない行為は、罰しない。」(刑法38条1項前段)と規定されています。
つまり、意図的に行った行為についてのみ罰することが、大原則となっています。
例えば、図書館で借りた本を読んでいてページをめくっていた際に誤ってページが破れてしまったとして、物を損壊した場合に成立する器物損壊罪の適用が疑われますが、意図的に破ったのでなければ器物損壊罪は適用されません(最も、その物を賠償する等の民事上の請求が行われることはあり得ます。)。
次に、「ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない。」(同1項後段)という規定があります。
故意の犯罪以外は処罰をしないことが原則ですが、特別に定めた方があれば、それは処罰の対象になるということです。
今回のAさんの事例については、Vさんに対し殺意を抱いていた等の事実はないことを想定しています。
すなわち、殺人罪や傷害致死罪などは成立しません。
但し、過失(不注意・注意不足)によってVさんを殺めてしまったという可能性が考えられます。
不注意によって他人を死亡させてしまった罪には、「過失致死罪」と「業務上過失致死罪/重過失致死罪」があります。
条文は以下のとおりです。
(過失致死罪)
刑法210条 過失により人を死亡させた者は、50万円以下の罰金に処する。
(業務上過失致死罪/重過失致死罪)
刑法211条 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。
業務上過失致死罪は「業務上必要な注意を怠った」場合に、重過失致死罪は「重大な過失」があった場合に、人を死亡させることで成立する罪です。
過失致死罪と業務上過失致死罪・重過失致死罪は、刑事罰がかなり大きく違い、単なる過失であるのか、業務上あるいは重大な過失であるのか、という点は判断するうえで重要になります。
今回のAさんについては、重機を使用しての作業を行っていたことから、重機の免許を有する立場で反復してその業務に当たっているという性質上、業務上過失致死罪に問われる可能性が高いと言えます。
もっとも、Vさんが本来いないはずの場所から突然出てきた、等の事情があれば、「過失」がないとして立件できない場合も考えられます。
実際の事件では、どの程度の過失であったのか検討することは重要になります。
【刑事裁判について】
過失致死罪や業務上過失致死罪/重過失致死罪などの罪に問われた場合、捜査の結果検察官が起訴し得るだけの証拠が整っていて且つ起訴するべき事案であると判断した場合、管轄する地方裁判所や簡易裁判所に対して起訴します。
起訴された方は被告人という立場になり、刑事裁判を受けることになります。
Aさんの事件については、被害者が亡くなっていることから、厳しい判決が言い渡される可能性があります。
そのため、刑事裁判が始まる前から、被害者遺族への謝罪と賠償を行う、過失がなかったと主張する場合には弁護人面前調書の作成を行うなどの証拠収集などが必要です。
いずれの場合でも、早めに弁護士に依頼し、万全の状態で刑事裁判の期日を迎えることが望ましいと言えるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、過失致死罪や業務上過失致死罪/重過失致死罪といった被害者が亡くなった重大事件の弁護経験もございます。
北海道伊達市にて、過失致死罪や業務上過失致死罪/重過失致死罪などの事件で捜査を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご連絡ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受けることができます。
家族が逮捕・勾留されている場合はこちら。
自殺の手助けをした自殺幇助罪
自殺の手助けをした自殺幇助罪
自殺の手助けをしたことにより成立する自殺幇助罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。
【ケース】
北海道札幌市手稲区在住のAさんは、札幌市手稲区内の会社に勤める会社員です。
Aさんは、何かしら社会の役に立ちたいと考えていたところ、SNS上で「自殺したいので車を出してくれる人を募集しています」と書かれた投稿を目撃しました。
そこで、AさんはVさんとダイレクトメッセージでやり取りをして、札幌市手稲区にあるVさんの自宅に車で行った後、Vさんを車に乗せて札幌市手稲区の緑地帯に連れて行き、Aさんは事前に用意したロープをVさんに渡して立ち去りました。
Aさんは翌日の報道で、実際にVさんがロープを使って首吊り自殺をしたことを知りました。
事件からしばらく経った後、Aさんの自宅に札幌方面手稲警察署の警察官が訪れ、Aさんを自殺幇助罪で逮捕しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
※(参考)生きることが辛く感じられる方へ:こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556
【自殺幇助罪について】
何かしらの理由で、自らの命を絶ってしまう方がおられます。
自ら自身の命を絶つ行為を、自殺と言います。
自殺そのものは、刑事事件に問われるものではありません。
しかし、その自殺を手助けする行為は自殺幇助罪と呼ばれ、罪に問われます。
条文は以下のとおりです。
(自殺関与及び同意殺人)
刑法202条 人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、6月以上7年以下の懲役又は禁錮に処する。
条文に規定のある「幇助」というのが、自殺の「手助け」を意味します。
Aさんのように、自殺をしたいという者を希望する場所まで連れて行ったり、自殺のためのロープを準備して渡したりする行為は、手助けに当たり、自殺幇助罪に問われる可能性があります。
【自殺幇助罪での弁護活動】
自殺幇助罪で取調べを受ける場合、被疑者が
・自殺をした方に「自殺する意思」があることを知っていたのか
・自殺の手助けに当たる行為をしてしまったのか
が問題になります。
自殺幇助罪の場合、自殺した方は既に亡くなっているため、被疑者と自殺した方の間でのやり取りのデータのほか、被疑者自身の供述は重要な証拠になります。
そのため、警察官や検察官の厳しい取調べが行われる可能性があります。
自殺幇助の罪に問われている被疑者の方は、弁護士に相談し、自身の記憶と考えを整理したうえで取調べに臨むことが望ましいと言えます。
また、家族が自殺幇助罪で逮捕・勾留されている場合、すぐに取調べの状況を確認するため、弁護士に依頼をする方が良いでしょう。
北海道札幌市手稲区にて、自殺幇助罪で捜査を受けている方、あるいは家族が自殺幇助罪で逮捕・勾留されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご連絡ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受けることができます。
家族が自殺幇助罪で逮捕・勾留されている場合は、初回接見サービス(有料)をご案内致します。
盗聴は刑事事件になる?ならない?
盗聴は刑事事件になる?ならない?
いわゆる盗聴行為が刑事事件に発展する場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。
【ケース】
北海道札幌市豊平区在住のAさんは、札幌市豊平区の会社に勤める会社員です。
Aさんは会社の同僚であるVさんに恋慕していて、Vさんに交際相手がいるのか知りたいと考えました。
そこで、Vさんの言動を確認するべく盗聴器を仕掛けることを思いつき実行しました。
ある日、Aさんの自宅に豊平区内を管轄する豊平警察署の警察官が来て、盗聴の件で家宅捜索に来た旨説明を受けました。
≪ケースはすべてフィクションです。≫
【盗聴罪という罪はない】
他人の声や生活音を同意なく録音したり傍受したりする行為を俗に盗聴と呼ばれます。
モラルの問題として盗聴が問題であることは言わずもがなですが、法律上、盗聴全般を取り締まる法律はありません。
会議や日常のなかで、公開されることを前提としていない会話や、電話での会話がスクープやSNS上に流出したりしているのを耳にしたことがあるかもしれませんが、必ずしも法律上問題となるわけではありません。
【盗聴で問題となる罪】
とはいえ、盗聴により刑事罰が科される場合として、以下のような場合が考えられます。
・住居侵入罪
被害者の自宅内の音声を盗聴しようとする場合、被害者宅に入って盗聴器を設置する場合が考えられます。
もしこれが、被害者に無断で被害者宅に侵入して盗聴器を設置した場合、住居侵入罪に問われます。
条文は以下のとおりです。
刑法130条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
・盗聴器の設置で問題となる罪
次に、盗聴器の設置で問題となる罪が考えられます。
例えば、盗聴器を隠すために被害者の鞄などに穴をあける等の場合は、器物損壊罪が適用されます。
条文は以下のとおりです。
刑法261条 前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。
・固定電話の音声を盗聴する行為
電話線を用いて通信が行われる固定電話の音声を盗聴する行為は、有線電気通信法という法律に違反する可能性があります。
条文は以下のとおりです。
有線電気通信法9条 有線電気通信の秘密は、侵してはならない。
同法14条 第9条の規定に違反して有線電気通信の秘密を侵した者は、2年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
・被害者のスマホを用いた盗聴
上記のほか、被害者のスマートフォンを用いた盗聴が考えられます。
例えば、被害者のスマートフォンをウイルスに感染させるなどして不正な方法で盗聴を行った場合はコンピューターウイルスに関する罪が、被害者のスマートフォンを勝手に操作した場合には不正アクセスの罪が、それぞれ成立する恐れがあります。
条文はそれぞれ以下のとおりです。
(コンピューターウイルスに関する罪)
刑法168条の2第1項 正当な理由がないのに、人の電子計算機における実行の用に供する目的で、次に掲げる電磁的記録その他の記録を作成し、又は提供した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
1号 人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録
2号 前号に掲げるもののほか、同号の不正な指令を記述した電磁的記録その他の記録
(不正アクセスの罪)
不正アクセス行為の禁止等に関する法律
3条 何人も、不正アクセス行為をしてはならない。
11条 第3条の規定に違反した者は、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
【盗聴で捜査を受けたら弁護士へ】
これまでにご説明したとおり、盗聴罪という罪はありませんが、盗聴の目的でした行為が罪に当たる場合や、盗聴そのものが罪に当たる場合もあります。
ケースのAさんのように、盗聴が理由で捜査を受けることになったという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご連絡ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受けることができます。
ご家族が逮捕・勾留された場合は初回接見サービス(有料)をご案内致します。
【解決事例】SNSで脅したら逮捕
【解決事例】SNSで脅したら逮捕
SNSで脅したら逮捕されてしまった事例における弁護活動等について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。
~事例~
北海道札幌市西区在住のAさんは、友人と喧嘩をしていました。
Aさんは感情的になり、「今すぐ謝罪に来ないと殺すぞ」とのメッセージをSNSで友人に送ってしまいました。
友人が警察に届け出たことから、Aさんは強要未遂で逮捕されてしまいました。
Aさんの妻は、刑事事件に強いと評判の弁護士に相談することにしました。
≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫
~脅迫・強要事件について~
(脅迫)
第222条 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。
(強要)
第223条 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。
3 前二項の罪の未遂は、罰する。
「殺す」などの言葉で脅したら、脅迫罪が成立します。
脅したうえで行動を強要したら強要罪が成立し、被害者が実際に行動しなかったら強要未遂罪が成立します。
弁護士が早く被害者と接触して示談活動をする必要があります。
~脅迫・強要事件における弁護活動~
弁護士が被害者である友人と交渉し、二度と関わらないことを条件に示談が成立しました。
妻に身元引受人になってもらい、弁護士が裁判所に意見書を提出し、Aさんは釈放されました。
検察官に意見書を提出し、Aさんは不起訴となりました。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、脅迫・強要事件を含む刑事事件を専門的に扱っている法律事務所です。
弊所には、脅迫・強要事件に関する弁護活動を日々行っている弁護士が多数所属しています。
北海道札幌市西区にて、脅迫・強要事件で逮捕された方のご家族やご知人は、年中無休で対応している弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までまずはご連絡ください。
担当の者が、逮捕された方に対する弁護士による早期接見(面会)サービスなどについて、分かりやすくご案内差し上げます。
不法投棄事件で取調べ対応
不法投棄事件で取調べ対応
不法投棄事件を起こしてしまった場合に問題となる罪と、弁護士による取調べ対応について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。
【ケース】
北海道札幌市内在住のAさんは、札幌市北区の会社に勤める会社員です。
Aさんは以前に札幌市北区のアパートで生活していたのですが、引越しをすることになりました。
引越しがギリギリのタイミングで決まった関係でAさんは不燃物ゴミの処分に困り、行政に連絡したところ1ヶ月以上は先でなければ回収できない旨の説明を受けたため、既に大型家具家電が捨てられている近所の裏山に行ってベッドや冷蔵庫などの大型家具家電を不法投棄してしまいました。
引越しした数ヶ月後、札幌市北区を管轄する札幌方面北警察署の警察官から連絡が来て、不法投棄について取調べをしたいので出頭するよう言われました。
≪ケースはすべてフィクションです。≫
【不法投棄について】
街中を歩いていると、不法投棄は犯罪です、といった看板やポスターなどを目にすることがあるかもしれません。
不法投棄は、個人や会社等が排出したゴミを正規の方法で処理しないことを指す一般的な言葉です。
このゴミは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(通称:廃棄物処理法)により「廃棄物」と定められています。
このうち、事業活動で生じた一部の廃棄物等を産業廃棄物とし、産業廃棄物以外(個人が日常で排出するような廃棄物)は一般廃棄物と定義されています。
一般廃棄物をルールに従わずに捨てた場合、以下の規定に違反し、刑事罰が科せられます。
廃棄物処理法16条 何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。
次の各号のいずれかに該当する者は、5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
同25条1項14号 第16条の規定に違反して、廃棄物を捨てた者
【取調べ対応で弁護士に相談】
捜査の対象となる方の中には、自身が起こした事件なのだから取調べ対応は必要ない、と考える方も少なくありません。
しかし、罪を認めている場合であっても、自身の考えに反した調書が作られたり、自分がやった行為以上の嫌疑をかけられたりする可能性があります。
今回の事例であれば、Aさんが不法投棄をする以前から不法投棄が行われていた裏山ですので、Aさんには関係のないゴミまでがAさんの不法投棄と疑われる可能性があります。
そのような場合にそれを否定すると、取調官の態度が一気に変わる、ということもあり得ます。
取調べを受ける場合は、事前に弁護士に相談をしたうえで自身の考えをまとめ取調べでのルールをしっかりと把握することが望ましいと言えます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、これまで数多くの刑事事件・少年事件の弁護・付添人活動を行ってきました。
中には、違法あるいは違法の可能性がある取調べに対し、厳重に抗議したという事例も少なくありません。
北海道札幌市北区にて、不法投棄をしてしまい取調べを受ける予定がある方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご連絡ください。
事務所にて、取調べ対応について丁寧にご説明致します。
キャバクラの違法営業で家宅捜索
キャバクラの違法営業で家宅捜索
キャバクラを違法営業した場合に問題となる罪と家宅捜索について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。
【ケース】
北海道札幌市中央区在住のAさんは、札幌市中央区にあるテナントを借り、北海道公安委員会の許可申請を行うことなくいわゆるキャバクラと呼ばれるかたちでの営業を行っていました。
ある日、Aさんの自宅に札幌市中央区を管轄する札幌方面中央警察署の警察官が来て、Aさんに対しキャバクラの違法営業による風俗営業法違反として家宅捜索が行われた後、Aさんは逮捕されました。
≪ケースはすべてフィクションです。≫
【キャバクラの違法営業】
キャバクラ・バー・パチンコ店・性風俗営業店などは、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(通称:風俗営業法/風営法/風適法)に定められている風俗営業にあたります。
これらは、風俗営業法2条1項各号に定められていて、キャバクラの場合は同1号の規定する「キヤバレー、待合、料理店、カフエーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業」に該当します。
そして、同3条1項で「風俗営業を営もうとする者は、風俗営業の種別に応じて、営業所ごとに、当該営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会の許可を受けなければならない。」と定められています。
申請したからといって必ず許可が得られるわけではなく、
・営業の場所(近くに学校などの教育施設がないこと等)
・管理者の要件(過去5年間に一定以上の刑事罰を科せられたことがない等)
・店内の基準要件(店内が見通せること等)
等を満たしている必要があります。
キャバクラ店などの違法営業をしている方の中には、これらの基準を満たしていない場合や、ケースのAのように申請が面倒であると考えている方に多いようです。
風俗営業法に違反して風俗営業をした場合、「2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処し、又はこれを弊科する。」と定められています。(風俗営業法49条1号)
【家宅捜索とは】
家宅捜索は、捜査機関が証拠物や被疑者を発見するため、人の身体、物又は住居その他の場所について調べる「捜索」と、捜索した証拠物を押収する「差押え」という2つの側面を有する捜査活動です。
裁判所が発付する令状(通常は「捜索差押許可状」という書類が用いられます。)に基づき行われます。
令状が発付されている以上、家宅捜索を拒むことはできず、警察官等の家宅捜索を妨害した場合には公務執行妨害罪に問われることもあります。
家宅捜索で押収されるものは、主として
・犯行に使われた凶器、所持が禁止されている薬物や拳銃等
・違法な営業をしていた場合などの伝票や帳簿
・犯行当時に着用していた衣服や靴
・スマートフォンやパソコンなどの電子端末
などが挙げられます。
これらは、捜査のために捜査機関で保管されるほか、電子端末については解析が、薬物の場合は科学捜査研究所での成分分析が行われます。
家宅捜索の対象は被疑者の自宅等のほか、車の中や勤務先などで行われる場合もあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、キャバクラの違法営業などによる風俗営業法違反事件についての刑事弁護を取り扱っています。
北海道札幌市中央区にて、家族がキャバクラの違法営業で家宅捜索を受けた、逮捕されたという場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の初回接見サービスをご利用ください。(有料)
保護責任者遺棄致死事件での情状弁護
保護責任者遺棄致死事件での情状弁護
幼児に対するネグレクト等によりお子さんが亡くなってしまったという場合に問題となる保護責任者遺棄致死罪と、その際に行うことになるであろう情状弁護について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。
【ケース】
北海道浦河郡在住のAさんは、一人で1歳4月になる実子Vの子育てをしていました。
しかし、Aさんは子育てに疲れてしまい、Vさんを家に残して方々で飲み歩くなどの生活を続けていて、食事は与えなかったり、与えたとしても簡素なものしか与えなかったりと、ネグレクトと呼ばれるような生活を続けていました。
ある日、自宅に帰ったところ残していたVが冷たくなっていることに気付き、119番通報しましたがVさんは死亡してしまいました。
救急隊員からの通報を受けて臨場した北海道浦河郡を管轄する浦河警察署の警察官は、Aさんを保護責任者遺棄致死罪で逮捕しました。
≪ケースはすべてフィクションです。≫
【保護責任者遺棄致死罪について】
保護責任者遺棄致死罪は、保護を必要とする者を保護の無い状態にさらすことにより、死に至らしめた場合に成立する罪です。
保護を必要とする者については刑法218条に列挙されている①老年者②幼年者③身体障碍者④病者が対象となります。
ケースについてはVが1歳4月ですので、②が問題となります。
幼年者(あるいは老年者)は年齢だけで決まるものではなく、「扶助を必要とする」者なのか否かによって判断されますが、一般的には7~8歳未満の者についてはこれに当たると考えられています。
そして、Vの親であることから、Aには保護する責任があると評価されます。
幼年者であるVは自分で食事を用意することなど出来ないため、保護責任者であるAがVに食事を与えなければならないにも関わらずネグレクトをしているため、保護責任者遺棄致死罪が適用されます。
なお、保護責任者遺棄致死罪の法定刑は3年以上20年以下の懲役です。
刑法218条 老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、3月以上5年以下の懲役に処す る。
同219条 前2条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
同205条 身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有期懲役に処する。
【情状弁護について】
一般の会話などでも「情状酌量の余地あり」などという言葉を用いる場合があるかもしれません。
刑事事件では、この情状と呼ばれる事情を主張することで、弁護人が被告人の量刑をより軽くするための弁護活動を行うことになります。
そもそも、刑事事件の裁判官は、刑事裁判で弁護側・検察官側双方の主張を聞き、被告人が有罪か無罪か、有罪だった場合はその量刑(どれくらいの刑事罰を科すことが妥当か)を判断します。
その過程で、検察官は捜査段階で収集した証拠に基づき、被告人が起こした事件について説明したうえで、その証拠などを列挙します。
反対に、弁護人は被告人が犯人性を否認している場合であれば証拠についての異議申立てなどを行うほか、認めている場合には情状弁護を行い減刑を目指します。
情状には、犯情(事実)と一般情状があります。
犯情とは、被告人がどのような事件を起こしたかという点にあります。
例えば、Aがガムテープや紐などを用意する、連絡をして待ち伏せしていたなどの計画的な犯行ではないという点や、飲酒の上での犯行であることなどが挙げられるでしょう。
一般情状は、例えば事件後にAが被害者に対して贖罪の意思を表していることや、被害弁済・示談を行った等、前科の有無、性に対するカウンセリングを受け、プログラムを受けている等の事情が挙げられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、保護責任者遺棄致死罪などの裁判員裁判対象となるような重大事件についても取り扱っております。
北海道浦河郡にて、家族が保護責任者遺棄致死罪で逮捕・勾留されていて、その後に行われる情状弁護について知りたいという場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご連絡ください。