会社で横領?窃盗?

会社で横領?窃盗?

自分が勤める会社のものを持ち去る行為を踏まえ、横領罪と窃盗罪の違いなどについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。

【ケース】

北海道滝川市在住のAさんは、滝川市内の会社に勤める会社員です。
Aさんは、職場で営業の仕事をしていたのですが、その情報をもとに会社では内緒で副業をしていました。
しかし、数年経った後に人事異動で営業以外の部署に配置転換され、Aさんは営業で使っていた資料を手にすることが出来なくなってしまいました。
そこでAさんは、残業をしているふりをして営業の担当者が全員いなくなったことを確認した後、営業部の部屋に入って資料を盗み、自宅に持ち帰ってコピーをしたうえで翌日もとに戻そうと考えました。
翌日、Aさんが資料を返す前に営業の担当者が資料の紛失に気付き、滝川市内を管轄する札幌方面滝川警察署に被害届を出す検討をし始めました。
Aさんは不安になり、自ら営業の担当者に自白しようと考えましたが、その前に自分の行為がどのような罪に当たるのか知りたいと考え弁護士による無料相談を受けました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【窃盗罪と横領罪について】

(横領)
刑法252条1項 自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。
2項 自己の物であっても、公務所から保管を命ぜられた場合において、これを横領した者も、前項と同様とする。
(業務上横領)
刑法253条 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。

まず、Aさんの行為に成立すると考えられるのが、横領罪です(刑法252条各項)。
その中でも本件では、通常の横領罪(委託物横領罪とも呼ばれます)と業務上横領罪の成否が問題となると考えられます。
まず、上記引用条文からも分かるとおり、より重い法定刑を定めている業務上横領罪が成立するかどうか考えてみましょう。

この点、通常の横領罪と業務上横領罪の異なる点は、文字通り、「業務」上の横領行為であったか否かです。
「業務」とは単に仕事というわけではなく、「社会生活上の地位に基づき反復継続して行う事務」を意味します。
本件では、Aさんは過去に営業に関する資料を閲覧することが認められている業務に従事していましたが、この資料を持ち出した時点では、配置転換により別の業務に従事しています。
したがって、Aさんには営業に関する資料の管理に関する「業務」性が失われているといえ、業務上横領罪は成立しません。

では、次に通常の横領罪(刑法252条1項)が成立するか検討してみましょう。
横領罪が成立するためには、横領行為の客体である「他人の物」をAさんが「占有」している必要があります。
つまり「占有」がAさんに帰属している場合には横領罪が成立する一方で、そうでない場合には窃盗罪が成立することになります。
本件では、Aさんが異動になった段階で「物」の「占有」はAさんから失われており、横領罪は成立せず、他人の占有を侵害したとして窃盗罪(刑法253条)が成立するになるでしょう。

なお、Aは異動によって別の部署に異動していたのですから、財物を不法に領得する目的で以前の部署に立ち入った行為には建造物侵入罪(刑法130条前段)が成立する可能性もあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、罪に当たる可能性がある行為をしたがどのような罪に当たるのかが分からない、という方からのご相談に対し、事務所にてしっかりとお話を聞いたうえで該当する罪と今後の見通しなどについて説明をする無料相談を行っています。
北海道滝川市にて、前に所属していた部署の部屋に無断で侵入してコピーの目的で資料を持ち出したものの、返却する前に資料の紛失に気付かれてしまったという場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご連絡ください。
予約担当者が相談予約を取ったのち、事務所にて弁護士が具体的な内容を伺い業務上横領罪・横領罪・窃盗罪の成立可否などについてご説明いたします。

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